私の落としたもの達が、振り向かせた。 「あ・・・れっ?さくらっ?!」 「ああっ!おまえ、どうした?!」 一番会いたくなかった人達を。 私は逃げられなくなった。 あまりの偶然に言葉が出なかった。 聞かれた私が黙っていたからか 「あ、っと、さくらは入院したんだよ。な?」 と、拓也先輩が助け船を出してくれた。 それでも私は、何も・・・言えずにいた。 「お…
確か、ここに来る理由ってのは 私のゼリーを買うためだったんだけど 「あ〜先輩の好きなオレンジかグレープがあるっかなぁ〜?」 なーんて拓也先輩の為に、ゼリーを探してた。 「何にも買ってこなくていいよ」って言われたけどさ。 大体よ?おかしいでしょ? ダイエットでゼリー控えるなんて。 ゼリーはカロリー少ないんだから! ゼ…
だって。 拓也先輩に告白されたけど 私には、気になるかずがいた。 「同じ楽団に入団して欲しい」 という希望をも、私は叶わぬものにしてしまった。 そんな私に何故、未だに 先輩は優しさをくれるんだろう? 一緒に楽器を吹いていた時となんら変わらない。 先輩への苦しい程切ない思いと 部活や曲、楽器の話に夢中だったコトや 同期や他の先輩達との楽…
いざ、拓也先輩と歩き出してみると・・・ 2人して誰が見ても入院患者の格好だからか たまにすれ違う人達が 追いかけるように先輩と私を見ては ちょっと哀れんでるように見えたよ。 そんな目つきをされたコトのない、健康優良児な私は なんか私が悪いコトでもしたような感じに受け取れて このまま売店まで行くのが怖くなってきた。 でもね、先輩が・・・ 部活していた時と変わらない…
不思議なコトに・・・ 私が必死で 「お母さんと性格も似てない」 って否定した時は、 さらに笑い出した拓也先輩だったのに 私も笑い出したら、ぴたっと止んだ。 だから、つい聞いちゃった。 「え?どうしたんですか?」 「元気になったな」 「え、あ、そう・・・かも」 とりあえず、言ってみたけど・・・ ホントは、そうじゃない。 自分の部屋に…
「よく、謝っておいたよ」 数分後、気がついた。 お母さんの知り合い、いたんだってコト。 お母さんと顔合わせてたんだっけ。 3年くらい前っかな。 私の家に来て、ホルン購入に大反対していたお母さんを 簡単に別人にしたヒトなんだ。 そのヒトはまた、私がいつも通学で使っている電車が 事故で上下線とも不通になったからと 私を家まで送ってくれたコトがあった。 その話を…
鼻のかみすぎで、鼻がひりひりしてきた頃 どたばたと、お母さんが来た。 どうやらお母さんはパートの職場から一度家に戻り それから病院に来たらしく 仕事先では絶対持って行くはずがないような 身長150cm前半にはちょっと大きくて黒いカバンを抱えてた。 けど、ここに来る前に看護師さんと話をしたらしく 明日にでも退院できるというコトに関して 私の顔を見て、開口一番 「まーったく…
その後私は、知らない看護師さんと 一緒に病室に帰ってきた。 看護師さんは、不思議と怒るどころか むしろ明るくて・・・ 正直、そのテンションにはちょっとついていけなかった。 でもそれはきっと・・・ 私が、かずのコトで とてつもなく落ち込んでいたからなんだろうなって思う。 机の上を見たら、お夕飯があった。 朝から何も食べてないはずだから 見た瞬間、お腹が騒ぎ出…
その後、何度もかずに電話したけど留守電で・・・ 「もし、次に掛ける電話でも、かずが出てきてくれなかったら 今は電話するのを諦めよう」と決めてから留守電を聞いても 「今度掛けたら、出てきてくれるかも知れない」なんて ちょっとでも思ってしまったら、もう通話ボタンを押す手が止まらなくて。 気がついたら、お夕飯の時間はとうに過ぎてた。 …
「もしもし」 「もしもし、かず?」 「・・・さくら?」 「う、うん・・・」 いつもと違って 戸惑っているようなかずの声がするんだけど・・・ おかしいよ? 私「後で電話するね」って かずの留守電に入れてあったんだから かずは、私からの電話が来るコトを知ってるはずで 着信の時点で、携帯が表示する番号を見れば 私からの電話だと分かるはずなのに。 …
ホントは、かずが出てくれるまで 呼び鈴を鳴らし続けたいけど 2度目に掛けた時からは3回位で 留守電に繋がってしまって 伝言を入れずに すぐ切っての繰り返し。 それが今、何度目だろう・・・ 5度目? そんな私って・・・ ちょっとしつこい? かずからすれば そんな大したコトじゃないのに 携帯をしつこく鳴らすなんて 私って、大げさなヤツだとか 粘着質な…
やばいなんてもんじゃない! 天気報告を思い出してからは 私・・・ 正直、拓也先輩や佐々木さんの話は 一応聞こえてはいるけど 頭の中は、かずのコトで一杯になってしまってた。 そうよ、私は・・・ かずから「家に着いたらまた電話しろよ」と言われてた。 なのに、私は家に帰ることなく、ここにいて。 しかも、起きてまだ何時間も経ってない。 …
「たっくん、藤井さんが呼んでるよ」 たっくんとは、拓也先輩のあだ名で 女の1コ上の先輩達で一部、藍沢先輩達がそう呼んでる。 私は聞くたびに、先輩のコトをそう呼べる藍沢先輩達が どんどんうらやましくなっていってた そんなある日の個人練習の時。 私が呼ばれたワケじゃないけど、ドアの方を見ると・・・ とっても目が大きくって、ストレートの髪が綺麗な 部活の先輩でない、青の…
白ウマさんと看護師さんの門倉さんが いなくなった病室には いつでも、私の味方になってくれる拓也先輩と 敵なのか何なのか、いまいち掴めない 看護師の佐々木さんと 敵とか関係なく、血縁上仕方なく 付き合っていかなきゃいけない若葉 という顔ぶれがあって。 私は 白ウマさんから病人認定されて 早期退院可能な話を聞いて 喜んでいる場合じゃなく 先輩のお見舞いに来…
「・・・ないです」 とりあえずは返事したけど。 そういう質問自体 同性のお医者さんに聞かれたとしても 答えるには少し躊躇すると思うのに 今回は白ウマさんという 男のヒトな上に もう1人、白ウマさんの少し後ろで 車椅子に乗っている男のヒトがいて そのヒトってのは よりによって とっても好きだったヒト。 そんな人の…
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