手書きの字は体を表す? ―正岡子規『仰臥漫録』―
(明治34年)十月十三日大雨恐ろしく降る午後晴今日も飯はうまくない昼飯も過ぎて午後二時頃天気は少し直りかける律は風呂に行くとて出てしまうた母は黙って枕元に坐って居られる余は俄に精神が変になって来た「さあたまらんたまらん」「どーしやうどーしやう」と苦しがって少し煩悶を始める明治三十五年三月十日月曜日晴日記のなき日は病勢つのりし時なり午前七時家人起き出づ昨夜俳句を作る眠られず今朝は暖炉を焚かず八時半大便、後腹少し痛む同四十分麻痺剤を服す十時繃帯取換にかかる横腹の大筋つりて痛しこの日始めて腹部の穴を見て驚く穴といふは小き穴と思ひしにがらんどなり心持悪くなりて泣く(後略)(正岡子規著『仰臥漫録』より岩波文庫)40歳も過ぎると、正岡子規の『仰臥漫録』は若い時分に読んだときより鬼気迫って感じられるようです。ましてや、...手書きの字は体を表す?―正岡子規『仰臥漫録』―
2022/06/08 20:39