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2005/09/18

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  • 有栖川有栖選 必読! Selection9 後ろ姿の聖像 もしもお前が振り向いたら

    50点。元女性歌手のバーの経営者兼ママが殺害される。かつて、この女性の証言で逮捕され、8年間服役していた沖という元作詞家が疑われる。前半はアリバイ崩し。トリックとも言えない陳腐なアリバイ工作はあっさり見破られる。しかし、容疑者である沖には本当はアリバイがあった。なぜ、本当のアリバイを主張せず、偽のアリバイを騙ったのか?解説で、有栖川有栖は、作中では捜査陣が翻弄され、読者も欺いている。トリックを何度...

  • 有栖川有栖選 必読! Selection10 アリバイの唄 夜明日出夫の事件簿

    人気テレビドラマシリーズ「タクシードライバーの推理日誌」の原作であり、同シリーズの1作目。疑わしい人物のアリバイ崩しがメイン。有栖川有栖が解説でも書いているが、タイトルになっている「アリバイの唄」も含め、作者の稚気が感じられる作品。よくいえばダイナミックな作品であり、悪く言うとリアリティがない。バカミス的要素がある作品。意外性はなく、バカミスなトリックも既視感があり、そこまで感心できなかった。小説...

  • 梶龍雄 青春迷路ミステリコレクション2 若きウェルテルの怪死 〈新装版〉

    昭和9年の旧制二高を舞台とし、堀分という学生が自殺する。真相を追う中、貴重な化石の盗難、研究所開設の資金が持ち逃げなどが起こる。秋津刑事が捜査していく中、登場人物の証言がチグハグである点に気付く。関係者や一見関係がない人物の自殺、事故死、戦前という時代による特高の推理等、様々な要素が絡んでくる。大平博士が癌で死亡した後、最後に、秋津が事件の真相を明かす。隠された秘密があるものの、隠された真相にそこ...

  • 神のロジック 次は誰の番ですか?

    人里離れた全寮制の「学校」で、マモル、ステラ、詩人、ちゅうりつ、けらい、妃殿下の6人が授業と実習をしながら過ごす。ここは、秘密探偵養成所なのか、前世人格再現能力を集めた研究所なのか、ヴァーチャルリアリティの世界なのか。いったい、何のために子供たちが集められているのか?先が気になって最後まで一気に読める。伏線も巧妙に張られており、真相を知ったときの納得度も高い。しかし、ある理由により真相の衝撃度は減...

  • こうして誰もいなくなった

    有栖川有栖のノン・シリーズものの中編・短編・ショートショートが14作品収録されている。収録作品の中では、「館の一夜」、「妖術師」、「本と謎の日々」が好みの作品。有栖川有栖は、ショートショートが上手い作家だと感じた。標題作の「こうして誰もいなくなった」は、クリスティが今、「そして誰もいなくなった」を書けば、こんな感じになるのではないか、というイメージで描かれている。安定したデキで、驚愕の真相、という...

  • 東野圭吾公式ガイド 作家生活35周年ver.

    一番の目玉は、著者の自作解説コメントがついた全著作目録。東野圭吾作品は、感想を残しているのは5作品だけだが、全部で22作品読んでいる。それらの作品を、東野圭吾が何を思って書いたのかを読むのは面白かった。「天空の蜂」まで全く売れず、「秘密」から注目された当たりの話、1997年という空白の1年の存在は、改めて読むと面白かった。ただ、最近の代表シリーズである加賀シリーズやガリレオシリーズもほとんど読んで...

  • 名探偵の証明

    過去に一世を風靡した名探偵、屋敷啓次郎は、犯人に襲われ、大けがをしたことなどをきっかけとして、落ちぶれ、引きこもり状態となる。そんな屋敷が探偵として復活するために、犯人から脅迫状が届いた事件に挑む。現代の名探偵、蜜柑花子とともに、犯人の挑戦に挑むが…。「名探偵の使命を帯びた人」がいるという設定。本格ミステリ好きにはたまらないガジェットがてんこ盛りの作品で、本来であれば、好きな作風なのだが、何かが合...

  • 麻倉玲一は信頼できない語り手

    55点。死刑が廃止された日本が舞台。「最後の死刑囚」として「麻倉玲一」という人物が存在する。その麻倉から、話を聴き、出版をしてほしいとして、熊沢克也というライターが、木菟鳴0島という元リゾート地に呼ばれる。麻倉玲一が語る話として、3つの短編が描かれる。加えて、全体を通じた仕掛けが設けられている。個々の短編のデキはそこそこだし、全体を通じた仕掛けも悪くない。しかし、総合的なデキとして、納得がいくよう...

  • 梶龍雄 驚愕ミステリ大発掘コレクション2 清里高原殺人別荘

    75点。シーズンオフの清里の別荘に、5人の男女が忍び込む。そこには、別の女性がいて…。6人の男女がいるクローズドサークルで、次々と死が忍び寄る。5人の男女は何のために、別荘に忍び込んだのか?誰が、何の目的で殺人をしているのか?最後に、その真相が明かされる。正直、そこまでのサプライズ感はなかったが、丁寧に、分かりやすく伏線が張られており、登場人物が、最後の種明かしで、ある程度伏線について話すのでとて...

  • 死の湖畔 Murder by The Lake 三部作#2 告発(accusation) 十和田湖・夏の日の悲劇

    真夏の十和田湖で起きたボート事故と刑事の妻の転落死。そして、これらの事件に関係する4人の夫人が飛行機事故に遭い、3人が死亡する。その後も関係者が次々に死んでいく。本当によくできたミステリは、一つの核となる要素があり、その事実が明らかになることで、全ての要素が解きほぐされていくような作品だと思う。この作品は、核となる要素が1つでなく、4つほどある核となる要素が絡みあい、複雑になっている。それだけに、...

  • 乱れからくり

    ...

  • 梶龍雄 青春迷路ミステリコレクション1 リア王密室に死す

    昭和23年の京都の三高でリア王という学生が密室で殺害される。鍵を持ち、アリバイが曖昧な容疑者、木津武志が容疑者となる。武志のアリバイは、京都の町をガイドした老夫婦と先斗町で宴会をしていたというもの。しかし、その家が見つからない。探偵役のカミソリという三高生が事件を解明する。約30年後に、カミソリが犯人と指摘した人物の交通事故の記事を見る。武志が30年前の事件を息子に語ると、息子は、カミソリの推理に...

  • 死だけが私の贈り物

    仕事が激減し、落ちぶれた美人女優が、自身の人生を台無しにした3人の人物を殺害し、自害する。殺人部分はサスペンスとして描き、最後に、殺人の背景となる部分にどんでん返しが仕込まれている。長編と、その元となる中編が収録されており、長編の方はやや込みいった構成。中編は、よりシンプルかつソリッド。ただし、殺人の背景となる部分にやや疑問点がある。正直、どんでん返し部分は予想の範囲、というか、「それしかない。」...

  • ティンカー・ベル殺し

    メルヘン殺しシリーズ第4弾。この作品から読み始める人のことは想定せず、作中では、アーヴァタールとは何かなどの説明はほとんどされていない。そのようなことは分かっている前提で、無差別殺人を行うピーターパンが、ティンカーベルを殺した人物の捜査を行う。これまでの作品を読んだ人が対象とされており、ややマニアックながら、上手いと感じさせる作品に仕上がっている。小林泰三が亡くなり、シリーズ最終作になったことは寂...

  • 有栖川有栖選 必読! Selection5 他殺岬

    ルポライターである天知昌二郎の記事が原因で環ユキヨという女性が自殺する。その夫である環日出夫は、復讐のため、天知の5歳の息子、春彦を誘拐する。身代金目的でなく、120時間天知を苦しめ、その後、殺害するという。春彦を救うためには、ユキヨの死が、自殺に見せかけた他殺であることをを証明し、真犯人を示し、日出夫に、復讐をする必要がないと知らしめるなければならない。そう考えた天知は捜査を行う。タイムリミット...

  • 有栖川有栖選 必読! Selection4 真夜中の詩人

    老舗デパート、江戸幸デパートの社長の孫息子が誘拐され、その後、ごく平凡な家庭である浜尾真紀の子どもが誘拐される。同一犯の犯行と思われる、この2つの事件にはつながりがあるのか。真紀は独自に捜査を行うが、何かを知っていた真紀の母が、ひき逃げにより死亡する。真紀の妹である由紀にまつわる話が長々と描かれ、やや冗長に感じるものの、真紀が共犯者の一人である女性の素性を探す部分、母の過去を知っていく展開等は、サ...

  • 有栖川有栖選 必読!Selection8 結婚って何さ

    会社を辞めた二人のOLが、やけ酒を飲んでいる中で、一人の男性と意気投合し、一夜をともに過ごす。三人が泊まった旅館で、その男が殺害される。現場は密室。二人は警察に追われることになる、鳥井真弓だけが一人で逃走することになる。真犯人を見つけるため、男が残した手掛かりから、真弓は河口湖に向かう。警察からの逃走というサスペンス要素に加え、密室トリック、アリバイトリック、全体を通じた仕掛けまであり、テンポのよい...

  • 猫は知っていた 新装版

    主人公とヒロインが下宿する箱崎医院で、連続殺人事件が起こる。入院患者だった平坂氏が失踪。桑田老婦人の殺害。家永という看護婦が、「ネコ、ネコが…」という言葉を残して殺害され、入院患者の母親である桐野夫人も襲われる。探偵役の仁木雄太郎、悦子の兄、妹だけでなく、老警部というあだ名の隠居した警察官である峰岸、箱崎家の二人の子どもなど、様々なキャラクターが登場する。ミスディレクションあり、伏線もきちんと張ら...

  • 突然の明日

    白昼、銀座の交差点で女が消える。この体験をした小山田晴光という男が、マンションの屋上から転落死する。晴光は食品衛生監視員であり、調査していた人物が、飛び降りたマンション内で殺害されていた。。晴光が犯人でないと信じる妹は、晴光の先輩でもあり、古くからの知人でもある瀬田という男と一緒に、晴光が目撃した久米緋紗江という女性のアリバイの調査のため、九州に向かう。晴光の家族の様子がたっぷりと描かれてるなど、...

  • 7人の名探偵

    ...

  • 探偵ファミリーズ

    ...

  • 暗い傾斜

    太平製作所の女社長、汐見ユカは、個人で2000万円を借り、故人となった友人の夫、三津田という個人発明家に出資する。発明が成功する、その噂から騒動となるが、三津田は失踪。2000万円を貸し付けた矢島という大株主から、ユカは、結婚を迫られ、会社が乗っ取られる危機が迫り窮地に陥る。そして、高知で三津田が、東京で矢島が、同日に死ぬ。アリバイトリックを有栖川有栖が絶賛しているが、個人的にはそこまでとは思わな...

  • ノッキンオン・ロックドドア

    不可能犯罪を専門に捜査する巻き毛の男、御殿場倒理と、不可解犯罪を専門に捜査するスーツの男、片無氷雨。二人が共同経営するノッキンオン・ロックドドアという探偵事務所が舞台の連作短編集。各作品40ページ程度で、トリックは推理クイズレベル。各短編のデキは玉石混交だが、「髪の短くなった死体」と「限りなく確実な毒殺」はやや面白いトリック。「十円玉が少なすぎる」は、ケメルマンの「九マイルは遠すぎる」タイプとして...

  • 星詠師の記憶

    眠ることで、水晶に未来の映像を残すことができる人物=星詠師が存在する世界が舞台。いわゆる特殊設定モノ。石神真維那は、水晶の中に殺害場面が映っていることから、組織で殺人犯扱いされる。容疑者を殺害し、謹慎をしていた獅童という刑事が、自称、真維那の弟子という香島少年の依頼を受け、捜査、推理を行う。水晶に映る殺害シーンが、本当は何を映したものかを捜査、推理するという特殊な設定。特殊設定のルールは割とシンプ...

  • 蒼海館の殺人

    ...

  • アンデッドガール・マーダーファルス 3

    舞台をドイツに移し、「人狼」の被害に遭っている人間の村と人狼の村のそれぞれで発生してる事件に、怪物専門の探偵、輪堂鴉夜が挑む。怪物根絶を目指す保健機構の武闘派集団、ロイズのエージェント、モリアーティが率いる怪人を構成員とする犯罪組織「夜宴」が登場し、人狼をめぐる争いが繰り広げられる。キャラクターの魅力、本格ミステリとしての無難なデキなど、完成度はそれなり。しかし、「笑劇」としての魅力は2の方が上だ...

  • 梶龍雄 驚愕ミステリ大発掘コレクション1 龍神池の小さな死体

    たまたま存在を知り読みたいと思っていた作品。復刊されたことで、ついに読むことができた。期待が高すぎたこともあって、期待以上とまではいかなかったが、伏線の貼り方は見事。龍神池に浮かんだ、戦時中の弟の死の真相を探るという過去の事件の捜査、推理と、現在の研究がクロスする展開、仲城智一や、佐川美緒といった登場人物の捜査の進め方、推理等は丁寧で、実に「本格ミステリ」度が高い。驚愕の結末や独創的なトリックとい...

  • 透明人間は密室に潜む

    透明人間化する病気が存在する世界を舞台とした特殊設定ミステリ、裁判員裁判を舞台としたコメディ風ミステリ、音を手掛かりとし、堅実なロジックで構築されたガチガチの本格、脱出ゲームの中での狂言誘拐を舞台とした知的ゲーム風ミステリと、4種類の異なる趣向の短編が、それぞれ高いレベルで描かれている短編集。派手さや外連味には欠けるが、どの作品も地に足がついたしっかりしたロジックで描かれている。突き抜けた傑作はな...

  • ご近所美術館

    小さなビルの2階にある「西園寺英子四コマ漫画美術館」には美人の館長を始め,ひっつめ髪をしたデブでメガネのオタク女や美術館の専属探偵である営業職の会社員の主人公等,個性豊かな登場人物が登場する。美術館をめぐる父と娘の謎掛けやら,急に美術館に来れなくなった老人の謎といった些細な謎から,刑事事件になるような犯罪の謎まで描かれている。どの作品も,ミステリとしてはやや弱めだが,しっかりとした話で文体も読みや...

  • ブルーローズは眠らない

    マリアと蓮のコンビが挑む謎はバラの温室で起こった密室殺人事件。「プロトタイプ」と称される章と「ブルーローズ」と称される章が交互に描かれるのだが,少しずつその違和感が大きくなっていく。青いバラを軸として描かれる謎とその解決は,よく出来た本格ミステリとして,見事,論理的に解決される。魅力的な謎,意外性,キャラクター,読みやすさなど,不満は全くない良作。しかし,優等生過ぎるというか,無難すぎるというか,...

  • 過去に読んだ本ランキング

    小説の神様 90点アリス殺し 90点おかしな二人 85点鏡の中は日曜日 85点名探偵は嘘をつかない 85点medium 霊媒探偵城塚翡翠 85点午前零時のサンドリヨン 85点ドロシイ殺し 80点猫の舌に釘をうて 75点スノーホワイト 75点キャットフード 70点文庫版 鉄鼠の檻 70点叙述トリック短編集 70点吸血の家 70点ロートケプシェンこっちにおいで 70点空色メモリ 70点魔眼の匣の殺人 70点...

  • 有栖川有栖選 必読! Selection1 招かれざる客

    官庁の労働組合を崩壊に追い込んだスパイ行為をした職員が殺害される。そして、その内縁の妻と同室にいた女性も殺害される。ふた昔以上前の昭和の社会派ミステリ風の雰囲気に、暗号、消えた凶器、意外な動機等の本格ミステリ要素が盛り込まれている。第1部は捜査資料。小説的な味付けはなく、事実が羅列され、第2部は探偵役の倉持警部補の捜査という位置付けで、意外な事実が明るみに出る。「招かれざる客」というタイトルが、意...

  • マツリカ・マトリョシカ

    シリーズ第3弾。これまでの登場人物が活躍し、現代密室、過去密室の2つの謎に挑む。試験終了日までに現代密室の真相を解き明かさないと、柴山が犯人に仕立てあげられるというサスペンス要素もある。柴山、松本まりか達のチームとしての捜査も楽しく、現代密室についての多重推理が披露される。マツリカシリーズの難点である官能小説のような気持ちの悪い描写もなりを潜め、ミステリ小説としては、やや地味ながら、高い完成度とな...

  • マツリカ・マハリタ

    写真部に体験入部していた1年生が消えた事件、写真部員、小西の写真が全て感光していた事件、村木翔子が会っていた人物が消えた事件という3つの日常の謎の短編があり、その後に、マツリカの秘密に迫る4つ目の短編がある連絡短編集。3つの短編には少しずつ伏線が仕込まれており、4つ目の短編で回収されるという趣向。文体が肌に合い、読みやすい。個々の短編のデキはそれなりだが、全体としてのデキはいい。読後感もよい。しか...

  • 誘拐作戦

    道路に横たわっている女を拾った4人のチンピラと、そこに出くわしたもう一人の男。偽誘拐を行うという「誘拐計画」を立てる。そのいきさつを、「ありのままに書くと、迷惑する人がいる。」として、嘘を交えながら、犯行に関係者した二人の人物が、交互に手記を描くという設定。場面転換が多く、やや説明不足。誰と誰が話しているのかなどがつかみにくい場面があり、入り込めず、文体が合わなかった。「信頼できない語り手」系の作...

  • この国。

    一党独裁、非戦平和を掲げる「この国。」が舞台の連絡短編集。ケルベロスという異名を持つ治安警察職員の番匠いう人物と反政府組織の松浦という人物との対決をメインに据えつつ、「この国。」の様々な面を短編で見せるという構成。個々の短編は、無駄な描写がなく、すっきりとして読みやすい。番匠という共通の登場人物を出すという緩やかなつながりを持つ。個々の短編は、しっかりと構成を計算されている印象。意外性は薄いが安定...

  • やぶにらみの時計

    「きみ」=浜崎誠治は、これまで親しくしていた内縁の妻、隣人や、兄に存在を否定される。反対に、見も知らぬ人達が、「きみ」を会社社長の雨宮毅だと決めつけてくる。この不条理で不気味な状況の中、真の自分を求め、自分の足取りをたどる。極めて魅力的な謎、設定。途中にあるミステリうんちくも面白い。しかし、都筑道夫のユーモアや文体がイマイチ肌に合わず、短い作品だが、描写や話の進め方が分かりにくく、没入できない部分...

  • 猫の舌に釘をうて

    都筑道夫の「猫の下に釘をうて」の束見本に、淡路瑛一という作家が手記を書いているという構成のミステリ。「私はこの事件の犯人であり、探偵であり、そしてどうやら被害者にもなりそうだ」という文章から始まるなど、本格ミステリ好きにはたまらない一品。淡路瑛一という作家の失恋、そしてその失恋をきっかけとして仕組んだ「毒殺ごっこ」から実際に死者が出てしまい、その事件の真相を捜査するという構成。個人的には、こういう...

  • 有栖川有栖選 必読! Selection6 求婚の密室

    軽井沢の別荘の敷地内の密室で、老夫婦が殺害される。老夫婦の養女である美貌の女優、西城富士子に求婚できるのは、最も説得力のある推理をした者。弁護士、医師、ジャーナリストの3人が推理を競う。こう書くと、ガチガチの本格モノというイメージだが、3人の探偵役のうちの1人の推理は、密室で死体が見つかったのだから自殺、というもの。推理合戦、多重解決モノというほどではない。それでも、さすが笹沢左保と思わせる話運び...

  • medium 霊媒探偵城塚翡翠

    ...

  • 魔眼の匣の殺人

    屍人荘の殺人に続く班目機関シリーズ第2弾。今回は、あと二日のうちに、この地で四人死ぬ」という予言が鍵となる。好美という土地に魔眼の匣と呼ばれる建物があり、その土地につながる唯一の橋が燃え落ちる。クローズドサークルとなった舞台で、4つの人形が一つずつ消える。「そして誰もいなくなった」を思わせる舞台で発生する殺人事件。4人の死者はでるものの、サスペンス感はさほどない。しかし、終盤に、思いもよらない方向...

  • バベルノトウ 名探偵三途川理 vs 赤毛そして天使

    天使達の小さな奇跡「言語混乱」により、「シムニャゼク語」しか話せなくなった元起業家である椿。椿の身に何が起きたのかを、三途川理と緋山燃の二人の探偵が捜査する。二人の協力により、捜査が進展したところで、新たな「言語混乱」により、三途川理の言語の一部が「リルーレ語」になる。んな中、密室殺人事件が起きる。奇想天外な発想で、話の展開は非常に面白い。緋山燃が、言語とは何かについて熱く語る部分は、面白い。反面...

  • トランプソルジャーズ 名探偵三途川理 vs アンフェア女王

    不思議の国のような世界に三途川理とその姉、三途川数が迷い込む。生きたトランプ「54人隊」を使って欲望を叶える数。後からこの世界に来た理は、数の部下と、神経衰弱、ババ抜き、ポーカーで決闘する。数の部下は、生きたトランプを使った作戦で勝とうとするが、理は、これらをトリックとイカサマで破る。最後は、市民を代表して、兎のピンクニーも加わりトランプ対決。知的ゲームというより、ドタバタ劇という印象。オチにエレ...

  • ワスレロモノ 名探偵三途川理VS思い出泥棒

    「思い出」を「宝石」に代える力を持つ指輪。「悪魔のような人物」の「思い出」は三色の宝石になる。カギノと相棒ユイノはかつて、三色の宝石を持っていたが、紛失してしまう。カギノは、悪魔のような人物を見つけ出し、その思い出を盗むために、思い出泥棒をしていた。後半は、森川智喜の作品らしく、名探偵三途川理が登場。「思い出泥棒」の存在がかすむ存在感を示す。そういった意味で森川智喜らしい作品だが、ラストもそれなり...

  • さかさま少女のためのピアノソナタ

    「世にも奇妙な物語」風の短編を収録した短編集。北山猛邦といえば、「私たちが星座を盗んだ理由」という短編集の「妖精の学校」がめちゃくちゃ好き。こちらは、「妖精の学校」ほどの傑作はなかったものの、残酷なオチの「見返り谷から呼ぶ声」、サスペンスと分かりやすいオチが魅力の「さかさま少女のためのピアノソナタ」、漫画、「寄生獣」のようななノリで、オチが星新一を思わせる「今夜の月はしましま模様?」、「妖精の学校...

  • 妖鳥

    金庫に閉じ込められた記憶喪失の女、瀕死状態だった患者が自殺に偽装され密室で発見されるという謎、自然発火、献身的な看護婦が死に直面した際に見せる悪魔のような笑顔など、まさに奇想といえる謎を提示し、これらの謎に論理的な結論をもたらす。まさに本格ミステリという作品でありながら、バカミス的な要素も垣間見える。いかにも山田正紀らしい作品。やや詰め込み過ぎの印象もある。本格ミステリ的な部分をもっとシンプルにま...

  • 卍の殺人

    ヒロイン萩原亮子が、恋人の実家で連続殺人に巻き込まれる。メインプロットは古典的なものであり、密室トリック、暗号トリックもチープ。作品全体の作りは丁寧で、さすが今邑彩と思わせるものの、本格ミステリとしてのデキは、当時の「新本格ブーム」の中ではやや落ちるか。怪しげな館、密室、暗号と本格ミステリのガジェットは詰め込んであるし、丁寧な作品でもあって、決して駄作ではないが、傑作とまでは言えない。今邑彩のデビ...

  • ジグソーパズル48

    帯には「ミステリの名手がおくる連作短編集」とあるが,個々の短編のつながりは,ほとんどない。同じ,「私立曙高等学校」が舞台であり,わずかに共通の教師の名前が出る程度。「ラッキーセブン」という短編は,「セブン」という短編集でも読んだ作品。ショートショートのような「ひやっ」とするオチがある「3つの涙」,まさに短編ミステリと思わせるトリックを盛り込んだ「マルキュー」は平均点以上のデキと思うが,そのほかは凡...

  • 本と鍵の季節

    堀川次郎と松倉詩門という二人の高校生の図書委員が主人公の日常の謎系ミステリ。開かずの金庫,テスト問題の窃盗,亡くなった先輩が読んだ最後の本といった謎を,松倉と堀川が,論理的に解き明かす。短編ミステリとしては,それなりに読み応えがあり,加えて,米澤穂信らしいイヤミス的要素もある。連作短編集であり,個々の短編にはゆるやかなつながりはあるものの,全体を通じた大きな仕掛けはない。米澤穂信作品であり,もっと...

  • 空白の起点

    60点。1961年の作品で,設定には古さを感じるが,文体はそこまで古臭くない。メイントリックは独創的であり,伏線もさりげなく,しっかりと張られている。今,読んでも,「よくできたミステリ」と評価できる。「有栖川有栖の必読!Selection」として読み,期待が高すぎたことから,期待ほどのデキとは言えなかった。メイントリックは独創的で,面白いと感じるが,確実性に欠け,現実性に乏しい。評価が分かれそう。もう一つ...

  • 密室から黒猫を取り出す方法

    気弱で引きこもりがちな名探偵音野順の活躍を収めた短編集の第2弾。密室トリックもあるし,倒叙モノ,ほかの名探偵との推理対決まであり,各短編のバリエーションは豊富。白瀬白夜は,麻耶雄嵩のメルカトルシリーズの美袋三条を思わせるキャラで新鮮味に欠け,名探偵役の音野順は地味。密室殺人現場に入ってしまった黒猫の行方を追ったり,人食いテレビの謎が登場したり,蝋燭を使った密室があったりと,すこぶる魅力的な謎が用意...

  • ドロシイ殺し

    蜥蜴のビルが迷い込んだ次なる世界は,オズの魔法使い。マイルドな不思議の国のような世界。この世界でも殺人事件が起こり,ドロシイとジンジャー将軍が殺害される。更に,「ジンジャーの言ったことの意味がやっとわかった。僕は間抜けだった。殺人者は外から来たんだ。」という言葉を残し,案山子も殺害されてしまう。ビルとジュリア・ジャムが捜査をした結果,見つかった真犯人の意外性はなかなかで,作中でもビルが驚愕するほど...

  • クララ殺し

    アルプスの少女ハイジの世界が舞台なのではなく,「くるみ割り人形と鼠の王様」等の代表作がある,E・T・A・ホフマンの小説世界が舞台。地球とホフマン宇宙における登場人物と,そのアーヴァタールにより起こされる殺人事件。アリス殺しのような切れ味はないが,練りに練られたプロットであり,しっかり読めば,意外性を堪能できる。前作から続けて登場しているビル=井森は,ときどき,本当は単なるバカじゃないのでは?と思わせ...

  • アリス殺し

    9点。いわゆる特殊設定モノで,地球と不思議の国が舞台となっている。地球にいる人間達と,アーヴァタールという不思議の国のアリスの登場人物達が微妙な関係でリンクしており,この関係を利用し,真犯人は,殺人事件を起こす。容疑者となったアリスが,トカゲのビルを相棒として捜査を行う。特殊設定モノとしては極めて正統派。驚愕というほどではないが,分かりやすく,極めて自然なミスリードがされている。物語づくりが上手い...

  • 京都なぞとき四季報

    京都市内を歩き回ることを目的としている「賀茂川乱歩」というサークルを舞台として,京都大学の新入生,遠近倫人の青河幸への淡い恋愛を描きつつ,同サークル内で遭遇した謎を「三号館」という,京都大学内に存在するという謎のバーで解決してもらうという体験を描いたミステリ。ヒロインの青河幸も,三号館のマスター青馬美希も,そこまで魅力的に描かれていない。青河幸との恋愛にスポットを当てるか,蒼馬美希のキャラクターに...

  • 叙述トリック短編集

    「叙述トリック」を使っている作品は,「叙述トリック」を使っていると分かって読むと魅力が半減するので,できれば,そのことを知らない状態で読みたい。しかし,あえて,「呪術トリック短編集」と題し,叙述トリックを使っているということを明らかにした上で読者をだまそうとする意欲的な作品。冒頭の読者への挑戦やあとがきまで利用して読者をだまそうとする姿勢が好ましい。各短編も,ユーモアがあり,キャラクターの魅力もあ...

  • 星読島に星は流れた

    数年に一度,隕石が落ちてくるという謎の島,セントグレース島。星読島とも呼ばれるこの島に,インターネット上のフォーラムを通じ,7人の男女が集められる。そのうちの1人に,島の所有者である天文学者のサラから,隕石が譲られる。この状況で殺人事件が起こり,「閉ざされた環境」における捜査と推理が繰り広げられる。そして誰もいなくなった系のサスペンス的な味付けは乏しく,シンプルかつソリッドな本格ミステリとして仕上...

  • 津和野の殺人者

    探偵役の花谷有子の弟が萩・津和野ツアーに参加し,宿泊先のホテル火災に巻き込まれる。そして,そのツアーの参加者であったツアー仲間のOLが,転落死する。この転落死を発端とし,ツアー参加者が次々と殺害されていく。中町信の作品らしく,サービス精神は旺盛。プロローグの描写も含め,意外性の演出がされている。中町信の作風は好みなのだが,この作品の意外な犯人,ダイイングメッセージ,アリバイトリックは,どれもイマイチ...

  • 天城一の密室犯罪学教程

    密室トリックを9種類に分類し,自作10作品を実践編として紹介,理論編で分析をしている。この構成と理論編は面白い。しかし,実践編の10作品がさっぱり面白くない。PART3では摩耶正を探偵役とする短編が収録されており,「明日のための犯罪」,「盗まれた手紙」等は,今でも楽しめる良作。実践編に,それぞれの分類の代表となる古典そのものを掲載したリメイク版を出せば,密室モノのの入門書的な位置付けとして面白いものに...

  • 吸血の家

    昭和40年代を舞台として,二階堂蘭子や黎人といった漫画のような登場人物が,24年前に起こった足跡のない殺人事件,密室殺人,テニスコートにおける足跡のない殺人事件に挑む,コテコテの本格ミステリ。怪しげな登場人物,無能の警察,物理トリック等,本格ミステリ好きにはたまらないコードが満載。フーダニットとしての意外性こそ,それほどでもなかったが,緻密に推理せずに気楽に読んでも驚ける。サービス精神満載で,本格...

  • メルカトルかく語りき

    問題作。ネタバレにならないように紹介するのは難しい。文庫本のあとがきには,「答えのない絵本」という短編を「額面どおりに受け取ってもらう。」ために,目印になる旗として,「死人を起こす」,「九州旅行」,「収束」という短編を書いたと紹介されている。最後に収録されている「密室荘」という作品も含め,全ての短編「答えのない絵本」と同じ趣向で描かれている。個人的に,この趣向が合わなかった。麻耶雄嵩の作品の文体や...

  • ご近所美術館

    小さなビルの2階にある「西園寺英子四コマ漫画美術館」には美人の館長を始め,ひっつめ髪をしたデブでメガネのオタク女や美術館の専属探偵である営業職の会社員の主人公等,個性豊かな登場人物が登場する。美術館をめぐる父と娘の謎掛けやら,急に美術館に来れなくなった老人の謎といった些細な謎から,刑事事件になるような犯罪の謎まで描かれている。どの作品も,ミステリとしてはやや弱めだが,しっかりとした話で文体も読みや...

  • 破壊された男

    第1回ヒューゴー賞を受賞した名作だが,世界観の説明が十分でない序盤から,バンバン固有名詞が出てきて,読みにくい。大企業の社長が,こんなチンピラみたいな人物に描くのはどうなんだろうか。中盤からは,エスパーでニューヨーク市警審理捜査局総監であるパウエルとの対決。探偵対犯人の対決は心躍る展開なのだが,さほど頭脳戦という感じもない。ちょっとした登場人物までしっかりとした役割が与えられているなど,物語として...

  • 小説の神様

    大傑作。ものすごい好き。相沢沙呼の文体が肌に合う。物語全体の雰囲気も好き。ただ,ほかの作品は,主人公のキャラクターに不満があった。しかし,この作品は,主人公の千谷一也は,相沢沙呼らしいダメさもあるけど,それでも,十分かっこいい。そして,ヒロイン。こちらは,相沢沙呼らしい,かっこいいヒロインでありながら,弱さも持っている。分かりやすい起承転結の物語で,ひねりもどんでん返しもないけど読後感が最高。登場...

  • 最良の嘘の最後のひと言

    世界的な大企業ハルウィンの年収8000万円という待遇の採用試験に7人の超能力者が挑む。ワクワクする設定ではあるのだが,7人のうち3人ほどの超能力が便利過ぎる。期待していたような騙し合いになっていないのが残念。登場人物達がいずれも嘘をついており,終盤に向けてどんでん返しが繰り広げられるが,キャラクターが描き切れてないように感じてしまった。終盤に畳みかけられるどんでん返しも,やられたと感じるより「何で...

  • 東京結合人間

    前半はグロテスクな描写があるホワイダニットの作品,後半はクローズドサークル。登場人物,特に前半部で主人公的な視点で描かれるネズミ,ビデオ,オナコの3人が極めて不快なキャラクター。グロテスクな描写も多く,嘘を付けない人物が結合で誕生するという特殊な世界観はつっこみどころ満載。しかし,伏線が巧妙にはりめぐらされており,多重解決が披露されていることもあって,ミステリとしては完成度が高い。間違いなく読む人...

  • インサート・コイン(ズ)

    ゲーム雑誌のライターの視点で描かれた異色のミステリ。ミステリ要素は弱く,ゲームのうんちくがちりばめられたちょっとした話が集められている。中学校時代の女友達との最後のぷよぷよでの勝負に勝っていたらどんな秘密が打ち明けられたのかという謎が描かれた「残響ばよえ~ん」と,「ドラクエⅢの最大の伏線は何か?」と書かれた年賀状を送って自殺した友人のことを描いた「そしてまわりこまれなかった」は,ミステリとしても秀...

  • 2019年に読んだ本の感想など

    今年も2月半ばになって,やっとブクログと読書メーターに感想を書き終えることができた。2019年に読んだ本は48冊。12か月で割ると1か月4冊くらいでそれほど少ないわけではない。しかし,2017年が67冊,2018年が68冊だったことを踏まえると,20冊程度減ってしまった。原因が何かと考えてみてもはっきり分からず。2017年に比べると,2018年の4月から通勤時間が減ったので,電車で本を読む時間は...

  • 囲碁殺人事件

    ゲーム3部作の第1弾であり,おまけとしてチェス殺人事件が収録されている。竹本健治作品の中では,オーソドックスな本格ミステリ。被害者の考え方や首が切断された動機部分などに,竹本健治らしい変化球的な要素がある。囲碁についてのうんちくはそれほどない。囲碁の知識が無くても楽しめる。おまけとして収録されているチェス殺人事件は,竹本健治らしい作品。読む人によっては失敗作と感じるかもしれないが,謎を謎のまま残す...

  • ニセ科学を10倍楽しむ本

    「ニセ科学」関係の入門書といったイメージ。「ニセ科学」関係の本は,10年以上前に結構読んだ。「買ってはいけない」という本の分析(批判)や「血液型占い」について,「アポロは月に行っていない?」など,ニセ科学ネタとしては定番のネタが中心。ちょっと偏屈な親と中学生の子どもが話をしているという構成で書かれている。「中学生の子どもと親がこんな話はしないだろう」とツッコミたくなる場面もしばしばある。目新しさは...

  • 世界推理短編傑作集1

    「有栖川有栖の密室大図鑑」を読み,「十三独房の問題」を読みたいと思ったので,リニューアルされた新版を読んだ。19世紀中頃に書かれたポーの「盗まれた手紙」から20世紀初頭に書かれた「十三独房の問題」まで7つの短編が収録されている。古典で,翻訳モノ独特の読みにくさ,分かりにくさはある。最新の日本人作家による短編集より面白いのかというと,そこまででもない作品の方が多かった。期待していた「十三独房の問題」...

  • 将棋殺人事件

    ゲーム3部作シリーズの2作目。「詰将棋」と「恐怖の問題」という噂話がテーマとなっている。牧場智久と典子の姉弟と須藤による捜査と推理に加え,精神科医の天野も登場する。詰将棋に関するウンチクは読んでいて楽しい。別々に描かれる詰将棋盗作問題と,恐怖の問題という噂に関する捜査が収束していく展開は,竹本健治らしい。しかし,真相がやや陳腐。何か隠されている謎があるように感じさせるが,最後まで明かされない。竹本...

  • 今出川ルヴォワール

    シリーズ3作目。御堂龍也の大怨寺という寺への復讐劇が描かれる。御堂龍也を御贖とする双龍会から始まり,更に,大怨寺が主催する博打の会「権々会」が描かれる。「権々会」ではオリジナルのカードゲーム「鳳」が行われ,さながら福本伸行の漫画のような知的ゲームが描かれる。登場人物も龍樹家の龍師のほか,定恩という僧侶,天親家の龍師などタレントぞろい。天才的と言われる人物同士が激突する知的ゲーム部分はそれなりに面白...

  • 灯争対戦 プレリリース

    ドミナリア以来の久々のプレリリースに参加結果は3回参加して, 3-0 1-2 0-3MTGそのものが久しぶりということであまり冴えない結果だった。手に入れたプレリレアなどの感想は以下のとおり...

  • 双孔堂の殺人

    「堂」シリーズ第2段。新キャラクターとして宮司警視とその妹の百合子が登場する。密室で2人の被害者が殺害され,探偵役の十和田只人が冒頭で「犯人は僕だ。そうでしかありえないんだ」と言い出す。「堂」シリーズらしい大きな仕掛けがあるが,正直,サプライズや「やられた」感はそれほどない。島田荘司の「斜め屋敷の犯罪」系に属するタイプの作品だが,そこまでのインパクトはない。シリーズ作品らしく,ラストで次作品以降に...

  • 凶鳥の如き忌むもの

    18年前に「鳥人の儀」が行われ当時の巫女が断崖絶壁上の拝殿から消失し,島にいた7人のうち6人の人物も消失する。その18年後に朱音という巫女が,改めて「鳥人の儀」を行い,18年前と同じように断崖絶壁上の拝殿から消失する。そして,島にいる人物が1人,また1人と消えていく。刀城言耶が語る真相は,バカミスチックともいえるような真相だがショッキングなもの。しかし,読みにくい文体が肌に合わない。なんとか読み終...

  • 血の季節

    「復刊希望!幻の名作ベストテン」で2位だった作品。メインとなるのは,「青山霊園内幼女殺人事件」の容疑者の少年時代(太平洋戦争時代)の回想。それから,警察による捜査。そして,序章と終章は,裁判で弁護人となっている弁護士の視点から描かれる。トリックらしいトリックはなく,ミステリとしての仕掛けはない。しかし,翻訳ミステリと思わせるような雰囲気のある文体はさすが。「吸血鬼」がテーマとなっており,ミステリで...

  • 誤算

    男に騙されて全財産を失った看護師,川村奈緒が数億円の遺産の相続のために鬼沢という老人との結婚を計画する。計画の進行に当たっては,鬼沢の隠し子である恵太という男と手を組む。看護師としての真摯で誠実な働きぶりのかいもあって,奈緒は鬼沢からのプロポーズを受けることに成功するが…。余計な情報や描写がなく,テンポよく話が進む。話運びが上手く,読みやすい文体で最後まで一気に読ませる。意外性やどんでん返しこそさ...

  • 海賊島の殺人

    「海賊の黄金時代」を舞台とした海洋冒険ロマンと本格ミステリを融合させた作品。意外性に乏しく,本格ミステリ部分の弱さが目立つ。丁寧な伏線の回収がされているが,本格ミステリとしての魅力的な謎がない。海洋冒険ロマンとしては,登場人物はそれなりに描き分けられているが,掘り下げが足りないように感じる。すっきりとした読みやすさがあるので,やや勿体なく感じる。もっと長い小説にしてキャラクターを掘り下げ,本格ミス...

  • 踊る人形

    名探偵「三途川理」が登場するシリーズ。江戸川乱歩の「少年探偵団」シリーズのような文体・雰囲気で描かれている。南エリカという怪しげな女性博士が,不死身の人間型人形=ゴーレムを作り出す。人形男は人形男なりの理屈で南博士と対立する。人形男と少年探偵団の闘いに続いて,もう一体のゴーレム,人形女が登場し,三途川理との闘いが描かれる。最後は三途川理がいつものゲスぶりを出して終わるというオチ。少年探偵団風のミス...

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