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ブログ連載小説・幸田回生 https://ameblo.jp/kodakaisei

この度、ブログで連載小説をはじめます。 よろしかった、読んでみてください。

幸田回生
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2005/06/18

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  • 太平洋のさざ波 14(2章日本)

    14 ゲンさんの家に戻ると、ゲンタの飛び跳ねる歓待を受けると同時に庭に駐まった白い軽自動車が目に入った。 スーパーに勤める奥さんが帰宅していたのだ。 勝浦の…

  • 太平洋のさざ波 13(2章日本)

    13 話は尽きないが、サーフィンの支度を始めた。 坊主頭のゲンさんがジャージの上下とインナーのTシャツを脱ぐと、ハワイで焼いた引き締まった体が露わになった。…

  • 太平洋のさざ波 12(2章日本)

    12「和歌山で思い出しました。 ゲンさんとハワイのザ・バスの中ではぐれた翌朝、 パールパーバーを目指しホテルの近く通りでバスを待っていると、同年代の和歌山…

  • 太平洋のさざ波 11(2章日本)

    11 ゲンさんの話を聞いている間に家に着くと、 赤毛の雑種犬が元気に飛び出してきた。 左右のドアから二人で車を降りると、 「ゲンタ!」  ゲンさんの大きな声…

  • 太平洋のさざ波 10(2章日本)

    10 翌週の半ば、都内の仕事を終え、西船橋駅の改札を抜け、 北口のロータリーに向かう途中でメールの着信が鳴った。 行き交う人に迷惑にならないように素早く階段…

  • 太平洋のさざ波 9(2章日本)

    9「プロレスといえば、日本で大人気だったスタン・ハンセンのそっくりさんをハワイのマウイ島のバスの中で見掛けました」 「スタン・ハンセンを見た?」  スタン・…

  • 【複製】ペーパークラフト・・・6

    6 「今、ムニョスといつもの場所にいる。 とっくに、9時を回ってるけど」「何?」 とっさに出た言葉が、これだった。 彼とのデートをすっかり忘れていた。「悪い。…

  • 太平洋のさざ波 8(2章日本)

    8 マキと名乗る若いミャンマー人女性と新宿で再会を果たした後、こちからメールするのも、いかがなものかと、 想っている間に1週間が過ぎた。 土曜日の夕方、気分…

  • 太平洋のさざ波 7(2章日本)

    7「ミャンマーのパスポートが日本のパスポートと同じ赤い色なのをご存じですか?」 「そうなんですか」 「はい。 わたし、初来日の際、成田空港で日本人の方が手に…

  • 太平洋のさざ波 6(2章日本)

    6 上京して10年あまり、ここ2年は船橋在住とはいえ、 西武新宿線を利用したことがなく、 池袋線もしかりで、ここに来るのも初めてだ。  これまでに何度かこの…

  • 太平洋のさざ波 5(2章日本)

    5 地下鉄副都心線の新宿三丁目で降りた。 地下道で見た、ここが海抜三十数メートルの表記に、 海に近い銀座がほぼゼロメートルだとして、江戸城跡の天皇皇后陛下が…

  • 太平洋のさざ波 4(2章日本)

    4 南船橋駅に戻り、気分転換を兼ねて都心に向かうことにした。 IKEAに見参して、船橋オートレース場跡地に建った冷凍工場群と船橋競馬場を遠目に眺め、船橋の名…

  • 太平洋のさざ波3(2章日本)

    3 おじさんが野球の一軍に例えた、国の出先機関のような中央競馬の中山競馬場に一度だけ行ったことがある。  日曜日の午前、学生時代…

  • 太平洋のさざ波2(2章日本)

    2 翌週の土曜日、 不動産屋さんの若い店員さんの言葉通りに武蔵野線に乗って南船橋に行くことにした。 さして用事などなかったが、IKEAでも覗いてみるとしよう…

  • 太平洋のさざ波1(2章日本)

    2章 日本 1 ハワイから帰国した。 偏西風の影響か関空からホノルル空港まで要したより2時間余計な時を過ごした。 そのせいか往きで利用しなかった有料の…

  • 太平洋のさざ波 29(1章ハワイ)

    29 ハワイも明日限りだ。 早い便で空港を経つのでマウイ島に出向いた時同様に朝早くホテルを出なければいけない。 実質、半日程度の時間しかない。  …

  • 太平洋のさざ波 28(1章ハワイ)

    28 海が見えてきた。 これがハナウマ湾だろうか。 マウイ、オアフ、ラハイナ、キヘイ、ハイク、ワイキキ、   カハラなどハワイの地名は日本語と同じく子音のう…

  • 太平洋のさざ波 27(1章ハワイ)

       27 ノースショアから戻った翌日、予定通りにダイアモンドヘッドに向かうことにした。  フリースペーススにはマイケルさんとマリアさんのカップルの姿は見えず…

  • 太平洋のさざ波 26(1章ハワイ)

    26 彼に男女4人の仲間を紹介されて陽暮れ近くまで海と波に戯れた。 4人は二組のカップルで全員20代前半から半ばで房総半島の勝浦周辺在住の日本人で彼より一足…

  • 太平洋のさざ波 25(1章ハワイ)

    25 朝食のため階下に降りてフリースペースに寄ると、 昨夜の老人が色違いのTシャツ姿でテーブル椅子に座り、 知り会いと見られる少し年下に見える白人女性と親し…

  • 太平洋のさざ波 24(1章ハワイ)

    24「西船橋なら僕が住んでいる街です」 「そうですか!」  彼は日本語のトーンを一段と上げた。 「懐かしい! 西船橋がわたしとあなたを巡り合わせてくれた」 …

  • 太平洋のさざ波 23(1章ハワイ)

    23   頭の時計はマウイ島からオアフ島に戻っていた。 午後4時を過ぎ、冬の日没が早いハワイで今からやれることは限られている。  ワイキキビーチに立ち、海を…

  • 太平洋のさざ波 22(1章ハワイ)

    22 カラカウア通りで海風に当たりながらテスラのショームからJCBプラザのラウンジが入ったビルを過ぎると、広場に人が集まっていたので立ち止まった。  マイク…

  • 太平洋のさざ波 21(1章ハワイ)

    21 JCBプラザから通りに出ると、海沿いから冷たい風が吹き抜けた。 カラカウア通りをさら西に歩いて行くうちにビル1階のショーウンドーに展示されている車が目…

  • 太平洋のさざ波 20(1章ハワイ)

    20 バスはアロハスタジアムからビレッジセンターを通り、 ダウンタウンに戻って行くと想っていたら、スタジアム手前の道で逸れた。  車窓には南国ハワイのイメー…

  • 太平洋のさざ波 19(1章ハワイ)

    19 身体検査を受けたゲートを潜り、コインロッカーに預けた荷物を引き出した。 ナップザックの中に右手を突っ込み、 ABCで買った食料がコインロッカーの暑さで…

  • 太平洋のさざ波 18(1章ハワイ)

    18 これは船の碇なのだろうか。 数本の黒いポールとロープと囲われた丸いコンクリー台の上に左右の角状のコンクリート台が乗せられ、その上に人の体以上の灰色の巨…

  • 太平洋のさざ波 17(1章ハワイ)

    17 ホノルル2日目の目的は一にも二にも真珠湾を訪れることだった。 フロント奥の広いフリースペースで朝食のセルフサービスでトースト、シリアルを食べ、コーヒ…

  • 太平洋のさざ波 16(1章ハワイ)

    16 反動を付け、体を起こした。 空っぽの胃の中に水分を補給すると、頭の中は3日前のハワイに到着した日に戻っていた。  成田から関空までLCCで飛び、LCC…

  • 太平洋のさざ波 15(1章ハワイ)

    15 翌朝の6時35分、キッチンでクロワッサンを摘まみ、コーヒーを飲みながら今日の予定をお復習いした。  カフルイ空港で車を返す期限が午前11時でホノルル行…

  • 太平洋のさざ波 14(1章ハワイ)

    14 Uターンして、アクセルを踏み込んだ。 ハイクを過ぎて、これから本格的に山道に入る。  サーフィンを趣味にしている訳ではないが、 海か山かと問われれば、…

  • 太平洋のさざ波 13(1章ハワイ)

    13 FMでハワイアン・ミュージックを聴きながら左折すると、 広場(タウンスクエア)とカメハメハ3世小学校、バニヤンツリーをあっという間に過ぎて、右サイドの…

  • 太平洋のさざ波 12(1章ハワイ)

    12 ホテルに戻ると、 チャーリーとキッチンでコーヒーを飲みながら、 日本とハワイについてあれやこれやと話し込んでいるうちに、 彼のスマホに9時半を知らせる…

  • 太平洋のさざ波 11(1章ハワイ)

    11 昨晩、仲良くなった黒人のチャーリーが1階のソファーに大きな体を横たえていた。  眠っている彼を気遣い、キッチン用の小さな照明を付け、 昨日の残りのバ…

  • 太平洋のさざ波 10(1章ハワイ)

    10 目の前が開けて、明後日、搭乗予定のカフルイ空港を覗いてみることにした。 二人連れの後に並び、通りを眺めていると、 クイーン・カアフマヌ・センターにバス…

  • 太平洋のさざ波 9(1章ハワイ)

    9 ABCを出ると、迷うことなく鯨の模型の前まで戻って来れた。 あと5分でラハイナのバスセンターまでの便がある。 そこで乗り換え、今日のバス旅がスタートする…

  • 太平洋のさざ波 8(1章ハワイ)

    8 ホエラーズビレッジでバスを降りると、 昨日に続いて、鯨の模型が出迎えてくれた。  ブランドショップを素通りして、 ビーチ際の派手なパラソルが目に付く飲食…

  • 太平洋のさざ波 7(1章ハワイ)

    7 海から陸に上がると、それまで張り詰めた気持ちが萎えたように寒くて寒くて、身震いが止まらなかった。 人に尋ね、トイレに辿り着いてジーンズのファスナーを下ろ…

  • 太平洋のさざ波 6(1章ハワイ)

    6 5分後、ロープが放たれ、乗船が始まった。 チケット売り場では白人の年配層が多かったが、 意外に若い人が多く、子供連れの家族、アジア系の人の姿も見える。…

  • 太平洋のさざ波 5(1章ハワイ)

    5 夜明け前、部屋を出て2階から1階に降りると、 天井の蛍光ランプが辺りを薄暗く灯すだけで、 スタンドテーブルにもキッチンにも人っ子一人いなかった。 照明を…

  • 太平洋のさざ波 4(1章ハワイ)

    4 バスは車中で手に入れた時刻表の時間通りに現れた。 丘の上から乗り込んだバスと同じように運転手の斜め後の席に腰を下ろして海岸通りを眺めていると、少しは…

  • 太平洋のさざ波 3(1章ハワイ)

    3 バスはマウイ島北部に向かって走った。 この辺りは全米有数のセレブが集う、金持ちが憩うエリアのようで、ホテル、別荘、日本風のマンションが点在…

  • 太平洋のさざ波 2(1章ハワイ)

    2 マウイ島に着いた当日に戻るとしよう。 夜明け前、常夏のハワイという謳い文句とは裏腹に肌寒い1月のホノルルの空の下、長袖シャツの上から薄手の黒いブルゾンを…

  • 太平洋のさざ波

    第1章 ハワイ                                                1     半ケ…

  • 悠久の恋人たち 125

    125 青山先輩、沢田先輩、高橋君、山岡さんが作品を鑑賞中、 最後に訪ねてくれたのがミユキだった。 「ハジメさん、遅くなって、ご免なさい」  ミサキ…

  • 悠久の恋人たち 124

      124 ハジメの個展は6日目を迎えた。 前日の午後6時、お客さんの姿が消えたのを確認して、 プリウスで展示会場まで運んだ作品と入れ替えた。 新しい4点を取…

  • 悠久の恋人たち 123

    123 個展開催日の前日、 春物のグリーンのパーカーを羽織った上島君が同系色のナップザックを背負って高速バスから降りてきた。 「ご迎え、ありがとうございます…

  • 悠久の恋人たち 122

    122 翌朝からハジメは精力的に動き始めた。 前々から母に言われていたように昨年の秋の学園祭を終えると、 美大近くの自動車学校に通い始めた。 予定より早く…

  • 悠久の恋人たち 121

    121 ハジメが役場からタクシーで祖母の家に着いたのは日暮れ前だった。 半年ぶりの再会でも、リキがハジメの足音…

  • 悠久の恋人たち 120

      120 桜のつぼみが膨らみ、山の里に遅い春が訪れようとする頃、 海野ハジメの初の個展が開かれた。 祖母から伯父にハジメが地元で個展を開きたいとの情報が…

  • 悠久の恋人たち 119

    119 年の瀬の新宿で沢田先輩、ミサキ、ミユキのザ・サードウーマンのライブが行われた。  夏、FM局のオーディションに合格した3人はプロデビューの直後、ラ…

  • 悠久の恋人たち 118

         118 青山先輩もハジメも山岡さんも場の空気を読んだのか、 上島君の語りが終わると、長い沈黙が訪れた。 そんなところに、アユミと誰より背が高いステ…

  • 悠久の恋人たち 117

    117 山岡さんの3点の絵が展示されたニュー・アートの部屋を離れ、 ロープで仕切られた隣のスペースに移ると、 美大生でありながらハジメや上島君のようにどのサ…

  • 悠久の恋人たち 116

    116 学食の外の特設ステージで軽音楽サークルのライブが始まった。 元部長の手島さんの計らいでステージから5列目に設けられた招待席にハジメたちは腰掛けた。 …

  • 悠久の恋人たち 115

    115 暑かった夏はいつの間にか過ぎ去り、 美大のキャンパスに植えられた木々も緑から黄へと葉の色を整えている最中のようだ。 本日、美大の学園祭にザ・サード…

  • 悠久の恋人たち 114

    114 母の実家の長野で山の絵をデッサンを描いた十数点のうち、 油絵の具で色付けした3点とデッサンのままの作品を東京の美大の男子寮まで運んで、ハジメは一泊し…

  • 悠久の恋人たち 113

    113 お母さんの軽自動車が通り過ぎて行く。 短い参道を想わせる通りから玄関口までのアプローチを、 マリちゃんの後からハジメは山神家の玄関口まで歩いた。 …

  • 悠久の恋人たち 112

    112 翌朝、ハジメと祖母が食事を終えると、 隣の家の従姉弟のヒロミとヒロシがそろって玄関に姿を現した。 二人の声を揃えた挨拶に、 ハジメも「おはようござい…

  • 悠久の恋人たち 111

    111「話は変わりますけど、 ハジメさん、リキの所に行ってもいいですか。 よかったら、リキと散歩させて下さい」 「僕は構いません。 朝食前と夕食後に散歩する…

  • 悠久の恋人たち 110

    110 姉妹が表情を崩して「はい」応えると、 ハジメは席を立って自身が寝起きして臨時のアトリエと化している部屋にミサキとミユキを誘った。 和室の8畳にイーゼ…

  • 悠久の恋人たち 109

    109 翌日の午後、ミサキがミユキを伴い、ハジメの祖母の家を訪れた。 電話連絡を受けていたので、半ズボンにサンダルを突っかけ、 ハジメが玄関口で気配を窺って…

  • 悠久の恋人たち 108

    108 5時に起きる祖母に付き合って、ハジメの1日は日の出過ぎに始まった。 祖母と二人で食卓を囲み、祖母の料理にお腹を満たし、     食器洗いを手伝うと、…

  • 悠久の恋人たち 107

    107 8月に帰省したハジメは山の絵のモデルとなった母の故郷を一人で訪れることにした。  母は漁協の仕事を休む訳にいかず、 進学を諦め、自動車学校に通うと宣…

  • 悠久の恋人たち 106

    106 最終日になって、青山先輩がアシスタントとなった高橋君と連れ立って展示会場を訪れた。 「先輩、高橋君とお出ましですか!」  ハジメが軽いジャブを繰り出…

  • 悠久の恋人たち 105

    105 そうこうするうちに、ベージュのキャップ、ブルーのメッシュの半袖に赤い半ズボンの沢田先輩が息を切らし、一人でひょっこり現れた。 「ハジメ君、展示会に出…

  • 悠久の恋人たち 104

    104 長い梅雨は終わりを告げ、夏の盛りに上野の展示会が始まった。 初日の正午を過ぎると、ハジメ、上島君、山岡さんの3人は展示会場のビルを抜け出し、焼け…

  • 悠久の恋人たち 103

    103 FM局のオーディションの最終選考に合格した沢田先輩、 ミサキ、ミユキのトリオはリスナーを招待してのライブ会場の控え室にいた。 今、ステージに立ってい…

  • 悠久の恋人たち 102

    102 7月に入り、それまでの梅雨空から一転して、 照りつけ太陽が夏本番を想わせる昼下がりの講義の後、 油絵科の30代前半の口髭の男性講師が山岡さんに声を掛…

  • 悠久の恋人たち 101

    101 ハジメと上島君の創作活動も佳境に入った。 ハジメは夏休み前の上野の展示会に今描いている山の絵の春、夏、 秋の連作3点を出展予定で、 上島君はお母さん…

  • 悠久の恋人たち 100

    100 日曜日の夜の空いた上り電車の中、 横掛けシートに並んで思い出したように山岡さんが切り出した。「こう見えて、わたしも高校生2年の時、スマホを落とし…

  • 悠久の恋人たち 99

    99 ハジメと上島君が助言したように山岡さんは油絵サークルに入った。 とはいえ、1回生の彼女が7月下旬に上野で開催される展示会に出展するには、6月初旬までに…

  • 悠久の恋人たち 98

    98 沢田先輩、ミサキ、ミユキの3人はデモテープの制作に取り掛かっていた。 昨年と同様、FM局のオーディションの締め切りは5月末で、 7月初旬に番組のリス…

  • 悠久の恋人たち 97

    97 ハジメは山を描いていた。 いつものように寮と美大とコンビニを巡る生活の中、 展示会で少しばかりの自信を付け、学園祭の海の連作に続いて、 もう一つの自分…

  • 悠久の恋人たち 96

    96 4月に入り、新学年に迎えると、沢田先輩が動き始めた。 4回生となり就職が目の前にぶら下がっているとはいえ、 就活などどこ吹く風とミサキとミユキの山神姉…

  • 悠久の恋人たち 95

    95 4人で焼き鳥を摘まみながら、場の雰囲気が和らぐと、 山岡さんがハジメに食い付いた。「海野先輩、一つ伺ってもいいですか? 先程、観ていて思ったのですが、…

  • 悠久の恋人たち 94

    94 展示会が終了間際になって、 ペアのトレーナー姿で高橋君と山岡さんが来てくれた。 「新宿で迷ってしまい、遅くなりました」  高橋君が頭を下げた。 「何…

  • 悠久の恋人たち 93

    93 3月末、全国の美大の総合展示会が新宿で行われ、 ハジメと上島君はあらためて作品を展示した。 秋の学園祭に続いて海中の天女と海の連作2点と今回の展示会の…

  • 悠久の恋人たち 92

    92 ハジメはサークルに属さず学園祭で自作を披露した仲間と一緒だった。 アパートや自宅に作品を持ち帰る者がいる一方、 ハジ…

  • 悠久の恋人たち 91

    91 ハジメは晴れて美大の3回生になった。 2年前と同じように美大の男子寮に住み続けているが、 自分の周りを眺めてみると、かなりの環境の変化が見られる。 …

  • 悠久の恋人たち 90

    90 年が開け、早いものでに2ヶ月が過ぎ、ミユキは新潟の高校を卒業して、一旦、長野の実家に戻った。 4月、晴れて、ミユキは東京の音大に入学する。 推薦入…

  • 悠久の恋人たち 89

    89 ハジメの地元ではカレンダー通りに1月第2月曜日に成人式が行われる。 年末に帰省して、大晦日から元旦を挟んで1週間ほど実家で過ごし東京の美大の寮に戻る予…

  • 悠久の恋人たち 88

    88 美大の講義も終わり、年末、ミサキは実家に戻った。 昨年のようにミユキと姉妹揃っての帰省ではなく、 一人静かに実家の門を潜り、今年の始めに亡くなった愛犬…

  • 悠久の恋人たち 87

    87 翌日 ミユキは音大のキャンパスを下見して、明日の入試に備えた。 当日、昨日と同じように特別に用意してもらった女子寮の朝食を、 ミサキと仲良くテーブルで…

  • 悠久の恋人たち 86

    86 美大の学園祭が終わると、ミサキの妹のミユキが音大の推薦入試で上京した。 2週間前、珍しいこともあったもので、ミユキが電話を掛けてきた。 何か急用でもあ…

  • 悠久の恋人たち 85

    85 8人が階段を上ると、油絵科の展示ブースがある教室が待ち構えていた。 青山先輩同様、どのサークルにも属していないハジメであったが、 担当の准教授を通し…

  • 悠久の恋人たち 84

    84 青山先輩とハジメに連れられた6名の高校生はまずは特設ステージからもほど近い1階の教室内に設けられたデザイン科の展示ブースに入った。 Tシャツ、半ズボン…

  • 悠久の恋人たち 83

    83 正午の鐘がどこからともなく聞こえると、 昨年の手島さんのように軽音楽サークル代表の男性がステージに現れ、ほぼ満員となった会場を見渡した。 「今から軽音…

  • 悠久の恋人たち 82

    82 9名が揃ってキャンパスに入ると、 学園祭はまだ序の口の気配ながら法被姿の美大生の男女に出迎えを受けたのである。 高橋君は推薦入試でこの場所を…

  • 悠久の恋人たち 81

    81 学園祭の当日、青山先輩のアパートに高校の美術部の先輩後輩9名が集まった。 この日のメンバーは家主である青山先輩を筆頭に沢田先輩、 ハジメの3名の美大生…

  • 悠久の恋人たち 80

    80 学食で別れたミサキのその後が気になり、2度メールで様子を伺ったハジメに金曜日の深夜、青山先輩からの電話が鳴った。「ハジメ君、今いいかな?」 「はい」 …

  • 悠久の恋人たち 79

    79 新宿発からの電車内でミサキはハジメにメールした。 「明日、学食でお昼しませんか?」 ミサキが女子寮の部屋に着いて、 シャワーの準備をしている途中にハジ…

  • 悠久の恋人たち 78

    78 スタジオを兼ねた喫茶店を出ると、二人は改札を抜け電車に乗り込んだ。 実家から女子寮に戻って来て以来、 ミサキは久しぶりにホームタウンである美大周辺を離…

  • 悠久の恋人たち 77

    77 2日後、手島さんが軽音楽サークルの部室をふらりと訪ねて来た。 「今日は講義があってね。 久しぶりにみんなの顔を見れて安心した」 「そう言わ…

  • 悠久の恋人たち 76

      76「それで、もう一人、面白い人に会いました。 アンダーグラウンドで働いていた金髪の女の子が、 手島さんが務めるホステルに泊まっていたんです」『えっ!』 …

  • 悠久の恋人たち 75

      75 ミサキは軽音楽サークルに足繁く通い始めた。 学園祭は2つのバンドにキーボードでゲストとして参加が決定。 部室のカレンダーを眺めると、もう2ヶ月を切…

  • 悠久の恋人たち 74

    74 二人がホステルに戻って来ると、 手島さんと外国人カップルがなにやら口論になっていた。 パソコンのモニターを見せながらの、 ブロークンな手島さんの英語の…

  • 悠久の恋人たち 73

    73 講義が再開して1週間、ハジメは普段の暮らしに戻った。 男子寮、美大のキャンパス、コンビニのバイト、 慣れ親しんだいつも通りの生活スタイルが確立し始めた…

  • 悠久の恋人たち 72

    72 ハジメは早めに実家から寮に戻った。 夏休みは数日残していたが、早く元の生活に戻り、 地元で描いたデッサンを寮の自室で仕上げたかった。 美大の講義が始…

  • 悠久の恋人たち 71

    71 ミサキは残暑をのんびり過ごした。 お盆に沢田さんが訪ねて来て、山神家に滞在していたこともあり、 今年のお盆は盆と正月が1度に来たような慌ただしさだ…

  • 悠久の恋人たち 70

    70 1年ぶりにアンダーグラウンドを訪れると、 そこにいたはずの金髪女子は消え去り、チョイ悪風のおじさんがカウンターの中で一人佇んでいた。  3人が店内に…

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