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2005/05/05

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  • 環状線

      少女は環状線に乗り込み永久に降りない。窓の外を眺めていて眠らない。服を全部脱ぎ線路の前で踊る僕、踊りつづける僕の指先だけを1日に何度か少女は目にする。  隣には異星人のような緑色の体にピンク色の足を持った人、たぶん女で『アバター』に出演していただろ? 髪は何色だったかもう思い出せない。   ...

  • ピンク色の足

     (痒くなったらどうするのだろうと思う。果たして我慢できるのか。)4階建ての緑色のビルにはピンク色の足がついていて、さすがに歩けはしないようだったが、それは人間の足によく似ていた。   ...

  • 横顔

      その町では人は横顔しか持てない。その人の正面に立っても僕には何も見えない。横に回って声をかけた。その横顔は鏡を合わせて見る自分の横顔に似ている。僕も左から誰かに声をかけられたような気がして動揺した。‥‥その声は録音した自分の声のように耳障りな声ではないか。   ...

  • 空港

      閉鎖された空港のような場所。人が1人、また1人と消えていく。そのたびに明かりが1つ、また1つ灯る。ついには誰もいなくなる。最後に僕の番がくる。僕はいなくなるのか、僕はそれとも光り出すのか。どちらでもなかった。   ...

  • 自動扉

      すると僕以外の誰かの重さで自動扉が開いた。その向こうは「日本」だった。今までいたところよりほんの少しだけ明るかった。そこも無人だった。  僕が「無限に偏在する有限の‥‥」と何かを言いかけてやめると、韓国語のアナウンスがその後を引き継いだ。   ...

  • 挨拶

      あまりおもしろくない夢だった、と言い訳してから書くのもおもしろくないのだが、本当にそういう夢だったのだから、仕方ない。銃を持っていて、それを撃つ夢だ。僕たちは誰もがわかる形で、大きな銃を所持している。出会って一言喋るとき、人は発砲する。別れるとき、また発砲する。それは挨拶なのだ。   ...

  • 電子レンジ

      夜の町、パジャマを着た女のコたち。洗い上がったばかりの髪から、シャンプーの香り。足元はスリッパ。信号の色が変わったのにも気づかず、ずっとお喋り。をしていると、電子レンジのチンという音が、何度も鳴る。   ...

  • 赤いカーネーション

      拍手が聞こえる。それとも空耳か。花が次々と投げられた。ボンネットの上の赤いカーネーション。僕はそれを束にして、車のトランクに入れた。「どうしたの? これ」と君は訊く。誰も何も答えない。  雨が僕たちを濡らす。車は故障して動かない。「どうするの? これから」。わからない。赤い花は慰めになるだろうかと思う。   ...

  • 住んでいる

      ある日君はこう言った。「私はここに住んでいるのよ」  そして次の日こう言った。「あなたもここに住んでいるのよ」  そのまたあくる日には何と言うだろうか。  それを考えるだけの時間が僕にはある。   ...

  • 冷房

      1人乗りのレーシングカー、運転は難しくはなかった。エアコン点けていい? と隣の女が訊く。気づいてみると僕たちは観光バスに乗っていた。女は冷房の設定温度をいちばん低くした。  車内にドイツ語のアナウンスが流れた。「冷房効きすぎで寒いからやめろって言ってるんだよきっと」「そんなワケないでしょ」  つづいて韓国語、それから日本語の案内が。バスは空を飛んでいた。眼下にピンク色の花。桜だ。 ...

  • 開いた扉

      少しだけ開いた扉から、人が何人か出てくるのを見て、僕はどうして、もっと大きく開けないんだと思って、ドアの前に立つのだ。軽く、薄い木の扉は、  それ以上開きもしないが、閉じもしない。出て行ったのと同じだけの人数が、また中に入って行く。   ...

  • 視線の重さ

      君の視線の、重さ、軽く押してくるような圧力を感じた、それに逆らって、前に進んだ。あの目のすぐ前まで行って、自分をさらけ出すと、心は、君の視線の分だけ重たくなり、大きな瞳の中に沈んでしまうだろう、沈んでしまえばいいのだ。   ...

  • オレンジ色のU

      青い靴下に穴が開いた。それを直すのに青い糸を探している。女房はベッドの上で死んでいる。役に立たない。  結局そのまま出かけた。逆さまになったオレンジ色のUの字が空中に浮いていた。「本当はUなんだろ?」「何か訳があって逆さになってるだけなんだろ?」そのオレンジ色に話しかけてみる。女房がやっと目を覚ます。   ...

  • トロフィー

      絵を描いたら入賞した。銀のトロフィーをもらった。それをまた絵に描いた。そしたらまたトロフィーをもらった。写真に撮った。今度は誰にも見せなかった。   ...

  • アイドルの弟

      青い髪をしたアイドルが嘆いている。僕は普通の生活がしたいと。それをもう少し年上のアイドルが諫めている。もしかしたら彼らは兄弟だ。兄の髪の毛も青い。兄は弟の肩を抱き泣いている。観光客が通りかかり、その様子を写真に収める。   ...

  • 特別歴史保存地区

      ここでは小石の位置までもがきちんと決められていて、定められた場所から動かしてはならない。歩くときには注意しなければ、と男は言う。泣きながら言っているのは、動かしてしまったからだ、故意ではないにしても彼は、間違いを犯した。もとの位置がどこなのか、わからなくなってしまった。  僕は彼を慰める。特別歴史保存地区で。   ...

  • オニヤンマ

      光の速さで進む特攻隊、太平洋戦争で使われた、などと言う会話が聞こえる。  本当だ、本当に光速なんだ。特攻機はオニヤンマのように、空中に停止している。  志願するかい? だが‥‥  僕の返事を待たず、空の彼方へ行ってしまった。   ...

  • 価値

      やってみれば、何だってやる価値のあるものになる。だからやってみることだ、やる価値がなさそうに思えることから、不必要だと思われることから。そうすれば、それは必要になる。それをせずにはいられなくなる。  彼らは価値のある人間、必要な人間になり、そこから離れられなくなる。僕はやらずに逃げ出す。    事件があり、事件記者たちが集まる。抜け道は塞がる、僕はカフェに引き返す。カフェの中にも...

  • 事件

      事件があり、事件記者たちが集まる。帰り道は塞がる、僕たちはカフェに引き返す。カフェの中にも、事件を報じる人はいる。場違いだ。でも僕たちは気にしない。   ...

  • フラメンコ

      歌を忘れた、と歌手が相談にくる。歌でアピールしたい。合コンの席で。それはもう始まっていて、歌手のファンのコが、熱い視線を向けている。 「踊るんだよ」と僕はアドバイスした。「歌を忘れたなら、ダンスでアピールすればいいじゃないか」  だが彼は、歌おうとする。踊ったのは彼女だ。彼女はフラメンコを踊り、歌手は突っ立ったまま。僕は眺めている、翻る赤いスカートを。   ...

  • ロボット

      天井からロープが垂れている。ロボットはそれをよじ登る。ロボットはスカートをはいている。でもまぁロボットだから、と僕たちは思う。実際どうということはない。   ...

  •   僕はその部屋に何度も入る。いつ入っても明るい昼だ。実は僕は眠りたいのだ。他の部屋を確認した。全室ちゃんと夜になっている。僕は再度その部屋に入る。まだ昼。   ...

  • 卓球

      僕たちは手紙をラケット代わりにして卓球をする。「読まないの?」と君は訊く。「そっちこそ」と僕は言い返す。「せっかく書いたのに」。ラリーはつづく。   ...

  • 観客席

      先日は室内楽のコンサートに行った。君は演奏者の1人として舞台に立った。夢日記によく登場する「君」だ(彼女は実在するのだよ)。僕もまた観客の1人として舞台に上がり、君の隣に座った。ステージ上に観客席があり、演奏者の隣で演奏を聴くことができる。  たしかにこんな夢を見たことは何度かあるけど、まさか現実になるとは思ってなかった。ちなみに席料は2万円くらい。何にせよ得難い体験ではあった。 ...

  • 上昇

      僕は上昇していた。だから僕は旅した。一年中旅した。その横向きの重力のようなものが、僕に味方してくれると思った。上昇の角度がもう少しマシになるんじゃないかと期待した。大気圏外に飛び出てしまうことはなくなるんじゃないかって。放っておくと宇宙に行ってしまいそうな僕ら‥‥   ...

  •   部屋の天井はあまりにも高いところにあり見えない。それで僕は塔の螺旋階段を上った。塔は部屋の中にある。というか部屋の中には塔しかない。高い塔だ。とにかく僕は塔の階段を上った。部屋の天井を見るために。   ...

  • 息子

      母親は、息子に言った。お母さんになってくれる? そしたら私は、あなたの‥‥ その先は、聞き取れなかった。そもそも何を言われたのか、息子は理解できなかった。理解できぬまま、とりあえず頷いた。そうすると彼は、もうお母さんだ。どうして私を産んだの? と、母親が息子に訊いた。どうして、どうしてよ? メロドラマであったような、セリフだ。それもまだ幼い息子には、よくわからないことだった。   ...

  • 地球の匂い

      僕はそれらを燃やした。それらは灰も残さずに消えたが、匂いは残った。奇妙なのは、みんな同じ匂いだったことだ。そして1つになった。それぞれ違うものが残した同じ匂い、同じ空気が、合わさって大きな匂いになった。それは地球全体を包むほど、大きな匂いだった。   ...

  • エスカレーターの前

      動かないエスカレーターの前に、赤い絨毯が敷いてあり、僕はその上に立って、待つように言われた。エスカレーターが動くのを待っている人は他にもいたが、いちばん遅く来た僕が、彼らより前の位置だった。 「あと30分で動くから」と、いつの間にか横にいた君は、僕に言った。  だがその言葉を聞いた人々は、並ぶのをやめ、どこかに去った。何人かは、階段を歩いて上った。僕たちは手をつないで立ち、静かに待ち...

  • 高低差

      高いところから低いところへ、滑るように移動している僕は、自分が乗っているものの姿を、見ることができなかった。操縦しているわけではなかったが、僕が止まりたいと思ったところで、それは止まった。また高いところへ行ってみよう、と僕は心の中で話しかけた。しかしそれは、もう高いところへは行かず、横へ平行に滑った。僕はそんなふうにして、遠いところへ行った。最初にいたところから、離れた。   ...

  • 仕切り

      エレベーターのような箱に乗って待っていると、それは床下に沈んだ、天井が床と同じ高さになるまで。側面の壁から大きな板のようなものが出てきて、箱の内部はそれで仕切られた。僕はその仕切り板に寄りかかった。そして次に起きることを待ったが、何も起きなかった。   ...

  • 花雪

      それが花びらなのか、雪なのかわからなかった。アスファルトに描かれた、模様なのかも知れない。この光景は、絵画なのかも知れない。僕の足元は、白いもので埋め尽くされている。坂の下の方に行くほど、真っ白だ。降り積もったものがどこからやって来たのか、知りたくて僕は空を見上げ、もういちど坂を上った。   ...

  • 水着

      さっきまで「私太った」と言っていた水着の女は既に痩せていた。  車の運転をしていた。夜だった。ライトを点けた。何も見えるようにはならなかった。  雨が降っていた。雨はむしろ車内に降っていた。胸と背中に汗をかいたと思ったが、実際には雨に濡れていたのだ。   ...

  • 地図

      僕はそのつもりではなかったが、車は海に向っている‥‥  行きたいところがあり、行き方は全部地図に載っている。地図は溶けかかっている。地図はアイスクリームでできているのだ。溶ける前に食べてしまおうと僕は思う。それで道に迷った場合の言い訳を考える。   ...

  • 右と左

      歩いているときに、今自分が動かしているのが、右足なのか左足なのかわからなくなって、立ち止まってしまった。  僕は改めて、自分の右足に、前に出るように命じたが、実際に動いたのは、左足だった。 「お茶碗を持つ方が、左手、お箸を持つ方が、右手‥‥」 「行きましょ」と君は言う。   ...

  • 滝登り

      僕はカメラを向けた。水しぶきがかけられた。滝の上の方から、垂れている糸、その糸を伝って、蜘蛛はスポーツを楽しんでいるようにも見えた。ちいさな蜘蛛で、注意して見ないと気づかない。また別の蜘蛛もいて、まるで鮭のように、滝を泳いで昇っている。   ...

  • 月記

      日記を書いているが、僕は文字を知らない。月火水木金土日の7文字しか知らない。  月曜日には月とだけ書いて、日記帳を閉じる。(その瞬間が好きだ。)  今日もたくさんのことがあった。嬉しいこと、あまり嬉しくないことも、月の文字にはすべてが凝縮されている。  火曜日には火と書いたあとで、月と付け加えよう。  水曜日には水と書いたあとで、また月と付け加えよう。   ...

  • 戦車

      地面に掘った穴の中で寝ていると、その上を戦車が通った。僕は戦車を待ち伏せていたのだ。しかし寝過ごした。  蟻の巣の中にある学校へ行き、寝過ごしたことを報告した。たぶん試験には受からない。ただ敵の戦車に見つからなかったのはよかった。   ...

  • 穏やかな日

      穏やかさと毎日の、両方を手にした僕が、穏やかな毎日を過ごすのと、穏やかに毎日を過ごすのは、似てるけど違うと気づいてしまった日に、君は言った。  私を失いたくないと、あなたは言うけれど、私を失えるのは、あなただけなのだ。それほどまでに私は、あなたのものなのだ、と。  あなただけのものなのだ。  その言葉で僕は、穏やかさと毎日の、両方を失ったが、幸せだ。   ...

  • 天守閣

      空中に浮いた天守閣のようなものが、下界に雨を降らせているのを見て、あれが線状降水帯さ、とオープンカーに乗った男は言った。「こっちに来るぞ」 「あぁ? あの天守閣は、我が家さ」  僕は車を降りて、その近くまで行った。天守閣は、3階建ての建物の上に留まり、集中的に雨を降らせている。  それを恵みの雨と言うなら、これは何の雨で、なぜあの建物だけが、天守閣に選ばれたのだろう。   ...

  • 積雲

      黒い空には白い積雲。頭を突っ込んで覗いた。雲の中には家があった。雲の外にあるのと同じ家で、僕たちは床に寝転がりテレビドラマを見ていた。見ても見ても見ても、永遠に見終わることがなかった。   ...

  • 財布

      僕には家が2つあって、財布をどっちに置いたのか忘れてしまった。1つの家を中途半端に探して、こちらでは見つからないと諦めた。もう1つの家に行った。テレビのある方の家だ。そこには2人の女がいた。寝そべってテレビを見ていた。「何しに来たの?」「テレビが見たいの?」 「うちにはテレビがないんだ」と僕は言った。 「あるじゃないの‥‥」 「うん、そうだね‥‥」  財布はこの家で見つかった...

  • 重力と雨

      解像度の低い夢は、そのせいで、過去の出来事のように見える。実際はそれは、未来の予言なのだが。夢の中の女が、僕に、もう少し重力を弱くできないかと言ってるところからして、明らかに「未来」だ。僕は「無茶だろ」と答えつつ、重力制御装置のつまみを、ゼロに近いところまで回す。  雲。シャープペンシルの芯のような雨が降る。それは動画ではなく静止画だ。低重力のせいで、芯はなかなか落ちて来ない。  ...

  • 流れ星

      夜空に月が打ち上げられた。つづいて星たちが。まるで花火のように。しかし花火のように、消えたりはしない。花火のような音を立て、星は流れ星のように流れる。   ...

  • モデル

      両側に鏡のある狭い通路を歩いた。たくさんの鏡があったが、どの鏡にも何も映っておらず、ただ光るだけ。それはファッション・ショーで、それも何かの演出なのだ。  突き当たりまで行くと、やっと映る鏡がある。大鏡。そこに映った自分は、女物の、蛍光黄緑の服を着ている。腰をくねらせて歩くモデルだ。   ...

  • 冷蔵庫の中の蜘蛛

      冷蔵庫の中では寒くて動けなかった。扉が開くまでじっとしていた。扉は自分で開けてもよかったのだが、誰もそうしなかった。誰かに開けてもらうことが重要だったのである。外に出ることではなくて。実際扉が開いても、中に留まる者もいた。  真っ先に飛び出したのは蜘蛛だった。蜘蛛は勢いよく糸を吐き出し、歪んだ巣をつくったが、それはもういちどつくり直さなければならないだろう。部屋は暑かった。   ...

  • バスルームの隣

      バスルームの隣に、もう1つ別のバスルームがあった。普段は使われていない蛇口から、普段は使われていない水が出た。僕はその水を温めてお湯にした。普段は使われていないバスタブを満たした。そして自分の体の、普段は使われていない部分を浸けた。  女の人や子供が、入れ替わり立ち替わり、入浴中の僕を覗きにきた。僕の体の、普段は使われていない部分を見るために。そして「明日からそれを使うの?」と言う。「使...

  • 紙の雪

      ものすごく背の高い男が人々の間を縫うようにして歩く。僕が指差すとその瞬間に天から紙吹雪が降ってきた。「指なんか差しちゃだめ」と君は注意するのだが、紙吹雪が見たくて僕は何度もそうした。僕たちの頭や肩に、本物の雪のようにそれは降り積もった。   ...

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