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  • 映画『私を離さないで』感想&あらすじ/カズオ イシグロ原作

    ノーベル文学賞を受賞したカズオ・イシグロの小説を2010年に映画化。SF小説と呼ばれることもあるようですが、それは違うような気がします。 あらすじ 別の世界の1952年、不治の病とされていた病気の治療が可能になる。 1978年、キャシーは介護人として手術を受ける男性を見つめている。これまでの日々を思い起こし、心の中は空しい想いでいっぱいだった。 キャシー、ルース、トミーは寄宿学校ヘールシャムで育った。外の世界とは完全に閉ざされ、厳しい規律の中、頻繁な健康診断や、外で買い物をする練習などが行われる。 あるとき、ルーシー先生が生徒たちに本当のことを話してしまう。それは、この寄宿学校の目的が、「臓器提供」のためにあるということ。 そして生徒たちはみな、そのため中年になることなくこの世を去ることになる、だから意味のある「生」を過ごしてほしい、と。 キャシー(キャリー・マリガン)とトミー(アンドリュー・ガーフィールド)はお互いに想い合っていたが、勝気なルース(キーラ・ナイトレイ)が強引にトミーに近づき、2人は付き合うことになる。 やがて18歳になり3人は寄宿舎を出て、コテージと呼ばれるところに移るが、キャシーは孤立していた。 わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫) 感想 原作を読んだわけではありませんが、あらすじを読むと、映画版はずいぶん省略されているようです。 しかし繊細なお話ですので、省略しすぎては伝わらない部分もあったのではないでしょうか。実際、映画は少々間延びしていました。 3人の演技が素晴らしかっただけに、それはすごく惜しいと思っています。 それにしても、キャリー・マリガンはいい女優さんです。悲しみをたたえた、また色々な思いを抱いて佇んでいるときの表情は可愛いだけでなく、映画の主題を代弁していて、本当に素晴らしい。 ヘルシャムの建物や、周りの情景、脇役の方たちの演技もすべていいのですが、もう少しサスペンスタッチなところを入れたり、メリハリのある演出にしたほうが良かったのでは。 けれど、見終わった後に、心の中に何か重いものが残ったことは確かです。創作の話ではありますが、なんて残酷なことなのでしょう。 こんなことを考え付くとしたら、人間ぐらいだ、とカズオ・イシグロさんは言いたかったのではないでしょうか。

  • 映画『スター・トレック BEYOND』感想&あらすじ/3部作の3つめ

    2016年 クリス・パイン主演 数々あるスタートレック(宇宙大作戦)の中で、「スター・トレック見たことない」という方には、この2009年からの3部作をおすすめします。スター・トレック BEYOND (字幕版) スター・トレック、スター・トレック イントゥ・ダークネスに続く第3段です。 あらすじ カークがエンタープライズの船長になって3年。宇宙の広大さに圧倒され次第に自信を失っていた。 そんなあるとき、カラーラという異星人が何者かに襲われたと脱出ポッドでたどり着く。カークたちは異星人を助ける任務で飛び立つが、しかしそれはエンタープライズ号をおびきだす罠なのだった。 感想 1966年にアメリカで放映が始まったスター・トレックは、日本では宇宙大作戦という名で放映されていました。 アメリカでも日本でも大人気となり、その後テレビシリーズも映画も無数に作られました。そして、スター・トレックのファンのことをトレッキーと呼ぶそうです。 トレッキーの方たちには申し訳ないほど知識がないのですが、子供の頃「宇宙大作戦」を白黒テレビで見ていたので、ミスター・スポックやエンタープライズ号とか、断片的に記憶がありました。 時を経て、カーク船長の若かりし頃を描いたこの作品と出会ったことは「おお?」と思えるできごとでした。 J・J・エイブラムス監督をこの作品で知ったのですが、リズム感の素晴らしい、天才的に面白い映画を作れる方です。このあと「スターウォーズ・フォースの覚醒」の監督をされ、世界の巨匠の仲間入りをされましたね。 さて、スタートレック3部作。全部続けて見ていただくのが一番ですが、どれか1つと言うなら、「スタートレック イントゥ・ダークネス」がいいと思います。 「BEYOND」は実はエイブラム監督では無いからか最後が息切れしているし、「スター・トレック」ではまだ初めカークが船長になっていないからです。

  • 映画『ブレードランナー』感想&あらすじ/いつ見ても新鮮

    1982年公開 リドリー・スコット監督 この時代にこんな世界感の作品を作るなんて。今でも世界中にファンがいるようです。確かにいつ見ても新鮮に思えるSF作品です。 あらすじ 大企業であるタイレル社は、遺伝子工学の進歩によりレプリカントと呼ばれる人造人間を発明した。レプリカントは見た目は人間と同じだがさらに高い知力と、運動能力を持っていた。 あるとき、宇宙の最前線で過酷な労働を強いられていたレプリカントが反乱を起こし、脱走した。レプリカントを取り締まる捜査官のデッカード(ハリソン・フォード)は情報を得るためタイレル博士と面会する。そこで博士の美しい秘書であるやはりレプリカントのレイチェルと出会った・・。 感想 若かりし頃のハリソン・フォードのなんとかっこいいこと!男らしいこと!前編を通じて画期的なシーンが続きますが、 私はデッカードがレイチェルが帰るそぶりを見せたときに、後ろ手にバンとドアを閉めるシーンが好きです。 今それをやると、パワハラする人みたいで嫌われそうだけど、そのころの男性はそれが男らしくてかっこいいのだ。 しかし必ずしもかっこいいだけじゃなく、あきらかにレプリカントの腕力にはかなわず、戦いにはいつも負けそうなのです。そこが真実味があってまたいいんです。 怖くて目を覆いながら、最後のクライマックスを迎えます。ヒヤヒヤしたい方には、超おすすめです。 ただしかし、これを見ておかないとブレードランナー2049の感動が薄れるかというと、この続編はどう見ても点数が下がるのでそれはどうでもいいでしょう。 おすすめ度 ★★★★☆

  • 映画『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』感想&あらすじ

    80年代後半、RPGにハマり、毎日寝不足だったあの頃を思い出しました。この映画は1992年発売のスーパーファミコンソフト「ドラゴンクエストV 天空の花嫁」をベースとしています。 ドラゴンクエスト ユア・ストーリー 映画ノベライズ (ダッシュエックス文庫) あらすじ 主人公のリュカは父のパパスとともに暮らしている。母のマーサは光の教団・ゲマに連れ去られていた。 あるとき、お城のヘンリー王子がさらわれ、救出しようとしたパパスがゲマの手によって殺される。 その後10年間光の教団の奴隷として働かされていたリュカとヘンリーは、樽の中に潜り込んでようやく逃げ出すことができた・・。 感想 ゲームの世界のお話が、美しい3DCGアニメーションになりました。日本の技術も凄いです。ゲームでは2人のヒロインのどちらかを選んで結婚することになるのですが、映画ではどちらを選ぶのか運命が決まっています。 長い長いRPGの話を、短い時間にまとめなくてはいけないのは大変だったでしょう。さらに映画ならではの意外な展開も待っています。え、この展開は有りなの?と戸惑ううちに怒涛のエンディングに向かいます。 これはあなたの物語だ、と言う意味が最後にわかり、心はほろ苦く温かくなります。意外な展開に戸惑い、感動し、 ああこの展開有りだな、と思いました。 そして、帰りにスライムのグッズが無性に買いたくなりました。 おすすめ度 ★★★☆☆

  • 映画『アルキメデスの対戦』感想&あらすじ/間延びしています

    なぜか、おおむねいい評価になっているこの作品。しかし私はどうしても合点がいきません。 小説 アルキメデスの大戦 (講談社文庫)

  • 映画『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』感想&あらすじ/おすすめ度★★★☆☆

    「アベンジャーズ/エンドゲーム」後の世界を描いた、マーベルのクロスオーバー作品。 ジェイク・ギレンホールが見たくて劇場へ行きましたが、ジェイクの見ごたえとしては十分ありました。 【チラシ付き、映画パンフレット】 スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム 特別版 あらすじ ニック・フューリー(サミュエル・L・ジャクソン)とマリアは、土のゴーレムのような怪人に遭遇し、緑の閃光を放つ異次元の男に救われる。 そのころピーター(トム・ホランド/スパイダーマン)はヨーロッパへの研修旅行で思いを寄せるMJに告白することを決める。しかし旅行先のヴェネツィアで、水のモンスターに遭遇。そこへまたあの緑の閃光を放つ「ミステリオ」(ジェイク・ギレンホール)が現れ、モンスターを制圧する・・。 感想 マーベルの映画は、ぜったいに面白くないということは無いですね。娯楽映画の必要な要素がすべて詰まっています。 しかも「アベンジャーズ/エンドゲーム」の後の世界ということで、ピーターは元気してるかな、と気にもなってちょっと見に行ってしまいました。もちろん主な目的はジェイク・ギレンホール。 偶然にもこの人の映画をあまり見る機会がありませんでした。しかし「ブロークバック・マウンテン」の演技とハンサムぶりを見て、これは見ておかなくては、と。 年齢的にはもう中年になってしまいましたが、演技力の抜群さは増しており、安定のセリフの上手さで場を盛り上げています。また、見かけ通りのプレイボーイ(もう死語?)のようで、私生活でマスコミを賑わせているようです。 若いトム・ホランドも若くて魅力的で大人気ですね。今後スパイダーマンがどう進化するのか、マーベル・シネマティック・ユニバースがどうなっていくのか、とりあえず興味があります。

  • 映画『マイマイ新子と千年の魔法』感想&あらすじ/おすすめ度 ★★★★★

    驚きました。題から想像した内容の何倍も面白くて、しかも感動しました。遠い昔、はじめてジブリのアニメに感動した時のあの感覚を思い出しました。 マイマイ新子と千年の魔法 「この世界の片隅に」の片淵須直監督の、1つ前の作品です。高樹のぶ子の自伝的小説「マイマイ新子」が原作。 あらすじ おでこにつむじ(マイマイ)を持っている新子は、空想好きで活発な小学生。昔、周防の国と呼ばれた山口県の町で、麦畑の中で毎日「ここには大昔にどんな人が通ったのか」と空想して過ごしていた。 あるとき都会から転校生の貴伊子がやってきた。なかなか学校に馴染めない貴伊子を新子は気にかけているうちに2人はとても仲良くなっていった。 学校の仲間たちと小川にダムを造って遊んだり、見慣れない綺麗な金魚を池で飼ったり、小さな事件がいろいろあって楽しい毎日なのだった・・。 感想 あらすじを書いていると、ほんとに何でもない話なんだなあと気づきます。でもこのアニメは、生き生きとして、ワクワクがあふれていて、そして新しい感動があり、懐かしくもありました。 まずは、音楽が素晴らしい。若者受けを狙ってない。世界のどこでも通用しそうな、でも斬新な音楽。 人物の作画が凝り過ぎず、シンプル過ぎず、ちょうどいい。 新子の吹替の女優さんがよくあるアニメ声でないところがいい。 原作には無い、1000年前のお姫様の逸話が同時進行で挿入されているのが洒落ている。出会うことは絶対に無いが、時空を超えて、色紙の切れ端が小川に流れてくる・・「なんやこれ、きれい・・」 そういう随所のしつらえが、あの名作「この世界の片隅に」にイメージが繋がります。 ラストシーンが終わった後、大作映画を見終わったような満足感と感動が残りました。

  • 悲しい気持ちがおさまりません

    どうしても、書かずにはいられなくなりました。 心の中で手を合わせていましたが、ニュースを見るたびに悲しくて泣けてしまうのです。 京都アニメーションの作品、私は「聲の形」をスクリーンで見たことがあるだけでしたが、あの年、「君の名は。」よりも感動した、という人が何人もいました。 息子もアニメが好きで、「涼宮ハルヒの憂鬱」のDVDがいっぱい部屋にありましたが、今回のことはかなりショックだったようです。 世界中のたくさんの人が、悲しんでします。そして哀悼の気持ちが広がり、支援の輪になっています。でも、亡くなった方は帰ってこないのです。 アニメーションは、素晴らしい芸術です。人々を感動させ、励まし、勇気を与えてくれます。その作り手の方たちが、なぜあのようなことにならなくてはいけなかったのか。 この理不尽な事件の悔しさをどこに持っていたらいいのかわかりません。 ただただ、ニュースを見ると涙が出ます。あの日の1日前に戻れたら、とご家族の方がおっしゃっていましたが、まったく同じ気持ちです。それ以外に言いようがないです。合掌するだけです。

  • 映画『新聞記者』感想&あらすじ/おすすめ度 ★★★★☆

    政治とか新聞とかって難しい話だから・・と敬遠されがちなテーマ。だけどこの映画で表現されているのは人間としてどう生きるのかという問いかけ。新聞記者 (角川新書) 松坂桃李とシム・ウンギョンが向き合う「大きな」ものに私たちも向き合えるだろうか。とうてい無理だな。「大きな」ものは怖いから。 シム・ウンギョンの演技はほんとうに引き込まれます。うまいです。セリフは片言なのに、そんなことは関係なく伝わるものなのだと知らされました。 それから松坂桃李の上司を演じた、田中哲司さん、熱演でした。 あらすじ 東都新聞の若い女性記者吉岡エリカ(シム・ウンギョン)はジャーナリストの父を誤報による自殺で亡くしていた。エリカは官邸への辛辣な質問で異端視されるほど、人一倍正義感が強かった。 あるとき東都新聞に匿名でFAXが送られる。それは大学新設計画の文書だった。 そのころ内閣情報調査室の杉原(松坂桃李)は、ある政治家の不祥事のことで、被害者を中傷する情報をSNSに流し、世論を操作する任務についていた。謎の多いその部署では、室長の多田の指示で、さまざまな情報コントロールが行われていた。 その後FAXの送り主と思われる人物が、ビルから転落自殺する。それは杉原の元上司の神崎だった。神崎の死に疑問を持った杉原は、神崎の葬儀で記者の吉岡エリカと知り合い、神崎の死の真相に迫っていく・・。 感想 力作です。最後の最後まで、主人公の二人の演技が凄いです。ストーリーはそれほど複雑ではなく、ありがちと言っては語弊がありますが、奇想天外な仕掛けがあるわけではありません。 しかしこの人間ドラマは、人間が何のためにどのように生きるのかを問いかけるものになっていて、官邸などに行くことも無い一般の私たちでさえも、こんなとき私なら・・と選択を考えてしまいます。 たぶん私は保身にまわるだろうな。しかも「へへっ」ていう顔でふつうに自分を守るだろうな。 しかしこの映画の中の二人は、私たちの良心の象徴かもしれません。心の中で、がんばれくじけるなと叫びながら、ラストシーンを見入っている自分がいました。 地味な作品ながら、観客動員数をだんだん伸ばしていったそうです。たしかに劇場は混み合っていました。作り手の熱意はちゃんと伝わるのですね。

  • 映画『天気の子』感想&あらすじ/おすすめ度 ★★★★★

    もう一度見たくなる映画、とでも言いましょうか。あの曲たちが流れ、心地よい雨の音が流れる空間に、もう一度身を置きたくなります。新海誠監督作品 天気の子 公式ビジュアルガイド 前作の「君の名は。」は社会現象になるほどブレイクしましたが、そのあとの作品をどうするんだろうと心配していました。ほんとうに監督の作りたいものが作れているんだろうか、とちょっとどきどきしながら、映画館に行きました。 あらすじ 神津島に住む高校1年生の少年・帆高(ほだか)は家出して東京に着いた。どうしても島から出たかったのだ。 しかし16歳ではなかなか仕事も見つからず、船の中で知り合ったライターの須賀を頼って住み込みで取材を手伝うようになる。 この年、東京は数か月にわたって雨が降るという異常気象だった。ある時知り合った陽菜(ひな)という少女が100%の晴女だと知り、天気を晴れにするネットビジネスを始めることになった。 順調に晴れの天気にしていく陽菜だったが、次第に陽菜は自分の体が薄く透明になっていくのに気づいた・・。 感想 ネット世界の評判は、何故かあまり良くありません。「君の名は。」の存在が大きすぎるのでしょうか。私はクライマックスでとても感動し、涙が止まらないぐらいだったのですが。 「天気の子」は新開監督の今の心情をそのまま表した作品ではないかと思っています。大雨というリスキーな設定を使ってでも表現したかったこと。 大人の世界、大人の事情はいろいろある。だからまっすぐに突き進もうとすると邪魔される。だけど、僕は、もう一度会いたかっただけなんだ! 何かに邪魔される土砂降り雨の中の新開監督。それでも僕はこのことをみんなに伝えたいんだ~!と言っているように私には聞こえました。 これからご覧になる方、どうか気持ちをニュートラルにして、作品を鑑賞してほしいです。

  • 映画『言の葉の庭』感想&あらすじ/おすすめ度★★★★☆

    「雷神(なるかみ)の少し響(とよ)みて降らずとも我は留らむ妹し留めば」 雨の新宿御苑のベンチで二人は出会いました。雨が降ればあなたを留めておくのに、という歌に対して詠まれた返し歌の意味は、雨なんて降らなくてもあなたが引き留めるならここにいます、というもの。万葉の詩歌がこんなにしっくりくるなんて。 あらすじ 雨の日は1時間目をサボって、庭園のベンチにいる高校1年生のタカオ。そこで朝からビールを飲んでいる、ユキノに出会った。 ユキノは心に傷を持ち、味覚障害にもなっており、仕事にも行くことができなくなっていた。しかし、このベンチでのひとときや、タカオのつくるお弁当で、ユキノの気持ちはだんだんほぐれてきていた。 靴職人になることを夢見ているタカオに、ユキノは靴づくりの本をプレゼントする。タカオはユキノのために靴をつくることにした・・。 感想 美しい画像ここに極まれり、といった感じです。「ほしのこえ」から新開監督の作品を見てきましたが、「秒速5センチメートル」からさらに進化した、としか言えません。 人物の描き方が、新開監督らしくシンプルなのですが、それがまた実に清々しく好感が持てると思いました。声優さんも2人とも素晴らしく、ああプロの声優さんはいいなあと感じました。 「君の名は。」ではさらに進化して結実した、といったところでしょうが、部分的にはちょっと進化しすぎかな、と思わなくもありません。 まったくシンプルなストーリーの「言の葉の庭」。大人の女性の複雑な感情と、ピュアな思春期の男の子の恋愛。それがほんとうに成り立つのかどうか、2人の語らいや、その刹那の感情を、情景描写ともに表現しながら、結論についてはまた新開監督は私たちの想像にゆだねています。 あなたなら、どう感じるか?と。 エンドロールに流れる「RAIN」・・こんなにいい曲だったんだ。秦基博はすこぶる上手い方ですが、私はオリジナルの大江千里のほうが良かったんじゃないかなあと思います。 7月の雨の日に見る映画としては、最高におすすめです。

  • 映画『ブロークバック・マウンテン』感想&あらすじ/おすすめ度 ★★★★★

    一生に一度の大切な人に出会うことができたのに、それはとてつもなく切ないことだった。出会わなければよかったかもしれないほどに。 ブロークバック・マウンテン (字幕版) 2005年 アン・リー監督。アカデミー監督賞などを受賞しましたが、作品賞は逃しました。男性同士の恋愛を扱った作品だから、とアン・リー監督は保守的なアカデミーを批判したそうですが、作品賞の「クラッシュ」も素晴らしいですので、それだけが理由とは思えません。 あらすじ 1963年アメリカ中西部のブロークバック・マウンテンで羊の放牧を行う季節労働者として、イニスとジャックは出会った。 最初はぎくしゃくしていたが、ひと夏を過ごすうちに2人にはかけがえの無い友情が芽生えた。そしてあるとき2人は一線を越えてしまう。 だがこの時代には同性愛者は社会的に認められた存在ではなく、放牧の仕事が終わると、それぞれの町へ帰って行った。別れ際に次の約束をしないまま、そして心のすれ違いから殴り合ってしまいその傷を残したまま・・。 それぞれは結婚し、子供もできた。あるときジャックからイニスに手紙が届く。2人の心は少しも離れていなかった。かけがいのない大切な存在だったのだ・・。 感想 イニスを演じたヒース・レジャーの演技は絶賛されました。20歳から40歳までの20年間を、少しのメイクと話し方で演じ分けた。内気だけれど心に深くしまわれた想いを実にうまく表現しています。 そしてジャックを演じたジェイク・ギレンホール。青年のジェイクは美しく、確かに愛してしまいそうだ・・と思わせる。深い瞳の演技も素晴らしいものでした。 同性愛、という一言では括れない、人間として彼らは深く愛し合っていました。しかし、ブロークバック・マウンテンの自然の中で過ごす、年に2~3度の時間のなかでしか許されないことでした。 イニスは特に厳しい父親に育てられ、生まれ育った町を出たことが無いため、どこか遠いところに行く、ということもできなかった。しかし心にはずっと迷いがあり、家族を大切にしていても、どこか違うところを見ていました。 そんなイニスをそのものだったヒース・レジャー。この映画のあと、「ダークナイト」でジョーカーを演じ、アカデミー助演男優賞を受賞しました。

  • 映画『秒速5センチメートル』感想&あらすじ/おすすめ度 ★★★★☆

    新海誠監督の2007年の作品。3部作のオムニバスで、それぞれ独立した物語が連作で描かれています。「ほしのこえ」のような悲しいテーマだな、と思いました。 秒速5センチメートル あらすじ 「ねえ、秒速5センチなんだって。桜の花の落ちるスピード。秒速5センチメートル」そう言った明里の声がいつも貴樹の中に残っている。 桜花抄 小学校6年生の貴樹と明里は、互いに似たところもあり、心が通じ合っていた。 明里が転校することになり、貴樹は冷たい態度をとるがそのことをずっと後悔していた。 中学1年の冬、明里から手紙が届き、貴樹は会いに行くことになった。しかしその日はたまたま大雪となり、貴樹の乗った電車は途中で何時間も停車することに・・。 コスモナウト 中学の時に種子島に転向した貴樹は、高校3年生になっていた。同じクラスの花苗は貴樹にずっと片思いをしていた。東京の大学を受験するという貴樹に、今度こそ思いを打ち明けようと決心する花苗。しかし宇宙ロケットが打ちあがったその日、ロケットの尾を引く雲をみながら、貴樹が自分のことを全く見ていないということに気付いてしまった・・。 秒速5センチメートル 大人になった貴樹は、仕事に打ち込む毎日だった。ただひたすら仕事に追われ、疲弊していく毎日。3年間付き合った彼女からは、「1000回メールしても、心は1センチくらいしか近づけなかった」とメールで告げられる。 あるときふと気持ちが切れてしまい貴樹は会社を辞めた。貴樹はあの中学1年の雪の夜から、ずっと明里のことが心の中から消えないでいた・・。 感想 まさに新開ワールドの美しい画像。人物画も前作より進化し、背景はすでに芸術の域です。せつなくて胸が痛くなるようなストーリーですが、私はまだ、この作品は完成形ではないという印象を持ちました。 第3話の「秒速5センチメートル」は途中で終わった感があり、未消化な思いが心に残ってしまいます。完全なる完成形の「君の名は。」と比べてしまうので、よりいっそうそう思ってしまうのかもしれません。 しかし、「桜花抄」は素晴らしい。この感性はどこからくるのか。見た人の誰の心も揺らすでしょう。 中学1年というのがまたいい。子供ではなくなった年齢、大人としての記憶が始まる年齢、という気がします。

  • 映画『未来を花束にして』感想&あらすじ/おすすめ度 ★★★★★

    こういう映画を紹介するためにこのブログを立ち上げたと言っても過言ではありません。 2015年公開 イギリス映画。原題:Suffragette 1910年代に婦人参政権を求めて戦った女性たちの物語です。Suffragette(サフラジェット)とは、婦人参政権論者のことです。 未来を花束にして(字幕版) あらすじ モードは幼い息子ジョージと夫と3人で暮らし、昼間は12歳の頃から働いている洗濯工場に勤めていた。当時の女性には選挙権もなく、職場でも男性よりもとても低い賃金、今で言うセクハラは横行し、酷い環境の中で生きていた。 あるときモードは街でショーウィンドウに石を投げる過激な活動家と遭遇する。たまたま同じ職場にもサフラジェットの活動に参加する同僚がいた。 最初は無関心だったモードだが、あるとき「別の生き方があるかもしれない」ということに目覚め、次第に運動に参加するようになってく・・。 感想 日本ではまったく話題にならなかった映画です。しかし本当にいい映画。ほんとうに映画を見たなあ、という思いに満たされる。キャリー・マリガンという女優さんがまた、顔がかわいいのですが、それに反しセリフがとてもドスが聞いていて素晴らしいです。 婦人参政権運動、というと女性が虐げられていて暗いつらい映画なのかな、と思っていましたが、物語の展開にメリハリがあり、クライマックスに火を使っていたり、虐げられる洗濯会社の映像が明るい、主人公の貧しい洋服がそれでもデザインが素敵、など暗い要素がほとんどない仕上がりになっています。 こういう無名の良質の映画を紹介するために、私はこのブログを作ったのかな・・と気づかせられた、そんな1作でありました。 Suffragetteという題を「未来を花束にして」に変更したのは、大人の事情だったのでしょうけど、Suffragetteの連帯を示す「花」を邦題に入れたのは、こだわりの選択でしたね。 モードは英国王に直訴しようとダービー会場に仲間と紛れ込みます。そのときにかぶっていた帽子には、可憐な青紫のサフランが飾られていました。サフランは、種子をつけない花です。 国華園 夏植え球根 サフラン 10球【※発送が国華園アマゾン店からの場合のみ正規品です】

  • 映画『アラジン』感想&あらすじ/実写版よりアニメ版がいい おすすめ度 ★★★☆☆

    2019年公開 1992年のアニメ版アラジンを実写でリメイクした作品です。 あらすじ アラジンは猿のアブーといっしょに、小さな盗みを繰り返して生きていた。ある日市場で困っている美しい女性を助ける。実は彼女は王女様だった。 王女に恋をしたアラジンは、金持ちになりたいがために、王国を乗っ取る野心を持つジャファーの誘いで、洞窟に魔法のランプを取りに行くのだった・・。 感想 1992年のアラジンは、ちょうど子育て期だったので、ビデオテープが擦り切れるほど見ました。何度見てもハラハラどきどきする大傑作でした。 さあ、その傑作から27年。その頃のことを知らない人がずいぶん増えましたが、ふふふ、この私はしっかりおぼえていますよ。アニメ版がどんなに優れていたか。 オリジナルとリメイクを比較することにあまり意味があるとは思えませんが、アラジンに関してはほぼ同じ内容で実写化ですので、どうしても比較するしかないことになります。 そして、「すべてにおいてアニメのほうが良かった」と言わざるを得なくなってしまいます。実際には、けっこううまく作られていて、生まれて初めてアラジンを見る人にとっては、迫力ある、素晴らしい娯楽作品に見えるのでしょうが・・。 しかし、92年のアラジンを感動して見た記憶のある人にとっては、「あれ、もっとすごいのできなかったのかな。今の技術で」という感じではないでしょうか。 特に気になるのは、「ダイヤの原石」であるはずのアラジンが、それほど魅力的な人物ではないこと。もう一つは、悪役のジャファーがアニメ版の恐ろしいオジサンの雰囲気が全くなく、むしろ善人のように見えてしまうこと。この2点に尽きると思います。 ジャスミン王女の歌声も素晴らしく、広瀬アリス似できれいな人なのに、それにあのウィル・スミスのジーニーは本当に頑張ってる!でもジーニーの青い肌のCG処理はあれでいいのかしら。全身を青く塗っただけに見えてしまうのは私だけ? ジーニーとジャスミンの頑張りと相殺して、一応合格点ですが、「これはおすすめ」と手放しでは言えません。 ウィル・スミスはミュージシャンでもありますが、「アラビアンナーイ」と歌い上げるような歌は、慣れないステージで頑張って歌ってる感がありました。 それでもジーニーとしての演技は抜群ですので、それは見るだけの価値はあるかもしれないです。

  • 映画『雲の向こう、約束の場所』感想&あらすじ/おすすめ度 ★★★☆☆

    2004年 新海誠監督の初めての長編アニメーション作品。すべてがまだ未熟な作品ですが、とてつもない才能と可能性を感じさせてくれます。クライマックスで「あ、このシーンは・・」となるところが。それはのちの「君の名は。」へと繋がる場面です。 雲のむこう、約束の場所 あらすじ これは、もう一つの日本が舞台。1996年日本は南北に分断されていた。共産国家「ユニオン」が世界の半分を支配し、エゾにとてつもなく高い塔を建造しつつあった。 津軽半島に住む中学生の浩紀と拓也は、白く高い塔に憧れ、飛行機を作って塔まで飛ぼうという計画を練っていた。そこにクラスメートの佐由里が加わり、必ず塔まで連れて行く、と約束していた。しかしある日佐由里は突然姿を消してしまった。 塔まで飛ぶ計画はいつの間にか忘れ去り、3年後浩紀は東京の高校生に、拓也は反ユニオン組織で塔の秘密の解明に当たっていた。 塔は平行宇宙を観測し、高度な未来予測をするためのものであり、塔の設計者は佐由里の祖父だった。そんなとき、佐由里が原因不明の奇病で3年間眠り続けていることがわかる・・。 感想 いろいろな設定を盛り込んだ、スペクタクル巨編なのですが、惜しいことに全てにおいて未成熟です。 今、この作品をもう一度作っていただきたい。 そう思う人が他にもたくさんおられたからでしょうか、2018年に舞台化されています。 日本が南北分断され戦争が始まるという中での、少年たちの純愛。面白そうなストーリーだなと思って見始めましたが、何もかも盛り込み過ぎて、理解が追い付かず、見ているほうは消化不良で終わってしまいました。 また、背景がとてつもなく美しいのですが、人物が雑すぎて、そのギャップが大きかったです。 しかし、大人が見るためのアニメーションの世界がどんどん進化しつつあったんだな2004年は、と感じた作品ではありました。そして、実際にその後ものすごいスピードでアニメーションは進化しました。 日本のアニメーションが、世界における日本文化になった。新海監督もその先駆者の1人と言えるでしょう。

  • 映画『ほしのこえ』感想&あらすじ/おすすめ度★★★☆☆

    あの「君の名は。」の新海誠監督の、最初の劇場公開作品です。短編ながら、その後開花する才能を予感させるには十分な作品でした。ただ、この作品が完璧なものではまだ無いとは言えるでしょう。 ほしのこえ あらすじ 2046年 中学3年生のミカコとノボルは、互いにほのかな思いを抱き、同じ高校への進学を夢見ていた。しかし地球外生命体タルシアンの脅威にさらされていた地球人は、若い選抜メンバーを1000人以上宇宙へ派遣することを決めた。リシテア艦隊として、タルシアンを討伐するためだ。そして、ミカコもそのメンバーに選ばれていた・・。 感想 宇宙に行った恋人と、携帯のメールでやり取りする。そして地球から遠のくにつれ、メールは届くのに時間がかかるようになり、ワープした15歳のミカコのメールは、24歳のノボルにようやく届く・・。なんて哀しいお話でしょう。そして、宇宙に行くって、なんて寂しいのでしょう。 宇宙まで遠くなくても、遠距離恋愛になってしまった恋人同士には、メールや電話で繋がっているとはいえ、会うことができない状態って、とてつもなく寂しいもの。ほんとうに独りぼっちになってしまったような、それはまるで宇宙に1人で浮かんでいるかのように。 短い作品でしたが、とても深いテーマで、なんとも悲しいお話でした。2001年と言えば「千と千尋・・」などの日本のアニメが世界的に市民権を得た時代です。 そんな中でこの掌編が、将来の日本アニメ界を席巻する監督の誕生を予感させるものであることは、言うまでもありません。

  • 映画『スラムドッグ$ミリオネア』感想&あらすじ/おすすめ度 ★★★★★

    2008年 アカデミー作品賞含め8部門受賞。インドが舞台のイギリス映画です。映画に新しい風が吹いてきたのを感じてワクワクした作品でした。 スラムドッグ$ミリオネア (字幕版) あらすじ インドで放送されている人気番組「ミリオネア」。スラム街で生まれ育ったジャマールは、その最終問題に挑んでいた。 ジャマールは幼い頃、暴徒に母親を殺されていた。兄や同じ浮浪児のラティスという少女と3人で寝食を共にしていたが、怪しい施設に収容され、そこから逃げる途中でラティスとはぐれてしまい、なんとか再開したが、彼女を取り戻すために大金が貰える番組に応募したのだ。 たまたまこれまでの人生経験で答えることができた問題だったが、最終問題のところでジャマールはテレフォンを選択し、兄の携帯を鳴らした・・。 感想 主人公のジャマール役のデーヴ・パテールは、一躍スターとなり、その後ハリウッドで活躍しています。インド系移民のイギリス人だとWikipediaには出ています。 この映画を見たとき、「これは素晴らしい映画だ」と感激したのを憶えています。物語の展開が早く、またインドという馴染みのない風景がとても新しく感じました。欧米の映画ではこれほどまでには感じない身分の差、貧富の差。そしてクイズ番組という題材。回想の形で語られるストーリー。何もかも新しい風に思えて、すごく感動。 でもそれはインドという大きな国の魔法だったかもしれない、としばらくして思ったものの、そういう魔法のような雰囲気にいざなわれて、作品賞まで取るっていうところが、すでにこの映画が素晴らしい映画だということかな、とも気付きました。 見逃している方、これは確かに映画史に残る映画です。

  • 映画『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』感想&あらすじ/おすすめ度 ★★★★☆

    これぞゴジラ映画!ようやくハリウッドが本気を出してくれました。前作の「GODZILLA ゴジラ」から5年、ゴジラファンが納得できる作品がようやく完成しました。 あらすじ 2014年のゴジラ来襲で息子を亡くしたマークは心の傷が癒えず、未確認生物特務機関「モナーク」で巨大怪獣による世界の破滅を防ごうとしている妻のベラと距離を置いている。 あるとき何者かの組織がモナークの基地を襲い、モスラの幼虫を盗み出した。一緒にいたベラと娘のマディソンも拉致されてしまう。さらにその組織によって「ギドラ」も眠りから覚めてしまうのだった・・。 感想 ついに目覚めてしまったギドラ。いや、日本で言うとキングギドラ。そしてラドン、モスラ。みんなおなじみの怪獣ですが、素晴らしいCGでなんとも美しい怪獣になっている。動きも何もかも綺麗。だけど鳴き声はあのおなじみの声だ。 声と言えばゴジラの雄たけび。ああ懐かしい。だけどダイナミックに再現されている。今回のゴジラは心底ゴジラ映画をリスペクトしている人たちによって作られたんだな、とわかります。 ゴジラが好きな人、怪獣が好きな人は絶対に見るべきです。 そうでもない人にとっては、ありきたりの面白い映画と言えなくもないので、★☆は4つとなりました。 とは言え、ストーリーは、なぜ巨大生物が存在するのかという謎に迫り、ではギドラはどうして他の生物を操って世界を滅ぼそうとするのか、果たしてゴジラは味方なのか、というなかなか納得できる展開になっています。「王の覚醒」というサブタイトルがここで意味を持ってきます。 ただ、ひとつだけ私にとって残念なことが。あとはすべてパーファクト。芹沢博士も素晴らしいし、音楽も聞きなれた曲がメインテーマになっており鳥肌なのですが、ひとつだけものすごく残念なのが・・ ゴジラの顔。ハリウッド版ゴジラの顔がどーしても受け入れがたい。あれは違うでしょ。私だけがそう思うのかなあ。私が持ってるメルトゴジラのフィギュアの顔、違うんだよね・・。

  • 映画『LION/ライオン ~25年目のただいま~』感想&あらすじ/おすすめ度 ★★★★☆

    Google Earthってすごいですよね。地球上のあらゆる場所を、いろんな方法で検索できる。ほんとうに地球の上から探し出せる。これはそういう話じゃないけど。 LION/ライオン 25年目のただいま(字幕版) 2016年 オーストラリア・アメリカ・イギリス合作。ノンフィクション本の『25年目の「ただいま」 5歳で迷子になった僕と家族の物語』の映画化です。 あらすじ インドの田舎町で母親と二人の兄弟と暮らすサルーは、あるとき仕事に向かう兄に、どうしても連れて行ってほしいとせがみ、列車に乗って付いていく。 しかし5歳のサルーはどうしても眠たくなって寝てしまい、仕方なく兄は駅に寝かせて、「ここから離れるな」と仕事を探しに行く。その後目を覚ましたサルーは兄を探して回送列車に乗ってしまい、またそのまま寝てしまう。 動き出した列車は、1万キロ離れたカルカッタに到着する。自分の住む町の名さえ知らないサルーの運命は180度変わってしまった。それから2年間浮浪児として生きていたサルーは孤児院に収容され、やがてオーストラリア人夫婦に引きとられることになる。 20年後、裕福な家で暮らし、大学で学ぶサルーは、しかし心にぽっかり穴が開いたままだった。あるとき友人に、Google Earthで探してみては、と提案される・・。 感想 予告編や、ホームページのあらすじで、映画の筋書きはすべてわかってしまうのですが、それでも見る価値のある作品でした。 人間の心のあたたかさ、複雑さ、冷たさ、インドの街の臨場感、貧しい家でも愛にあふれるお母さん。 おそらく今でもまだ世界のどこかで、家の無い子供たちは、このように劣悪な環境下で生きなくてはならないのか、と改めて思います。 兄を演じた少年の俳優さん、切ない表情が兄のやさしい心をとてもよく表現しています。そしてサルーの子供時代を演じたサニー・パワールくんの可愛くて素晴らしい存在感。 ニコール・キッドマンもさすがの演技。夫役の俳優さんは「ロード・オブ・ザ・リング」のファラミア、お久しぶりです。 LIONという題名の意味が最後にナレーションで出てきます。「そうかぁ・・」という余韻を残します。 期待を大きく上回る作品ではないですが、心にしっとり響く、いい映画でした。

  • 映画『64-ロクヨン』感想&あらすじ/おすすめ度★★★☆☆

    2016年 未曾有の刑事ものブームだった思うのですが、その流れでこの「64」も前後編の2部作という超大作として鳴り物入りで公開されました。ですが・・ 64-ロクヨン-後編 あらすじ わずか7日間で幕を閉じた昭和64年、7歳の少女が誘拐され、殺害される事件が起こった。刑事たちの必死の捜査もむなしく事件は迷宮入りし、通称「64」と呼ばれるようになった。担当刑事の三上はその後刑事課から異動し、広報担当になっていた。 「64」から14年経ったある日、警察庁長官が視察に訪れることになる。被害者の父親と面会するはずだったが、父親は面会を拒否するのだった・・。 感想 佐藤浩市という役者さんは、名実ともに日本映画界に無くてはならない大俳優です。ハンサムだったし演技力も抜群。主役もわき役もこなす、素晴らしい俳優さんです。その佐藤浩市さん主演の超大作。他の出演者も並々ならぬ覚悟で臨んだことでしょう。みんな大熱演で、もう熱いのなんのって・・。 あのー、野球もね、9人全部4番バッターではゲームにならないのです。それぞれの役割、メリハリがあってドラマは成り立つ。わかっているとは思います。すごいスタッフで作っているのですから。だけど、でも、あまりの熱さに前編を見ただけで後編を見る気がしなくなってしまいました。まあ見ましたけど。 この原作は横山秀夫先生が、脳梗塞の後遺症と闘いながら、推敲に推敲を重ね、出版中止、全面改稿を経てようやく出版された作品だそうです。そのような作品を映画化するにあたり、2部作、オールスターキャストと大々的に企画され、製作費、宣伝費もたくさんかけて作られました。 なのですが、なのですが、この作品にかける俳優さんたちスタッフさんたち一人一人の思いはわかりますが、 が、が、「空回りしています!」 それがこの作品への感想のすべてです。すごくいいシーンもあった。いい演技もあった。みなさんがんばってる。刑事も記者も興奮して大声でしゃべる。声の通る人が勝ち。だから佐藤浩市はさすがに一番光ってた。(ちょっと老けたなあと思いましたが) が、しかし、映画は「演技合戦」ではありません。何を観客に伝えたいのかを、忘れていなかったでしょうか。

  • 映画『ザ・ブリザード』感想&あらすじ/おすすめ度 ★★★☆☆

    2016年公開。こんな映画誰も知らない、ぐらいヒットしませんでした。製作費がものすごくかかっているらしいけど、日本での興行収入は推定3億円。「君の名は。」の80分の一ぐらいです。残念。 あらすじ アメリカの沿岸警備隊の若き隊員バーニーは、正義感が強く、困っている人を助けずにいられない。この日も悪天候で遭難したタンカーの乗組員を救出するために嵐の海に向かう。美しい恋人のミリアムはそれを知っていたたまれず、警備隊本部に怒鳴り込む・・。 感想 私は結構面白いと思ったんですけど、なんか地味だからか、ヒットしなかったですね。日本人の洋画離れもあるかもしれないですが、本国アメリカでもパッとしなかったようです。せっかくのクリス・パインが、等身大のヒーローを演じているのに・・。 私の星★が3つになった理由は、お金はかかっていて、波しぶきや難破船のシーンが凄いのに、そういう緊迫したムードをぶち壊すバーニーの恋人の出しゃばりな性格がとても邪魔、だからです。 せっかくの、ほんとにせっかくのケーシー・アフレックの深い演技も、クリス・パインの真に迫る表情も、彼女が時々出てきてうるさくぶち壊す。そういう印象だけが残ってしまった作品でした。 思い起こしてみると、沿岸警備隊がタンカーの乗組員を救出した実話の映画化で、タンカーも警備隊の船も、街も車もすべてが時代色豊かによくできており、ストーリーも主人公の恋人の話を絡めながら、テンポよく展開し、手に汗握るクライマックスで、たいへんいい映画だったのです。 クリス・パインとしても、彼の名声を不動のものにする大作となったはずでしたが・・、何故か大赤字に。うーんなんでかなあ。 恋人役がウザイってことは映画館行って見てみないとわからないことで、それ以前にみんなが行こうとしなかった、ということは、もうこういう地に足の着いた題材が、支持されないということで。 それはつまり、漫画の映画化みたいな作品を求める観客が増えたため・・ということで。 それは、映画ファンとしてとても残念なことであり、嘆かわしいです。 「この世界の片隅に」があのようにヒットしたことは、まだまだ日本も捨てたものじゃない、と思わせる出来事でしたが。 この「ザ・ブリザード」がコケたことは正直ショックでございました。

  • 映画『コンフィデンスマンJP』感想&あらすじ/おすすめ度 ★★☆☆☆

    テレビドラマの映画化って、最悪でもテレビドラマを映画で見るようなものなんですけど、この作品はテレビドラマのほうがマシって思う。そのくせ映画の批評サイトでは★4つだったりする。4つは多すぎじゃない? コンフィデンスマンJP Blu-ray BOX あらすじ コンフィデンスマンは信用詐欺師。ダー子(長澤まさみ)とボクちゃん(東出昌大)、リチャード(小日向文世)の3人が次に狙うのは、香港の女帝ラン・リウの持っているパープルダイヤのネックレスだった。 感想 とちゅうからネタがわかってしまう、というネットの書き込みも多かったけど、それでも星は4つ。おかしいなあ、だれが星を付けてるんだろう。 テレビドラマを毎回欠かさず見ていた者としては、映画版がテレビよりも間延びして面白くないっていう意見が大半を占めると思っていたのですが。 だれよりもコンフィデンスマンのドラマファンのうちの旦那いわく、「間延びして眠たかったうえに、途中でネタがわかっちゃった。」だそうです。 初めて見る人にとっては面白いのかな。それだけドラマ版は他には無いような魅力があってぶっ飛んでた、ということですね。 ドラマを見ていて、もっとわくわくするのかな、と期待して見た方はがっかりしたことでしょう。

  • 映画『キングアーサー』感想&あらすじ/おすすめ度 ★★★☆☆

    2017年公開 はじめは6部作の第1作と聞いていましたが、評判が悪すぎて誰も続編の話をしなくなりました。何がいけなかったのでしょうか? キング・アーサー(字幕版) アーサー王の伝説については、ほとんど何も知らず、最初は見るつもりがなかったのですが、6部作と聞いて、じゃあ見ておかなくちゃと映画館に行きました。 私はそこまで悪くなかったと思うのですが、とにかく世間の評判が悪い。アメリカでも酷評されたようです。 理由は何かというと、やっぱり面白くなかったからでしょうね。 CGを駆使しようがしまいが、いい俳優を使おうが、「話が面白くなければ映画は面白くない」あたりまえのことですが、これは真実だと思います。 じゃあ面白くなかった原因は何か。おそらくですが、作り手は一人ではなく、背後にもたくさんの人がいて、それぞれの思いがバラバラだったのではないか・・そんな気がします。もったいないなあ。 キングアーサーのアーサー王伝説は欧米人には特に浸透していて、それだけに主役のチャーリー・ハナムへの期待と同時に、作品への期待度は大きかったのではないでしょうか。 「そもそも題材が古すぎる」という意見もありますが、それは根本的な原因ではないでしょう。 伝説の王の話で、CGも素晴らしく、俳優も素晴らしい。なのにそれほど印象に残らなかった。非常に残念です。 私としては、せっかくだから続編を作ってほしいと思います。別に低予算でもいいから、もう少し脚本を練りましょう。「どこかで見た」感の無い作品をめざして。

  • 映画『イブ・サンローラン』感想&あらすじ/おすすめ度 ★★★☆☆

    2014年公開 フランスの偉大なファッションデザイナーの伝記です。シャネルやディオールと並び称されるサンローラン。その作品はいつも若い女性を夢中にさせるものばかりでした。 しかしサンローラン自身は鬱病や薬物中毒に苦しむなど決して平坦な人生ではなく、その苦悩をこの映画で描いています。 イヴ・サンローラン(字幕版) あらすじ ディオールのデザーナーとして頭角を現したサンローランは、ディオール亡き後、主任デザイナーとしてショーを成功させる。この時は若干21歳だった。しかしその後戦況が悪化し入隊。軍隊での人間関係で精神病院に入院することになり、このことがのちに彼が薬物中毒に陥るきっかけとなっている。それでも彼の作品は常に新しく、モダンで上品な魅力にあふれていた。 感想 公式伝記映画と呼ばれる作品がこれで、同時期に「サンローラン」という作品も公開されていますがこちらのほうはサンローランのスキャンダルな部分に焦点を当てているそうです。 この作品でもサンローランのいろんな部分を描いていますが、そばで生涯サンローランを支えた、恋人ピエール・ベルジェの目を通して描かれ、サンローランの人間的な魅力もクローズアップされています。 彼のデザインした洋服たちにはとても敬意を払っており、衣装をモデルに着せてみるシーンの、衣装のフォルムの美しいこと。何十年たった洋服でも色褪せない魅力にあふれています。 主演の俳優、ピエール・ニネは華奢で美しく気高い。いい俳優さんです。でも私の若かりし頃の記憶では、サンローランはこんなに美青年ではなかった。それでけっこう奔放な生活をしているとは聞いていたので、作る洋服とは偉い違いだなあ、と思ったものです。 公式伝記映画なのに、まあまあスキャンダラスシーンがあるので、いいのか?と思わないでもないけど、これがフランス映画なのでしょう。 脳裏に極彩色シーンのの印象が強く残りました。色鮮やかないいテレビで見てください。

  • 映画『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』感想&あらすじ/おすすめ度 ★☆☆☆☆

    2017年公開のアニメ作品。1993年の岩井俊二原作・監督のテレビドラマ作品のアニメ化です。93年のフジテレビ「ifもしも」というオムニバス作品の1つでしたが、非常に秀逸な作品で評判になり、その後映画として公開されました。 あらすじ 中学生のなずなは学校のアイドル的存在。しかしあるとき母親の再婚で急に転校することになる。なずなは典道と祐介に50mを泳ぐ競争をして、勝ったほうを花火大会に誘うと決めていた。いっしょに駆け落ちして逃げようと・・。 感想 リアルタイムでifを見ていた人間にとっては、あの秀作をどうアニメ化するのか、またよくぞあの原作を取り上げてくれた、とわくわくしていましたが、出来上がった作品の星の数はサイアク。あまりに評判が悪いので映画館では見ず、ようやく無料配信で見ることができました。 評判どおり、よく意味の分からない演出とヘタな絵でがっかりの内容。なぜ原作に忠実にアニメ化しなかったのか。なぜあんなに意味の分からない、途中でお花やお星さまいっぱいになったり、キラキラが破裂したりするのか。また、主人公の典道の理解力の無さにいらいらさせられたり、なずなの色気シーンばかり繰り返したりするのか。 それをぐっとこらえてがまんしたとしても、時間を戻すツール(なんか丸いキラキラボールで時間が戻る)を登場させたなら、その成り立ちの伏線を張って、ちゃんと回収してほしかった。とにかくすべてが、意味不明だった。それも無駄に意味不明。テンポも悪い。 背景など素晴らしい要素もたくさんあり、声を演じた俳優もだいぶ頑張っていただけに、惜しい。惜しすぎる。 皆さんがネットに書き込んでいた、作品への批評がほとんどダメだしでしたが、私も同感です。 同時に、奥菜恵がなずなを演じたあのドラマ作品をもう一度見てみたくなりました。

  • 映画『エベレスト』感想&あらすじ/おすすめ度 ★★★★☆

    人がなぜ山に登るのか。これまでわからなかったものが、この映画を見て、少しわかりました。言葉に表すのは難しいけれど、それは本当に純粋な山への思い。「そこに山があるから」とよく耳にしますが、ほんとうにそんな感じが伝わってきました。そして、迫力あるエベレストの素晴らしい映像でした。 エベレスト (字幕版) あらすじ さまざまな思いや事情を抱え、エベレストに登るために世界中から人々がやってきます。この日も、あるグループが登頂を目指すが、道具の不備や体調不良や天候不良で、デス・ゾーンと呼ばれる人間が生きることのできない死の領域で離れ離れになってしまう・・ 感想 1996年に実際に起きた遭難事故の映画化です。この時期エベレストには大勢の人が登頂を試みるために集まってきており、嘘のような話ですが、頂上近くでは、下山する人を待機して待ってから頂上に向かわなくてはいけない、工事中の交互通行みたいになっていました。この商業登山に対して、事故の後に批判が相次いだようです。 エベレストはそんな甘い山ではなく、登頂するためには何か月もかけて近くの低い山で訓練登山しながら、だんだん高い山に登っていくということをしなくてはなりません。お金も体力も並大抵ではなく必要です。 それなのにシェルパやガイドが荷揚げをしてくれ、登山技術が未熟な人でも登れるようになっていた、ということがこの事故の背景にあるようです。 しかし、映画の美しいエベレスト、壮大なエベレストを見ていると、山を愛する人が登りたくなる気持ちがわかるようになりました。 だからなおさら、ほんとうにエベレストを尊敬し登頂したい、と思う登山家だけが、エベレストに挑戦する資格があるのかな、と思いました。 映画は遭難したパーティの面々がそれぞれの事情を抱え、ネパールの町に入り、登頂をめざす姿が描かれます。それだけのストーリーなのにどのシーンも丁寧に描かれ、エベレストへの道にぐんぐん引き込まれていきます。 終わってみると、自分もエベレストに近づいた、登る意味がすこしわかった、と思ってしまう映画です。

  • 映画『キングダム』感想&あらすじ/おすすめ度 ★★★★☆

    山崎賢人、吉沢亮の本気の熱量がすごい。2人はまだ粗削りですが、役者魂のようなものが見えました。 ヤングジャンプで連載されているべストセラー漫画の映画化。すでに50巻以上発行されている単行本の1~5巻までの物語です。主人公の信(山崎賢人)は秦の始皇帝の家来の大将軍・李信がモデル。そしてその始皇帝がモデルのえい政は吉沢亮が演じています。 映画 キングダム 写真集 -THE MAKING- あらすじ 奴隷として育った信と漂。2人は日夜、剣の腕をみがき、奴隷の生活からなんとか抜け出そうとしていた。 あるとき身分の高い武将が通りかかり、漂を見てお城に連れて行くという。「先に行くぞ」とお城に上がった漂だったが、それから時が流れ、あるとき瀕死の重傷で戻ってきた。実は漂は顔がそっくりな王の身代わりとしてお城に上がっていた。 その事実を知った信は、漂の敵を討つため王と行動を共にする。初めは王のえい政のことを許せなかったが、その人物を知るにつれ、本当に王のことを守るために信は剣をふるい、敵と戦っていくのだった。 感想 漫画を映画化する難しさって、それは仕方ないですが、信という人物はこんなにオーバーにしゃべるのか?とイラついてしまったのは私だけではないでしょう。 「おおむね合格点」というネットの評判ですけど、山崎賢人については評価が分かれます。 私は彼はもう少しできると思います。 ただ、今はあれが精一杯です。じゃあ誰があの役をできるのかと言われると、思い浮かびません。 あの運動神経、力強いセリフ、整った容姿、ほかには誰もいません。 信は人気漫画の主人公ですので、漫画を読んだ人の中でそれぞれ膨らみ、できあがっていることでしょう。人間でそれを再現するのは不可能に近いと思います。仮面を被ったヒーローでもないですし。 ただ結果として、確かに吉沢亮に食われていました。王様の吉沢亮はハマり過ぎでした。容姿が良すぎる。でもそれが映画の大ヒットに貢献しています。 また、あのあと壮大な物語が続く、と思うからこそ映画は成功しています。戦闘シーンや王宮のシーンのCGなど、ハリウッド映画にはまだまだ及ばないけれど、先々のことを思い浮かべ、心の中で期待感が高まり、壮大な印象が広がりました。 それと戦闘シーンは山崎賢人の運動神経がずいぶん功を奏していたと思います。

  • 映画『クラッシュ』感想&あらすじ/おすすめ度 ★★★★☆

    2004年 アカデミー作品賞受賞。どんな力作だろう、と思って見てみました。しかし2004年の映画なので2019年の今見てみると、ちょっと古い感じがします。映画を見るのにも旬があります。無いものもありますが。 あらすじ グラハム(ドン・チードル)はロサンゼルス市警の刑事。あるとき人が銃で撃たれて殺害された現場に向かう。 そして物語はその男が撃たれるまでの36時間前にさかのぼる。 ある1つのカージャック事件が起き、犯人の黒人2人組、被害者の裕福な白人(サンドラ・ブロックとブレンダン・フレイザー)、そしてその同じ車種の車に乗る黒人富裕層の男女、その男女を職質し、妻にセクハラした人種差別主義の警官(マット・ディロン)。 最初の裕福な白人の家に鍵の取り換えをした有色人種の男(マイケル・ペーニャ)など、他にもさまざまな人々が関わり合い、共通しているのは人種差別が核にあり、問題に発展していくということ・・。 感想 日本人にとっては人種問題は難しいですが、このように理解するのですよ、と他国の人への説明書のような映画です。 特に、最初の起点になったカージャックの犯人は、世の中は黒人への偏見に満ちている、という考えの持ち主で、白人の女が自分をよけたのが、偏見によるものだと曲解し、そして事件を起こすので、なるほど、たぶん世の中の事件や戦争なんかもこういうことの積み重ねなんだろうな、と思ってしまいます。 淡々とそれぞれの人々の事件が交互に綴られ、そして繋がり、最後の殺人事件になります。 あの「ダンケルク」のように、「いつの時間帯をあらわしているんだろう?」とわからなくなる作りなので、最初の事件は、実は最後に起きること、だとわかって見たほうが理解が早く、映画を楽しめるかと思います。 ブレンダン・フレイザー以外、みんな演技が素晴らしい。特に刑事役のドン・チードルの哀しみに満ちた表情は映画全体を引き締めています。

  • 映画『殿、利息でござる』感想&あらすじ/おすすめ度 ★★★★☆

    2016年公開。どうしてこんな題にしたのかな。原作は磯田道史「無私の日本人」の中の評伝「穀田屋十三郎」です。 意外にも感動するいい映画なんですけど、この「殿、」という題からは全くそうは思えないですね、残念です。 殿、利息でござる! あらすじ 仙台にある吉岡宿の穀田屋十三郎は、宿場町が貧困に窮している状況を憂いていた。 吉岡宿は物資の輸送を行う伝馬役になっているが、藩の直轄領ではないので助成金が出ず、宿場のお金を投じて馬や人出を手配するのでどんどん貧乏になるばかり。 十三郎は、ある時知り合った京の茶師・篤平治が、「町民から銭を集め、それを藩に貸し付け、利息で儲けよう」と思いつき、それを実行しようと、資金集めに乗り出すのだが・・。 感想 コメディなのかと思って、「まあ見てみるか」ぐらいの感じでスクリーンでみたのが3年前です。 事実を基にしているということもあり、どんどん引き込まれ、また俳優さんたちの演技もとても良くて、「見ておいてよかった~」と思う映画の1つとなりました。 なかでも妻夫木聡は、やっぱり俳優としての格が違う。ほんとに上手いし、存在感もあります。主役の阿部サダヲや瑛太も良かったし、悪役(みたいな)の松田龍平も「冷たい偉い品のあるお侍」の役が、とても板についていました。 難を言えばやっぱり日本映画らしく、クライマックスの詰めが甘い、ということでしょうか。もとが短編小説だから仕方ないのかなあ。でも大事なことは映画としてどう成立するか、ですから、最後は思い切った演出や仕掛けがあっても良かったかも。 羽生結弦選手が殿役で出演したことが話題になっていますが、殿が異次元の存在という位置づけなので、けっこう効果的だったと思います。 でもやはりこの映画の見どころは感動するストーリーですので、見逃した方はどうかご覧ください。

  • 映画『やさしい本泥棒』感想&あらすじ/おすすめ度 ★★★★☆

    2013年 アメリカ・ドイツ合作 日本での公開は見送られましたが、とてもいい映画です。なんで見送られたんでしょうね。 あらすじ 二次大戦直前のドイツ。共産党員だった両親は逮捕される前に子供たちを里子に出した。 途中で弟がなくなり、姉のリーゼルは一人である夫婦の養子になる。 養母には冷たくされるが、養父はやさしく迎えてくれ、読み書きのできないリ―ゼルにやさしく教えてくれた。 あるときヒトラーの弾圧が厳しくなり、とうとう本を読むことを禁じられる。街はずれでたくさんの書物を集めて焼き、人々は軍隊を恐れ、ヒトラーに忠誠を誓う。 リーゼルはそこで、こっそりと1冊の本を盗み出すのだった・・。 感想 第二次大戦とは何が起きていたのか、日本の学校をちゃんと卒業しましたが、あまりはっきりと教えられていない気がします。 日本では原爆が落ち、空襲があった。 ではヨーロッパでは何か起きていたのか。この、1人の少女を描いた映画を見るだけでも、ドイツという国の市民に起きた悲惨な出来事が垣間見れます。 12歳ぐらいの平凡な1人の少女の数年間の出来事。この切り取られた狭い世界のお話を通して、このときに、この国にどんなことが起きていたのかが見事に投影されています。 語り部が「死神」なのですが、ちょっと神秘的な感じで、悲惨さや悲しさをやわらげています。 主人公のリーゼルがほんとうに美少女で、美少女過ぎるぐらいですが、なかなか存在感がありました。 歴史は好きだけど悲惨な戦争映画はちょっと・・という方におすすめです。

  • 映画『あやしい彼女』感想&あらすじ/おすすめ度 ★★☆☆☆

    2016年 韓国映画「怪しい彼女」のリメイクです。ある日突然、お婆さんが若い娘に戻ったら・・ あらすじ 73歳の瀬山カツは、商店街を歌って踊りながら歩く明るいお婆さん。ある時、夜の商店街の写真館が怪しい光に照らされ、そこで写真を撮ったカツは、なぜか20歳の娘に戻っていた。カツは青春の日々を取り戻そうと、新しい人生を楽しみ始めるのだった・・。 感想 お婆さん役が倍賞美津子で、若い娘役が多部未華子。なんかタイプが違う配役ですが、まあそこはいいでしょう。 今回DVDを借りて、テレビで鑑賞。肩の凝らない話で、ちょっとしんみりもして、たまにはこういう映画もいいかな。 ハリウッドの俳優さんも韓国の俳優さんも、歌ったり踊ったりできる人が多いですが、日本の場合は歌手は歌手、俳優は俳優という空気がまだあります。 そんな中で、多部未華子は演技も上手いですが、歌も歌えるんですね。感心しました。 映画としては、可もなく不可もなくと言いましょうか。軽く楽しめるストーリーで、家族で見るのにぴったりですね。 もちろん、突っ込みどころはいっぱいありますが、それは無視して、ただ楽しめばいい作品です。 最後に野村周平がチラッと出てきたところが洒落てました。中盤以降面白くなるのに、最初の20分がつまらない、という珍しい映画です。見られる方は、最初がまんしましょう。

  • 映画『アベンジャーズ/インフィニティー・ウォー』感想&あらすじ/おすすめ度 ★★★★☆

    2018年公開ですが、その解決編ともいうべきエンドゲームがもう2019年に公開されました。 インフィニティ・ウォーでもやもやしていた人たちが、エンドゲームでスカッとしたかったのか、すごい勢いで大ヒットだそうです。 アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー MovieNEX あらすじ サノスは全宇宙の半分の生命を絶たないと、宇宙の均衡が保たれない、という思想の元、6つのインフィニティ・ストーンを集め、その石の力で一瞬にしてとてつもない数の生命を奪おうとしていた。アベンジャーズたちはガーディアンズとも力を合わせ、サノスを阻止するべく立ち上がった。 感想 サノスが提唱する、「宇宙の均衡を守るために、生命の半分を消滅させなければならない」という考え方。まったくあきれてものが言えない考えです。 アベンジャーズ達はこの考えに真っ向から否定します。「人間の命の重さに大小は無く、命は何物にも代えがたいものだ」と。 そこまではいいのですが、ではそのサノスの「宇宙の均衡」という思想はどこからきているのか。サノスは宇宙の創生主にでもなったつもりなのか。サノスのほうには、もっと深い理由はないのか。と不思議に思ってしまうのは私だけでしょうか。 そう思って、グーグルで検索。「サノスはなぜ」と入れてみると、ある1つの事実がわかりました。 原作のコミックから、ある1つのことを削除していたのです。 それは、「サノスは死の女神に恋していた」、ということ。 恋がサノスを動かし、死の女神の気持ちを自分に向けるために、あれほどの殺戮をさせた、という部分を、映画ではそっくり削除しています。 「これ以上キャラクターが複雑にならないため」だそうですが、いやいや、動機は何より大事でしょ。 漫画の映画化だからあれぐらいの動機でいい、と考えたマーベルの担当者の人たちは、アベンジャーズを後世に残る名作にしたくなかったのでしょうか。

  • 映画『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』感想&あらすじ/おすすめ度 ★★★☆☆

    「アベンジャーズ」としては第2作になりますが、マイティ・ソーとかキャプテン・アメリカとかガーディアンズとか、やたらシリーズがあるので、もう何作もあるような気がしていました。 アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン (字幕版) アメリカのマーベルスタジオのアニメヒーローをクロスオーバーさせたアベンジャーズ・シリーズ。1作目と3~4作目がなんとなくつながっている感じですが、2作目となるエイジ・オブ・ウルトロンはちょっとスピン・オフのような雰囲気です。 それにしてはこの逸話に、なんとお金がかかっていることか? あらすじ 前作の最後に奪還したはずのロキの杖は、実は悪の組織ヒドラに持ち逃げされ、その力を用いて人体実験が行われていた。アベンジャーズたちは杖をまた奪い返すが、トニー(アイアンマン)は杖に埋め込まれたストーンの力を使って、人工知能を生み出そうとする。ロキの杖のストーンは、宇宙にある6つのインフォにティストーンの1つだった。 しかし生み出された人工知能・ウルトロンは暴走し、最強の肉体を手に入れようとする。アベンジャーズはまたも結集し、ウルトロンに立ち向かうのだった・・。 感想 ヒーローものが大好きな人にはたまらないシリーズであります。もちろん、娯楽映画大好きなので、私もアベンジャーズはずっとチェックしています。(やっぱりキャプテン・アメリカがかっこいい。) ほとんど美人とハンサムばかりのヒーロー映画の中でも、頭脳明晰・肉体強靭・心も優しいとなると最強中の最強です。 悪役のウルトロンは人工知能なのでなんとなくキモイですが、大悪党のサノス登場前の掌編としては、肩慣らしにぴったりの戦いでありました。(街が1つ粉々になったのですがね)

  • 映画『アベンジャーズ エンドゲーム』感想&あらすじ/おすすめ度 ★★★★☆

    やっぱりこれを見ておかないわけにはいかないですね。前作のインフィニティ・ウォーのショックから立ち直れないでいるうちに、もう続編の公開です。わかってはいてもハラハラドキドキの時間はとても楽しかったです。 【映画パンフレット】アベンジャーズ エンドゲーム 特別版 パンフレット あらすじ 宇宙最強の敵サノスによって、全宇宙の人類半分が消滅してしまった・・。生き残ったアベンジャーズのメンバーたちはもう一度立ち上がり、反撃をしかけるのだった・・。 感想とネタバレ とにかくこれは、原作がアメコミですので、少々のつっこみどころは置いといて、物語を目いっぱい楽しんでしまいましょう。正義の味方のヒーローはかっこいいし、敵をやっつけるたびにスカッとします。それこそが娯楽映画の醍醐味。映画が存在する意義だと思います。 ただ、やっぱりどうしても既視感があるのが、「タイムマシン」的なことで勝利の糸口を見出すしかなかったということ。それはドラえもんでも何度もやってるお決まり展開ですよ! サノスについても、もう少し大物感は出せないものか? 日本のアニメを何十年も見ている側からすると、ストーリーはありきたりと言えよう。 しかしそこはお金をかけたCGを駆使した映像で私たちをうまく誘導して、深く考えさせません。「友情」のような形のない大いなる物も、作品に奥行きを出すいいエッセンスとなります。 3時間、まったく飽きることなく、長くも感じませんでした。 日頃の悩みや、ストレスなど、宇宙を揺るがす出来事の前では、なんとちっぽけなことでしょう。何もかも忘れて、ヒーローの活躍にわくわくしてください。映画はきっとそのためにあるのです。

  • 映画『アベンジャーズ エンドゲーム』感想&あらすじ/おすすめ度 4.0

    やっぱりこれを見ておかないわけにはいかないですね。前作のインフィニティ・ウォーのショックから立ち直れないでいるうちに、もう続編の公開です。わかってはいてもハラハラドキドキの時間はとても楽しかったです。 あらすじ 宇宙最強の敵サノスによって、全宇宙の人類半分が消滅してしまった・・。生き残ったアベンジャーズのメンバーたちはもう一度立ち上がり、反撃をしかけるのだった・・。 感想とネタバレ とにかくこれは、原作がアメコミですので、少々のつっこみどころは置いといて、物語を目いっぱい楽しんでしまいましょう。正義の味方のヒーローはかっこいいし、敵をやっつけるたびにスカッとします。それこそが娯楽映画の醍醐味。映画が存在する意義だと思います。 ただ、やっぱりどうしても既視感があるのが、「タイムマシン」的なことで勝利の糸口を見出すしかなかったということ。それはドラえもんでも何度もやってるお決まり展開ですよ! サノスについても、もう少し大物感は出せないものか? 日本のアニメを何十年も見ている側からすると、ストーリーはありきたりと言えよう。 しかしそこはお金をかけたCGを駆使した映像で私たちをうまく誘導して、深く考えさせません。「友情」のような形のない大いなる物も、作品に奥行きを出すいいエッセンスとなります。 3時間、まったく飽きることなく、長くも感じませんでした。 日頃の悩みや、ストレスなど、宇宙を揺るがす出来事の前では、なんとちっぽけなことでしょう。何もかも忘れて、ヒーローの活躍にわくわくしてください。映画はきっとそのためにあるのです。

  • 映画『カメラを止めるな!』感想&あらすじ/おすすめ度 ★★★☆☆

    どうしてこんな映画が誕生したのか? それは映画を愛する人がいたから。 作り手の人たちが映画を愛していたから。そして観客もみんな映画を愛しているからです。 カメラを止めるな! あらすじ 前半は劇中劇の公開生放送の設定の「ゾンビドラマ」が展開します。そのあとその疑似メイキングフィルムという形の物語がはじまります。 ゾンビドラマ:過去に日本軍が人間を蘇られていたという伝説のある廃墟でゾンビものの映画が作られているが、 スタッフがそのうちゾンビ化する‥という展開。 メイキング:公開生放送なので、トラブル続出。スタッフが腰痛になり、主要な俳優が交通事故で来なかったり、 突然性格が豹変した女優が合気道で暴れだしたり、それでもなんとかドラマは進む・・。 感想 低予算で作られたB級娯楽映画、というくくりだったはずなのに、口コミで評判になり、30億円を超える大ヒット。 超ロングラン上映を経て、もうテレビで放映されました。先日の「リップヴァンウィンクルの花嫁」とは対照的に、 勢いでガーッと作られたような映画。でもこれもほんとうにいい娯楽作品です。 作り手が、こういうものを作りたい、という思いが、そのまま力になって観客に押し寄せてくるような、そんな映画。音楽もとっても良かったです。 予告編の印象とはまったく裏腹に、あんな血みどろの汚い人たちなのに、最後は感動してしまいます。 お金がかかった映画もそれなりに満足できますが、それだけではないですね。この脚本を大資本で作っても、 このスピード感、臨場感、笑い、そして感動が伝わるかどうか。 映画はお金ではありませんね。ほんとうにそうです。情熱です。 ただしかし、おすすめかどうかは別の話。 ゾンビランドサガ ロメロ ポージングぬいぐるみ

  • 映画『カメラを止めるな!』感想&あらすじ/おすすめ度 ★★★☆☆

    どうしてこんな映画が誕生したのか? それは映画を愛する人がいたから。 作り手の人たちが映画を愛していたから。そして観客もみんな映画を愛しているからです。 カメラを止めるな! あらすじ 前半は劇中劇の公開生放送の設定の「ゾンビドラマ」が展開します。そのあとその疑似メイキングフィルムという形の物語がはじまります。 ゾンビドラマ:過去に日本軍が人間を蘇られていたという伝説のある廃墟でゾンビものの映画が作られているが、 スタッフがそのうちゾンビ化する‥という展開。 メイキング:公開生放送なので、トラブル続出。スタッフが腰痛になり、主要な俳優が交通事故で来なかったり、 突然性格が豹変した女優が合気道で暴れだしたり、それでもなんとかドラマは進む・・。 感想 低予算で作られたB級娯楽映画、というくくりだったはずなのに、口コミで評判になり、30億円を超える大ヒット。 超ロングラン上映を経て、もうテレビで放映されました。先日の「リップヴァンウィンクルの花嫁」とは対照的に、 勢いでガーッと作られたような映画。でもこれもほんとうにいい娯楽作品です。 作り手が、こういうものを作りたい、という思いが、そのまま力になって観客に押し寄せてくるような、そんな映画。音楽もとっても良かったです。 予告編の印象とはまったく裏腹に、あんな血みどろの汚い人たちなのに、最後は感動してしまいます。 お金がかかった映画もそれなりに満足できますが、それだけではないですね。この脚本を大資本で作っても、 このスピード感、臨場感、笑い、そして感動が伝わるかどうか。 映画はお金ではありませんね。ほんとうにそうです。情熱です。 ただしかし、おすすめかどうかは別の話。 ゾンビランドサガ ロメロ ポージングぬいぐるみ

  • 映画『スペース・カウボーイ』感想&あらすじ/おすすめ度 ★★★☆☆

    「運び屋」が良かったので、昔のもう少し若いイーストウッドが見たいと思い、これなら少しは若いかな、選んだのがこれ。2000年の作品ですが、若いと言ってもやっぱりおじいさんでした。 スペース カウボーイ(字幕版) あらすじ フランクはアメリカ空軍のメンバーとして宇宙に行く最初の人になるはずだった。しかし新設されたNASAが選んだのはチンパンジーだった。以後、第一線を退いたフランクは技術者として職務を全うし、今は妻とのんびり過ごしている。 しかしあるときロシアの通信衛星が故障し、その軌道システムがフランクが開発した物だと判明。しかも放っておくと地球に落下し甚大な被害となるというロシア側の申し出に、通信衛星の修理にフランクにかかわるようNASAが働きかける。 しかしフランクは協力する条件として、昔の空軍メンバーを集めて自分たちを宇宙に行かせるようにと迫る。NASAとロシアにはその条件をのんでまでも修理しなくてはならない理由があった・・。 感想 非常に楽しい映画、と言っていいでしょう。テンポが良く笑えるところもあり、最後は泣けて、娯楽映画の決定版です。 楽しい映画で、特撮も素晴らしいし、ストーリーもまあ良いのですが、なんとなくB級映画っぽい感が否めません。 フランクのチームのおじいさんたち以外、話の分かる若い男がいないからかな?1人ぐらいNASAの飛行士で話も分かり仕事ができる人物を設定しておくことで、もう少し奥行きが出たように思います。 このあと幾多の映画を作ったイーストウッド監督ですが、「運び屋」では「スペース・カウボーイ」の修正点がすべて補われ、完璧に仕上がっています。地味な題材ではあっても、私は集大成ではないかと思っています。 ベビーフード「manma 四季の離乳食」(6個セット【7か月】)

  • 映画『リップヴァンウィンクルの花嫁』感想&あらすじ/おすすめ度 ★★★☆☆

    岩井俊二監督が、黒木華をイメージして書き下ろした作品です。確かに全編黒木華のPVみたい。 リップヴァンウィンクルの花嫁【劇場版】 リップヴァンウィンクルとは、1820年のアメリカの短編小説の主人公で、浦島太郎みたいな話のようです。時代遅れの人、眠ってばかりの人、という慣用句にもなっているそうです。 あらすじ 七海は派遣教師だったが、ある時ネットで知り合った男性と結婚することになる。しかしその結婚は一瞬で破綻し、七海はアルバイトをしてなんとなく生きている。 そんなとき結婚式のニセ家族をなんでも屋の安室からの斡旋で引き受けた七海は、女優をやっているという真白と意気投合する。七海はそのあと安室から大豪邸の掃除を100万円で頼まれるが、そこには真白がいた。真白の本業はAV嬢。いつも寝てばかりの真白だったが、明るい性格で正反対の七海とはなぜか気が合うのだった。 感想 不思議な話、と一口に言ってしまうと、価値のない話のように聞こえますが、そうではありません。黒木華のかわいらしさと透明感を十分に引き出した映像ですが、話の根本はとても重いものでした。 ヒューマンドラマはいつも、人が生きていくことの大変さ、重さを伝えて、感動を誘います。「リップヴァンウィンクルの花嫁」も生きていくことって何だろう、と問いかけます。 ネタバレはしませんが、この話は、生と死を問いかけていますので、ぼんやりと見てはいけません。いつしか引き込まれていることに気づくでしょう。それだけ黒木華がうまいということもあります。 真白役のCOCCOさんは、適役ですが、適役過ぎて本人そのものとしか見えないです。 安室ゆきます、というふざけた役名の綾野剛は、彼のカメレオン俳優である悪か善かわからない雰囲気をたっぷり楽しめます。ただ私はもう少し台本に踏み込んで、どこかに彼自身を滲み出してほしかった。 綾野剛は何でもできる俳優さんですが、どんな役をやっても綾野剛自身が見えてこない。何をやっても人間味がないのは、つまらなさにつながります。 さて、映画はこうなるだろうな、というエンディングを迎えます。そして、なんだやっぱりこうなるのか、まあよかったな。と思って終わります。ラストの引きの絵の、黒木華のほほえみでなんか救われた気持ちになります。 毒蛸謹製 ミドルワレット TYPE-W レッドスカーフェイス

  • 映画『ファイト・クラブ』感想&あらすじ/おすすめ度 ★★★★☆

    1999年 デビット・フィンチャー監督。難解で暴力的で、そして優れた映画です。余韻を残し、しばらくは映画のシーンが脳裏に蘇り、「あのシーンの意味は・・」と考えてしまいます。 「セブン」や「ドラゴン・タトゥーの女」の監督ですから、単純な映画は作らないですね。 Fight Club (字幕版) あらすじ 物語の主人公の「僕」は普通のサラリーマン。最近不眠症で悩んでいる。がん患者の会に出席して一緒に泣くことでなぜかよく眠ることができる。しかし最近同じように健康なのに病人の会に参加する女マーラがいて、それ以来よく眠れない。 そんなある日僕は飛行機の中でタイラーという男に出会う。その男は自分と正反対の性格だった。ユーモアと機知にあふれ、そして危険な男だった。 その日帰ってみると自分の部屋が爆破され大騒ぎになっていた。しかたなく僕はタイラーに電話をかけ、彼が住む廃屋で一緒に暮らすことになる。なぜかマーラも電話をしてきて、奥手な自分ではなくタイラーと付き合い始めた。 タイラーは夜の酒場で男たちを誘い、1対1で殴り合う「ファイト・クラブ」をつくる。僕もそれにのめりこみ、不眠を感じることはなかった。タイラーはクラブをどんどん大きくし、やがて反社会的な組織になっていった・・。 感想 偶然にもこのあとに起こった同時多発テロとの類似によって、この作品と原作が注目を浴びることになったようです。 思ったよりミステリー色の高いストーリーで、ええ?という展開になります。うまく伏線をからめ、またこれでもかという暴力の迫力で、観客をじょうずに誘導しました。 暴力シーンがある作品に迫力があるとは思いませんが、フィンチャー監督の演出は、ただ血が流れているというだけでドキドキするような、そんな作り方です。サスペンス作品を怖く作る第一人者です。 ネタバレはいっさいしませんので一度ご覧ください。 主演のエドワード・ノートンは素晴らしいです。そしてブラッド・ピットは彼の作品の中でおそらくもっともハマり役です。見ればわかりますが、理由があります。 2019年3月現在、アマゾンプライム特典で無料です。 HEMNES チェスト(引き出し×8), ホワイト 003.556.99

  • 映画『ドラゴン・タトゥーの女』感想&あらすじ/おすすめ度★★★☆☆

    ものすごくよくできてる映画なんです。ただ、「ここ要る?」というシーンが多くて。だから賛否両論なんでしょうね。 ドラゴン・タトゥーの女 (字幕版) あらすじ 記者のミカエルは大物武器密売人をスクープしたが、名誉棄損で訴えられ敗訴し全財産を失った。失意のどん底のミカエルに、別の大物実業家から仕事の依頼が来る。それは40年前に行方不明になった姪である16歳の少女を探すこと。そうして財産家の一族の秘密を解き明かしてほしいという依頼だった。 ミカエルはスウェーデンにある孤島の街に滞在し、依頼された謎を解き明かすべく仕事に着手する。助手として紹介された、ドラゴンのタトゥーを入れた女リスベットは複雑な過去をもつが、ハッカーの能力と卓越した記憶力で、事件の謎にミカエルとともに迫っていく・・。 感想 スウェーデンの作家の、スティーグ・ラーソンによるミレニアム三部作は彼の死後出版され、大ベストセラーとなりました。 この映画はスウェーデン版の「ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女」に続いて、ハリウッド版の映画化作品です。 このドラゴン・タトゥーの女を演じているのはルーニー・マーラ。キャロルやソーシャル・ネットワークに出ている可愛い人。でもこの映画では全身にピアスを開け、眉を剃り、タトゥーを入れたハッカーの役をぶっとんで熱演。まったく女優魂がすごい人です。 それに引き換え、いつも007でめちゃ強い役をやっているダニエル・グレイグさんは、最初からちょっと情けない役です。拷問されちゃったりもします。それはまあ逆に面白いですが。 このシーンって必要かな?という、まあ前半の長く感じること。かと言って面白くなくはない。実に面白いんです。エキセントリックなタトゥーの女のことも、すごいインパクトを残します。 見終わったあとも、美しい、押さえた色調の画面が脳裏に残り、疲れたと同時に満足はします。ただ、点数をつけると、どうしても星の数が増えません。それは見た人がみなさんそのようです。点数って何なのでしょう。 だからやっぱり、点数には左右されてはいけない、とは思います。だから見てよかったな、ただし夜中に見たので失敗だったな、トイレに行けなくなっちゃった、と思います。 ですが、おすすめはどうなのか、というと。この映画をおすすめするのは、いかがなものか・・というところに落ち着くのです。

  • 映画『運び屋』感想&あらすじ/ん、いい。おすすめ度★★★★★

    クリント・イーストウッド監督は、面白くない映画は作らないようです。 【映画パンフレット】運び屋 監督 クリント・イーストウッド キャスト クリント・イーストウッド あらすじ アールは「デイリリー」という花を育てる仕事をしていたが、仕事に打ち込むあまり、家庭をないがしろにしてきた。90歳になって事業はうまくいかなくなり、家族とも離れてしまっている。 そんなある日、男に声をかけられアールは荷物を運ぶだけという仕事を請け負う。長い距離ではあるが、ある場所に荷物を届けただけで、大金の報酬を得ることができた。 その金で孫娘の結婚式に金を出し、疎遠になっていた家族と少しでも近づけた。 アールはその後数回、荷物を運んで報酬を得た。そしてあるとき荷物の中身を見てしまう。中身は大量のコカインだった・・。 感想 実際に起きた87歳の運び屋の事件をもとに脚色されています。クリント・イーストウッドがはまり役でした。 予告編は見ていましたが、なんとなくあまり期待できない気がして、どうしようかなと思いながら映画館へ。でも本編は予告編とは全く違いました。素晴らしい作品です。 脚本がとても良くて、テンポよく飽きさせない展開です。イーストウッドの演技もしっかりしています。88歳は88歳なのですが、気骨あるユーモアたっぷりの天然おじいさんを、とてもうまく演じています。麻薬組織の悪人たちを、極悪人に描いてないのもうまい。 またお得意の、ブツブツ切る編集が、なんと心地よいこと。あの雑なところがたまらなく娯楽映画らしくて快感です。だって映画は芸術である前に娯楽なんだから。 ブラッドリー・クーパーも実にいい仕事をしていました。体もすっきり絞って、銃の扱いや身のこなしもセリフもかっこいい捜査官です。 イーストウッドとレストランで会話するシーンは、2人のサシの勝負という感じで、緊張感がありました。イーストウッドはさすがの貫禄。クーパーもなかなかいい演技で応酬。でも緊張しているのが画面から伝わってきました。 ここからネタバレ クライマックスで捜査のヘリに追われるアール(イーストウッド)が、ヘリを見上げる厳しい表情は、一瞬、ダーティ・ハリーに見えました。さすが元祖アクションスターであります。 ASPENSPORT ボストンバッグ メンズ 防水 ダッフルバッグ 大容量 ドラムバッグ ビジネス トラベルバッグ スポーツ

  • 映画『パッセンジャー』感想&あらすじ/おすすめ度★★★☆☆

    ほんとは3.5ぐらい。批評家の点数はあんまりのようですが、私は好きです。 パッセンジャー (字幕版) あらすじ 5000人の宇宙移民をのせた巨大宇宙船アバロン。あるとき小惑星軍の衝突でシステムが狂い、エンジニアのジムが冬眠ポッドから目覚めてしまった。 しかしアバロンが目的の星に到着するのは90年後。もう一度冬眠するすべもない。話す相手はアンドロイドのアーサーだけ。絶望の中ジムは1年間なんとか生きていたが、時に自殺を考えるほど追い込まれていた。 しかしあるときポッドの中で眠る、理想の美女を見つけるジム。オーロラというその女性について調べるうちに本当に恋をしてしまう。迷いに迷い、葛藤した末に、彼女のポッドを壊し、眠りから覚ましてしまった。 オーロラは事態を把握し、絶望しながらも、次第にジムに惹かれていく。2人は恋に落ち、ジムがプロポーズしようとしたとき、アンドロイドのアーサーがオーロラに告げてしまう。オーロラの目を覚まさせたのは、ジムだということを・・。 感想 この映画の主題は、究極の愛だと思います。つまり、相手を独占して自分のものにしたい、という利己主義な考えこそが愛そのものではないかと。 SFなのに、科学的におかしい、と言われて評価が低いこの映画ですが、描きたかったのはそこではなく「愛」のみだったのでは。極限状態に2人を置くには、遠い宇宙の真ん中しかない、ということではないでしょうか。 そしてオーロラはジムを拒絶し、怒りをあらわにします。でも宇宙船が壊れそうという、もっとたいへんなことが起こり、2人は力を合わせざるを得ません。 若いながらも著名なライターだったオーロラですが、一番大切なものが何か、ということに、極限の中で気づいていきます。 ネタバレ感想 実は一人分だけ冬眠できる装置があるとわかり、ジムはオーロラに冬眠をすすめます。 しかし最後は、2人で生きていくことを選択したオーロラ。ラストシーンではそれが最良の選択であり、幸せな人生だったというオーロラの言葉で終わります。 さあ、でもいかに極限状態だったとはいえ、けっこう簡単に愛に走ってしまったオーロラさん。ジムがハンサムだったから、と言ってしまえばおしまいですが、このラストシーンはどうでしょう。一度は愛を選択しても、何十年の間に心は変化するのではないかしら。

  • 映画『グリーンブック』感想&あらすじ/私たちも有色人種 おすすめ度 ★★★★☆

    第91回アカデミー作品賞を受賞しました。この受賞に対してアメリカ国民は賛否両論だそうです。こういう問題については、単一民族国家である日本に住む私たちには、完全に理解するのはちょっと難しいです。でもただ一つ言えることは、日本人も有色人種であるということです。ですから、あのレストランで食事はできないのです。 グリーンブック~オリジナル・サウンドトラック あらすじ 1962年のアメリカ。ナイトクラブで用心棒をしていたトニーは、有名な黒人ピアニスト、ドン・シャーリーのツアー運転手に雇われる。しかも行先は人種差別が色濃く残る南部の街だと言う。 また保守的なイタリア人のトニーは、黒人に雇われるということに抵抗があった。 しかし2か月間、ツアーで旅をする間に、さまざまな出来事とともにトニーの黒人への偏見の気持ちは消えていく・・。 感想 アメリカにおける人種差別の歴史について、私たちはほんのうわべだけしか知りません。日本人はほんとうにぼんやりした国民です。 私はこの映画に感動し、クライマックスでは涙まで出ましたが、アメリカでは多くの人々がこの映画が作品賞を取ったことにがっかりしていると言う。 映画は万国共通の文化だと思っていましたが、すべてがそうだとは言い難いようですね。 でも一つだけはっきりしていること。それは最初に書いたように、私たち日本人も、62年のあの南部のレストランには入ることができなかった。なぜならジム・クロウ法で白人以外は入ることができない、と決められていたから。 そのことに気づいたとき、この映画の見方が変わります。トニーの立場で見ていたものが、そうではない、私たちもあの南部の農夫たちなのだ・・。 ただの友情物語なら、本当に素敵な映画だった。ドンを演じたマハーシャラ・アリの助演男優賞もほんとうによかった! だけど、人種問題は、日本のふつうの人々には、理解するのが難しい問題です。

  • オスカー像のはなし

    特注限定品 オスカー像 1/1スケール レプリカ 24純金メッキ コレクション品 アカデミー賞を受賞すると、オスカー像が貰えます。オスカーって誰なんでしょう。 ウィキペディアによると諸説あるそうで、「事務局の職員が、"自分のおじさんの、オスカーさんにそっくり"と言ったことから」という説が有力だそうで、ちょっと面白い逸話ですね。 もうあの金色の人物、オスカーという名前がぴったりですね。なんなら「オスカー賞」にしてもいいくらい。 せっかくいただいても、盗まれたりなくしたり、壊しちゃったりした人もいたようで、スピルバーグもこれまで 3体のオスカー像をオークションで落札しているらしく、それだけ出回っているわけで、不届き者が居るようですね。 今年のアカデミー賞。1つの作品に集中することなく、均等にいい作品に与えられた印象です。しかし作品賞「グリーン・ブック」の発表では退席する人もいたとか。それほどに映画というものは、何かを発信し、影響力を持っているツールなのですね。 同じ1,800円を払っても「これは本当にいい作品だった・・」とおつりがくるぐらいの映画もあれば、とちゅうで眠たくなり、「なんか勿体なかったな」と思ってしまうものも。 普通の人は、年に数本しか劇場で映画を見ないと思います。だから絶対に面白いと思う作品を選びたいはずです。 その手掛かりになるのは、映画賞を取ったかどうかです。 ということは「一番権威ある映画賞」は、お金を払って見に行く人のためにあるべきです。 そこのところが、ちょっと忘れられていないか、いつも思うことであります。 ヴェイパー 12 アカデミー HG(ウルフグレー/ライトクリムゾン/ピュアプラチナ/Mシルバー) AH8758-060 060 ウルフグレー/Lクリムゾン 28.0cm

  • 2019年 アカデミー賞発表!

    2019年のアカデミー賞の発表が行われました。見事なまでに大方の予想通りの結末に。今年は人種差別と多様性に焦点が合っていたようです。 作品賞「グリーン・ブック」・・なるほど、ポスターを見ただけで受賞するような気がしていました。 監督賞「ROMA」のアルフォンソ・キュアロン ・・「ゼロ・グラビティ」でも受賞しています。ROMAは外国語映画賞、撮影賞も受賞。 主演男優賞「ボヘミアン・ラプソディ」のラミ・マレック・・これを含めて4部門受賞。ラミさん、良かったね。 主演女優賞「女王陛下のお気に入り」のオリビア・コールマン・・やっぱりね、この人うまいと思った。 今回のアカデミー賞は前評判の高かった、グリーン・ブックとROMAとボヘミアン・ラプソディがちょうどよく分けましたね。 中でもボヘミアンは4部門。しかも主演男優賞も。ROMAはカンヌ映画祭のグランプリ作品ですので、早く見てみたいです。 グリーン・ブックはアメリカではなぜか賛否両論みたいです。 歌曲賞にガガさんの曲が入ったのは、ショーの演出上のことかしら。 ところでファースト・マンは視覚効果賞のみ。どうしてかな、すごい良かったのに。 意外にブラック・パンサーが健闘。どんな衣装か見てみたくなりました。 日本の2作品の入り込むすき間はありませんでしたね。

  • 映画『女王陛下のお気に入り』感想&あらすじ/おすすめ度 ★★★★☆

    原題:The Favourite 日本では2019年2月のアカデミー賞発表直前に公開されました。どの批評サイトを見ても絶賛されており、一般の方たちのレビューも概ね「傑作!」と褒めたたえています。 あらすじ 18世紀のイギリス。フランス王国との戦争が続き、国は疲弊していた。女王のアン(オリヴィア・コールマン)は病弱で頼りなく、国王としての仕事も長年の側近のマールバラ侯爵夫人サラ(レイチェル・ワイズ)の助けがなければ務めることができない。アンはすべてのことをサラに頼っているのだった。 ある日アビゲイル(エマ・ストーン)という没落した貴族の娘が下女として城に雇われる。アビゲイルは汚い女中部屋に寝起きするが、いつか昔のような貴族の生活に戻ることを心に秘めていた。 目的のためなら手段を択ばないアビゲイル。馬で城を抜け出し薬草を摘み、痛風で苦しむ女王の寝所に忍び込み、足に薬草を塗るのだった。下女が女王の寝所に入るなどありえないことだったが、「痛みが薄らいだ」という女王の言葉で、アビゲイルは女王のそばに取り立てられ、部屋も与えられる。 そうしてどんどん女王に近づくアビゲイルを、サラは疎ましく思い、追い出そうとする。政治にまで影響力のあるサラだったが、アビゲイルは巧妙にアン女王に取り入っていくのだった・・。 感想 アン王女、サラ、アビゲイルの3人の女優がとにかくすごい。エマ・ストーンの眼はどうしてあんなに鋭いのでしょう。レイチェル・ワイズとの静かだけど激しい戦い。 そしてアン王女を演じたオリヴィア・コールマンの「どこまで引き出しがあるの!?」という演技力。不摂生がたたり痛風や胃病に苦しみ、また精神的にも不安定な人物像を圧倒的な存在感に作り上げました。そしてその演技には余裕があるのです。実に素晴らしいです。 また宮殿の中の設えや、衣装、光の使い方などがとてもおしゃれで凝っています。そういう細部にこだわった画面を見ると、なぜか安心します。なぜだろう、この映画はちゃんと手が込んでるぞって思うからでしょうか。 それにしても、英国の王女をあのようにアホな人に描いて大丈夫なんでしょうかね。 ところで、あのエンディングを、見た方はどう解釈したのでしょうか。 ちょっとよくわからない終わり方だと思ったのですが、でもそういう終わり方の作品のほうが、よく映画賞を取る気がしますね。 薬草のちから:

  • 映画『ミリオンダラー・ベイビー』感想&あらすじ/私にとっては怖い映画でした。おすすめ度は★★☆☆☆

    2004年 クリント・イーストウッド監督 アカデミー作品賞・監督賞受賞。ヒラリー・スワンクは主演女優賞を受賞しました。 あらすじ 貧しい家で育ち、死んだ父親以外の家族から愛情を受けていなかった孤独な女性マギー(ヒラリー・スワンク)。プロボクサーとしての成功を目指し、ジムを経営するフランキー・ダン(クリント・イーストウッド)のもとにやってきた。 過去にチャンピオンを何人も育てたダンだが、マギーがトレーナーになって欲しいと頼んでも、「女はお断りだ」と最初は拒絶する。しかし旧友でもとボクサーのエディ(モーガン・フリーマン)はマギーの素質を見抜き、フランキーを説得する。 最初は気が進まないフランキーだったが、ボクシングに真摯に取り組み力をつけていくマギーにフランキーもだんだん真剣になっていく。そして連勝をかさねていくマギー。 賞金をためて母親に家を購入したが、逆に迷惑がられてしまうのを見てフランキーは慰めの言葉をかける。フランキー自身も過去に自分の娘と何かの出来事で音信不通となっていた。そうしてフランキーとマギーは子弟を超えた、親子のような愛情で結ばれていくのだった・・。 感想 とちゅうまではよくできたボクシング成功物語かな、と思っていましたが、1/3のところで話が大きく展開します。 そしてそのあとの結末をめぐって、さまざまな立場の人たちによって大論争となりました。 それでもこの映画はアカデミー作品賞・監督賞を受賞します。よくこの作品を選んだなあ、とアカデミーの人たちの勇気に感心します。 確かによくできている、崇高な映画なのですが、いったいこの結末はどう考えたらいいのでしょう・・。イーストウッド監督が私たちに投げかけたかったことは、それは非常に重い重い主題であります。考えれば考えるほど、ちょっと怖くなってきます。 私が映画を見る意味は、日常の生活から少しの間逃避して、精神的にリラックスをするためですので、こんなに見た後で心が重くなっては元も子もないのです。そういうわけで、この映画のおすすめ度は★2つにさせていただきました。 良い映画なのは間違いないです。心が重くなってもいい、という人はどうぞご覧ください。

  • 映画『ファースト・マン』感想&あらすじ/実に淡々と、そして迫力ある再現に圧倒されました ★4.0

    2018年 デイミアン・チャゼル監督。ライアン・コズリング主演。ニール・アームストロングがアポロ11号で月に向かい、月面を歩いた最初の人となるまでを描きました。 あらすじ 1961年から始まったアメリカの有人宇宙飛行の計画。ニールは長女を脳腫瘍で失い失意の中で、宇宙飛行士に応募する。海軍では経験豊富で冷静なパイロットだったニールは飛行士に採用される。 しかし、アメリカのミッションは次々に失敗し、ソビエト(ロシア)に大きく差をつけられていた。ニールの同僚の飛行士も非業の死を遂げていく。妻のジャネットはニールを理解しながらも、心の中では落ち着くことができないでいた。 ようやくアポロ計画が動き出し、成功を収めていく。そして、ニールは月着陸船を搭載したアポロ11号の船長として飛び立つことになる・・。 感想 デミアン監督の前作「ラ・ラ・ランド」とはまったく違った作品となったファースト・マン。迫力ある映像と音響で、宇宙船が飛び立つところや、不測の事態のシーンは見ているだけなのに、酔ってしまいそうです。 どこか「ダンケルク」を連想させる無機質なドラマ。でも確実に効果的な作り方です。60年代に行って帰ってきたような気になります。音楽も実に素晴らしかったです。 ライアン・コズリングはあまり器用な役者さんではないのかなと思っていましたが、この型の芸風はこうなんですね。さりげなく溶け込む。容姿が目立つので演技で主張する必要が無いとも言えます。この作品ではうまくいっていると思います。 それにしても共演の俳優さんたち、全員上手い。熱量が高い。中でも奥さん役のクレア・フォイは凄い迫力で、後ずさりしてしまいそう。(できないけど) アポロ計画はソビエトに対抗するため、アメリカの威信をかけて進められました。そして月に着陸することができました。多くの犠牲を払って。 ニール・アームストロングは月に娘の形見のブレスレットを残し、実はここに来る目的がこれだったというように安らかな表情を見せます。この場面が事実かどうかはわかりませんが、ニールさんが無事に月に行けてまた帰ってこられたのは、亡くなった娘さんの魂のおかげかもしれない。そんな気がします。

  • 映画『レディー・バード』感想&あらすじ/17歳が主人公の素晴らしい作品 ★4.0

    2017年、もっとも世界で絶賛された映画です。しかし日本ではあまり評判になりませんでした。この国はアメコミ映画やティーン恋愛映画の上映で忙しいようです。 この作品はゴールデングローブ賞など、いろんな賞を受賞しましたが、残念ながらアカデミー賞はノミネートのみでした。 あらすじ サクラメントで家族4人で暮らす17歳のクリスティンは、自分のことを「レディー・バード」と名乗っている。事あるごとに母親に説教され、ニューヨークの大学に行きたいと言っても反対されている。それでも親友や恋人とのハイスクールでの生活はいろいろ充実していた。 父親はインテリだったが、勤め先を解雇され、家計は火の車。何かにつけて節約するように母親に注意される毎日。精神科医として仕事と家事を立派にこなす母親を、クリスティンはほんとうは尊敬しながらも、対立してしまう毎日。自分の家がある場所を「スラム」と表現し、親友や恋人とも心がすれ違う出来事があり、クリスティンの心は閉塞感に満ちていた・・。 感想 このような日々が自分にも少しあったかな、と誰もが思う、ほろ苦い青春時代のお話。お母さんと喧嘩ばっかりだとか、そうでなければお父さんと口を利かなかったとか、そういう時ってありますよね。 そんな毎日が、ユーモアも交えてとてもテンポよく展開します。いろいろあっても、自分の意思をしっかり持っているレディー・バード(クリスティン)。鳥のように飛び立ちたい、ということだったのか、名前の由来は特に出てきませんが、このタイトルからは若い女性が羽ばたこうとする姿を連想できます。 決して暗い映画ではなく、淡々と毎日が描かれている話なのですが、そのテンポがとても軽快で、小気味よく進むので、クライマックスまで息つく間もなく進みます。 思い起こせば、自分はこれほど自分の意思を表に出せないタイプだったので、この時代に戻ってこんなふうに生きてみたい、とあこがれてしまいます。 実は自分が母親に口うるさく管理されていたので、子供たちにはそういう思いをさせまいと放任主義でした。しかしそれはそれで親子の関係が希薄になったかな、と感じています。 雨が降って地が固まるような、そういうことってやっぱりあるような気がします。とにかく会話すること。これはとても大切なことだと思います。

  • 映画『ジャッジ 裁かれる判事』感想&あらすじ/いい映画です。邦題がセンス無いなあ。★3.8

    見ごたえのある映画。こころに残ります。アメリカでの評判はあまり良くなかったそうですが、いったいどこの誰の評判なのだろう? 2014年 原題:The Judge ロバート・ダウニー・Jrが珍しく硬派な作品に出ています。 しかし何といっても父親役のロバート・デュバルの好演が光ります。 あらすじ 弁護士のヘンリーは亡くなった母の葬式に出るために故郷へ帰り、久しぶりに兄弟や、判事をしている父親ジョセフと再会した。若い頃父親には反抗的だったヘンリー。自分のせいでスポーツ選手をあきらめざるを得なかった兄のこともあり、実家とは疎遠になっていた。 葬式の後、父親のジョセフは車で買い物に出かける。翌朝、車に傷が付いているのをヘンリーは発見した。 そのあとジョセフはひき逃げの罪で逮捕される。亡くなったのは、かつてジョセフが判事として関わったマークだった。 マークは16歳少女の殺人未遂をおかしたが、ジョセフは温情ある判決を下していた。しかし直後にマークはまた罪を犯しており、ジョセフはその判決をずっと悔やんでいた。 感想(ネタバレ) ロバート・デュバルはこの演技でアカデミー助演男優賞にノミネートされています。 町でみんなから尊敬されている判事のジョセフ。しかし末期ガンに侵され、薬のせいで記憶が曖昧になっています。それでも判事として人々の信頼を裏切りたくないので、そのことは秘密にしてほしいと弁護士の息子に頼みます。 薬でぼんやりしながらも、何かを隠しているジョセフは、裁判で「記憶があいまいだ」と主張するのですが、 最後には、なぜ昔マークにそういう判決を下したのか、ということについて自分の心情を吐露します。 それを聞いたヘンリーの驚きと、ジョセフのなんとも言えない表情。 さすがロバート・デュパル、深みのある演技です。 評論家には絶賛されたそうですが、一般の人には「平凡なストーリー」だとの評価だったそうですが、世界を悪から救う話じゃないと満足しないのでしょうかね・・。 じっくりと感動できて、アメリカの田舎の美しい風景とともに心に残る作品となりました。 なぜこういう映画がヒットしないのだろう。

  • 『未来のミライ』アニー賞長編インディペンデント作品賞受賞!

    細田守監督の「未来のミライ」が、アメリカのアニメのアカデミー賞とも言われる、アニー賞の長編インディペンデント作品賞を受賞しました。 何が?どこがいいんだ?と最初思いましたが、そうか!と次の瞬間納得。 つまり、外国のひとが見るときは、吹き替えが違うんです。日本語じゃない。 あの、映画館で耳にキーキー響く声じゃないということ。 「スキクナイ、スキクナイ」としつこくミライちゃんが繰り返していた言葉も、訳されて別の言語です。だからだ。 そう、決して悪くはないとは前にも言いました。↓ と、このようにあの吹き替えのキーキーした声質の吹き替えのせいで、映画の評価が冷静にできなくなっています。 ネットでは「不快」とさえ言っている人がいました。ちょっと気持ちがわかります。でもそれは上白石萌歌さんのせいではないでしょう。作った人たちのせいですね。 というわけで、「未来のミライ」は、言語の違う国では評価されるということになったようです。 それならたとえば、別の国の人が吹き替えした版を字幕で見てみたいですね。そうすれば私も落ち着いて評価ができるかもしれません。

  • 映画『ウィンストン・チャーチル ヒトラーから世界を救った男』感想&あらすじ/主役の熱演がこの映画のすべてです ★3.8

    2017年 原題:Darkest Hour もっとも暗い時が夜明けの始まり、ということわざがあるようです。ゲイリー・オールドマンの見事な変身ぶり、スタイリッシュで陰影の美しい画面、たたみかけるスピーディな展開で、格調高い戦争映画となっています。しかしもはや第二次世界大戦は遠い昔の話ですね。 あらすじ ナチスドイツによってフランスが陥落寸前の1940年5月、イギリス本土にもナチスの侵略の脅威が迫っていた。首相に指名されたチャーチルは、議会では四面楚歌、国王にも信頼を得られていなかった。 さらにフランスのダンケルクでドイツ軍に包囲されたイギリス軍の撤退をめぐり、戦時内閣は紛糾。ヒトラーとの和平交渉を主張する対立議員の意見に内閣は傾いていくが、チャーチルはヒトラーとの和平などまったく考えることはできなかった。 感想 ゲイリー・オールドマンはこの作品でアカデミー賞主演男優賞を受賞しました。確かにものすごい熱演です。チャーチルが和平ではなくナチスドイツとの徹底抗戦をすべきだと説く大演説のシーンは圧巻です。 また完璧な特殊メイクを施した、日本人メイクアップアーチストの辻さんらがメイクアップ&ヘアスタイリング賞を受賞しました。 こんなに戦争のことを、きれいな画面で描いていいのかな、と思うぐらい、戦闘シーンが最小限な映画。ただ、チャーチルの人間性はよーく伝わってきます。 ほんとによく研究していて、歩き方や話し方、葉巻の吸い方やニコッと笑う口元とか、おそらく現存する動画をものすごく見て研究したんだろうなと伝わってきます。この熱意がセリフにも反映し、演説がこちらの胸にも響いてきました。演技賞を取る演技というのは、まさにこのようなものだ、というバイブルのようです。 連合国を勝利に導いたのはチャーチルの決断だ、というように描かれていますが、当時実際にそうだったかどうかは別として、映画として盛り上げ方がたいへんうまく、こちらもイギリス国民になったように、なんだか興奮してくるから不思議です。 この映画を見てから、「ダンケルク」を見るんだったなあ、と思います。カレーという都市がどんな意味を持つのか。ダンケルクの撤退とはいったいなんだったのか、ようやくわかりました。 ただひとつ、国王がチャーチルの意見に傾いていくプロセスが不鮮明です。実際によくわからないのでしょうが、

  • 映画『マスカレード・ホテル』感想&あらすじ/なんじゃこりゃーとまでは言いませんが・・ ★3.3

    2019年 鈴木雅之監督 東野圭吾原作 木村拓哉・長澤まさみ主演 なんともおおげさな作品でした。 あらすじ 3件の殺人事件がおこり、それぞれの事件はまったく関係ないと思われたが、犯行現場に残された数字の暗号を刑事の新田(木村拓哉)が解読したことで、連続殺人と判明する。しかも4件目の事件は豪華ホテルの「コルテシア東京」で起きること が暗示されていた 。 新田たちはホテルの従業員として潜入捜査を開始する。しかし、フロント係として潜入した新田の教育係の山岸(長澤まさみ)は、とにかくお客様を第一に考える、という考えで、人を疑うのが仕事の新田とは反りが会わない・・。 感想 この、2人の主人公が気が合わないという話は、ありがちですが話を面白くする典型です。ですが、なんかこのシーン長い。隣にすわっている連れの様子を見たら、案の定、途中で寝てました。 東野圭吾、木村拓哉、フジテレビ、この組み合わせはなんとなく一昔前だなぁと思っていましたが、やっぱりそうでした。 いくつもの逸話と、本筋の殺人事件からなる物語、どう作っても面白くなるとしか思えないですが、なんか雑。2人の主人公の絵面に頼ってる感じでしたが、そこまで力を持ってるわけじゃない。いつしか飽きます。 スピード感が無い。 長い。 テレビドラマのスペシャルなら良い出来と言えますが、大作映画ですから・・ あ、大作じゃないですか? 音楽が異常に荘厳なので、勘違いしました。しかも繰り返し流れて、しまいには「うるさいなあ」とさえ思いました。 犯人についても、もう少し意外な登場のさせ方があったでしょうに、すべてがうまくいってないままだという印象受けます。 せっかくこんなにお金をかけたのに、とお金を出してもいないのにもったいない気持ちになる映画です。 木村拓哉はいろいろ言われていますが、ふつうにいい俳優さんです。だからこそ、特別扱いの映し方じゃなく、そこに自然にいるだけでオーラがあるのだから、画面の真ん中ばかりにいる必要はありません。

  • 映画『ソルト』感想&あらすじ/痛快娯楽スパイ映画の決定版 ★3.6

    2010年 フィリップ・ノイス監督 アンジー主演でシリーズ化してほしかったです。 あらすじ イブリン・ソルト(アンジェリーナ・ジョリー)は、接近戦を得意とし、爆薬の知識が豊富な凄腕のCIA諜報員。あるときロシアからの亡命者オルロフを尋問中に、彼が放った一言「イブリン・ソルトは二重スパイだ。」によって 当局に追われる身となる。 しかしイブリンは素早い洞察力で無数の追っ手を振り切り、なんとか自宅に戻るが、彼女の夫は拉致されていた。 そしてそれからのソルトの動きは、何故かたまたまアメリカ副大統領の葬儀で来日中のロシア大統領を狙うように、追っ手を振り切り葬儀会場に向かう、不可解なものだった・・。 感想 「やはりそうだったのね」、のあとに「ええ?そうだったのね」となる、スパイ映画の鉄板の展開。 アンジーも元気で格闘技を披露し、美しい。 娯楽映画の楽しめる要素が全部そろった作品。シリーズ化したらよかったのになあ、と思いました。 アンジー以外ではこの役はやってほしくないし、ソルトはアンジーそのものです。アクションができて、美しい謎の女になれる、なかなかいない女優さんです。 映画は最初から最後までノンストップで、余計なことを考えず、終わってからも何も考えなくていい、本当の娯楽作品。 もやもやした時に見ると、さっぱりするんじゃないでしょうか。 いやなことがあった日にお勧めのアクション映画です。

  • 映画『耳をすませば』感想&あらすじ/天才近藤喜文さんの唯一の監督作品 ★4.0

    1995年公開 近藤喜文監督 近藤さんは、火垂るの墓、魔女の宅急便、おもいでぽろぽろ、もののけ姫の作画監督としてスタジオジブリの黄金期をささえました。この作品を発表して2年半後に急逝。監督として生み出した唯一の作品となりました。 あらすじ 中学3年の月島雫は家族とともに東京郊外の坂の多い街に暮らしていた。読書好きの雫は、図書カードに毎回自分よりも前にその本を読んでいる人物「天沢聖司」という名前に気付き、まだ見ぬ相手にあこがれていた。 そんなある日、「カントリーロード」という曲の和訳の詩を自分で作っていた雫は、偶然詩を読まれてしまった別のクラスの男子に「これはやめたほうがいいよ」とからかわれ、「いやなやつ!」と怒る。 夏休みになり、雫は図書館に行く途中の電車で不思議な雰囲気の大きな猫に出会う。雫と同じ駅で降りた猫を追いかけて行くと、住宅街の中にぽつんとある「地球屋」という古道具屋に入って行った。店の主人にからくり時計や男爵の姿をした猫の人形「バロン」を見せてもらう雫。 すっかりうちとけ、また地球屋を訪れるのだが、なぜかそこにはあの男子が。彼は地球屋の主人の孫で、あの天沢聖司なのだった。 感想 前半の雫の友達たちとの会話や、クラスの男の子からの告白など、実に懐かしく可愛いな、と思います。原作では中学1年で、映画では中学3年なので、この差は大きく、自分と照らし合わせても会話が子供っぽいなと思いますが、ここは仕方が無いのでしょう。 中学生ですでに自分の将来を決めている天沢聖司くんや、勉強そっちのけになっている雫を理解する親など、自分の中学生時代と比べたら、なんて羨ましい設定だろう、と思います。 電車に乗って父親の勤め先の図書館に通ったり、猫に誘われてすてきな「地球屋」というお店も知り、またそこの店主がやさしくてサンタクロースのような人。 友達や同級生との関わり方も、主人公雫のまっさらでまっすぐな性格も、ああこうだったらどんなに良かっただろう、と思えることばかり。 最後もハッピーエンドで、見終わった後に、つまらない自分の悩みをすべてどこかへ持って行ってくれるような、自分がどの年代に見てもそう思えた映画でした。

  • 映画『バックドラフト』感想&あらすじ/あの名曲が頭の中に流れてくる・・ ★4.2

    1991年 ロン・ハワード監督 消防士に焦点を当てているというのが、とても新しかったです。当時としては最先端の視覚効果で度肝を抜きました。ユニバーサル・スタジオのアトラクションでも有名。曲も「料理の鉄人」ですっかりメジャーになりました。 あらすじ 1970年代のシカゴ。子供のブライアンは消防士の父の消化の現場に同行したが、父はそこで同僚をかばい殉職してしまう。 それから20年後、ブライアン(ウイリアム・ボールドウィン)は父の仕事を継いで消防士となった。すでに消防士となって活躍していた兄のスティーブン(カート・ラッセル)が隊長を務めるハードな第17分隊だった。 そのころシカゴではバックドラフト現象を利用して議員の命を狙った連続爆破放火殺人事件が起こっていた。17分隊で必死に訓練を重ねるブライアンだったが、しかし兄のようにはなれない、と思い悩み、そして放火事件などの操作をする火災捜査官への転職を決意する・・。 感想 兄のスティーブン役のカート・ラッセルはアクション俳優として様々な作品で出ていましたが、この役は一番のはまり役でしょう。カート・ラッセルといえば「バックドラフト」です。 また、脇をしっかり固めるロバート・デ・ニーロがまたいい仕事をしています。こういう大物が脇役をやっている映画って、深みと重みが倍増します。 バックドラフトという言葉も今はふつうに使われていますが、この時に初めて世の中に広まったのではないでしょうか。またこの映画の火災シーンの特殊効果はほんとにすごくて、91年当時ですから、びっくりしながら、引き込まれて見たのを憶えています。 音楽がハンス・ジマー。「バックドラフト」って聞いただけで、脳裏に曲が流れてくる。まさに名曲です。このように、題名を聞くと、すぐにテーマ曲と結びつく、ということが今の作品では少なくなっていますね。ハンス・ジマーはこのほかに、「パイレーツ・オブ・カリビアン」など無数の有名作品を手掛けています。

  • 映画『オンリー・ザ・ブレイブ』感想&あらすじ/意外にもすごく良かった、予告編と違って。★3.9

    2018年公開 ジョシュ・ブローリン主演 実際に起きた、アリゾナ州のヤーネルヒル火災での悲劇を題材にしています。 あらすじ アリゾナの地域の消防団を率いるマーシュ。優れた統率力でチームの信頼が厚く、またチームは優秀な消防隊で森林火災の消火に貢献していた。 ある日新人のブレンダンが加入する。ブレンダンは薬物に溺れる最低の生活をしていたが、恋人に子供が生まれたことで、今までの自分を変えようとしていた。 ブレンダンは厳しい訓練になんとかついていき、仲間とも打ち解けていく。 チームは森林消火のエキスパートだったが、しょせん地域の消防団。マーシュはチームを精鋭部隊の「ホット・ショット」に昇格させたいと考えていた・・。 感想(ネタバレ) この映画をスクリーンで見なかったのをとても後悔しています。公式ホームページで出演者の方たちの訓練が大変だった事、火災のシーンの撮影についてなどが出ています。さぞやスクリーンでは火災の消火シーンに迫力があっただろうなと思います。 予告編とは全く違い、意外にも素晴らしい映画でした。へたな予告編というのも、あるんですね。 俳優さんたちも決して派手ではないタイプの方たちが、消防チームのグラニット・マウンテン・ホットショットへの敬意とともに本当に熱演していて、胸に迫るものがありました。 これが日本映画なら、最後に亡くなると誰もがわかっている場合、これでもかとクライマックスを盛り上げるのですが、それをさらりとかわすように流し、逆にそれが悲しみを誘いました。 ただ、ひとつだけ残念なところが。問題は遺体発見前後の数分のシーン。もしかしたら映画館で見ていたら、ちょっと印象が違ったのかもしれないですが、19人を発見するシーンの前後が軽い。 燃える火のすさまじさはあっても、燃え後の「焼け野が原」。そこにあったのはシンプルな黒い平原。ここからラストシーンへの流れが、ここまでの展開と明らかに違って、それはきっと実話なので、いろいろなところに配慮しているのでしょうけど。でもなんとなくもどかしい。 ご遺体を発見したひとの表情が無い。わざと無くしたんだろうけど、日本人はこういうとき、発見者の顔の表情を大事にします。発見する俳優さんを超有名俳優にしたりするほどです。ほんとに惜しいのですが、ここは大事なところのような気がします。

  • 2019年正月映画は見るものがありませんでした。

    私はまったくふつうの主婦で、率直に思ったことをコメントしているのでありますが、映画そのものに関してというより、今回は正月映画全体について。 2019年のお正月映画のラインナップが貧弱すぎて、ふつうの大人にとってはまったくつまらないお正月でした。なぜ「ボヘミアン・ラプソディ」が独り勝ちしているかというと、それは他にろくに見るものがないからです。 ほかのさまざまの映画批評ブログでもそのような意見があるのを目にしました。私もまったく同感です。 お子様向け映画はそれなりに充実しているものの、若い世代~大人の人たちが、お金を出してスクリーンで見ようかという作品が少なすぎです。クリスマス~年末~成人式の連休までは、大作映画や話題の映画でそろえるべきです。 静かに感動する文芸掌編や、二番煎じ三番煎じどころか出がらしになってるシリーズ映画などを、この時期にラインナップしてどうするんですか? まあ、期待されていた「ファンタビ2」の出来がいまひとつだったのと、「アリー」の爆死が影響しているということもあるでしょうが、それにしても「ボヘミアン」がこんなに盛り上がるのは、まともな映画がこれしかないからって気づきませんか。 スクリーンで映画を見ることを選択する人は、面白い映画を見たいと思って来ている人以外いません。簡単なことですが、バイヤーの方が「面白い」とふつうに思う映画を公開してほしいです。 もしくは映画会社の方、映画のラインナップを決める人は、まったくふつうの人にしてください。よろしくおねがいします。

  • 映画『あん』感想&あらすじ/人生とは出会い。時には光が差すような出会いがある。★3.9

    2015年公開。トロント映画祭など数々の映画賞を受賞。カンヌ映画祭「ある視点」部門オープニング上映作品。ドリアン助川の同名小説が原作。 あらすじ 桜の咲き乱れる道にある、小さなどら焼きの店「どら春」。過去のある店長がひっそり営んでいた。 ある日、ひとりの老婆が「アルバイト募集」の張り紙を見て「私でも、雇ってもらえますか」と尋ねてきた。店長は断ったが、老婆は何度も訪ねてくる。そして「これは私が作ったんだけど」と容器に入ったものを差し出す。 一口舐めてみると、それはたとえようも無く美味しい餡子だった。老婆の名は吉井徳江。徳江は病気のため手が曲がって不自由だった。 「どら春」でどら焼きのあんを作ることになった徳江。どら焼きのおいしさに「どら春」は大繁盛する。しかし 徳江の病のことを、「どら春」のオーナーが知ることになる。人々はまだ、ハンセン病という病に対して偏見を抱いているのだった・・。 感想 過去を抱え借金を抱え、どら焼きをなんとなく焼いて生きていた店長の千太郎。お店の常連客で中学生のワカナも家庭の事情を抱えている。そんなふたりが、何十年ものあいだ施設に隔離されて人生を過ごしてきた徳江に出会いました。その後ふたりは、人生に光を見出すことになります。 徳江が過ごしてきた人生は、無理やり隔離されて、自由に生きるということを許されなかった日々。でも徳江の作る「あん」はふくよかな小豆の香りとやさしさに満ちていました。 「治療中のハンセン病患者からは感染しない」ということ。このことを知っている人が今でもどれだけいるでしょう。 その長い抑圧された月日の中で、「あん」をこの上なく美味しく作ることができるようになった徳江。いつも樹々や花に話しかけるように、小豆にも同じように話しかけ、小豆の声を聴くように「あん」を練り上げていく。そんな徳江はほんとうに楽しそうに店で働いていました。しかし結局お店を辞めることになってしまいます。 世間の目から徳江を守れなかった自分を責める千太郎。それでもいつしか千太郎は自分の生きていく道を見つけます。徳江の「あん」を今度は自分が作り続けていくこと。そのとき千太郎の瞳はまっすぐ前を見つめていました。ワカナも徳江の思い出に導かれるように、これからを生きていくことでしょう。

  • 第76回ゴールデン・グローブ賞 『ボヘミアン・ラプソディ』作品賞、ラミ・マレック主演男優賞

    おめでとうございます! 私にとっても2018年でイチオシの映画となったこの作品が、主要2部門も受賞できたことは、本当にうれしい限りです。 ラミ・マレックは授賞式で、「クイーンに感謝します。ブライアン・メイ、あなたに。ロジャー・テイラー、あなたに」と2人に向かってスピーチ。 さらに天国のフレディ・マーキュリーに「これはあなたのため、あなたの賞です、ゴージャス!」と呼びかけました。たしかに彼にはフレディが乗り移っていたかのようでしたね・・。 アメリカのマスコミは「アリー/スター誕生」を候補に挙げていましたが、レディ・ガガに対する熱量の違いなのか、日本ではあまりそういう盛り上がりは無かったように思います。 見た人にはわかりますが、私も「アリー」が賞を取れる作品とは思えませんでした。 実は私個人としては、ロジャー・テイラー役のベン・ハーディが良かった。ハンサムなのももちろんいいのですが、声がとても良い。ちょっとアイドルの素質もあって、ブレイクの予感がします。 最初に「ボヘミアン・ラプソディ」を見てから、ずっと車でクイーンのベストアルバムを聞いています。でもまだ飽きません。ウイーアーザ・チャンピオン~が始まったら、その都度ボリウムを上げます。 こういう人を称して「ミーハー」というのでしょう。応援上映に行きたいなあ・・

  • 映画『ボヘミアン・ラプソディ』感想&あらすじ2/2回目鑑賞、そして号泣。★4.2

    こんなに巷で流行るとは実は思っていませんでした。私はクイーン世代なので、特別な思い入れがあって1回目を見たのですが、昨年見た映画の中で最高傑作となりました。しかし、他の世代の方たちにこれほど支持されるとは。また社会現象にさえなるとは! 感想 気を取り直しもう一度見に行くことに。果たして、ネットの書き込みの通り、1回目よりもっと感動し、号泣します。この映画には不思議な力がありますね。サブリミナル効果にも似た、何か人をひきつけ、心をざわつかせる何かが仕込んであります。 2回目の鑑賞での感動ポイントはやはり「ライブ・エイド」のシーンでしょう。「伝説のチャンピオン」のウィーアーザ・チャンピオン、ウィーアーザ・チャンピオン・・というサビの部分で、嗚咽のようにこみ上げた感動。 映画は作り物で、実際のエピソードとはかなり違っていますが、それはそれで置いといて、やはりいいものはいいです。 各地で応援上映も開催されているようです。世界ではどうなのでしょう。かつてクイーンの人気が日本から始まったように、映画の盛り上がりも日本ならではかもしれないですね。

  • 映画『ボヘミアン・ラプソディ』感想&あらすじ2/2回目鑑賞、そして号泣。★4.2

    こんなに巷で流行るとは実は思っていませんでした。私はクイーン世代なので、特別な思い入れがあって1回目を見たのですが、昨年見た映画の中で最高傑作となりました。しかし、他の世代の方たちにこれほど支持されるとは。また社会現象にさえなるとは! 感想 気を取り直しもう一度見に行くことに。果たして、ネットの書き込みの通り、1回目よりもっと感動し、号泣します。この映画には不思議な力がありますね。サブリミナル効果にも似た、何か人をひきつけ、心をざわつかせる何かが仕込んであります。 2回目の鑑賞での感動ポイントはやはり「ライブ・エイド」のシーンでしょう。「伝説のチャンピオン」のウィーアーザ・チャンピオン、ウィーアーザ・チャンピオン・・というサビの部分で、嗚咽のようにこみ上げた感動。 映画は作り物で、実際のエピソードとはかなり違っていますが、それはそれで置いといて、やはりいいものはいいです。 各地で応援上映も開催されているようです。世界ではどうなのでしょう。かつてクイーンの人気が日本から始まったように、映画の盛り上がりも日本ならではかもしれないですね。

  • 映画『人生フルーツ』感想&あらすじ/全国的に知られていないのかな、こんな素晴らしいドキュメンタリーが ★4.0

    2017年公開 90歳と87歳の建築家ご夫妻の雑木林に囲まれた素敵なお家での暮らしを、淡々と綴ったドキュメンタリー映画。名古屋ではロングラン・ヒットとなりました。 あらすじ 90歳の建築家・津端修一さんは、数々の建築に携わってきました。愛知県春日井市にある高蔵寺ニュータウンもその一つ。しかし高度成長期に計画されたそのニュータウンは、津端さんの理想とする、里山の形を残した街づくりとはかけ離れたものでした。 そのことがずっと心に残っている修一さん。ご夫妻のご自宅は、師であるアントニン・レーモンドの自宅を模して建てられました。住宅街にありながら、家も庭も自然の山にかえるような暮らしを実践するご夫妻。雑木林の中で、畑を作り、木の実を取り、ジャムなど様々な手作りの料理をつくる奥さんの英子さん。 2人の暮らしは、人間の理想の暮らしのように思えます。 感想 お子様たちは独立し、2人で悠々自適な暮らしをしているご夫婦はたくさんおられると思いますが、このように里山の自然の中で、何でも器用に手作りしてしまう英子さんと現役建築家の修一さんのような、こんな素敵なご夫婦は見たことがありませんでした。 若い頃に携わった、高蔵寺ニュータウンのことが今も心に残る修一さん。その高蔵寺ニュータウンの分譲住宅に今も暮らし、そのご自宅を自然の林のように育てていくような暮らし方。あこがれます。 英子さんのつくるジャムはスクリーンから香りがただよってくるようです。こんな風に暮らしてみたいな、と思いながら見ていると、でも最後にはちょっと悲しい展開が。涙なしには見れませんでした。 ナレーションは樹木希林さんが担当しています。希林さんと英子さんはこのあと親交があったようです。 こんな老人になりたい、という人物ってめったにいないのですが、私はこの英子さんのようになれたらいいな、と思います。 その高蔵寺ニュータウンは今は高齢化が進み、過疎のニュータウンになりつつあります。もしかしたら、里山を残さなかったことと関係あるかもしれないですね。

  • 映画『アリー/スター誕生』感想&あらすじ/男女の愛の掘り下げが浅い ★3.6

    2018年 レディー・ガガ主演。ブラッドリー・クーパー監督第一作。「A Star Is Born」の4回目のリメイクです。ひとつ前の1976年バーバラ・ストライサンド版が素晴らしかったのですが、もう憶えている人はほとんどいないでしょう。 あらすじ 人気に陰りが出始めた歌手のジャックは酒浸りの毎日。コンサートにもあまり身が入らない。そんなある日、ふらりと立ち寄ったバーで、歌っているアリーに出合う。その素晴らしい歌声と、アリーの曲を作る才能に、ジャックは自身のコンサートに出ないかと誘う。 かたくなに拒んだアリーだったが、ジャックはアリーに迎えの車をさしむけ、アリーは会場に行くことを承諾。そしてジャックにいざなわれ、ステージに上げられる。しかたなく歌ったアリーだったが、その歌声はコンサート会場に来ている人々を見事に魅了したのであった・・。 感想 4度目の映画化の企画段階で、監督や主演がいろいろ変わったようです。しかしガガさんで良かったのではないでしょうか。アリーがスターへと駆け上ること、歌声が聞く人を魅了すること、大スターに愛されること、この条件をクリアできる女優さんは数少ないことでしょう。 演出面ではどうだったかというと、世界では絶賛されていますが、私は正直そこまででは・・。もう少し男女の愛の機微や、それぞれの心理の変化について掘り下げたほうが良かったですね。あれじゃあマネージャーが殺したみたいです。 先週見た1976年のバーバラ版「スター誕生」が私の中でまだ大きく場所を占めていて、ずっと頭の中で比較し続けています。歌唱力そのものだけならバーバラに軍配。アリーとジャックの人間性の描写はこちらに軍配。しかし「スター誕生」は愛のドラマです。愛はどうなのか。せっかくPG12指定なのに、男女の心が見えてこない。惜しい。 ただ、ほんとに曲はすべて素晴らしい。ブラッドリーの歌もまあ良いので、映画を見ている時間が快適すぎて眠たいぐらいでした。そう、つまり何度か寝てしまったのです。 「ボヘミアン・ラブソディ」がワクワク系だとしたら、こちらは「癒され系」ということでしょうか。

  • 映画『スター誕生』感想&あらすじ/1976年、アメリカが燃えていた ★3.7

    1976年公開。バーバラ・ストライサンドの抜群にうまい歌が全編を彩ります。2018年のアリー/スター誕生はこれのリメイク。1937年版、1957年版もあるようです。 あらすじ 人気に陰りが出始めた歌手のノーマンは酒浸りの毎日。コンサートに何時間も遅刻したり、途中で歌うのをやめたり。 そんなある日、ふらりと立ち寄ったバーで、歌っているエスターに出合う。その歌声にくぎ付けになったノーマンは、エスターにモーションをかける。 しかしエスターは相手がスターだろうと、まったく冷たい態度をくずさない。しかし強引なノーマンにいつしか心惹かれるようになっていく。 あるときノーマンのコンサートで無理やりステージに上げられる。しかたなく歌ったエスターだったが、その歌声は素晴らしく、コンサート会場に来ている人々を見事に魅了したのであった・・。 感想 バーバラ・ストライサンドは見ようによっては美人で、歌唱力は飛びぬけていて、「追憶」は知らない人がいないくらい一世を風靡しました。この映画の楽曲がアカデミー賞を受賞しています。 相手役のクリス・クリストファーソンもカントリーの歌手で俳優さん。「コンボイ」や「天国の門」が有名。ヒゲのある長身の人で結構人気がありました。 最初のライブのシーンは圧巻でした。1970年代のアメリカの雰囲気が伝わり、映画全体を引き締めています。 2018年の「アリー/スター誕生」と見比べようと思って見ました。こんなふうにいつでも家庭で古い映画もいい画質で見られる時代。しかも「比べてやろう」と思って見られてしまうなんて、作り手の人たちはたいへんです。 この映画だけの感想はというと、まず「バーバラがかわいい。そして歌がうまい」ということ。話の筋がなんだったか薄れてしまうぐらいバーバラの個性が強く、まるで彼女のプロモーション・ビデオのようでした。 ストーリーは単純といえば単純。夫婦が同じ職業で、しかもアーティスト。女のほうが抜きん出ると世間はいろいろ言うし、いつしかすきま風が・・というのは古今東西あるあるですね。 バーバラがドレスを着て歌うシーンが無かったのは残念で、これも時代背景かもしれません。女の人はみんなパンタロンというズボンを履いていた。ウーマン・リブの時代です。

  • 映画『エール!』感想&あらすじ/感動して、ほっこりする ★3.8

    2015年 フランス映画。アメリカ映画には無い、自由さがあふれています。見逃してはいけない1作だと思います。 あらすじ フランスの田舎町に暮らすペリエ家は、高校生のポーラ以外、全員聴覚障害者だったが、とにかく明るい両親のもと、幸せな毎日を送っていた。ある日ポーラは音楽教師にパリの音楽学校への進学を勧められる。 しかしポーラの歌を聴くことができない家族は、ポーラの才能を信じることができない。ポーラはいったんはあきらめようとするが、しかしポーラの歌声は人々を魅了するような素晴らしいものだった・・。 感想 ポーラの役は、オーディション番組で注目された新人のルアンヌ・エメラという人です。歌声がきちんと披露されるのは後半のクライマックスになるのですが、お待たせしました、とばかりに朗々と歌い上げます。ちょっと気を持たせ過ぎだな、というきらいがあり、感動がちょっと薄れたかも。 しかしこの作品は見ておかなくてはいけない作品の1つになると思います。聴覚障害の人の暮らし、子どもの自立・旅立ち、そして何より、フランスという国の自由な映画世界。 日本映画は今、ほぼアメリカ映画の作り方のコピーなんだな、とこの時感じました。ただ、それが一番見ていて落ち着くし、それこそが映画を見る目的なので、この映画のせわしないカメラワークやセリフが「どうも受け入れられない」という人が居そうな気もします。 ですが、人間の暮らしをどう切り取るか、どう表現するか、その型はそもそも決められていないはずなので、「エール!」を見始めて最初に思ったこと、それは「私は保守的に生きてるなあ」ということでした。 ポーラは自分の歌がだれよりも素晴らしいことに、少しづつ気付いていきます。そして一度はあきらめかけた夢を、やっぱりかなえたいと思うようになります。 現実にはどうなのでしょう。親子・夫婦がそれぞれに自分の考えを相手にわかってもらえるように、話し合ったり努力をしても、なかなかこのようにうまくはいきません。 こんなふうにできたらいいな、と自分に投影してみて思い直す映画となりました。 そして、フランス映画。いいですね。すべてが自然で自由です。 映画の主題とは関係なく、自由に生きることへのあこがれを抱いてしまった作品でした。

  • 映画『思い出のマーニー』感想&あらすじ/惜しい、マーニーって叫びすぎ ★3.7

    2014年公開。「借りぐらしのアリエッティ」の米林宏昌監督。アニメーションで景色の美しさに感動したのはこのときが初めてでした。 あらすじ 北海道で暮らす12歳の杏奈(高杉彩良)は、周りの人間とうまくつきあうことができない少女だった。両親がほんとうの親では無いということも心で大きな悩みとなっていた。 そんなある日、杏奈は海辺の村にある親せきの家でひと夏を過ごすことになる。ひとりで美しい湿地を歩いていると、見たことのある古ぼけた洋館が対岸にあるのを見つけた。 ボートに乗って誰もいないはずの屋敷に近づくと、「ロープをこっちへ投げて!」という声が聴こえてきた。そこには金髪で青い目のマーニー(有村架純)が立っていた・・。 感想 イギリスの児童文学を、舞台を北海道の釧路にしてジブリがアニメ映画化しました。美しい釧路湿原の夏の美しい風景が、時空を超えた物語とともに描かれます。 複雑な家庭で育ち、感情をうまくコントロールできない多感な少女の杏奈。釧路の湿地に立つ古い洋館で出会ったマーニーと生まれる友情。 マーニーがいったいどういう存在なのか、杏奈とこの洋館との関係は・・。様々な不思議な体験を通じて杏奈は少しづつ成長します。最後にすべてがわかった時、私たちは釧路の美しい風景になおいっそう感動してしまいます。 物語の最後に、「やっぱりそうだったのか」となるのですが、でもそれが良かった、という思いになります。 ひとつだけ、残念なのはクライマックス。この描き方は日本映画的。感情にうったえる、観客を泣かせるような演出。でも泣かないですよ。 それはこの物語の流れに則していないです。この残念な流れが次の「メアリと魔法の花」に引き継がれてしまったかのようです。ああ残念。

  • 映画『素晴らしきかな、人生』感想&あらすじ/なかなか良い映画、でも宣伝が間違ってる ★3.9

    2016年公開 原題:Collateral Beauty 字幕を訳した人の意図がよくわかりません。 IT企業の代表として、社員たちに生き生きとスピーチしていたハワード(ウィル・スミス)。しかし3年後、見る影も無くやつれて気力を失った彼がいた。2年前、愛する娘を6歳で亡くしたことでハワードは別人のようになってしまい、毎日仕事もせずオフィスでドミノを並べては倒すのを繰り返していた。 やがて会社の業績が悪化し、会社を救うために合併の話が出るが、ハワードは上の空。苦楽を共にしてきた親友の社員たちは会社を救い、ハワードも立ち直らせるため、名案を思い付く。 ハワードが出した手紙の宛名が届くことのない、「死」「愛」「時間」宛だったことを知り、それぞれを俳優に演じさせ、 ハワードのもとに現れるように仕向ける。ハワードが興奮して話す様子の動画を撮り、それを証拠にしてハワードを代表の座から追い落すという計画だった・・。 一見、昔の映画のリメイクか?という題ですが、そうではありません。この邦題にはクレームが続出していたみたい。そりゃそうですね。原題は「Collateral Beauty」 二次的に広がっていく幸せのおまけ、みたいな意味。どうやらそれだけでなく、複雑な意味があり、映画の伏線と絡み合っているようです。 しかしいちばん良くないのがキャッチコピーやポスターを含む宣伝と、英語の台詞をちゃんとうまく訳せていない、いや訳せているけど、伝えきれていないこと。 この映画は現代の寓話です。そしてとてもとても深い物語。映画の最後に明かされる感動のシーン。ですがなんか謎が残るし、肝心かなめの「Collateral Beauty」が「幸せのおまけ」と訳されただけでは、なんのことやらわからない。 英語のわかるひと(つまりアメリカ人)には苦も無く理解できる、映画のストーリーの詳細が、私たちにはわからない。こんなくやしいことありません。 いったい何なんですか、おまけって。 実は冒頭のシーンのドミノも、二次的に広がっていくものっていう意味で繋がっているようだし、「素晴らしき哉、人生」という昔の映画とまったく関係ないかと言えばそうでなく、物語の中でヘレン・ミレンの台詞に「素晴らしき哉、人生」が出てきました。

  • 画『DESTINY 鎌倉ものがたり』感想&あらすじ/宣伝を見て直感で思った通り、いまいちでした ★3.4

    2017年公開。公開前の宣伝が凄かった。チラシも凝ってるし、人気俳優が出てる。山﨑貢監督だからSFX凝ってた。原作も面白いらしい。けど、映画はうーんという感じでした。 あらすじ 鎌倉は、魔物妖怪と人間が共存する街。そこに住む作家の一色先生(堺雅人)と妻の亜紀子。貧乏神が住み着いたり、魔物たちと賑やかに暮らしていた。そんなある日、亜紀子が何者かの妖怪に命と体を離されてしまい、黄泉の国へ旅立ってしまう(電車で)。愛する妻を取り戻すために、一色は黄泉の国へと追いかけて行くのだった・・。 感想 原作は人気漫画で、ミステリータッチらしいのですが、この映画に関しては恋愛ファンタジーという感じ。堺雅人と高畑充希が年の差夫婦というお話。映画、というより人間のアニメを見ているような。それはCGばっかりだからかな。 日本映画の予算をできるだけ頑張って使って、いっしょうけんめい作っているのはわかりますが、映画に引き込まれることなく終わりました。映画からあまり熱意が伝わらなかった。これはCGだらけだからということじゃないと思いますね。 ただ、死神役の安藤サクラは良かった。中世的だし、彼女のシーンだけ面白くなる。安藤サクラは主役の近くにいる人、という役どころが最上かもしれないなと思いました。

  • 映画『ハリー・ポッターと賢者の石』感想&あらすじ/主人公たちの可愛さにみんな夢中に ★4.0

    2001年公開。ハリー・ポッターの可愛いこと。ハーマイオニーもすごく愛らしい。こんなにも世界的なヒットになったのは、主人公たちがとても魅力的だった事も大きいと思います。 あらすじ 両親が赤ん坊の時に亡くなり、叔母の家に引き取られて、迫害されて育ったハリー。11歳の誕生日に、突然手紙が届く。そこには「魔法学校への入校を許可します」と書かれていた。 ハリー・ポッターは実は魔法使いの子供。叔母も叔父もはそのことをひた隠しにしていた。しかし魔法学校ホグワーツから、大男のハグリッドがハリーを迎えに来た・・。 ホグワーツ魔法学校に入学したハリーは、呪文を覚えるのが得意なハーマイオニーや、愉快な同級生のロンと出会う。ダンブルドア校長をはじめとする魔法学校の先生たち、動く階段や、人物が動く絵のある寮、この世界は不思議な物ばかり。 しかし箒に乗って飛ぶのが得意なハリーは、クィディッチというスポーツで花形のシーカーのポジションに推薦され、試合でも大活躍をするのだった。 あるとき地下室で「賢者の石」を守っている頭が3つある大きな犬に遭遇し、3人は「賢者の石」を何者かが狙っていると推測する。そしてハリーの両親を殺したヴォルデモートの影がハリーに迫っていた・・。 感想 2001年、2人の子供を連れて、映画館に行きました。大人も子供も、魔法の世界の不思議なものたちがSFXで見事に再現されていることに、熱狂的にファンになったものでした。 この映画の登場で、それまでの家族向けの娯楽映画をメジャーな映画に進化させました。奥さまは魔女とかメリーポピンズみたいなのは子供むけドラマでしかなかったのですが、ハリー・ポッターは大人の鑑賞に堪えうるどころか、大人が心からワクワクした作品となっていたのです。 それからどんどんシリーズ作品が作られ、その都度子供たちと見に行きました。しかし最後の「死の秘宝」の頃には子供たちは大人になっていて、もう一緒に行ってはくれませんでした・・。 このようにハリー・ポッターシリーズは、若い人から中高年までの人々を魅了し、誰もが思い出を持っています。そしてさらに続編のファンタビがハリー・ポッターロスとなった人を癒すように始まっています。

  • 映画『ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生(字幕版)』感想&あらすじ/声を聴いてようやくニュートの存在感が ★3.8

    吹替版ではわからなかったエディ・レッドメインの演技の上手さが、字幕版でははっきりとわかるので、ニュートの存在感がこちらのほうが俄然あります。だって、吹替えっていうのはつまり口パクですものね。 あらすじ 前作でニューヨークの魔法省に捕らえられていた黒い魔法使いのグリンデルバルドは脱獄することに成功する。同じく前作でオブスキュラス(魔法族の子供の中で、抑圧された感情の爆発を具現化できるものがおり、それが生み出したとてつもない力を持つもの)を出現させる少年クリーデンスが、パリで生きているとわかり、グリンデルバルドもパリに向かう。 一方、主人公の魔法動物学者のニュートはロンドンの魔法省に入るよう勧められるが、かたくなに拒否。兄は闇払い師でエリートだが、ニュートは自由に生きたいと思っている。しかしその破天荒な生き方のため、当局から監視が付いていた。 そんなときニューヨークで友達になったマグル(非魔法族)のジェイコブと恋人の魔法使い・クイニーがニュートを訪ねてくる。クイニーの姉のティナがニュートが婚約したと誤解していると知り、ニュートはティナのいるパリに向かう。マグルのジェイコブとクイニーが結婚できないことで仲違いし、姉のもとに向かったクイニーを追うジェイコブとともに・・。 感想 字幕版で鑑賞したので、エディの台詞が際立ち、ニュートの存在感が大きくなりました。それによってグリンデルバルトとダンブルドアの関係や、リタ・レストレンジの過去の秘密などの、ストーリーそのものへの関心がようやく高まりました。 不思議なのは、吹替版のときはあんなに圧倒的だったグリンデルバルドが、字幕版では「演説上手いな」とは思ったけど、圧倒的ではなかった。吹替版のジョニー・デップが凄かったのは、それはつまり吹替の役者さんの力量によるものだと思います。 自分の声で話している役者さんを見る。この当たり前のことをする・しないで作品は全く違うもののように色を変えると私は思います。 吹替もひとつの芸術だと思います。作品の内容、キャラクターについて深く理解し、時には本当の声(字幕)で見るより作品を面白くすることさえあります。 ですが私は、映画はまず自然な形で見たいと思います。よりストーリーを理解するために吹替版を見る、というのも有りですが、まったく声を聴かずに終わるのは勿体ないんじゃないでしょうか。

  • 映画『古都』感想&あらすじ/日本人である原点に気付かされます ★3.5

    2016年公開。いい映画だと思うのですが、クライマックスの日本舞踊のシーンが長すぎて、残念に思います。 あらすじ 京都の老舗呉服店を経営する千恵子(松雪泰子)には、生き別れた双子の妹・苗子(松雪泰子)がいた。苗子は北山杉の里で林業を営んでいる。 千恵子の娘・舞(橋本愛)は大学で就活中。一人娘で店を継ぐかどうか迷っている。一方苗子の娘・結衣(成海璃子)は、絵を学ぶためにパリに留学していた。 千恵子と苗子は若い頃に一度会ったことがあり、千恵子は苗子に北山杉を描いた帯を送ったことがあった。 あるときパリで日本文化を紹介するイベントがあり、舞は日本舞踊を披露するためにパリに向かう。 また苗子も絵のことで悩む結衣に会うためパリを訪れていた。結衣に生き別れた姉の話をし、北山杉の帯を見せる苗子。結衣は自分自身の中の日本人の部分を描くことに目覚める。 また就職のことで千恵子と揉めていた舞も日本文化の世界での立ち位置をパリで目の当たりにし、日本の伝統に対する思いが変わっていくのだった・・。 感想 川端康成原作の「古都」を現代に置き換え、主人公の二人のその後を描いたものです。 松雪泰子はきれいな人ですね。ちゃんと年を取っていってるのですが、それなりに美しいです。品もあって、日本人としての美しさを持った人。 娘たち二人もきれいな女優さんですが、佇まいが違います。 一口に言って、京都のいいところを紹介する動画のような映画です。京都に住んでいる人でも、京都のことをよく知らないという人は多いですが、京都に残っている京都ならではの文化は、大切に残さなくてはいけない日本の財産だと思います。 それは、世界遺産になった神社仏閣や高いお料理だけでなく、街の中の、奥深い路地にある細長い家々や、庶民に浸透している年中行事など、すべてのことに共通しています。 もっと言えば、日本中の地域によるしきたりの違いや県民性も、大切にしなくてはいけないものだと思います。 京都だけが日本ではないけれど、日本の中の京都は日本の代表と言っていいでしょう。京都を大切にするということは、自分たちの街を大切にすることに繋がると思います。 このような映画はもっとあってもいいんじゃないでしょうか。古い古い国なのですから。

  • 映画『スター・ウォーズ エピソード5/帝国の逆襲』感想&あらすじ/シリーズ最高傑作だと思っています ★4.2

    1980年公開。「新たなる希望」から3年後を描いています。ハン・ソロとレイア姫が最高に魅力的だった作品と言えます。ポスター画は生頼範義という日本のイラストレータの作品です。ポスターも最高に素晴らしいですね。 あらすじ デス・スターを反乱軍に破壊された帝国軍の反撃は熾烈を極めていた。帝国軍のダース・ベイダーはルークを探し出すため、星々にドロイドを放っていた。 そのころハン・ソロはもらった賞金を借金取りに払うために反乱軍を離れると言い、レイアは止めようとするがハン・ソロは旅立ってしまう。しかしルークが襲われて窮地に立っていると知ると救出に向かうのだった。 その後ルークはヨーダのもとでジェダイの修行を始める。厳しい修行に耐えるルーク。 一方ダース・ベイダーは皇帝ダーク・シディアスに、ルークを暗黒面に引き込むように命令されていた・・。 感想 私は、スターウォーズの全作品の中で、この帝国の逆襲が一番好きです。ハン・ソロが一番かっこいいときで、レイア姫ももっとも魅力があふれていた作品だからです。 実はふたりはしばらく付き合っていたと、キャリー・フィッシャーが生前告白しています。もしかしたら、この撮影の少し前ぐらいかなあと推測。ふたりの心がうまくもつれあって、かけひきしている、恋人の表情が見え隠れ。このあと悲しいことにキャリーは薬物中毒に陥り、その後自伝を書いて映画化されたり、たいへんな人生だったようです。 「帝国の逆襲」は唯一最後が完結せず、ハン・ソロがダース・ベイダーによって冷凍されて終わります。この後の続きを見たいと、人々はどれだけ待たされたことでしょう。そういうこともスター・ウォーズの人気をさらに高めたに違いないと私は思っています。 宇宙の戦争を描いていながら、親子の愛、兄弟の愛、そして男女の愛を描いているスター・ウォーズ。それがこれまでのSFには無かった部分ではないでしょうか。 ハン・ソロが冷凍される寸前、レイアはようやく一言告白します。「愛していたわ・・」 ハン・ソロはいつもの調子で、それでもレイアの眼を熱く見ながら、「知っていたよ・・」と答えます。 このシーンに胸が熱くなり悶絶し、そして冷凍されるというショックなシーンで終わるという、この衝撃は今も忘れられません。

  • 映画『ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生』感想&あらすじ/まるで主演はジョニデ ★3.8

    2018年公開。とてつもなくお金はかかっているなあと思わせる作品ではありました。ダンブルドアを演じるジュード・ロウや黒い魔法使いのジョニー・デップはやはり素晴らしかった。でも期待していたニュート(エディ・レッドメイン)の活躍は中途半端だったかなあと思いました。 あらすじ 前作でニューヨークの魔法省に捕らえられていた黒い魔法使いのグリンデルバルドは脱獄することに成功する。同じく前作でオブスキュラス(魔法族の子供の中で、抑圧された感情の爆発を具現化できるものがおり、それが生み出したとてつもない力を持つもの)を出現させる少年クリーデンスが、パリで生きているとわかり、グリンデルバルドもパリに向かう。 一方、主人公の魔法動物学者のニュートはロンドンの魔法省に入るよう勧められるが、かたくなに拒否。兄は魔法省でエリートだが、ニュートは自由に生きたいと思っている。しかしその破天荒な生き方のため、当局から監視が付いていた。 そんなときニューヨークで友達になったマグル(非魔法族)のジェイコブと恋人の魔法使い・クイニーがニュートを訪ねてくる。クイニーの姉のティナがニュートが婚約したと誤解していると知り、ニュートはティナのいるパリに向かう。マグルのジェイコブとクイニーが結婚できないことで仲違いし、姉のもとに向かったクイニーを追うジェイコブとともに・・。 感想 全編を通じ、グリンデルバルド(ジョニー・デップ)の独壇場です。だって、こんな大スターが出たら、そりゃ周りみんなカスむでしょう。それは前作の最後にジョニデがほんの少し顔を出したときにすでに兆候がありました。全部持ってくわ、この人と。 ファンタスティック・ビーストは全5作だそうです。最初から5作だったかどうかはわかりませんが、第2作の黒い魔法使いの誕生に関しては、話が少し間延びしている感が否めませんでした。ものすごいCGシーンによって、退屈するようなことはありませんが、あとから落ち着いて考えてみると、あまり話が前に進んでいなかったように思います。 長い時間をかけて、オブスキュラスを生むクリーデンスの生い立ちを探っていくのですが、なかなか真実にたどり着きません。やきもきするうちにジョニデの見せ場がきます。なんとかパリが火の海になるのは免れましたが、あれクリーデンスは結局だれ?

  • 映画『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』感想&あらすじ/世界の映画界の新たなる幕開けでした ★4.3

    米国では1977年公開。ジョージ・ルーカス監督。日本では1年後の78年に公開されました。最初は「Star Wars」というタイトルでしたが、あまりにも人気が出てシリーズ化されることになったので、あとから副題がくっつきました。 実は残念なことにスクリーンで見ていません。なんて惜しいことをしたのだろう、とずっと後悔しています。クラスの友達は結構見に行ってたのに・・ 初めて見たのは1983年のテレビ放映でした。ところが映画の前にコントや曲の演奏があったりして、なかなか始まらずイライラしたのを覚えています。また、吹替を人気俳優さんがやりましたが、へたくそすぎて集中できませんでした。 その後ちゃんとした人が吹替直して放送されています。水島裕(ルーク)、島本須美(レイア姫)、村井国夫(ハン・ソロ)、鈴木瑞穂(ダース・ベイダー)の組み合わせがベストです! 今、Amzonプライムで見返してみても、この作品のおもしろさは色あせることは無いのだと確信できます。話の展開の早さ、テンポの良さ、特撮のすばらしさ、どこを取ってもこれまでには経験したことのないものでした。 米国のプレミア上映では評判が良くなかったと聞きましたが、「SFはB級だ」という先入観を持って映画を見ていた批評家の人たち、本当にサイアクですね。(友人のスピルバーグは絶賛したそうです) しかし映画を見る若者たちには先入観はありませんでした。まったく新しい映画が誕生したことを、上映が始まるとすぐに確信したはずです。この作品と、スピルバーグの「未知との遭遇」以降、SFに対する人々の評価ががらっと変わりました。 あらすじ 遠い昔、はるか彼方の銀河系で…。 銀河系を支配する銀河帝国。その圧政に苦しむ星々の反乱軍(レジスタンス)のスパイが、帝国軍の要塞デス・スターの設計図を盗み出すことに成功。(この話は「ローグ・ワン/スター・ウォーズストーリー」となりました) 反乱軍の指導者の1人、レイア姫は設計図をドロイドのR2-D2に託し、帝国軍のダース・ベイダーに捕まってしまう。 R2-D2は相棒のドロイドC3POとともに、砂漠の惑星タトゥィーンに到着。そこで農場の手伝いをしている青年、ルーク・スカイウォーカーに出会う。

  • 映画『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』感想&あらすじ/無難に懐かしく、おもしろい ★4.0

    2015年公開。2005年の「スター・ウォーズ3/シスの復讐」から10年、満を持して旧3部作から続く続編の登場です。シスの復讐ではダース・ベイダーの双子の子供が生まれたところで終わりました。そして4.5.6の旧3部作ではその子供たちが大人になって帝国軍と戦い、大活躍します。その「スター・ウォーズ6/ジェダイの帰還」から数十年後という設定です。 あらすじ 遠い昔、はるか彼方の銀河系で…。ルーク・スカイウォーカーによって帝国軍は壊滅したが、その残党が「ファースト・オーダー」と名乗り、勢力を拡大していた。 しかしあるときルークは姿を消す。レイア姫は将軍となっていて、ルークの捜索を開始する。またファースト・オーダーもルークの抹殺を計画していた。 レイア率いるレジスタンス軍のパイロット、ポー・ダメロンはルークの居場所の地図を入手すべく、砂漠の惑星ジャクーに着いた。敵に捕まってしまうが、非道なファースト・オーダーから逃げ出そうとするフィンに助けられる。 そのころ、ルークの居場所の地図を託されたドロイドのBB-8は、危ういところを砂漠で一人で暮らす若い女・レイに助けられる。両親はすでになく、1人で生き抜く知恵と、並外れた運動神経や機械に強いところがあった。それだけではなく、レイにはフォースがあった。ルークなどジェダイにしかない超能力だった。 そしてもうひとり、強いフォースの力を持つ者がいる。暗黒面に落ち、ファースト・オーダーに与するカイロ・レン。ハン・ソロとレイヤーの1人息子だった・・。 感想 スター・ウォーズのファンたちはどれだけこの映画の公開を待ち望んでいたことでしょう。あまりにも開いてしまったので、若い人たちにはなんのことやら、という感もありましたが、やはり世界的に盛り上がりました。 内容的にも旧3部作を踏襲していて、古いファンが「ああぁ」と懐かしみ涙ぐむようにできています。ハン・ソロがチューバッカとミレニアム・ファルコン号に乗り込んだときにはもう号泣!(「ハン・ソロ」でもそんなシーンがあり、感極まりました-) スター・ウォーズらしさが随所に現れ、なんとも懐かしい、いい気分になれる映画となっていました。このあとはどうなっていくんだろう、とわくわくしました。

  • 映画『スター・ウォーズ 最後のジェダイ』感想&あらすじ/本当にあと1作で解決できる? ★3.8

    2017年公開 原題:Star Wars The Last Jedi 私はスターウォーズ4、5、6の時代に生きていたので、1、2、3、7、8についてはもはやスターウォーズでは無くスピン・オフだと思っています。 あらすじ 遠い昔、はるか彼方の銀河系で…。 スノーク(醜い悪者)が率いるファースト・オーダーとレイア将軍の軍隊レジスタンスとの戦闘が激化。レイア姫と伝説のジェダイのルークは兄弟。スターウォーズ4では若かったが、すでに壮年になっている。 フォース(超能力)を持つ主人公のレイは隠れ住んでいたルークのもとを訪れるが、その反応は期待したものではなかった。 そのころメガ・スター・デストロイヤーに潜入すべく、フィン(ファースト・オーダーから改心してレジスタンスになった)、ローズ(東洋人の女性技術者)、ポー(レジスタンスの有能なパイロット)の3人は作戦を練っていた・・。 感想 スター・デストロイヤーという敵の宇宙船は、スターウォーズ4(本当の第1作)のいちばん最初のシーンに登場します。当時は特撮と言われる撮影方法。画面の中でだんだんだんだん大きくなるその白い宇宙船デストロイヤーの、美しさと荘厳さに度肝を抜かれ、そしてその後の話の展開がどうなるのかと、ほんとうにワクワクしました。 遠い昔、はるか彼方の銀河系で…。 というクレジットのあとであのスター・ウォーズのテーマ曲が始まります。そして鳥肌。それはシリーズを通じて全て同じ作りになっています。けど旧3部作に夢中になった人でないと、感動はそれほど無いでしょうね。 7、8、9の三部作の監督は、7と9はJ・Jエイブラムス、8(最後のジェダイ)だけはライアン・ジョンソンとなっています。「最後のジェダイ」は、ルークやジェダイの描き方や解釈などいろんな部分が古くからのファンには評判は良くないようです。 こんなふうにしちゃって後の話どうするの?とか、ルークをあんな風に描くなんて馬鹿にしてる、とか大騒ぎ。 そうかと言って、7(フォースの覚醒)は、1~6を踏襲した内容になっていたにも関わらず、「まるでファンを楽しませるためのアンソロジーだ」というように揶揄されました。あまりにもスター・ウォーズは神格化され過ぎていて、何をやっても否定されるのでしょう。映画会社は儲かるが、監督はつらいよ、ということです。

  • 映画『ボヘミアン・ラブソディ』感想&あらすじ/クイーンを知らなくても、見終わったらファンになっている、そんな映画 ★4.2

    2018年公開。正直言うと、クイーン世代ですがファンではありませんでした。しかしボーカルのフレディ・マーキュリーが亡くなったときに、「もうクイーンの曲を歌う人がいないんだ」と思うと、すごい喪失感に襲われたのを覚えています。 あらすじ 「スマイル」というバンドにフレディ・マーキュリーがボーカルで加入したのは1970年のことである。厳格な家に育ったフレディだが、父親とは対立し音楽を愛していた。 ギターのブライアン・メイ、ドラムのロジャー・テイラー、ベースで加入したジョン・ディーコンの4人が揃い、クイーンとなった。4人とも曲を作り様々な楽器をこなす。レコーディングも工夫を重ね、幾重にもハモり、美しいとも言えるサウンドを作り出していった・・。 感想 数限りないヒット曲のある、スーパーロックバンド「クイーン」。レディ・ガガの芸名もクイーンのヒット曲「RADIO GA GA」からきています。 東洋の果ての日本でも、今でもクイーンの曲を聞いたことのない人はいないぐらいでしょう。そんな伝説のバンド「クイーン」を映画化すると聞いたとき、それでもファンではなかった私は、映画館に行くのをどうしようかと思っていました。しかしそれは今、猛烈に反省しています。 ほんとうに劇場で見てよかった。「ウイ・ウィル・ロック・ユー」が始まったときの鳥肌と涙。クイーンのファンじゃなかった自分からそんなものが出ようとは。そして曲の途中からはうれしくて笑いながら感動している自分。こんな自分に会えるとは何十年ぶりでしょう。 それはきっと物語が時系列を追って展開していく作りだったので、感情移入がしやすいようになっていたせいだと思います。だからきっとクイーンを全く知らない人が見ても、最後にはファンになって劇場を出ていくのではないでしょうか。 主演のラミ・マレックの努力もすごい。もとの顔立ちが似てるということもありますが、ハッとするぐらいそっくりです。マイクパフォーマンスは完コピと言っていいと思うし、歌もとてもお上手です。そして前歯の義歯をしばらく付けて生活したらしいですね。そういう並々ならぬ気持ちが映像にはちゃんと現れます。それこそが私たちに感動を与えると思います。

  • 映画『関ケ原』感想&あらすじ/せっかくの練られた作品が、最後に水の泡 ★3.6

    2017年公開。監督・脚本:原田眞人。「関ケ原の合戦」をテーマに時代劇を世界に発信したかったのだそうです。 あらすじ 太閤秀吉に仕え、忠義を誓っていた石田三成。不器用でまっすぐな人物だ。秀吉亡き後、天下を我が物にしようと武将たちを次々と味方につける徳川家康。全く正反対の2人が関ケ原で対決する時が来た。関ケ原の合戦である。 感想 日本映画の悪い癖についていつも語っていますが、2/3まではすごくよくできていて、あとの1/3、つまりクライマックスで失速する。この映画もまさにそうでした。 失速、というのはちょっと当たらないかもしれない。むしろ「関ケ原の戦い」を早く駆け抜けすぎなんです。前置きがすごく丁寧で、そう、それはそれは克明に尾張の武士たちの会話や、家屋の中の様々な設えを再現し、石田三成と徳川家康の人物像を観客に伝えてくれて、合戦までのワクワク感をとてつもなく盛り上げてくれるのですが。 ようやくその合戦が始まったのは物語の後半。小早川秀忠の裏切りについてはすでに良く知っているのでもう少し短くてもいいかな、と思いながら、合戦は西軍(三成)の優勢で最初は推移。そしてやっぱり歴史通り小早川は裏切り、薩摩の島津軍は帰っちゃう。 もっと他の、いろんな国の武将が来ていたと思うのですが、もうちょっと詳しく、いや結構詳しくやっているのですが、詳しくやってるという印象がなくなってしまう。何かが足りない。それはおそらくおそらく、詰めの甘さ。じゃあどうすればいいのかと言われるとわからない。 岡田くんのせいではないと思いたい。 ところで、初芽という女忍び役の有村架純が意外に良かった。セリフがいい。声がいい。何でもできる女優さんなのですね。フィクションですが、石田三成とひそかに心を通じ合うという役。初芽のシーンが多いのですが、もしかしたら、そのせいで肝心の合戦が薄まったかもしれない。初芽が冒険するシーンを挿入する箇所が違う?でも初芽がいないと華が無い。難しいですね、脚本って。 だけど関ケ原の合戦ということ自体、派手ですから、初芽を多用する必要はなかったのでは。そして、戦いが終わってからの諸々のことは、まったくいらないぐらいだと思いました。

  • 映画『シン・ゴジラ』感想&あらすじ/ゴジラ映画史上最高だと思います ★4.0

    2017年公開。ゴジラ映画は好きですが、こんなおもしろいゴジラ映画は初めてでした。音楽やゴジラの姿かたちを踏襲しながらも、これまでのゴジラ映画とは一線を画しています。 あらすじ はじめは東京湾羽田沖の水蒸気の噴出だった。そして東京湾アクアラインのトンネルが崩落し、政府は海底火山などを疑うが、インターネットの画像で生物のようなものが写っており、内閣官房副長官の矢口(長谷川博己)はいち早く巨大生物の存在を訴えるが、相手にされない。しかしその後巨大生物が姿を現すことになり、どういう名目で自衛隊を派遣するかの議論などで政府は紛糾する。 そうこうしているうちに生物は形態を変えていき、最終形態のすがたになる。実は以前から米国は巨大生物の存在を掴んでおり、極秘裏に来日した大統領特使(石原さとみ)の情報により、巨大生物の名前は「Godzilla」と呼称されていた。 感想 いきなり出てきた生物だか何だかわからないものをめぐって、日本政府は杓子定規な議論を延々と続けます。そのコミカルな畳みかけるようなやりとりが、今の日本政府もゴジラが出たらこうなんだろうな、と思うと可笑しくて可笑しくて。この前半の政府の紛糾シーンが、今までのゴジラ映画にはなかった斬新なところ。そして大大ヒットの要因だと思います。 長谷川博己は熱演する俳優さんですが、今回それがあまり目立ちません。みんな熱演しているからです。出演者も並々ならぬ情熱で挑んでいるのがわかります。 また「日本映画はクライマックス前まではおもしろい」というのが定番ですが、シン・ゴジラに関しては最後までおもしろいです。特にストーリーに変化があるわけでなく、ただゴジラをやっつけるというだけなのですが、そのやっつけ方に一工夫。一人のヒーローが肩に担って戦うのではなく、みーんなで協力して挑むのです。それがスピーディで飽きさせない。 そしてなんと途中でエヴァンゲリオンを出してきた。なにしろ監督自身の作品だからしょうがない。「新幹線爆弾」のところで、エヴァを知っている人はおおぉっとなるのだそうで、上手いこと挿入したな、という感じ。 中盤までゴジラはとてつもなく無敵だったのに、なんか終盤急に弱くね、と思いつつも、最後は「やったー」となる終わり。しかも、謎を投げかけたラストシーンで終わる。

  • 映画『パイレーツ・オブ・カリビアン 最後の海賊』感想&あらすじ/実は劇場で見るの初めてでした ★3.7

    2017年公開。シリーズ第5作目。聞くところによると、1作目・2作目に比べてそれ以降はいまいちだとのこと。なるほど、5作目がいまいちなはずです。 あらすじ 幽霊船「フライング・ダッチマン号」の船長のターナー(オーランド・ブルーム)を助けるために、息子のヘンリーはポセイドンの槍を探す旅に出るが、途中で海の死神サラザールに襲われる。流れ着いた島で天文学者のカリーナと出会うが、彼女もまた父が残したガリレオの日記の謎であるポセイドンの槍をさがしていた。 感想 いったいいつジャック・スパロウが活躍するんだろうカッコよく、と思っていたら最後までカッコよくはなりませんでした。この役作りはたいへんなものだとジョニー・デップは何かで語っていましたが、そうなの?というくらいの、つまらない海賊さんだったけど。 実は第1作目はテレビで何度か断片的に見ました。ハラハラドキドキの展開で実に面白かったのを覚えています。もちろんスパロウも若いし、とても素敵でした。年月が経ったので同じようには無理ですが、それにしても覇気が無さすぎではないかしら。 それに対してサラザールはすばらしい。幽霊なんですけど、その存在感が半端ない。怖いし、上手いし、言うことなし。殺してしまうのは惜しいキャラです。 というわけで、初めて劇場で見たパイレーツ・オブ・カリビアンがもう旬を過ぎた5作目だったことに大反省。スター・ウォーズのように、旧3部作に感動した思いがあるから、あとのシリーズも特別の思いで見入ることができるので、パイレーツももう少しちゃんと見ておくべきでした。きっとファンならば回収できる伏線もいっぱいあったのでしょうし。 お金が莫大にかかった作品ですので、それなりにすごく面白いし、5作目だけ見たからといって話が分からなくなることはなく、最後まで手に汗握って見たのは間違いありません。 ですが、肝心のジャック・スパロウがただのアル中おやじに見えてしまうのは、私だけでしょうか。主役がやはり映画の肝であります。なんといっても主役が大事なのです。サラザールがどんなに名演しても、それだけじゃだめなんです。それが主役の仕事なのです。

  • 映画『キセキ-あの日のソビト-』感想&あらすじ/GReeeeNの実話、もっと丁寧に作ってほしかった ★3.4

    2017年公開。GReeeeNのこの曲がとてもいいのと、菅田将暉につられて見にいきました。 とくべついい映画、とは言えませんが、曲の良さにも助けられ、まあ見てよかったなとは思いました。 あらすじ HIDEは医師を目指している高校生。父が内科の医師だが、兄のJINはミュージシャンを志していて医者にはならないため、自分に期待がかかっている。しかし実はHIDEも音楽を愛していた。歯科医になることを決め、歯学部に合格しても、音楽は続けている。あるとき歯学部の仲間でバンドを組むことになった。曲を作ってミュージシャンの兄にデモテープを託す。それを聞いた兄は弟の才能に気付き、メジャーデビューさせることを決意する。これがGReeeeNのはじまりだった。 感想 映画に出ている俳優さんたちでグリーンボーズというユニットをつくりCDも出しています。菅田将暉の歌う「キセキ」は意外に良くて、オリコン4位になっています。 菅田将暉、松坂桃李という2大スターを出しているので、ヒットしない訳はないのですが、GReeeeNの「キセキ」の人気もあって、邦画としては大ヒットを記録しているようです。 さて、内容はと言うと、力作ともいえるし、よくある話ともいえる作品なのですが、小林薫(ほんとに怖くてよく殴る人)や忽那汐里がいい味で、菅田将暉のスター性と松坂桃李のカリスマ性に「キセキ」の曲がうまく乗っかって、とくべつではないですが、まあまあの映画になっています。 日本映画は細かいディティールに凝って初めてその繊細な良さが出ると思っています。「万引き家族」の雪のシーンや、「日々是好日」の樹木希林の足音など。(最初に樹木希林が玄関に登場するときの、廊下を早歩きする足音。タッタッタと若々しいものでした。) そういうことができていないということに気づくと、どうしてもその作品に入り込むことができなくなります。 「キセキ」では松坂桃李の走る後ろ姿が良くなかった。全力で走るそのシーンは結構大事だったのに。それ以降いろいろなアラが目立ち、最終的に映画の印象も良くないものになりました。 それでも興行収入が大台にのってヒットすれば、作り手側は「あれでよかったのだ」、ということになりますよね。でもそれは映画界にとって、絶対に良くないことです。

  • 映画『劇場版TRICK 霊能力者バトルロイヤル』感想&あらすじ/ばかばかし過ぎて好き ★3.3

    ごぞんじ堤幸彦監督の数ある作品のなかで、もっともばかばかしく、くだらない部類のシリーズのTRICK。仲間由紀恵が若く美しいです。 あらすじ ある村を治める霊能力者・カミハエーリが他界する。100日以内に次代カミハエーリを決めなければ災いが訪れるという言い伝えがあり、村人たちはバトルロイヤルを開催する。天才物理学者・上田と自称奇術師・奈緒子はバトルロイヤルに参戦する・・。 感想 「人魚の眠る家」の監督でもある堤幸彦。膨大な映画やテレビシーズを手掛けています。あほらしいものから、シリアスなものまで。そのなかでこのTRICKはいちばんヒットしたシリーズと言ってもいいでしょう。やはり続編は最初の作品を上回ることが少ない、と言われている通り、この第3弾もちょっとネタ切れな感はあります。 まあしかし、Amzonプライムの無料のでみるには、肩がこらないのでいいのでは。ときどきうたたねしても大丈夫。血を見る悲惨な映画や、感動で涙を誘う映画だけが、映画というわけではありません。これはこれで。

  • 映画『君の名は。』感想&あらすじ/日本のアニメ史を変えたと言っていいでしょう ★4.2

    もしこの映画を見ていない人がいたら、人生損してるかも?っていうほどじゃないけど、みんながいいって言う作品は一度は見てみるといいかもです。この映画について検索すると、無数のまとめサイトや映画レビューが出てきます。それぞれ本当に詳しく調べて解析してあり、1回見たぐらいでは絶対に気付かないことがワラワラ書いてある。すごいです。 あらすじ 東京に暮らす高校生の立花瀧はある日目覚めると、岐阜県飛騨の糸守町(架空の町)に住む宮水三葉と入れ替わっていた。 その後も定期的に入れ替わりが発生し、周りからは「おかしくなった」ぐらいにしか思われない。ただ一人三葉の祖母だけは気付いていた。 しかしあるとき入れ替わりが止まり、瀧はどうしても三葉を訪ねたくなった。入れ替わった時の記憶を頼りに糸守町の近くにたどり着くが、実は糸守には3年前に彗星の破片が直撃し、町民500人以上が死亡、町は消滅していたことがわかる。 さらに、糸守町の死亡者名簿に三葉の名前もあった。2人の入れ替わりには3年のズレがあったのだ・・。 感想 一瞬、このまま悲しい悲劇で終わるのかしら、と思いましたが、この後一気に話はアドベンチャーにシフトします。彗星の衝突から瀧と三葉は町民を守れるのか?という冒険ドラマ。終始きれいな絵と素晴らしくマッチした曲とで、とてつもなく引き込まれた映画となりました。 RADWIMPSがこの映画で一気にブレイクしましたが、彼らの曲なしではこの映画のここまでの成功は無かったかもしれないと思えるぐらい素晴らしかったです。 映画の終盤にようやく「君の名は」という題の意味がわかります。こんなにアドベンチャーなことをしたのに、お互いの名前を忘れてしまう運命だなんてちょっと変ですが、それは後になってゆっくり思うこと。ラストシーンで「君の名は・・」と言う場面ではもちろん涙が出ました。 私が思う、残念な個所は、やはり声優さん。瀧の役はとても重要。神木隆之介は演技派の役者さんですが、吹替で主役となるとあの声質は終始聞いているのはきびしい。耳にびんびん響くので辛かったです。上白石萌音の三葉は好感が持てましたが。 というわけで、日本アニメ史を変えたと言っても過言ではない作品の登場で、これからもいいアニメがどんどん生まれると思うと、非常に楽しみです。

  • 映画『アンストッパブル 』感想&あらすじ/列車が止まらない、映画もノンストップ ★3.7

    2010年 実際に起きたオハイオ州の列車暴走事故がモデルになっています。怪物と呼ばれた「777号」の赤い列車のかっこいいこと。 あらすじ 操車場で、動いている最新型機関車777号から運転手がちょっと離れてしまい、すぐに戻るつもりが、機関車はブレーキがかかっておらずスピードを上げ始めた。デブの運転手は飛び乗るのに失敗し、列車はそのままスピードを上げながら走り去ってしまった。毒性のある化学物質などの積み荷を載せて。 大変なことが起きたことを知った会社側はあらゆる手を使うが、列車の暴走を止めることはできない。頑強な列車が暴走するなど前例のないことだったのだ。 同じ線を走っていた別の列車の運転手のフランク(デンゼル・ワシントン)と車掌のウィル(クリス・パイン)。このまま暴走すれば、大カーブのところで脱線し、未曽有の事故になると知ったフランクはなんとか777号を止めようと、後ろから追いかけて列車を連結し、ブレーキをかけることを思いつく。 最初は反対したウィルも別居中の家族の命を守るため、運命を共にする決意をした。会社側は「勝手なことをするな、クビにするぞ」と脅かすが、「もうクビになってるよ」とすでに解雇を言い渡されているフランクは突っぱね、777号に向かって走り出す・・。 感想 あとから考えてみるとけっこう突っ込みどころのある作品でしたが、見ている最中はもう夢中な感じで食い入るように見てました。終始、大きな機関車が猛スピードで走る映像と、パニックになっている人たちとの忙しいやり取り。機関車は大きいし迫力満点、デンゼル・ワシントンをはじめ、慌てて話している人たちのセリフに目が離せず(字幕だから)、終わった時にはクタクタになっちゃう感じでした。 あれが実際に起きたことだとは後で知りましたが、住民の人たちは怖かったでしょうし、列車を止めようとする関係者の人たちはどれだけ必死だった事でしょう。 赤い機関車がカッコいいなどと不謹慎でしたが、でも人間の創造物であるはずの機関車に命があるような気さえしてきて、ブレーキをかけずに走る機関車は、解き放たれた猛獣のように雄々しくて、やっぱりかっこいいです。 監督のトニー・スコット。リドリー・スコットの弟さんで、クリムゾン・タイドなどの名作を残して亡くなられています。

  • 映画『LIFE!』感想&あらすじ/なんて自由な映画、夢みたいな話だけど元気になる ★4.0

    2013年 原題:The Secret Life of Walter Mitty たぶん予告編にするとハチャメチャなものになっちゃうかもしれない。だけどストーリーには1本筋が通っています。自由だけどちゃんとしてる。コメディだけど感動する、そんな作品。 あらすじ フォトグラフ雑誌「LIFE」のネガ管理部門で真面目に地道に働くウォルターだったが、奥さんも恋人もいない、冴えない毎日を送っていた。ある日出社すると、会社の事業再編で雑誌が廃刊・ネット化されることを知る。そしてリストラを行うべく新しい上司のテッドがやってきて、次々と各部署のスタッフの首切りを行っていく。 LIFEの主要フォトジャーナリストのショーンもそれを知り、雑誌の最後の表紙にふさわしいというネガをウォルター宛に送ってきていた。しかし送られたネガの中からショーンが勧める25番が抜けていた。ウォルターはショーンが送り忘れたと思い、常に居所のわからないショーンを探して、遠い旅に出ることになる。今はグリーンランドにいるらしい・・。 感想 コメディなので、最初はどうなることかと思いました。ウォルターは空想好きで、空を飛んだりビルが爆発したり、どこまでが空想なのかわからない~、けど見ていくうちに、あぁこれは現実だな、と少しづつわかるようになり、そこからは面白くなりました。 監督・主演のベン・ステイラーはなかなかすごいです。最初ほんとうに風采の上がらないだけの人に見えたのが、冒険の旅に出て、サメと闘うし、山にも上る。スケボーもすごく上手い。しまいにはウォルターがハンサムに見えてきました。 どこかで見たことがある、この感じ・・と思っていたら、昔の「フォレスト・ガンプ」みたいな世界観。90年代に戻ったようなワクワク感を感じたこの映画。こういう映画がもっと評価されてもいいかなあと思います。 冴えない男の人が、いろんな冒険をして、クライマックスでは上司のテッドに向かって、「LIFE」という雑誌をどういう思いで何人の人が作ってきたのか、と思いのたけをぶつける。そしてラストシーンでついにLIFE最終号の表紙が明かされます。 やっぱりか、とも思う表紙ですが、それでも相当ぐっときました。思わず涙が出ました。

  • 映画『ビブリア古書堂の事件手帖』感想&あらすじ/原作をないがしろにしている ★2.9

    2018年公開 原作を読んでない人でも、たぶんつまらない映画だと思います。 あらすじ 就職活動中の五浦大輔は亡くなった祖母が所有していた、夏目漱石の大全集に一つだけ「夏目漱石」というサインが入っているのに気づき、ビブリア古書堂に査定を依頼に持ち込んだ。そして店の女主人の栞子に大輔はほんのり恋心を抱く。栞子が本を鑑定していくうちに、祖母の若い頃の秘密があきらかになっていく。本を見ただけでそんなことがわかってしまうのか、と栞子の知識と洞察力に大輔は感心するのだった。 ビブリア古書堂でアルバイトすることになった大輔。あるとき太宰治の古書を買いあさっている「大庭要蔵」という人物がいるという噂が古書業界で流れているのを知る。実は、栞子のところにも大庭からメールが来ていた。栞子が所有している「晩年」の初版本を譲ってほしい、というもので、いくら断ってもしつこくメールは来るのだった・・。 感想 ビブリア古書堂の事件手帖は、数年前にブームになり、フジテレビの月9ドラマにもなりました。そのドラマは視聴率は上がらなかったものの、原作の雰囲気をうまく再現したドラマになっていました。私はどちらかというとドラマのほうが作品の完成度が高いような気がします。主役の剛力彩芽さんがあまりに栞子と雰囲気が違うので、ネットがざわついたということはありましたが。 映画のほうの配役は皆さん適役だと思いますが、ただ監督が栞子という人を良く理解しないままなのか、あのキャラクター作りは残念ながら少し間違っています。せっかく黒木華なのに。 とにかくいちばんだめなのは脚本。それからセットや衣装などの設(しつら)え。スタッフの方たちは原作を読んでいないのでしょうかね。 冒頭のシーンで嫌な予感はしましたが、ビブリア古書堂のたたずまいを見たらやっぱり、残念~という感じ。それから先は、筋書きのアラを探すことに気を取られ、感動するどころではなくなりました。 原作と変更するところがあるにせよ、矛盾のある物語にしてはいけないです。人は理由があって行動します。その理由が納得できないことばかりでは、観客は映画の世界に入り込むことができません。 なぜそういう矛盾のある物語を作るのか、それは原作をリスペクトしていないから、だから「ないがしろ」にしているのだ、と思うしかないのです。

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