高校中退後、「好きなことだけで生きていく」ことを決意。直感だけで生きる少女の生き様を描いたブログ。
20歳。高校中退後、「好きなことだけして生きていく」ことを決意。その後ネットで一目惚れしたアコーディオンに会うため、ドイツへ。3ヶ月の旅を終えた今、カメラ、ピアノ、デザイン、イラスト、多すぎる趣味と日々恋愛中。
これからどんどん近い未来に向けてAI化が進んでいく それを怖がる人がいる だけど 僕らはもうすでにスマホに取り憑かれているし 彼女の顔より画面を見る時間の方が多いのが もはやふつうのカップル 一般的なカップル 女子も男子も画面 隣に愛する人がいても 目の前にいても その瞬間、どんな顔を見せてくれたのか どんな話で笑いあえたか スマホに時間を費やさなければ きっとたくさんの愛しいものを 五感が受け取っただろうに そんな人の末、 死ぬ間際に感じることはなんでしょう 「今、しにそう」 とそれでも尚、SNSにアップするんでしょうか 目の前を生きることもできない人間が 他人の人生を生きている 今の多くの…
なんかしらねぇけど居場所がねぇ 心の
手を痛めつけた ほんの、ほんの、少し 今ぜんせかいでひとりだけ たったひとりだけ まじでむりなやつがいる だからおれはもちたいナイフも持たずに うたをうたうよ うたをうたえば 鍵盤に向かえば どんだけそういう気持ちでうたっても うたに刃先はなくなるんだ かなしいことに そんなときのぼくのうたは まるで 鋭いナイフでじぶんの心を やさしくじわじわと傷つけるような サビはずぶずぶと奥底へつかれるような そんなうた かなしいけど そうしてナイフを自分に向けるかでしか 本物のナイフをしまうことはできないのだ あばれそうなぼくをままのむねとうででおさめてほしい いつまでもままに心配をかける子でごめんなさ…
愛の音はどんな音ですか 品があり高貴な黒鍵の音ですか それとも時に子供らしく何も知らないような無邪気な白鍵の音でしょうか そのどちらも合わさった和音でしょうか 教えて下さい あなたが愛に基づいて愛の曲を奏でる時、 それはどの音をどの様なタッチで どの様に響かせるのでしょうか 僕はただ 切なさを覚えました 教えて下さい 誰かを愛する時 僕のその愛のせいで そこに元からあった愛を壊したり 踏み潰したり ぐしゃぐしゃにしてしまう末路は 更にその末路を知っていてまで 僕が赤い心を捨てないことは 愛でしょうか それでもそれを愛と呼んでくれるでしょうか それともそこで壊れる愛など無く あったとしても白紙に…
生まれ変わったら めろんになりたい 好きな人もさほどいないが 高級扱いされ たかと思えば 3口食えば もう飽きた と言われ しかし 食っても食わなくても そこにいるだけで 部屋一面に 匂いを放つ 虫さえも寄ってくる くさいので 冷蔵庫に入れたかと思えば ほかの食材まで ほぼメロン臭 そんな 珍しくて手にしたかったのに 手に入り口に入ればすぐに飽きられる しかしそこにいるだけで そこの空間を塗り替える めろんになりたい 熱帯で元気よく育ったのにダイエット目当てに毎朝むしゃくしゃ食われるバナナより、 ご褒美にテカッたスプーンで綺麗にすくわれて飽きられるメロンちゃんでいたい です 飾りのイチゴはいや…
苦しい そして くるしい 僕なんて しねばいんじゃないかな ネガティブでもなく ポジティブでもなく 神様 僕は今からあなたに土下座をします あなたが僕に使命を下さった時 きっと俺はこう言いました 「えーまじで?むりくない?それはだるい」 若しくは 「そんな大役?へー余裕。楽しそうじゃん」 だったかもしれません。 覚えてないので何とも言えませんが 無理をし過ぎました 格好つけました ヒーローぶりました 結論、 ちょっときつすぎます 諦めて 還っても宜しいでしょうか? そう言いたい日なんて これまで沢山あるんだなぁ 僕を人間なんかでなく 宇宙そのものにしてくれたら ホコリの様な星のカケラも一つ残さ…
全ては僕のエゴなのかもしれない 全ては僕は僕が可愛いだけなのかもしれない その可愛い僕を守りたいだけなのかもしれない 僕はこれが愛なんだよ!と 自分の笑顔も馴れ馴れしさも 肯定したけれど そのせいで 不快にさせていたら ごめんなさい 本当にごめんなさい 今はわらえないです 声も出ないです みんなが僕の歌声を求めるから 僕は歌った 「声」を褒められたり求められることが増えましたが それならば歌う時だけ声の出せる動物にしてほしかった 言語障害になりたかった 天性的な障害が良かった 僕の「声」が誰に何を届ける為なのかも 僕がなぜ生まれてきたのかも また問いてる あーあ また「海外じゃないとね」 とあ…
僕が登ろうとしている山。 それはとても険しくて誰も登らない山。 登ろうとする人はいるものの、歩んでも歩んでも進んでいるかも分からないくらいのでっけぇ山。その自然の偉大さの中に、ぽつりと佇む小さな自分。 横を向いても一緒に登る人などいない。上を向いても先行く人もいない。あるのは誰かが登ろうとしてつけた、薄らとした足跡だけ。 見えてすらこない頂点は、雲がかかっている。 僕は休み、また歩き始めた。 そして初めて後ろを振り返ってみた。 ────僕はずっと「ふもと」にいると思っていた。ふもとから進んでなどいないと思っていたのに。 しかし、振り返って目に映る地面は確かに長い斜面で、地上にある家々はアリのよ…
美しい町へ行けば行くほど、“生きる意味 ”とはとてもシンプルであり、この世は要らない情報で踊らされ本質ではない所にお金を使わされていると気付かされる。しかし彼女達は至ってむしろそれを幸せそうに行う。食べ物、飲み物、化粧品、生活用品、あらゆるジャンルで体に悪い物が溢れかえっていると知らず、知ったところで「私はこれでいいの」と人は言う。 住む場所を10kmほど変えただけで、働き方も人生の在り方もやりたいことも変わってしまった。それはかつてクロアチアの「ロヴィ二」という最も美しい街にステイした時の、“ここに住んでしまったら表現したい物がなくなる(アーティストでいられなくなる)”といった恐さと同じだっ…
あなたの瞳が美しいように、あなたの心は澄み切って美しい。 あなたの魂は純粋です。感受性が高いため、感動は多く そして不安も人一倍強く感じてしまうでしょう。 あなたは感受性の強さで不安を大きく経験しますが、あなたはそこから必ず 大きな希望を掴む人です。 あなたは不安を味わう作業のなかで、ふと冷静になります。自分が不安に押しつぶされて人生を楽しめない姿を想像すると 感情に飲み込まれている自分を美しくない と思い始めるのです。 こんな悲しみに暮れた生き方は 私の人生ではないと そこで気付くのです。 この気付きにより 不安は昇華され、天に不安を与えてもらった意味を見つけ、その不安の解消方法を見出し、自…
僕は今日、とある大役を演じられなかった その瞬間はふと降りてきた しかし僕は今日、その大役の細かいセリフや自分の表情までずっと詳細に考えながら生きていた だけど今日、僕はそれを演じれられなかった 心がそれを拒否したからだ 僕は嘘を演じられない 僕にはそんな台本は必要ないからだ 嘘がだいっきらいだからだ うつくしくないからだ そんなものを演じる暇があれば 何も演じずに堂々としていたいからだ じゃあ何を演じるのかといえば 本当の僕だ それは酸いも甘いもしょっぱいも塩辛いも経験してきた僕の顔だ 僕がしてきた顔だ また今日も音楽だけが僕をうらぎらなかった また音楽だけが僕を守った また音楽だけが一緒に…
現場の状況はどうですか? 危ない現場でだれかがはたらく 夜分にすいません、専門家の何何さんです 寝てたであろうただのおっちゃんが急に専門家のフリをする 床はぐちゃぐちゃです みんなの心の方がぐちゃぐちゃだ 次の揺れに備えてください 次に揺れるのはあの日消えた大事な命を思いながらも、か弱くひとりでに細く消えそうに灯るあの子の心の灯火だ だれかはトラウマで心臓が悲鳴をあげている だれかは引っ越して良かったとほっとしている だれかは昔の友達のことを想っている だれかは死んだ家族を想っている だれかは死んだ家族の元に生きたいと願う だれかは誰かが作った素晴らしい家の下敷きとなっている だれかは今日まで…
その眼の奥に何を見ていただろう その眼の奥に光はあっただろう その眼の奥に 明日は来るんだよ と歌は言うが 明日が来るから辛い人もいるんだよ 明日という日だけから たったその24時間だけでいいから 消えていなくなりたい 傷つかない為に 明日は愛する人に僕の心は預けよう
音楽と共にいる時のみ、この世界はとても優しく平等で平和だ。 誰が上でも下でもなく、何の敬意もない敬語という名の人と壁を作る言語もなく、思ってもないのにペコペコと頭を下げることもなく、あるのはただそこに音だけ。 本当は皆がのほほんと仲良くただのんびり暮らせるハズの人間が、礼儀だ敬語だ意味不明なルール作ってはペコペコペコペコして、それを守れない人間は世間知らずだと馬鹿にし「社会とはこういうものだ」と腕を組む。俺には深刻に“なんでごっこ遊びしてんの?”としか思えない。 みんな真面目に真面目な会社員役に入り込みすぎてて新人俳優賞でも狙ってんのかなと思う程の没入力。いつまで会社員ごっこしてんのや。その映…
ヒトを無視するヒトじゃない人の目には 人が映る意味が無いし ヒトを無視するヒトじゃない人の耳には 人の声が聞こえる意味が無い その腐った目も耳も心も斬り捨てちまえ おまえらの目は人の粗探しをする為 おまえらの耳は人の噂話を聞く為 おまえらの口は人の悪口を言う為 おまえらに五体満足もまじで必要ねぇ 五体を望む障害を持った子が可哀想だから 今すぐそのどれかを与えろよ と思ったがそんな汚いパーツはいらねぇや はよ捨てろ すてろ その手で誰かを抱いた? その目で人の良い所を見た? その耳で良い音楽を聴いた? その脚は人を踏み潰す為のもんじゃねぇよ お前らに豪華に無駄に沢山付いたパーツの使い方を間違うん…
いじめやネットの中傷に傷つく子に 気にすんな! てのはマジで下痢みたいな言葉だからやめといてな 言われたことある人はそんな軽々しいうんこみたいな言葉与えないから そういう奴みんなしんでくれ 優しい子が死ぬ世界にすな 繊細さが生きにくさを作ってんじゃねぇよ 繊細でも傷つかずに暮らせる街が実際にこの世界には沢山あるんでね 日本まじその辺うんこみたいなババァが中国の次くらいに多くてうんこ うんこだから人間な俺らは人間らしく暖かい世界つくろ うんこだから大丈夫だよ 繊細のままでいいよ 泣き虫なままでいいよ 泣き虫な僕でも泣かない場所があるからね 泣き虫な僕が笑いまくれる場所があるからね 世界を見ればな…
今日もみんなありがとう 俺は人がだいすきなんだ 人がだいすきだから人で泣くんだ 誰よりも人で喜んでは誰よりも人で傷つく 本当に本当に些細なことでな 俺の人生なんてぜんぶそうだ みんなそうだけど俺は特にそうだ みんなと比べ物にならないくらいそうなんだよ 虹のような世界を俺はいつも求めてる みんなが違う色で重なりながらアーチを作り、それを見ている人も小さな幸せを感じるようなね 虹の一色一色にハッキリと境目があったら俺はあまり虹に惹かれなかったかな それぞれ違いながらもちゃんと一部は重なりたいんだ 誰よりも愛を愛している俺の中の僕が 愛を落っことしてきた人間達に愛を削ぎ取られる様に虐められるのが本当…
見たくない人間見たくない 汚い人間関わりたくない 俺の笑顔をなんで笑ってんの? と冷たくあしらう人間は蒸発するべきだ じゃあなんで上がるように出来た口角あんの? その散った空気も吸いたくないから綺麗に滅却されろ 俺はただそこに笑顔でいるだけで最強だから 子供の笑顔は神様だから 大人が笑わねーでどうすんのよ 笑顔なんて人間みんな当たり前に出来ることを 出来ない大人はよちよち歩きからやり直せや 笑顔なんて誰にも口角の上げ方〜なんて教わんねーのに 教えたろーかと思うよまじで とりあえず生きてても別にいいけど俺の世界とは混ざらないように国境作ります コロナ感染者数とかどうでもいいから 俺は俺の笑顔を毎…
みんなあいしあいたい みんなあいしあいたい筈なのに ぼくは僕をきずつけたあの子のことは あいせないんだ ごめんなさい あの子の愛が 僕の凸凹と合わなくてケガをしたのか あの子の愛が トゲトゲしていたのか 僕が何を受け取っても痛いとかんじる 弱い子なのか ちがうよ みんなそう言うだろう でもぼくが言いたいのはもっとスケールの大きい宇宙の話なんだ アガペもエロスもなんだかんだと 愛の種類を沢山作りすぎたのはだれですか 傷つけられて愛せないのは当たり前さ でもそこにトゲがついてることに気付かずに 愛という名のハートをぶんなげてしまった少年も トゲがついていないハートなのにぶんなげれずにいた少年も 少…
なぜひとは ははのように はじめて自分の子を抱きかかえる母のように あのおだやかなピンクの色で ヒトを愛せないんでしょうか おれが次この地球にそっくりな星をつくるなら おれはヒトに試練などあたえられない 未熟なヒトを創ったのもあなたなのに むずかしすぎる試練を与えすぎだよ せつなすぎる試練を与えすぎだよ かなしすぎる試練を与えすぎだよ いいよ いいよ いいんだよもう 一つだけお願いをするなら 涙をあの日のママの愛色とおんなじ おだやかなピンク色にしてください それが俺からの願いです
神様へ 僕は 大切 の意味がわかりません。 いいえ、 大切にする 意味はわかります。 僕の中には沢山の宝物があるからです。 それらを宝物にできたのは ママが僕を大切に育ててくれたからです。 だから僕は沢山の人やものやぬいぐるみを宝物に出来る 優しい子になりました。 しかしここへ来て、わからないのです。 僕が宝物にしているものを 大切 と呼ぶのか 宝物達が僕に宝物にされていることを 大切 と呼ぶのか それはもちろん 大切にしている 大切にされている で違うのは当たり前ですが そこがわからないのです。 世の中には片方は大切にしていると思っているのに 片方は大切にされていないと感じることが多いように…
家があるのに帰る場所が分からない 日本に自殺者が多い理由がよく分かる 自分で命を落とす者にも 鬱になった人にも 本当に冷たいんだ 冷たい体温すらないんだ こんな世界のせいで 死にたがるのに 死にたがる人には 興味がない 死んだ人には 冷たい怒り それが愛だと呼ぶのだろうか おれは愛した人が死んだら 愛した人を苦しめた世界を嫌いになる どんなに幸せになるのが人間自身であれ ちょっとの苦しさに 手を差し出せる人がいれば 生きやすいのに みんな結局自分一人に無我夢中なのだ 他人に興味など無い それは本当はみんなが悪いんじゃない 必死にならなければ生きていけない 忙しさのせいか 忙しさは国のシステムの…
女優になったら、 「何にでもなれる(演じられる)女優を通して、私がどんな大役を演じようが、何にでもないということを表現したいです。」 という意味不明な事を言うシーンが見えた。 ━━━なぜ女優になろうと思ったのですか? 「私が有名になってシンデレラ役を演じても、私はただの女の子になることも出来るのです。そして実際には、ただの女の子。そしてそれは誰もがそうなんです。どんな人間でも日々何かを演じています。例えば、電話に出る時には声が高くなったり、好きな人の前ではぶりっこしたり。 私は25歳くらいの妖艶なオーラを出すことも、15歳くらいの少年になることも、5歳児になることも出来ます。性同一性障害だと噂…
また無意味にここへ来た 雨は止んだのに視界はさっきより濡れていた スピードが出る車なのにゆっくりと 後ろに急いでいる車がいるかバックーミラーを見ながら Honestyを聴きながら(そういやこの間おねすとりーって書いてもうたな) 今じゃもう違う人が住んでいる元実家は 知らない車がとまってる ナンバーにおれの誕生日の23が書いていた 昔と変わらない川は 昔と変わらない寒さと 冬にたまに消えるベンチのせいで ブロックに座る なぜか工事中の川 おれの中身も現在工事中 変わった景色と言えば 手元にたばこがあるくらいだ なぜか父さんに会いたい そう思った 疎遠でも何でもないのに すぐそこにいるのに この涙…
僕は美しいものが好きなので そりゃ誰もがでしょうが 生き軸の10割がそれで出来ていますので 自分に対しても 自分を置く街も 自分と関わる人間も 言えば生活の全てを美に囲まれたい 正しく言えば 囲まれるような所に身を置いてあげたい のです 僕が最近顔がしゅっとしてきて 素直に俺めちゃキレイやん。と思えるのは 世間で言うナルシストの感覚とは違って 他人を見ているような感覚なのです あ、写真に映ってる人キレイやん。 鏡ん中にいる人、キレイやん。みたいな いつもどこか天から自分を見るような 他の誰かの視点というよりは 自分が宇宙で、 鏡に映る人をたまたま操作している という感覚なので あまり自分に惚れ…
こんなに生き疲れる世界で生き続ける意味も、使命も、100万回はとうに考えまくってきたが、答えは知っている場所にあった様だ。 僕にとって今まで腑に落ちていた唯一の生きる理由は 「意味は無い。人生はヒマつぶし。」 という言葉だったが、それは昨日、僕の言葉によって張り替えられた。 それは「ママが生きているから」である。いや、「ママが生まれてきて、僕を産んだから」である。 100万回も考えてから辿り着くような場所ではないやろ、という最も当たり前の一コマ目を僕はいつしか通り越して、難しい山を乗り越えようとサイコロを振りに振りまくっていた。ふもと(はじまり)の人間の愛も忘れて。 気付くのは遅かったが、人は…
二人分のシートに横になる。 腕の中にはグレムリン。 視界には10cmヒールの革スニーカー、 折り曲げた膝、ジーンズ、濡れた窓。 この景色は僕の数々の旅で未だそうそうない。 あの日、裸足を愛していた僕の足元はいつもKEENのサンダルだったからだ。 雨の中バスに乗る事もそうそう多くはない。 けれど耳の中には雨の日ご定番、Jack Johnsonが駆け巡っているから僕の耳にとってはいつもの雨の日らしい。 僕はこの先この地球のどこに身を置く時間が多いのか、さっぱり分からない。 ただ、「これから死ぬまで一生日本から出ては行けません。」と言われたら、僕は生きられるか心配である。 食糧など何一つ不自由なく、…
俺が花だったら 美しい花には棘がある といわれる薔薇かと思えば 道路に独りぽつりと強く生えた 雑草や素朴でキレイな花かもしれない 僕は「美しい花には棘がある」という言葉は あんまり好きではない それは棘が酷く、鋭く、痛い物と指しており 棘を美しさと対義させた表現だからだ 棘が美しくないなんて僕は思わないし 「棘のある花は美しい」 の感覚の方が僕には合致する それにもしも「棘」を痛い物だと表現するならば 薔薇の様に派手やかで艶やかな女性より 百合みたいな女が一番棘しかねぇよ おれは知ってる 薔薇の様な美しく繊細で棘を持った女が 一番心が他人に刺された棘の傷だらけだということ 身を守る為に棘を身に…
愛する人がチョークで描いた“しあわせ”という頼りない丸の中に自分が描かれない事はとても心憂いけれど、それでも本当に哀しいのは、その丸の中に違う誰かの名前を描かれる事ではなく、誰の名前も無く空っぽになる事だろう。自分の恋心を除外させれば。 頑丈に鎖で繋がれていたと思われた手の強度は余りに脆く、その脆さも強さも、確かめるようにぼくらは誰かを抱きしめる。 確かなのは手の温もりだけであり、握りしめる一生を誓うような強さは思うより刹那的で、嘘みたいに儚いものだ。 だけどその繋いだ手が一生離れないのが当たり前の世界なら、僕らは誓うことも、本気で愛そうとすることも忘れてしまうかもしれない。 「死」はすっかり…
またもや、亀のようなスピードで長い階段を手押し車と共に下るおばあちゃんがいた。地下鉄だ。 誰も助けやしなかった。おれはすぐさま落ち着いた様で少し駆け足で「持ちますよ」と言った。とても笑顔の可愛いおばあちゃんだった。 またとっても感謝された。 とっても感謝されたけどその嬉しさはどこえやら、それより遥かに、素通りしていく人間達のひんやりさで心が哀しい。そして隣に座ってきた女性が臭くて、また悲しい。 数日前は大雨だった。風も強かった。 そんな日にJRのホームで倒れている男性がいた。 沢山の人がそこで下車したけれど、みんな素通りだ。みなに共通した認識は「酔っ払いが倒れてる」それだけであって、気付いてな…
ぼくなんか生まれなきゃ良かった そう思ったことは 学生時代の鬱だった頃くらいだが みんな死ねばいいのに とは今でも思うものだ それは冷たさからではなく ぬるく大きな愛からである 一度 もいちど寝て もいちど目を醒ませ そう言いたい人が沢山居る おれも誰かにそう思われているかも わからない 僕は結局だれよりも 人間を愛したいのに だれよりも愛を信じているから 愛を忘れ切った人間には 暗になるのだ ぼくの愛を感じ取れない人間は しねばいいし 今世で持つべき愛の器を割ってしまい それを再構築も出来ない人間は 申し訳ないが しんでほしい ちがう おれがしんでほしいなど 書いてしまう人間は 単純に愛を忘…
なんだかもう、しばらく居る気がする。 大嫌いだった東京の空気は前よりも吸うことに抵抗を感じない。 東京といえど、いろんな街があり、いろんな空の顔があり、雲があり、また人が居た。 僕が「東京なんか日本一嫌いだ」という勢いで東京を嫌っていたのは、僕は東京のごく一部しか知らなかったからだ。 いやそれでも、確かに街が醸し出す空気や雰囲気は、もちろんクロアチアのロヴィ二に比べたら最悪だ。 それでも、こんな街でさえ、とっても目と魂が透き通っていて僕と同じ世界を視界に入れている人間、目的地が同じ旅人、人生の仲間が沢山居た。 彼等は、随分前からそこにいた。 おそらく、東京を毛嫌いしていた時の僕には、出会えなか…
神は人間に何を伝えたかったんだろう。 何を感じて欲しかったんだろう。 何を表現して欲しかったろう。 何を大事にして欲しかったろう。 何だけは辞めて欲しかったろう。 僕には分からねぇんだ。 (って言い方すると途端に厨二病ぽくなるけど続行) お風呂上がりの美しい小麦色の脚を背景に神を考える。 幸せだけを感じさせたければ、怒りや悲しみの表情や涙はわざわざ備えつけてくれなくても良かったんだぜ。涙が嬉しい時だけに流れる、美しい色の物でも良かったんだぜ。美しい自然を見せたかったんなら、いじわるに目の見えない人なんて創造しないよね?二足でどうしても歩かせたかったら、足のない人間は創造しないよね。 そんな体の…
日本はすっかりマスクマンしかいない。飲食店再開などで緩和されつつあるも、「義務化」されている場所は未だ多い。かといって公共の場全てにおいてマスクをする義務がある訳では無い。にも関わらずスーパーに行けばマスクをしていない人は1〜3人。彼らはマスクを持っていないだけかもしれないが、どこか親近感を抱いてしまう。 僕は自他の感染予防の為のマスクはしない。していないと“イヤなやつ”という目で見られ避けられるような場では自己防衛の為もあり(憎悪犯罪から逃れる為)、やむを得ず着用のパフォーマンスをしている。これを日本人が見れば、お前みたいなのがいるから収まらないんだよ!!!と、とびっきりのバッシングを受ける…
鏡の中の自分に見惚れる日もあれば、自分なんて何も美しくない足りないと嘆き縮こまって消えたくなるときがある。 99%の人が僕の容姿を見れば、まさかそんなことを思っているとは誰も思わないだろうし、女友達からはむしろ「憧れ」的な値にされていたりする。 でもきっと、有名なモデルさんなんかも普遍的な自己愛=太っても(美しくなくなっても)自分を愛せる人って少ないんじゃないかと思う。美しい人ほど、美意識が高い人ほど、「美しくなければ生きてる意味がない」と潜在意識で感じているのだと思う。 その意識の高さが他よりもストイックで結果的に美しい美貌や肉体を手に入れられて、見た目のみならずそのストイックさにみなが尊敬…
強がりたい時には全身真っ黒を纏い、上半身は革でかため、強い女になりたい時にはヒールを履きかっかっと音を鳴らして地を蹴りサングラスをする。周りからはジロジロ見られ「めっちゃいい女じゃね?」とか、わざと聞こえるように「かわいぃ〜」と言ってくる若い男には「私にはイヤホンの洋楽しか聞こえないの♪」と無視をしたり、わざと振り向いて悪魔な笑顔を浮かべることもある。そんな強い女を演じた日のナンパは大抵、ホストが営業関係なしに本気で「素敵ですね!」と言ってきたり、自信のなさそうな男のナンパは跳ね除けるのだが、まるでどっかの女優が街を颯爽と足を止めずに歩く様にニコッと手を振ってさよならをする。 ネオンの街は元か…
財布が一つなのは、リスキーだ。 仕事が一つなのも、リスキーだ。 帰る場所が一つなのも、知っている国が日本だけなのも、すべてはリスキーだ。 地震で感じた生きづらさと「依存先増幅」の勧め - BOKETTO ↑同じ様なことを、地震があった時に書いている。 何かあったときには、お金を持った者と、お金はなくても人脈を持った人が生き残る。その両方を持っていたら最強だ。お金が使い物にならないとき、お金では解決できない時は人脈だけが残る。それからリスクに備える頭の良さも必要だ。 例えば、コロナで人との接触さえ拒まられる時、人脈のパワーも弱くなるが、自宅待機になった際に食糧を郵送してくれる仲間がいれば強いし、…
小さな女の子は、自分より大きな愛を持ちながら、いつどんな時も手放さなかった。それは重たくなく、軽くてどこまでも飛んでいきそうな軽快なものだったので、受け取った人がまたそれを周りに広げていった。小さいながらに誰よりも愛を身につけた人だった。 そして少女の愛は与えるほどに大きくなった。街中のみんなが、彼女を素敵な人だと言った。 けれど少女の心の真ん中は、ぽっかり空いていた。そこに自分の持った赤を注ぎ込む訳でもなく、自分が与えれば誰かが返してくれるだろう。と信じながら。 ただそれを望むのは近所のおじさんや小さい子からではなく、ただひとり、少女が大好きになった男の子からだった。底の見えないほど真っ暗闇…
恋愛をざっくりFXに例えると。「全ての資金」が自分だとして、「市場」が相手だとする。また市場に投入するお金を相手に与える愛情や行動とし、市場の動きはそのまま、相手のテンションや忙しさや人生の山谷とする。ここまでで、なんだか小難面倒くさい(笑) まず、勿論こちらは「市場に目を注ぐ」わけであるけれどポイントがいくつかある。 ひとつ、自分(資金)に余裕がなければ相手(市場)に対する余裕もない関係になるということ。資金が沢山ある=自分が満たされている、余裕がある、のなら、その分相手へ「与える」ということが可能になる。だからといって、自分が100(万)だとして、それを100相手の為に与えると、急に相手が…
生まれてから死ぬまでずっと夕日の空だったら、その美しさにずっと見惚れることは出来るだろうか。 僕はきっと、「YES」だ。でも多くの人は美しい美しくないのジャッジマンにすらならずに「見なくなる」(興味がなくなる)のだと思う。 世の男が何百人、何千人と「あの女優と付き合いたい」と願い続けられるのは永遠に叶わないからであり、女優が世の男から何百人、何千人から「付き合いたい」と言われ続けられるのは叶えさせられないからだ。 雨の空しか知らなければ、雲ひとつない青い空を人は願うけれど、生まれてから今日まで青い空を毎日見ていれば「明日も晴れてくれ!」とわざわざ願うことはしない。「何年かぶりの雪」が明日来るか…
苦手な女が誰よりも多い僕は「女」という生物への美意識が異常に高いだけ、やねん。
早くバイクに乗りたい。 今日は「良い子」のブログじゃない。 僕の感性的に、料理やピアノはギャップが必要で似合わなくてなんぼ。「似合わない女」が出来るからこそカッコイイ。似合う女じゃつまんない。対してバイクは「似合う女」の方がカッコイイ。 もう勝手なただの感性です。 そんなことを言ったら、純粋に好きな物を好きと言っている人を全否定するような言い方になるし、美人じゃなきゃバイク好きになったらあかんのかい!となるから「やめてください」と言ってる訳じゃない。 バイクは別に美人に乗られて嬉しい!とかブスに乗られて「俺の絵が汚くなる…」とか思ってないと思うが、僕がイケメンなバイクとして生まれたのなら僕をよ…
今日も太陽は昇った。 真っ白な部屋。天井から流れる穏やかなピアノと女性の歌声が、ぼんやりとした朝日と優しく共鳴している。 この穏やかさとは正反対の、変な夢ばかり見た。 感情が爆発、というより静かに激しく啜り泣いている僕を、どこにも安堵させる場所がなく、一人で悶々としている夢だった。本当は知人や友達に泣いた声を抱きしめて欲しいのに、俺の弱みなど入っていく隙もないテンションの高い女の子についていく俺だった。 地球がおかしくなったり破滅に向かわない限り、不変的にいつも居てくれるのは太陽や月、星、空、雲。けれど夜を歩く大人達で、「星が綺麗だね」「満月だね」と気付ける人はどれだけだろう。真っ黒な煙が続く…
は嘘で、どっぷり一日中、仕込みや長時間何かを煮込んで出汁を取ったり、合間に料理本を読んだり、大好きなステンレスと「作業」の空間と音だけに囲まれたい。それだけで疲れ果てて一日を終え、ベッドにダイブしたい。誰かに食べてもらうのは翌日でも良い。(出来たてで) 少し前まではBGMとして音楽が必須だったけれど、今は「曲を流す時間が待てない」くらいにさっさと調理台や料理本に食いついている。洗い物は誰かやってください♡ そんな今でも音楽を意識的にかけるとしたら、バレンタインのお菓子だったり、大切な誰かにあげるプレゼントの場合だ。「音楽を聴かせたコーヒー豆は味が違う」なんて話もあるように、それを受け取る人の好…
ぼくは二週間ほど風邪をひいた。そんな時は100パーセントの確率で頑張りすぎや我慢が原因だ。そんな自分の体などすっかり熟知してきたはずなのに、まだこうして体にサインを出してもらわなければ体の声を聞いてあげられない自分にがっかりする。けれども、やはり僕の体は優秀。よく出来ているな、と思った。 いつもは頭を使いすぎた上の頭痛や、言いたいことを言えないことからの喉の痛み。病院へは行かずにひたすら死んだように眠る。でも今回は下痢や動けないくらいの倦怠感、めまい、目の充血、色んな症状がごっさりと来たので変な病気かと思い診てもらった。 結果ただの風邪だったけれど、いつもと違う症状に不安な僕は薬という物体を信…
また期間限定で、今度は地下鉄の構内にストリートピアノが置かれた。 と、ママが教えてくれたけれど、一瞬はテンションがあがるもののあまり気が向かない。 ずーっと置きっぱなしであれば、弾きたい人も常に混む訳でもないから、注目を浴びたいだけのドヤ顔ピアニスト達に占領されず、ただピアノに触れたいだけの子供たちもピアノで遊べて雰囲気が良い。 けれどどうせ、期間限定で更にはメディアでも放送されて集まるのは、見せつけたいだけのピアニストが多い。もちろん、通りすがりのサラリーマンや、働いている駅員がさらっと弾く姿はストリートピアノの醍醐味であるけれど、どうも求めている雰囲気にはならないのだ。 上手く弾ける人ばか…
去年の今頃、ドイツに飛んだ。深い意味は無い。「クリスマスはヨーロッパがいい。」そんなことを言っていた。 僕はキリスト教でもないし、この歳になってサンタさんが来る訳でもないけれど、なぜか行事の中ではクリスマスが一番心地よく、わくわくするのだ。 ドイツミュンヘンのクリスマスは、僕の大好きなアコーディオンを弾いているおじちゃんがいっぱいいる。みんなサンタのように可愛らしい笑顔で、実に愉快だった。 日本のクリスマスマーケットも中々良い雰囲気を出しているけれど、カップルで楽しむものだという認識や“クリスマスぼっち”という言葉が好きじゃない。 だからクリスマスらしいイルミネーションもあまり興味がないし、大…
僕らは大切な人から順番に傷つけてしまっては後悔を重ねていくそれでも愛したり愛されたいと願っているあなたを守れるほどの優しさを探している 僕らは信じたい人から順番に疑ってしまっては自分を嫌っていくそれでも触れたくて心の奥へ歩み寄るあなたを覆い隠すほどの切なさを知りたくて 僕らは大切な人から順番に傷つけてしまっては後悔を重ねていくそれでも立ち籠める霧の道を進んでいくあなたを照らせるほどの優しさを探している
I will die for you and I will live for youI will cry for you because you're the told me how
怒りの奥にあるのは、哀しさだ。 ぼくが怒りという目立ちたがりの感情に騙されずに、ちゃんと自分のそれに気付ける時は、お風呂かベッドに潜ってピアノの音色に浸った時である。 さっきまで荒々しく火をぶちかましていた山から、一筋の純水が流れる様に、そっと川が開かれるかの様に。 音、とは不思議である。 ぼくは元々、人に怒りをぶつけるというのが下手だけれど、それをぶつける努力をするのでもなく、篭らせる訳でもなく、こうして奥の奥に恥ずかしがって出てこない「哀しみ」というブツをただ抱きしめてやることに意義がある。 何しろ、心が求めているのはそれなのだ。 確かに、戦争が許せなかったり、自分勝手の政治家が許せなかっ…
昨日街を歩いていたら、もう描いている道を歩けてる自分がいた。 みなが振り向いた。 自分でもオーラの放ちを感じた。 くそなナンパなど寄せ付けなかった。 サングラスをしなくとも、 久しぶりに堂々とそれを味わった。 “ぼくはこんな所を歩いてる場合じゃない” そう感じた。 けれどその次の日に、ジャージで少年のように歩き、颯爽と歩いて道行く人の目線を独り占めした昨日とのギャップを楽しむのが好物だ。 ぼくが他人を使って行う唯一のあそびは、この他人の目の操りだ。 365日46時中、「おんなじ女」にしかなれない女は好きじゃない。 常に色気しか出せない女も、常にキャピキャピしか出来ない女も、ぼくには飽きるし魅力…
僕はこの平和ボケした、というより歴史や真実を知らないでアメリカの思うつぼに踊らされている日本が嫌なんだ。確かに土の下を剥がないで、綺麗な花だけを見ていたらこの国はとても平和だ。けれど引きこもりも自殺の数も、働く時間も働き方も、自己肯定感のない若者の数も、全部全部異常なんだ。 真っ黒に塗り潰された芸能界の闇すぎる闇も、3S政策*で洗脳された日本人も、天才が生まれないように抑圧された教育も、ある時から報道しなくなった人工地震も、隠されたHAARPも、ネットがある今誰でも真実を知れるのに。 僕は先週、こんな事を下書きしていた。 そしたら今、吉本興業のニュースだらけになっていて妙に繋がり、埋めていた文…
空は知っている ぼくたちが苦しむ必要のないことを 僕らは昔しっていた この世は楽しいことしかないことを それはどうかな 「ちがうよ、んな訳ねぇだろ」 と言う人が沢山いるのを余所に、 そうよ〜と楽しそうに生きる人がいる。 校庭ではしゃげる子供が 雨で騒ぎ遊べる子供が 学校から家の道のりで楽しめる子供が 何もわかっていないようで一番この世のなにか大切なことを知っている気がする。 景気がどうとか会社の仕組みも礼儀作法もなんにも知らないけど、大人が落っことしてきたキラキラした物を沢山だっこしている。 子供にそんな素晴らしい天使のような無邪気さがなければ、「子供」である必要がない。育てる者が人間じゃなく…
上手いピアニストは休符がある。 下手なピアニストは休符がない。 上手いピアニストには音の響きと、響いた空間の空気を感じられる余裕があるけれど、下手なピアニストは自分の音を聴くのに精一杯で休符すら感じられない。 もっと下手なら、自分の音すら聴く余裕がない。 僕はもっと間を作らないといけない。 ストリートピアノを弾いてきた。 帰宅ラッシュを狙えば余裕で人が集まったが、少し時間はズレた。 撮影してくれる友達を待っている間に離れた地べたにアグラをかいてずっと観察していたが、警備のおじさんに心配をされ仕方なく近くに寄ってアグラをかいた。まさかコイツが後からピアノを弾くとは誰も思っていない。 今すぐ席を奪…
一人になりたい時がある 朝でも夜でもなく ずーっと夜の中で 終わらない夜に埋もれたい時がある そこにあるのは夜の黒さに紛れて散らばった、黒い音符だけでいい それら全てに優しく抱かれて そっとそのままねむりたい だれにも、たいようにも照らされず そっと穏やかに微笑みながら 子宮にいた頃とおんなじポーズで ねむりたい ただただ なんにも考えず 時すら止まって だあれもいなくなって けれど 本当は最初から既にそうだったことを思い出したい みんな ひとりなのだ ぼくが自分のものだと大事に箱にしまっている愛しいぬいぐるみ達は、人間は 最初から誰のものでもないのだ みんな、だれのものでもない ぼくも、だれ…
ぼくらは愛し方も 愛され方も 学校で習うわけでもなく そうなればどう愛されてきたか それだけが 自分の中での知っている愛になる 映画の世界でどれだけ愛を見ても 愛を形成する食材は親からの愛に尽きる その形が歪であれば それを受け取って育った子も歪になる 大きければ良いかといえば それが返ってバランスの取れていない愛を知ることになったりもする 放任主義も過保護も過干渉も 「いい子にしなさい」も 「100点を取らなきゃあなたはだめなよ」も 本当はぜんぶ子が生きてくれてるだけで最高にThank youなのに。 愛が子供に伝わっているなら良いけれど、伝わっていない状態で勉強やら何やら押し付けまくってい…
愛していた財布が消えた。 中の現金はどうでもいい。あの財布が誰かに取られたことがショックで病む。 仮に30万入っていたとしても、それはまた稼げば良い。また手に入る。 あの誰よりも優しい鞣し革だったあいつとの別れが辛くて仕方ない。 いつも磨いてあげるほど大好きだったのに、あそこに忘れてしまったのは僕だ。 警察に確認をしたら、忘れた場所と全然違うところで中のポイントカードだけ発見されたらしい。イコールもうスられたとしか考えようがない。 ちょっとヤバいのは、中に入れていたカードどっちゃらもそうだけれど、他の物だ。 渡すはずだった愛に塗れた手紙と、おれの満面の笑みの写真を入れていた。 それを読んで、見…
久しぶりに一人で外食をした。 無駄に美味く感じた。 母の手料理を食べる機会もなくなり 自分は誰かに作る方で 腹が減ればコンビニでは簡単に何でも食べられてしまい お洒落なレストランの物理的に美味しい料理も好きだけれど 近所の人や昼休みのサラリーマンが集う、おっちゃんが一人で切り盛りしているようなお店には特別愛を感じる おそらくそれがちょっと不味めでも なぜだか感動してしまっていた 人がなにかを料理して食べる生き物で良かった それが家の妻でも店のおっちゃんでもシェフでも、作ってくれる人がいるということはとても幸せなことだと 作ってくれる人がいなくなって初めて知る たとえそれがコンビニの惣菜でもそれ…
おれがあの日ピアノを弾くと みんなが喜んだ おれがあの日パスタを振る舞うと 彼は感動した おれがあの日アコーディオンを弾くと 友人は涙した おれがあの日写真を撮ってやると 彼女は美しい自分を知った おれに出会った人たちが おれに出会った良い大人たちが あなたに刺激された あなたの生き方に刺激を受けた そう言った それでもおれが人を感動させた経験は未だ未だ少なすぎる。足りちゃいない。 「まだまだ何でも出来るね」 と言われる21歳というレッテルの貼られた僕の裸体は、小学生の頃から色々なことに対して「もう遅い」という感覚を抱いていた。 フィギアスケーターになるにはもう手遅れだし、何でもてっぺんを目指…
いやはや馬鹿ばっかりだ なにぶん馬鹿ばっかりだ どうにも馬鹿ばっかりだ はなはだ馬鹿ばっかりだ おおよそ馬鹿ばっかりだ えてして馬鹿ばっかりだ 「結婚は人生の墓場だ」って アインシュタインの真似してアッカンベー 最近結婚した渡辺くんが 自慰していた方がマシだとぼやく 不倫がやめられないまなみちゃんは 「禁断の方がときめくよね」って言う アダムとイヴが食べた果実なんか 今じゃ1300円で売っている 快楽の馬鹿ばっかりだ 肉欲の馬鹿ばっかりだ 愛を知らぬ馬鹿ばっかりだ アブノーマルな馬鹿ばっかりだ 浮気をする馬鹿ばっかりだ 愛を探す馬鹿ばっかりだ 酒飲みながら柿崎くんが言う 「ぜんぶ全部時代のせい…
目に麦粒腫がポツ、ポツとふたつできた。 夜中に異物感が凄く起き、瞬きが痛くて涙が出たが、こうなって初めて“目”という機能を通して自分がこの世界を“見る”という作業が出来ていることを知る。 もしも目が見えなくなれば、僕が行きたがっていたまだ行ったことのない様々な景色は見れない。それでも僕はそこに行くだろうか。 僕は目で感じたいのだろうか。 五感のうち視覚が人間の感覚のほとんどを占めているのだから、 「外国の匂いを感じるために」とか「外人の身体に触れてみたいんだ」とか、視覚以外の理由で人がどこかに行きたがる人は少ない気がする。 「死ぬまでに見てみたい」 という理由がとても大きい気がする。 目が見え…
端から端まで飛んだ 人間に創られたものではない真緑が生き生きと在り、急ぎ行く人が居なくなり、そこに止まった列車もホームも静かに固まっているだけだった。 自動車学校は二時間の予定だったが、一時間のみ頑張った後に残った僕の身体は見事な抜け殻となった。暫くの間、黒インクを躍らせたA4の紙達を僕の横に置きながら、窓の向こうにいる世界を見下ろしていた。 気付けば、数時間後だった技能予約は20分後に迫っていたが、僕はまるで今列車に轢かれて死ぬことを思いついた少年のようにパッと席を立った。 「キャンセルで」 いつもの受付のお姉さんにはいつもの俺でしかない、自分からすれば不気味でしかない笑みを光らせ去った。 …
世界を嫌った、青い髪の女の子。 純粋すぎた少女は この星では生きられなかった。 少女は髪をピンクにした。 自分の中にあるやさしい部分を 色だけでも世界にはめようとした。 けれどピンク色に染った髪は 次第に少女とも分離し、空(くう)をさ迷った。 身体が怒りと孤独が混ざり、濃い紫色になっていったからだ。 そして少女には何もなくなった。 肌色の身体だけが残った。 それでも疲れ切りながら、切磋琢磨で生き延び大人になった少女は生まれた時と同じ、真っ黒な髪を身に纏った。 刈り上げていた耳の横とうなじの感触など、忘れた。 すっかり黒髪を身の物にしたその“女性”は、無造作に頭の上にお団子を作っては、大人を演じ…
だったら、最高だ。 みんなが大事な事に気付き、 急に焦り出す人間はほんとに バカすぎてどうしようもないけど それでもみんなが寿命5日なら 急いででも手を繋ぎあって 目を合わせて 想いを伝えるだろう。 それが 死ね でも おまえのことまじ嫌いだった でも 愛してますでもなんであろうといい。 なんとしてでも つたえあうのだ。
この世の夫婦やカップルで、好きなのにすれ違ったり小さな事で蟠りの生じている男女は皆、一週間ほど仕事を休んで遠い外国に行けばいい。 そしたらどんなに今起こっている問題がバカバカしくてアリンコみたいか分かるだろう。そもそも問題ではなかったことに気付くだろう。 小さな世界で愛し合っていると、どうも上手くいかなくなるものだ。 二人だけの世界は勿論どんな世界より愛で溢れていて欲しいけれど、二人だけの世界の秩序を保つには、二人は自分達より遥かに大きな世界の中にぽつんと佇む必要がある。 それはつまり日頃から会社という小さな世界だけで生きるのではく、仮に会社という小さな世界で住んでいても、意識は常に大きな世界…
散らばった四人の家族の、想いが夫々どこを浮かんでいるか分からないまま、月日は過ぎる。僕の想いは独りでに宙ぶらりんのまま、五線譜からはみ出したピアノの音符の様にひとりぼっちだ。 今すっぴんで外を歩いても僕の目に力が漲切っているのは、この地球においての生きにくさや悲しさからかと思えば、そこに紛れる誰とも比べ物にならない生命力からである。 僕は今、身体こそ元気ではないけれど、極太に真っ直ぐなアスパラガスのように強く曲がらぬ信念が心の根っこから聳え立っている。 自分の中で守りたい自分、それは誰にも傷付けられたくない柔かい部分、イコールそれは強い部分。それらを知っている。 何が許せなくて、何は許せて、何…
皆がいま、自分のことで精一杯である。 精一杯同士で上手く愛し合えるのは、女友達同士だけである。 精一杯な男は精一杯な女には気付けない。 精一杯な女は精一杯な男に気付かれない。 精一杯な人間は いっぱいいっぱいの人間は 自分を犠牲にし 誰かを愛することなど 持てやしない愛を両手に 乗せようとしては落ちていく それに気付く頃には その愛を一瞬でも拾った彼女は もう死んでいる ころしたのだ あおいそら かがやくうみ てりかがやくたいよう ゆれるきのおと かぜのおと あぁ何も無いこの地球のおんなじ時間で 危機の迫るアラームではなく それら自然がゆったりとした時間をただ過ごしているにも関わらず 地球の裏…
「ピアノなんか辞める」 「誰がおれにピアノなんて習わせたんだ」 「おれがこんなにピアノを好きにならなければ良かったんだ」 そう数分前に感情を爆発させ泣きながらジャズの楽譜をぶっちぎったぼくは、もう既にピアノを聴いている。 でも今は弾きたくない。 会いたくない。 会いたくて仕方が無いのに、 好きすぎて会いたくないのだ。 この広大な敷地でさほど大きくないあいつの居場所すら確保できないぼくに、あいつは何を想うだろう。この状況で一番の迷惑をかけられているのも、さみしいのも、おれじゃなくてあいつだろう。 「ピアノを辞める」 だなんて、ぼくを知っている人であればどんなにぼくの頭がイカれたかよく分かる。ぼく…
涙をもっと大きな粒にして、色なんか付けちゃって、もっと目立つ物にしたかった。 そうしたら静かに透明の涙を流すぼくに、気付かないで通り過ぎる人はいなかっただろう。 どうせなら効果音だなんて付けちゃって、みんなが他人の涙に気付く音か、笑ってしまうような音を付けてくれればよかった。 特に女の子の涙はもっと目立つようにしなきゃいけなかった。 でも僕らはみな透明を選んでしまった。 大好きな人の涙に自分の顔が映るようにしたのだろうか。 一人で静かに泣けるように、目立たなくしたのだろうか。 ぼくは透明の涙で泣きたい時もあれば、派手な赤色にして誰かに気付いて欲しい時がある。 そして涙を脱ぐんでくれたその人の指…
便利なものは人をたくさん助け 便利になりすぎたものは時に人を食べてしまう 列車は今日も朝晩と たくさんの人間を運んでいる 普段だれにもありがとうと言われないのに 少し遅れたから、と罵声を浴びる 人を食べる気などなかったのに 自分で止まることのできない列車は つまるところ動かされている列車は また人を食べてしまい 列車を人肉でぐちゃぐちゃにしては また人を待たせ すっかり誰かに掃除をしてもらえば さっきまで人の血が体についていたことも忘れ去られ また人をはこぶ 沢山の人に素晴らしい景色を見せては 沢山の人の出勤時間を守っては 今日も疲れた人間達を 誰も指で撫でてなどくれない人間達を 目的地まで優…
今日のおれの身体はとても公共機関を使う気にはなれない繊細な身体をしていた。人混みは御免だ。朝も夜もタクシーを使った。 おれのタクシーの使い方は他の人とは違う。おれがタクシーを使う目的は、急いでいる時は別として、一瞬でもおれの命を預かると同時に初対面のおれを目的地まで運んでくれる“運転手”との会話や出会いにとても価値を持たせたものである。なので乗るタクシーも直感で惹かれた車や、それがなければ運転手の顔を覗いて良さそうな人を選ぶ。似合わないピンクのタクシーにもたまに乗るのは、こういった理由によるものだ。 今日の帰りは見事に二台のタクシーに無視をされた。ひょっとして透明人間になったのか心配になってい…
The most my favorite pic now.
今。 数秒後に地下の岩盤が破壊されたら。 今日眠りについたあと、そうなったら。 この文章が最後の言葉になる。 さっきあの人に見せたあの笑顔が最後の笑顔になる。 さっきあの人に見せた怒りが最後の怒りになる。 その人にとっておれの最後の表情は怒りに満ちた顔であり、 その人の最後におれが突き刺したのは真っ赤な槍である。 その人に与えるべきだった両手で抱え込んでいたはずの真っ赤なハートすら吹き飛ばして、それすら忘れて。 今死んでしまえば、 さっき道を尋ねてきた人が最後の話し相手になり、さっき挨拶を交わした嫌いな上司が最後の話し相手になり、さっき食べた特別旨くもないコンビニ弁当が最後の晩餐になり、さっき…
数日前。地下鉄の階段の一歩手前。手押し車に手をかけたおばあちゃんがいた。 エレベーターもない冷めた地下鉄で、果たしてその手押し車をどう階段下に持っていく気をしているのか、全く行動予想の立たないおばあちゃんがいた。 ぼくの後から駆け足の女性が現る。「くそ!おれが助けようとしたのにおまえもか!」と思いほんの一瞬、顔がこわばったが、女性はただ急いでいただけだった。 お陰様で、ぼくの手が、強く欲していたおばあちゃんの手押し車の上の部分にすっと伸ばされた。 「っ持つよ。」 おばあちゃんは少し驚いた表情をしてから、あらありがとぅ、だなんて言っていた。 階段を下り終えるまで、手押し車が知らない若者に攫われた…
ハンガリーに居た頃、盲目のピアニストと繋がった。なんでかはよく分からない。偶然の出会いなどぼくには自然に起こりゆる。たまたま泊まったホテルのお手伝い君が優芽のピアノ動画を気に入って、「どうしても生で聴きたい!」と言った。すると翌日、彼は道端で盲目の男性から道を尋ねられる。二人の会話がすっかり弾むと、彼はピアニストで、帰る家はなんとそのホテルと同じアパートらしい。階違いだった。 ぼくは導かれるようにお手伝い君と共にピアニストの彼の家にお邪魔することになった。盲目の人とコミュニケーションを取るのは初だった。 彼の家はまっくらだった。ぼくらは目が見えるので何も見えない。明るくして良いか尋ねてライトを…
何でも創造の出来る神になりたいとおもうときがある ししゃも生者も みなごちゃまぜにしたいときがある 犯罪をおかした悪人も 誰かを愛し抜いた愛の人も みな ごちゃまぜにしたいときがある 大統領も犯罪者も子供も精神異常者も みな裸にして 手を繋げ合わせたいときがある たとえば大好きな人が不倫をしても その大好きな人を愛した同じ仲間として 自分の抱けない部分を抱いてくれた天使として 不倫相手ですらひっくるめて感謝をしたい そんな時もある そう思う 時もある 己の肉体はもっと我儘であり 好きな物は自分の物にしたくなったり 俗に言うヤキモチだなんて したりするけれど この宇宙を丸ごと包みそうな博愛のよう…
いつも通り、深夜のリビングには疲れ切った父さんが眠っている。 そこに「上で寝なさいよ」と注意をする母さんはもういない。 ありあまった食糧も、おれの朝ごはんのアイスもなく、冷凍庫はしんとしている。 すぐに片付けたがる母さんがいないから、コンビニで買ってきた食べ物のゴミは、おれが食べ終わるまで虚しくテーブルに転がっている。まるで寂しさを一緒に味わってくれるかのように。 金色のネイルが、素朴なそぼろご飯と物のない素朴なこの家から浮いている。 黄色と青を纏ったお家は、今じゃなにも派手じゃない。 天窓から見上げる星や月はいつもぼくの味方だった。 眠れない夜にそこから青に移り変わりオレンジが顔を出す空は忘…
去年、オカマバーに行った。ショーの始まりから終わりまで、感動しっぱなしだった。涙が出た。横にいた友人に、「マジで感動する。カッコイイね。」と言い、「きっとこうなるまでに色々苦難あっただろうに、今ここで輝いてると思うと…」と付け加えると、 「ここでしか輝けないんだよ」 と友人は言った。 ボクは下を向いた。 視界の上の方に映るオカマは変わらずキラキラしていた。 ボクの目に映るキラキラオカマは、困難を乗り越えた分、他人には出せない圧倒的なオーラを放つ大スターに見えたのに。 ならばそもそも、あの姿から輝きすら見出せない人もさぞいるのだろう。 オカマが踊ってる、きもい そうとしか感じられない人間もいるの…
ねむりを妨げるものより この世で一番はらがたってかなしいのは ぼくからぴあのがいなくなることだ それもおれがまだ かきくけこ の き すら上手く発音できない頃から この手にずっと馴染んだモノクロと その中で音を創り出す羊と鋼 調律だってしばらくしていない そのピアノに慣れた耳など 絶対音感から外れているかもしれない けれど他のピアノには決してまねできない 音も匂いもキズも呼吸の仕方も 本当に心からの心友なのだ どうか いいや どうして こんなにも美しいピアノというものの居場所がこの街にはないのだろう すっかり居場所をなくしたピアノとぼく ぼくには沢山居場所はあるけれど ぼくが「帰る場所」は ピ…
人間関係全てに正解があればいい。 人間関係のはじまりは自由やファンタスティックなもので構わない。 よくわからなくたって構わない。 けれど人間関係のオワリはそっと誰かに道筋を照らしてほしい。 人間関係のオワリとは連絡が途絶えたりLINEがブロックされるとか小さなものではなくて その二人が死へと向かう時に果たしてそれが最良の関係の在り方なのかどうか、またそれまでに一旦終わらせたであろう関係が再び出会う時、それでもあの時はこうして良かったねと言えるオワリ方をしていたのか、そんな所である。 もう会わなくなることを終わりと呼ぶか、嫌われて顔も見たくなくなられる関係を終わりと呼ぶか、死を終わりと呼ぶか、そ…
自分が生まれた日。 裸だった。 みんなが裸のぼくを抱きしめた。 今日はどうだろう。 服を着ている。 もうパパもママもおばあちゃんも おじいちゃんも友達も 布を剥がしたぼくの裸体には触れてくれやしない。 いっそ今日まで 誰も服を着させてくれなきゃよかった。 そうしたらいつから この裸体は 「はしたない」「みだらだ」 と言われるようになるだろう。 いつからそれは 「性的に誘惑している」 と言われるようになるだろう。 今日も様々な性的ニュースでこの世界は溢れている。 僕には本当に本当にわからないことだらけだ。 そこそこ普通に学校には行っていたのに、この世の仕組みやこの国の文化や常識というものに対する…
大好きな人がまたひとり死んだ。 ドラムを叩いている彼はいつも体の底からリズムを生んでいた。 その鼓動がそのまま、今もみなの記憶の中で彼らしく動いている。 彼の育ちも好きなものもぼくは特に知らない。 会った回数もそれほど多くない。 それでもぼくは彼が好きだった。 そしてぼくと同じように もしくは一度しか会っていないのに すっかり彼の虜にされてしまった人が沢山いる。 「太陽みたいな人」 と誰かが言った。 フェイスブックの彼のページに寄せられた、 それぞれの人がそれぞれの言葉で表現した彼は 要約すればすべて"太陽みたいな人”だ。 くしゃっと笑った顔や真面目に考え込む顔が思い浮かぶ人もいれば、 "笑っ…
村の人口が100人だと決まっていてもう減ることも増えることもないとするならば、そして99人のことをよく知っているのならば。 少なくとも5.6人は好きになれる異性がいるだろうか。それともたった1人だけ誰にも譲れないほど恋に落ちる異性がいるだろうか。はたまた恋とは違う1人のパートナーとして一緒にいたい異性が存在するだろうか。 そして村の男の人の中で、自分を好きな人は何人いるだろうか。何人かに好かれることで、自分を憎むメスが何人現れるのか。 そして自分が好きになった5.6人みんなを愛することで、自分を嫌いになる人はどれくらいいるだろうか。 自分がこの人!と1人に愛の的を絞ることで、自分を愛してくれて…
もう大分まえだ。ある人に「パーシーのどこが好きなん?」と聞いたら、限りなく語彙力を削り落とした舌足らずの状態で十分に間をとった後、「…人。うん、人。常に“人”って感じなんだよね。」と言った。その後、彼は首を傾げて何か言葉を足そうと試みたが、足される言葉は見つからなかった。“人くさい”。それがこの世に生まれた自分にとって最も嬉しい言葉であった。 高校生になり、初めてのバイト先はチェーン店での接客業。マニュアル通りのロボット人間しか求められない職場は、自分にとってまるで酸素がなかった。その後カレー屋、居酒屋、アメリカ料理屋、と新たな飲食店に移る度にマニュアルというものから離れて行き、面白い具合に「…
あの日、ぼくのお父さんは見たこともない顔をした。 こんなにずっと一緒にいたはずなのに、見たこともない顔をした。 こんなにずっとひとつ屋根の下にいたはずなのに、そうでもなかった。 それは春の雪をキラキラと 照らし溶かす太陽のように。 またその輝いた雪のように。 極めて美しく、目に留まっていた透明の涙は太陽が照らす水溜まりのようだった。 あぁこんな表情も見ないまま、人は一番近くの人を知らないまま失っていくのだと思った朝だった。 あんなに美しい表情を見てしまったけれど、見れて嬉しい気持ちと同時に、死に際にその表情が思い浮かぶのだと思うと、見たくなかった気持ちもあるのだ。 それほどにかつてなく、言葉と…
今まで、魚にとっても失礼なことを言っていた。 生きる喜びや目的を失っている人や社畜の人間の目を、「死んだ魚の目」とよく聞いたり言ったりすることがあったけれど、それは間違いでした。 昨日、居酒屋の食卓に出てきた活エビの目は、とっても愛おしくてかわいらしかった。そもそも魚でもないし、死んでもいないけれど、あと数秒で人間の手により殺されるエビの目はあまりに円らであり、頭を撫でたくなるようだった。 実際には、飛び跳ねるエビを目の前に、ぎゃーぎゃー騒いでいたわけであるけれど、自分の意思とは関係なく声をあげることも出来ない状態で人間の食卓に出されてはきゃーきゃー騒がれるエビの気持ちといったら、考えることも…
家にかえると、ぼくのものはすっかり、いやほとんどなかった。 ぼくは泣いてしまった。 洗面所のコップも、ふとんも。 ぼくは悲しかった。 もう引っ越しているし別になにもおかしいことではないけれど。 ほっとするために家にかえってきたのに、僕は悲しさとストレスで泣いてしまった。 僕は僕の身体に本当にワガママなのだ。 他に誰も先に入っていないお風呂と、ココナッツのお線香、スピーカーから流すジャズピアノ、広いベッド、ぬいぐるみ、バスローブ。 もしも長い旅行の帰りにその時間と空間を奪われて、つまり「いってきます」をした拠点となる愛しの場所に「ただいま」を言えなくなってしまったら。 僕はただただ、悲しくなる。…
今日しぬのなら あんなにうざかった大雪もぜんぶ 雪粒ひとつひとつが愛おしくなるんだろう 革の手袋を脱いで こどものように手の温もりで そっと雪を溶かすんだろう 雪玉を作って誰かにぶつけたい心理よりも 初めて雪をさわったあの日のように ただ触れて味わいたいと思うんだろう 雪がとけて うざかった雪かきとのお別れを喜ぶ者 雪かきしかやることがなくなっていた者には ぽっかりと時間と空白 誰もがはしゃいだはずだ 小さい時から雪が嫌いだった子はあまり聞かない 日本では毎年毎年雪が地に降りてくれるけれど 姿形を変えていないのにも関わらず なんにもしてないのに ただ降っているだけなのに 自分の意思と関わらず寒…
数十年前の数週間後、ぼくのおじいちゃんは生まれた。 今まで沢山の人と握手をしていたけれど、その感触も冷たさも鮮明に記憶している手は、じいちゃんのだけだ。 今まで沢山の人の顔を触ってきたけれど、そのひんやりとした冷たさを手が思い出せるのは、じいちゃんの右頬だけだ。 ぼくはいつまでも愛している。 ぼくの手はいつまでも覚えている。 実家から盗んだじいちゃんの写真を財布に住ませしばらく経っていたけれど、財布を開いた今、妙に目が合ったのでテーブルに出してみた。 その瞬間からじわりと涙があふれでた。 写真の中のじいちゃんは生きていて、目はこの世の誰よりも澄んでいて美しくて、歯の見せない微笑みはこの世の誰よ…
なんでもない日にケーキを買った。 閉店していたのに、「いいよ」とお店に入れてくれた。 全部自分で食べるつもりなのに、 家族の人数分を頼んでいる自分がいた。 4つ頼んだのに、 「シュークリーム入れておくね」とおじさんは言ったけれど ショーケースにはまだ沢山のケーキがいた。 選ばなかったケーキ達を眺めていたとき、 僕の顔はとても悲しかった。 「残ったケーキ、どうなるの?」 子供のような声でそう言うと、 「うーん。明日もお休みだから廃棄しかないねぇ。」 明るく派手に彩られたケーキ達の終末は暗かった。 今でさえ、特別な記念日でなくても 昼間のカフェに顔を出すケーキだけれど 誰か分からない今日が誕生日や…
「人をころすような人ではありません」 なんて容疑者の家族や容疑者の知り合いは言うけれど 人を殺しそうな人が家族や知人にいる人の方がよっぽど珍しい さっきカフェで美味しそうにコーヒーを飲んでいた女の子も 高級イタリアンを食べていた素敵な女性も その後に人を殺してしまう可能性も 自殺をしてしまう可能性もあるのだ この世界はそんなもんだ 自殺をする人の心理は様々だが 想像をするのだ 私が ぼくが いなくなったらこの世界はどうなるだろう?と。 これでぼくの痛みがどれほどだったか分かってくれるだろうか?と。 自殺をする人が最後に求めるのは 痛みをわかってほしい、 存在をわかってほしいという 愛なのだ。 …
夜の寝静まった街を見れば この街が人間の物(ぶつ)ではないことがわかる この星が人間の物(ぶつ)ではないことがわかる 人間がこの星に住まわせてもらっている身だということがわかる 真昼間の街にお出かけすれば 人間の街にしか見えないのに 田舎に行けば 人間が暖かかったことを知る 海に行けば 海の偉大さと太陽の生を浴びる 山に行けば 自然が生きていることを知る 夜の星は どんなに激しくぶつかったり ものすごいスピードで落ちていったって 地球の人間はあまり見てくれやしない 花がどんなにキレイに花を咲かせようと ライオンがどんなに華麗な狩りを見せても 深海魚があれほど美しく深海の海を照らそうと ビルで生…
海外へ行く時に、異常に危険ばかり心配する大人はもう消えた。 なぜなら、海外を知っているのはその人ではなく、もうこちらであるからだ。 僕が海外を経験したからこそ彼らは何も言わなくなったけれど、僕にしたら彼らの方こそ普段の生活に危険はないのかい?と問いたい。あの時のあの人たちにこう言いたい。 車を運転する時に毎度毎度「死ぬかもしれない」と思って運転していますか?と。 あんなに何でもかんでも危険やリスクを並べるのなら、日常に危険は数え切れないほど沢山あるものだ。事故に遭うリスクがあるから家にいよう、と思ったって突然家に車が飛び込んでくるリスクも地震が起きるリスクも、ナイフを持った不審者が入ってくるリ…
とまとは、赤い。 でも、青いとまともいる。 いつかは赤くなる青いとまともいれば、 黄色いままのとまともいる。 色のちがいだけかと思い、 赤い子どうし 青い子どうし 黄色い子どうし あつめてみたけれど 青い子たちをよくみたら でっかいとまとがひとりぽつん 小さいとまとはふたりでなかよく ヘタのないとまとはげんきがなく 虫にたべられたとまともいた みんなちがっていた そんなトマトをぱくぱく食べていたら ひとりひとり味までちがっていた そしてこのあいだ食べたトマトのパックを見たら おんなじ味がしたなとおもってたトマトは 今日食べたトマトと生まれた畑がちがっていた みんなちがった けれどもぼくらは ひ…
海外へ行くのに細かい理由なんてないけれど、「すきだから」とか「気分で」という真っ当で最大限の素直な表現をしても通じない“うるさい人間”の為に、今まで何度も文字や言葉にしてきた。今だから思うが、その必要はなかった。もしそこに必要性があったとするなら、その人が僕という存在を知ったことで今まで何かに縛られていた脳ミソや手足は「自由に動かしていいんだ」と世界を広げられたとき。その可能性のない、ただ僕という人間や僕という人間の生き方を否定したり「変なイキモノ」扱いをしたいだけの人間にはわざわざ思考や感覚を言葉にする、という変換作業は時間と労力の無駄だ。 今まで"通じない人”の為に言葉に変換してきた時間を…
今日でこのすっかり住み慣れた家と、そこの唯一の同居人であった年季の入ったピアノとまたねをする。人間は本当に慣れてしまう生き物で、この家に到着した日は子供のようにはしゃぎ喜んだのを鮮明に覚えているが、それから今日までは至って普通の毎日だった。正直言えば、初めて到着した日の映像も今日まで思い出せなかった。念願であった「四六時中ピアノが弾ける」「何時でもスピーカーで好きな音楽聴き放題」「裸でリビング」…等、あげれば欲張りなほどにお望み通りのお部屋だったことがよく分かるのに。 だけれど今、あと数時間後にこの家を、この街を旅立つぼくは壮大であり美しいジブリの曲に浸りながら「美しかった日々だなぁ」と勝手に…
ぼくはこれまで大事なことを忘れていた。 今ぼくらが生きているのは三次元の物質世界だということ。 19歳からのヨーロッパ一人旅で、 「思い通りになる」「どこへ行っても助けてくれる人が現れる」 という引き寄せ慣れをしてしまった僕は 「おかねなんていらない」 と本気で目覚めた"気に”なっていた。 これも大事な気付きであり、 もちろん今も、 "お金は人間が勝手に創造したもの”であり、 勝手に創造しておきながら自らそのお金を使って首を絞めてたり、苦しんだフリをしたり(それを味わったり)なんかして、なんとも可愛らしいゲームだとは思っている。 それにしても、本当におもしろいほど、 あまりにも人間が「お金」に…
ここ最近、ヨーロッパに来てから「言語」について考えることが本当に多かった。 2年前、初めてヨーロッパに来た自分はなぜだか共通言語の全くないトルコ人と2ヶ月間も一緒に住むことができた。しかもそこにストレスはなく、あるのは簡単な英単語「グッド」「ノーグッド」「ユーハングリー?」「ユースリープ?」本当にこれくらいだった。けれどもその時の自分は「自分の表現ツールの中で"言葉”の優先順位は高くない。だからそれを求められることのない今の生活が心地いい。」と書いてあり、"世界全人類に対する共通言語がないからこそ人はそれが1番大事ではないことを知られるのだ”というのが自論だった。 boketto.hatebl…
いま大好きなヨーロッパで、かなり好みの色調の壁、床、小物ひとつ切り取っても本当にお洒落で自分好みの部屋にいる。この細部へのこだわりと、センスの良さがたまらない。日本の賃貸では絶対にない。家のどこを切り取っても、「ふぅ」と美しさと落ち着きを感じられる理想の場所だ。 そして抜かしてはいけないのが、さらにここは防音室で、クラシカルなピアノが置かれているということ。 それなのに、だ。 毎朝、目を覚ます度に「くっそー幸せやなぁ!!」とは思わない。 強いていえば、「しあわせやなぁ」とほんのちょっと感じるだけで、 心の底から湧き上がるようなものがない。 洗面所の鏡を見て、 あれ???????となった。 つい…
ほんの少し前までは相手に怒りを見せたりぶつけたりするのは"子どもらしい”と思っていて抑え込んでいたけれど、どうせ本当はある怒りを抑えてある日爆発するくらいなら最初から素直に相手に伝えるのが心地いい。ぶつけるのは良くないけど、時にぶつかったって自分に◯をつけてあげて良いと思う。こういう、抑え込んでしまうタイプの子には。反対に、普段から怒りをよく外に産みまくっている人間は、もう少し産む時期や産み方を考えてみたらいい。 「けんかするほど仲がいい」という言葉がきらいだった。そんなカップルは、あほらしいと思っていた。「大人なんだから、けんかしなくても話し合えるだろ」と18歳の小娘が言っていた。もっと人ら…
喜怒哀楽の喜だけが詰まった場所とお別れするのは、案外かんたんに出来てしまう。 けれど喜が詰まった場所で沢山泣いたり怒ったり暴れたり、傷や涙も一緒に壁に染み込んだ場所とお別れするのは本当につらいのだ。 わらって、ないて、怒りくるって、争って、だきあって。 うれしいも、かなしいも、はらたつもうざいも、たのしいも、ありがとうもごめんねも、だいすきもきらいも、感情を360度なにひとつ溢さずごったごたに混ざり合わせてきた場所が、この地球のどんな美しい場所より色濃くて愛おしくて、かわいくて、何よりお別れするのが本当にかなしいのだ。むつかしいのだ。 ひょっとしたら人間においても同じなのかな。
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