詩「アズールのおもい」

軋む影の底を手探りで進む次の一歩で合わせ鏡の29番目の私に見つめ返されるかもしれなくて唾を呑み込むと喉は確かな音を立てた暗闇に消えかける輪郭抗いはじめる感覚浮かび上がるベンチめくられる日記のページあの日のおまえが私を呼ぶおまえは私をどこかに連れ去るのではなくただ招き寄せ座らせる潮風に晒されたあの木製のベンチに私はおまえから逃れようとはしないまるで宿り木のように私はおまえに取り込まれてだからおまえも私...

詩「ヤドリギ」そしてご挨拶

悲しみに 沈む君にヤドリギを 贈ろう無理に進まなくてもいいと教えてくれるだろう暗闇で 怯える君にヤドリギを 贈ろう君の中の光を信じろと教えてくれるだろう優しさを 忘れてしまった君にヤドリギを 贈ろう君のぬくもりが誰かを温めると教えてくれるだろうひたむきに 命を繋ぐ君にヤドリギを 贈ろう君が幸福に気づけるように見守ってくれるだろう丹下 翆去年の12月に書いた詩です。そして、私の好きな詩でもあります。12...

税関詩

着陸！懐かしい湿度に空気を重ね着して駆け出したい気持ち気だるい足どり長い通路をひたすらに出口を求めて無表情の入国審査官に挨拶は無駄だから機械的にこなしてこなされて荷物も無言で受け取って「おかえりなさい」税関の係員の第一声でようやく身体に血が通うただいま！丹下 翆ツイッターMy Dear詩の仲間たちのお題「税関詩」に参加しました。いつからでしょう成田空港の税関の係員さんの「おかえりなさい」を心待ちにするよ...

ペン詩

My Dear 詩の仲間たちのお題「ペン詩」に参加しました。...

ボタン詩

掛け違えたそれの手の届くささやかなたるみに足りない言葉を繋いでめくるページの端君の吐息藍色のしみへと変わる前にひとつ小さく折り込んでそっと押し込む胸ポケット今にも取れそうなそれさえも緩んだ糸を引けば再び留め直せると君もう一度振り返る丹下 翆ツイッターMy Dear 詩の仲間たちのお題「ボタン詩」に参加しました。...

ハロー詩

扉を叩く音がするノックノックノック無愛想なレジのおばさんに通りすがりの見知らぬ人に今日こそ気になるあの人にただいま おかえりハローハローハロー最初におぼえる言葉はじまりのハロー気分上々ハリハローぼそっとハロー疲れ気味？君の扉を今日も叩くノックノックHallo!丹下 翆ツイッターの「My Dear 詩の仲間たち」のお題「ハロー詩」に参加しました。"Halloハロー"と"Hallihalloハリハロー"はドイツ語の挨拶です。...

毛布詩

ライナスが毛布を広げたほつれた糸端月にゆわいてやぶれた穴星の瞬き糸通しジェリービーンズぱらぱらとこぼれてひろってひらいてむすんで口に広がるホーム！スイートホーム！こっちへおいでクロスステッチ夢のあとさき縁かがりくるんであげるそれはゆりかご丹下 翆風邪がようやく治りました。季節の変わり目、皆さんもどうぞご自愛くださいね。ツイッターの「My Dear 詩の仲間たち」のお題「毛布詩」に参加しました。...

詩「この町で」

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