「いにしえ占い物語」は『関西占い物語』に引越しましたんで…。悪しからずだっせ。
月夜よし 夜よしと人に 告げやらば 来てふに似たり 待たずしもあらず(読み人知らず)つきよよし よよしとひとに つげやらば こてふににたり またずしもあらず訳:「月がきれいですね。いい夜ですね。」とあの人に告げてやったら、「おいでなさいな。」というのに似ている
世の中よ 道こそなけれ 思ひ入る 山の奥にも 鹿ぞ鳴くなる(皇太后宮大夫俊成)よのなかよ みちこそなけれ おもひいる やまのおくにも しかぞなくなる訳:この世の中には逃れる道もないのだなあ。深く思い込んで分け入った山の奥でも、悲しそうに鹿が鳴いているよ
思ひわび さても命は あるものを 憂きにたへぬは 涙なりけり(道因法師)おもひわび さてもいのちは あるものを うきにたへぬは なみだなりけり訳:あの人ゆえに思い悩み、それでも、命だけはつないでいるのに、そのつらさに耐えられないものは、涙だったのだなあ
塵をだに 据ゑじとぞ思ふ 咲きしより 妹と我が寝る とこ夏の花(凡河内躬恒 (おほしこうちのみつね))ちりをだに すゑじとぞおもふ さきしより いもとわがぬる とこなつのはな訳:塵でさえ置かせまいと思うのだ。咲いてから、愛しい妻と私が寝る寝床という名を持つ常
ほととぎす 鳴きつる方を ながむれば ただ有明の 月ぞ残れる(後徳大寺左大臣)ほととぎす なきつるかたを ながむれば ただありあけの つきぞのこれる訳:ほととぎすが鳴いた方角を眺めやると、そこにほととぎすの姿はなく、ただ有明の月だけが残っていた。「ほ
長からむ 心も知らず 黒髪の 乱れて今朝は ものこそ思へ(待賢門院堀河)ながからむ こころもしらず くろかみの みだれてけさは ものこそおもへ訳:あなたとの逢瀬で黒髪が乱れた今朝、あなたの事を思いました。永遠の愛なんて本当にあるのでしょうか? 本当にあ
秋風に たなびく雲の 絶え間より もれ出づる月の 影のさやけさ(左京大夫顕輔)あきかぜに たなびくくもの たえまより もれいづるつきの かげのさやけさ訳:夜空を吹きわたる秋風にたなびいている雲の切れ間から、もれ出てくる月の光のなんという澄みきった美しさ
淡路島 かよふ千鳥の 鳴く声に いく夜寝ざめぬ 須磨の関守(源兼昌)あはぢしま かよふちどりの なくこゑに いくよねざめぬ すまのせきもり訳:淡路島へ飛びかよう千鳥のさびしげな鳴き声のために、いく夜目をさましたであろうか、この須磨の関守は。「淡路島」
石上 布留の中道 なかなかに 見ずは孤悲しと 思はましやは(紀貫之)いそのかみ ふるのなかみち なかなかに みずはこひしと おもはましやは訳:石上の布留にある中道のよ~に、昔の恋人でも、もし逢わないなら、かえって恋しいと思わないだろうに。「石上」「布
瀬をはやみ 岩にせかかる 滝川の われても末に 逢はむとぞ思ふ(崇徳院)せをはやみ いはにせかかる たきがはの われてもすゑに あはむとぞおもふ訳:川瀬の流れが速いので、岩に塞き止められる急流が、わかれてもやがては落ち合うように、今はあなたと別れても、
わたの原 漕ぎ出でて見れば ひさかたの 雲居にまがふ 沖つ白波(法性寺入道前関白太政大臣)わたのはら こぎいでてみれば ひさかたの くもゐにまがふ おきつしらなみ訳:大海原に船を漕ぎ出して見わたすと、雲と見間違えるばかりに、沖の白波が立っているよ。「
契りおきし させもが露を 命にて あはれ今年の 秋もいぬめり(藤原基俊)ちぎりおきし させもがつゆを いのちにて あはれことしの あきもいぬめり訳:お約束下さいました恵みの露のような、あなたのお言葉を、命としてお頼み申し上げておりましたのに、嗚呼、今年
むすぶ手の 雫に濁る 山の井の 飽かでも人に 別れぬるかな(紀貫之)むすぶての しづくににごる やまのゐの あかでもひとに わかれぬるかな訳:すくって飲んだ手からの雫で濁る、山の井戸が充分に飲めないように、充分に話ができないであなたと別れてしまう事だな
憂かりける 人を初瀬の 山おろしよ はげしかれとは 祈らぬものを(源俊頼朝臣)うかりける ひとをはつせの やまおろしよ はげしかれとは いのらぬものを訳:つれない人の心がどうか私になびくようにと、初瀬観音にお祈りはしたが、初瀬の山おろしの風よ、おまえの
今回は特別企画!「源氏物語」だっせ!!女の、これはしもと難(なん)つくまじきは、難くもあるかなと、やうやうなむ見たまへ知る。ただうはべばかりの情けに、手、走り書き、折りふしの答(いら)へ心得て、うちしなどばかりは、随分によろしきも多かりと見たまふれど、そも
高砂の 尾上の桜 咲きにけり 外山の霞 立たずもあらなむ(権中納言匡房)たかさごの をのへのさくら さきにけり とやまのかすみ たたずもあらなむ訳:遠くの高い山の峰に、桜が咲いたなあ。近くの山の霞よ、どうか立たないでいておくれ。「高砂」は、その字のと
君が名も 我が名も立てじ 難波なる 見つともいふな 逢ひきともいはじ(読み人知らず)きみがなも わがなもたてじ なにわなる みつともいふな あひきともいはじ訳:あなたの噂も私の噂も立てるつもりはない。難波にある「御津(みつ)」ではないが、「私を見た」とも
見るめなき 我が身をうらと 知らねばや かれなであまの 足たゆくくる(小野小町)みるめなき わがみをうらと しらねばや かれなであまの あしたゆくくる訳:海松布(みるめ)も生えない浦と知らないから、離れないで海人(あま)が足がだるくなるほどやって来るのか?
起きもせず 寝もせで夜を 明かしては 春のものとて ながめくらしつ(在原業平)おきもせず ねもせでよるを あかしては はるのものとて ながめくらしつ訳:起きもしない、寝もしないで夜を明かしては、春のものと思って長雨を眺めつつ物思いにふけって、一日を暮ら
音にきく 高師の浜の あだ波は かけじや袖の ぬれもこそすれ(祐子内親王家紀伊)おとにきく たかしのはまの あだなみは かけじやそでの ぬれもこそすれ訳:うわさに高い高師浜の仇波ではないが、浮気で名高いあなたの仇なさけに決して心ひかれないようにしましょ
あひにあひて 物思ふころのわが袖に やどる月さへ ぬるる顔なる(伊勢)あひにあひて ものおもふころの わがそでに やどるつきさへ ぬるるかほなる訳:あれほどまで親しく何度も逢っておきながら、棄てられて物思いにふけっている頃の我が袖は、涙がいっぱいたまり
夕されば 門田の稲葉 おとづれて 芦のまろやに 秋風ぞ吹く(大納言経信)ゆふされば かどたのいなば おとづれて あしのまろやに あきかぜぞふく訳:夕方になると、門前の田の稲葉をそよそよと鳴らし、芦葺きの田舎家に秋風が吹き過ぎてゆく。「夕されば」は、「
さびしさに 宿を立ち出でて ながむれば いづくも同じ 秋の夕暮れ(良暹法師)さびしさに やどをたちいでて ながむれば いづくもおなじ あきのゆうぐれ訳:あまりの淋しさに、庵を出て物思いにふけりながら辺りを眺めると、どこも同じ淋しい秋の夕暮れであるよ。
嵐吹く 三室の山の もみぢ葉は 竜田の川の にしきなりけり(能因法師)あらしふく みむろのやまの もみぢばは たつたのかはの にしきなりけり訳:嵐の吹き散らす三室の山のもみぢ葉は、竜田の川の目もあやかな、にしきなのであったよ。「三室の山」は、奈良県生
心にも あらでうき世に ながらへば 孤悲しかるべき 夜半の月かな(三条院)こころにも あらでうきよに ながらへば こひしかるべき よはのつきかな訳:これから先、心ならずもこの憂き世に生きながらえていったならば、その時には、きっと恋しく思い出されるに違い
忘れ草 何をか種と 思ひしは つれなき人の 心なりけり(素性法師)わすれぐさ なにをかたねと おもひしは つれなきひとの こころなりけり訳:忘れ草は何が種なのかと思っていたのだが、それは薄情な人の心なのだなあ。「忘れ草」は、ユリ科の植物だして…。初
流れては 妹背の山の 中に落つる 吉野の川の よしや世の中(読み人知らず)ながれては いもせのやまの なかにおつる よしののかはの よしやよのなか訳:吉野川が流れて妹背の山の中に落ちるように、泣く事があっても、ええい! ままよ! 男女の仲というものは。
春の夜の 夢ばかりなる 手枕に かひなく立たむ 名こそ惜しけれ(周防内侍)はるのよの ゆめばかりなる たまくらに かひなくたたむ なこそをしけれ訳:春の短夜の夢。そのよ~に儚い手枕のために、ナンの甲斐もなく浮き名が立つのは口惜しい事ですよ。「春の夜の
もろともに あはれと思へ 山桜 花よりほかに 知る人もなし(前大僧正行尊)もろともに あはれとおもへ やまざくら はなよりほかに しるひともなし訳:私がおまえをなつかしく思うように、おまえも私をなつかしく思ってくれ、山桜よ。この山の中では、花のおまえ以
恨みわび ほさぬ袖だに あるものを 孤悲に朽ちなむ 名こそ惜しけれ(相模)うらみわび ほさぬそでだに あるものを こひにくちなむ なこそをしけれ訳:あの人の薄情を恨み、自分の不幸を嘆いて、涙にかわく暇もない袖は、やがて朽ちてしまうだろう。それさえ惜しい
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