chevron_left

メインカテゴリーを選択しなおす

cancel
徒然なるまま読書感想ブログ https://blog.goo.ne.jp/jiji0805

日々読んだ本の感想ブログです。小説、ビジネス書、ライトノベルなど通勤中、休日に読んだ本の感想を自由に

徒然なるまま読書感想ブログ
フォロー
住所
未設定
出身
未設定
ブログ村参加

2015/07/19

arrow_drop_down
  • 【異世界居酒屋「のぶ」七杯目】 感想

    異世界居酒屋「のぶ」七杯目(単行本)蝉川夏哉宝島社異世界居酒屋のぶの七杯目。今回の表紙の料理がナポリタン?ということは、今回はあの人のお話です。登場時は堅物だったあの人、でも、その人が出会によって変わる?冬を越して春が訪れる、そんな巻だなと思いました。実は7巻が発売されていると知ったのは去年の冬でした。そしてそのときには店頭には既に文庫化されていた本作が書店に並んでおり、単行本はどこにいっても見当たらない状況に…実は私、このシリーズ、単行本しか持っていなくて、いきなり7巻だけ文庫本は嫌だなぁと思っていて、密林さんで買うか悩んでいました。まぁ、こうなった以上慌てて買わなくても良いだろうと思っていた中、たまたま寄った書店に単行本が置いてあったので、ここが読み時だなと思い、購入して読みました。なぜ、こんなことを...【異世界居酒屋「のぶ」七杯目】感想

  • 【ひなた商店街】 感想

    ひなた商店街山本甲士潮出版社アクション俳優をやめて佐賀の地元に帰ってきた主人公は、寂れた商店街のおでん屋を継ぐことに。先もないと思われていた商店街に新たな風を吹かせたのは主人公と地元の大学に通うヒロインとの出会いだった。『民宿ひなた屋』の作者が送る、再生の物語です。読んでいて、頑張ったことは裏切らないなと思いましたし、引き寄せの法則というか、良いことはとんとん拍子にうまく行くし、逆も然りだなぁと思いながら読んでいました。相変わらず苦労することが殆どないといえばそれまでのですが、これも全作同様の敢えてのコンセプトだと思う上、これくらいとんとん拍子にうまくいく方が楽しいと思うで、私はこのテイストは好きです。本作品を読んでいて思うのは、私の地元の商店街もそうですが、高齢化などにより明らかに寂れているよなぁと思い...【ひなた商店街】感想

  • 【存在のすべてを】 感想

    存在のすべてを塩田武士朝日新聞出版30年前に起きた神奈川で起きた誘拐事件。その正体は2児が同時に誘拐されるという前代未聞?の事件だった。誘拐された子供を救うために解決に導こうとする警察と、身代金を用意して救いたい家族。誘拐事件は思わぬ展開に…本作品はその誘拐事件の空白になってしまっている部分を追う物語である。ネタバレなしで書くのはなかなか難しいあらすじですが、何が起きているかは、本作品を読んで確認していただきたいなと思える作品です。いろいろと書くとネタバレになりそうで怖いのですが、本作品は特に美術(絵描き)の世界が背景に直接絡んでくるのですが、私達にとって、芸術家によって描かれた作品がどうやって世に出てくるのか、全くわからない部分なので、こういう世界なんだなぁと、読んでいて思いました。結構大変だなぁと。私...【存在のすべてを】感想

  • 【そして誰かがいなくなる】 感想

    そして誰かがいなくなる下村敦史中央公論新社正体不明のミステリー作家が豪邸を建てた。その豪邸のお披露目会に呼ばれたの作家と編集者たち。外は大雪、スマホも没収された豪邸の中で起こる事件とは?館ものやクローズドサークルものを多少読んできたとは思うのですが、こういうのでミステリーが成立するのかと思ったと同時に、今だからこそ成立するミステリーだよなぁと思いました。特に居合わせた登場人物たちに事件を起こさせる動機付けの部分なんか、今の時代だからこそだろうなと思いました。ミステリーでネタバレなしという自分の縛りで書くと、書きづらいことが多いので、なかなかうまく伝えるのが難しいなと思いつつも、私が今まで読んできたミステリーとは明らかに違い、初めて読むタイプのものじゃないか?と思いました。もちろん、何か元ネタもあるかもしれ...【そして誰かがいなくなる】感想

  • 【15歳のテロリスト】 感想

    15歳のテロリスト(メディアワークス文庫)松村涼哉KADOKAWA家族を放火で失った主人公の15歳の少年。放火犯は少年法に守られ、捜査すらまともにしてもらえなかった。復讐に燃える少年が選んだ復讐方法は、無差別爆弾テロ?どうして少年は爆弾テロを行おうとしているのか。少年法を軸に描かれる被害者家族と加害者家族。悪いのは法なのか、罪を犯した少年少女なのか、それ以外なのか。本作品を読み終えた時、あなたに芽生える感情とは?読んでいてただただ引き込まれた本作品。『ただ、それだけで良かったんです』で電撃文庫大賞を受賞した当時に読んだ作者の作風はそのままに、考えさせられるし、引き込まれるしで、続きを読み勧めたくて仕方なくなりました。本作品で描かれているのは、ズバリ被害者家族と加害者家族なのですが、彼ら彼女らはどうやったら...【15歳のテロリスト】感想

  • 【そしてレコードはまわる】 感想

    そしてレコードはまわる(幻冬舎単行本)ヤマモトショウ幻冬舎音楽ディレクターのヒロイン渋谷と作詞家の猫宮があるきっかけから出会い、音楽に関する不思議なミステリーを解き明かす作品です。たとえば、ある大学教授が小学生の頃にほぼ誰にも知られずに作詞、作曲した曲と全く同じ曲を音楽家が作品として発表した。その真相とは?毎日京都のストリートで歌っている女性の曲が素晴らしいけど、絶対に同じ曲を歌うことはない。なぜ?などなど、音楽にまつわるミステリーが展開されます。音楽業界の裏側が舞台になっていて、音楽や作品が出てくるまでの裏話的な話が多く、音楽業界ってこういう風になっているだと思える作品です。この辺りは、流石、作者がアイドルプロデュースをやっていたり、作詞をやっているだけあって、詳しいなと思いました。ただ、難点は読んでい...【そしてレコードはまわる】感想

  • 【誰が勇者を殺したか】 感想

    誰が勇者を殺したか【電子特別版】(角川スニーカー文庫)駄犬KADOKAWA魔王を倒した勇者一行。しかし、その帰還途中で強い魔人に襲われ?殺された?本当に勇者は魔人に殺されたのか?犯人はパーティの誰かではないのか?勇者は平民出身で、その他のアタッカー(戦士)、僧侶、賢者(魔法使い)は全て貴族出身。魔王を倒した勇者はその国の姫と結婚しやがては王様になるという中、誰かが勇者を殺したということも否定できない。果たして、勇者が死んでしまった理由とは?というお話なのですが、実は冒頭で、大体、勇者がどうなるのかがわかり、誰が勇者を殺したのかというのは最早問題ではない作品だと思います。そういう意味では推理小説を読みたい人向けではないとは思います。かくゆう私もタイトルが某有名作家さんの書店に置いているタイトルと似ていたので...【誰が勇者を殺したか】感想

  • 【レイアウトは期日までに】 感想

    レイアウトは期日までに碧野圭U-NEXT大手出版社のデザイン部門がなくなることで、会社を実質クビになった雑誌のデザイン担当をしていた赤池めぐみ。そんな彼女が装丁家として独立した天才装丁家の桐生青の事務所に採用される。この物語はそんな2人のパートナーとしての関係を築いていく物語です。読んでいて思うのは、結構緩いし、何ならそんなに仕事はトントン拍子にうまくはいかないだろう?と思うものもありますが、これは意図的なものだと思います。そして、その緩さの割に本作品は仕事や仕事場に関する気付きが多いなと感じました。私の中では、「やりたいことなら相手に提案してみろ」という感じのことに気がついたことが1番心に刺さっております。仕事に慣れたら、どうしても相手のことを考えたり、業界の常識とかもあったりで、やりたいことなのに、そ...【レイアウトは期日までに】感想

  • 【みどりいせき】 感想

    みどりいせき(集英社文芸単行本)大田ステファニー歓人集英社小学校の時に少年野球でバッテリーを組んでいた主人公とヒロインが高校で再会するお話。青春小説というジャンルではなく、読後感はこんな小説があってよいのか?という衝撃を受けた作品です。一言で言えば、「文字による麻薬」です。私は、この1年間、本の虫と思うくらいの読書をしたという自負がありますが、読書って薬だなと思うことはあっても「麻薬」だと思ったのは間違いなく本作品が初めてです。まず、冒頭20ページくらいの感想は、正直、何を書いているのかサッパリわかりませんでした。何なら、これは読み切れる自信がなく挫折入だろうなと早々に思ったのは、2年前に出会った『三体』以来です。今、1日100ページペースで本を読む私が60ページ読むのに3日かかったというのがこの本の意味...【みどりいせき】感想

  • 【お梅は呪いたい】 感想

    お梅は呪いたい(祥伝社文庫ふ12-2)(祥伝社文庫ふ12-2)藤崎翔祥伝社戦国時代に生まれた呪い人形のお梅。封印されていた彼女は500年ぶりに目覚める。起きた場所は日本の某所。いろんな人を呪い殺したくてウズウズしているお梅の呪い人形伝説が今、幕を開ける!はず…?拾われ先の各章の登場人物視点と呪いたいお梅さん視点で語られながら進んでいくのですが、このお梅さん、呪い人形の名に恥じないくらいにめちゃくちゃ残虐です。ドS過ぎなんですが、だが、そこが良いし、何故か可愛く思えるのが不思議。お梅さんも呪い以外では自分のスペックを理解しているのがよく、起こせる超常現象も限られており、洋画で人形が包丁とか刃物を持って人を襲うとかそういうのではなく、どちらかというと呪い殺しの美学みたいなものまで持っている面白い女の子、いや面...【お梅は呪いたい】感想

  • 【ティリー・ページズと物語の地図】 感想

    ページズ書店の仲間たち3ティリー・ページズと物語の地図(ページズ書店の仲間たち3)アナ・ジェームス文響社本の旅人のティリーとオスカーが本の世界を旅をする第3巻であり、1〜2巻で繰り広げられているお話の完結編です。前巻の本の魔法を利用しようとしている姉弟たちと本の旅人たちの本の旅の自由をかけた戦いが始まる。とある理由から不思議な力をもつヒロインティリーとその相棒であり親友のオスカーが11歳ということもあり、行動や発言は子供、でも取り巻く環境は大人の世界や大人の事情。ヒロインや親友のオスカーの行動は年相応と思うので児童書だなと思う反面、取り巻く環境がドロドロの大人の事情という、相変わらず凄い設定の話だなと思いながら読むものの、今回は個人的には前2巻よりも冒険感があって、ハマりきった時点であっという間に読み切っ...【ティリー・ページズと物語の地図】感想

  • 【深夜カフェ・ポラリス】 感想

    深夜カフェ・ポラリス(アルファポリス)秋川滝美アルファポリス夜から朝方にかけて営業しているカフェ、ポラリス。察しが良すぎる店主の朱里が、今日もお腹を空かせて悩めるお客たちを料理と明るいトークで癒します。ポラリスに深夜に訪ねてくる客達の短編集なのですが、基本的にはお店を訪ねたきっかけはあるものの、ポラリスというお店の中だけで全てが完結していくお話。悩める客達の後日談もすべてはお店の中で語られます。そして、本作品の素敵なところは、忙しかったり、悩ましいときほど、実はまともなご飯を食べることがないなと気が付されました。忙しかったらついついコンビニなどの冷たいご飯で済ませてしまいがちな私達。忙しさにかまかけて、手作りで自分のために作ってくれるご飯の本当の温かさを忘れがちになります。本作品に登場する悩めるポラリスの...【深夜カフェ・ポラリス】感想

  • 【スピノザの診療室】 感想

    スピノザの診察室夏川草介水鈴社ある出来事をきっかけに大学病院から地元の病院に移った内視鏡の一流医師が患者と向き合うお話。医療とは何か、生きることは何か、幸せとは何か。1人の医師の診療を通じて様々なことを読者に気づかせてくれる作品です。医師マチ先生ではなく、人生の先生マチ先生は今日も様々な患者と向き合っています。医療とは何なのか?様々な病気に対して治療をすること、手を尽くすことができない病気にも立ち向かって治療をする、もしくは延命すること。患者さんの要望に応える形で。私のイメージはこんな感じです。実際そうなのかもしれません。そして、医療において1番幸せなのは何か?病気が完治することが幸せだとすれば、完治せず死を待つばかりの患者は不幸ということなのか?いつか誰もが通る道である死。事故にあうこともなく、老衰でも...【スピノザの診療室】感想

  • 【バイター】 感想

    バイター(光文社文庫)五十嵐貴久光文社ある島で大量発生した謎の病気患者。マラリアに似たその症状が出ると昏睡状態に陥り、手を尽くすことができずに死亡。その後なぜか蘇生し、心肺停止状態になり、人を噛む。通称「バイター」がパンデミック状態になって大量発生した島。そこに取り残されているであろう、現総理大臣の娘。彼女を救出すべく、秘密裏で立ち上げられた自衛隊と警察から編成された7名の精鋭チーム「ブラッド・セブン」が総理大臣の娘を救出すべく、バイターがはびこる島に潜入する。ゾンビものを映像で見るのが大好きな私は、正直、ゾンビ!?マジか!?読む!くらいの気持ちで読みました。次から次へと読み進めたくなるような作品で、正直、読み終えるのはあっという間でした。映画を一本丸々見ているような感覚で、頭に映像が浮かぶそんな作品です...【バイター】感想

  • 【同じ星の下に】 感想

    同じ星の下に(幻冬舎単行本)八重野統摩幻冬舎両親に虐待されている中学生少女の沙耶。彼女はある日の下校中に誘拐される。裕福な家庭でもない沙耶の家庭に要求される身代金は2,000万円。しかも、不思議なことに、誘拐犯はヒロインを監禁するものの丁重に扱う。誘拐犯がヒロインを誘拐した目的とは?ヒロインの監禁生活パートと警察の捜査パートに分かれており、どちらも読みやすくて次々と読みたくなる内容。ヒロインの両親のクソっぷりもなかなかですが、そのクソっぷりがヒロインの監禁生活をより際立たせているなと思いました。また、読み進めていくと深まる謎、なぜ誘拐したのか以外の謎も出てきて、あっという間の300ページ弱でした。この作品のヒロインに対する感情は何なんだろうか。虐待されていることに対する哀れみなのか、哀しみなのか、不憫で同...【同じ星の下に】感想

  • 【イスラエル軍元兵士が語る非戦論】 感想

    イスラエル軍元兵士が語る非戦論(集英社新書)ダニー・ネフセタイ集英社イスラエル軍元兵士として空軍のパイロット候補生にもなったことのあるダニーさんが語る非戦論。詳細や内容は本書を読んでほしいと思いますので省略しますが、太平洋戦争を兵隊として務めたことのない人がほとんどで、何なら自分の祖母世代がギリギリ空襲を体験したくらいの今の世代にとって、徴兵制があった日本、原爆が投下された唯一の国日本、たくさんの人々が戦争で犠牲になったことは記録や学校で習うことはあっても、イマイチ実感が湧かないもの。私もそんな1人です。語り手であるダニーさんは、イスラエル出身で、ユダヤ人。ナチスにより数え切れないほどの多くユダヤ人がユダヤ人であるという理由だけで収監され、大量虐殺を受けた民族です。そんな歴史をもつ彼らが、今や、お茶の間の...【イスラエル軍元兵士が語る非戦論】感想

  • 【旅する練習】 感想

    旅する練習(講談社文庫)乗代雄介講談社コロナ禍でいろいろなことが自粛されたり、緊急事態宣言も東京で4週間後には出されることになるという世間。中学校入学を控えたサッカー少女の亜美と小説家の叔父は、鹿島まである目的のために歩いて旅をすることを計画する。亜美はサッカーボールを蹴りながら、叔父は途中で風景を文章にたしなめながら、それぞれの練習の旅が始まる。旅の道中で成長していくのがわかるサッカー少女の亜美。教室の中で学ぶこともあるだろうけれど、ただ、歩いて6日間旅をするだけでも、学ぶことが大いにあるということなんだろうなと思える作品です。旅とは目的地につくことだけではなく、目的地にたどり着くまでの過程が大事ということがそのままわかるわぁと思います。また、間にジーコの語録みたいなものも適切に出されるので、ジーコ語録...【旅する練習】感想

  • 【成瀬は信じた道をいく】感想

    成瀬は信じた道をいく「成瀬」シリーズ宮島未奈新潮社「膳所から世界へ!」本作の冒頭はここからはじまる、成瀬おかわり作品。本作品の紹介に「成瀬、おかえり」と、「表紙見ろ!」で、成瀬ガチ勢の方々には伝わるんじゃないかと思います。そんな成瀬さんの令和6年1月段階では本作品の西暦に追いついていない、未来のお話。ということは、本作品を飛び越えて未来に成瀬と会えるんじゃないか?とさえ予感しワクワクさせてくれる、そんな巻でもありました。膳所は私もJRで何度か行ったことがあるぞ!ということは天下を取りにいくの感想で書いたことがるのですが、本作を読んでも、あの駅前の風景だなぁとか、学校が確かにあったわとか思い出して懐かしくなりました。そして、成瀬さん、相変わらずのド直球過ぎて気持ちいい女の子だなと相変わらず思います。各章の短...【成瀬は信じた道をいく】感想

  • 【シャーロック・ホームズの凱旋】 感想

    シャーロック・ホームズの凱旋森見登美彦中央公論新社ヴィクトリア朝京都の寺町通221Bに住んでいるシャーロック・ホームズ。洛中·洛外に名探偵として知れ渡っている彼がスランプに。事件を解決できなくなった彼の日々とは。そして、彼はスランプから立ち直れるのか。ファンタジックで大正的な京都で繰り広げられるホームズとワトソンのホームズ譚です。森見登美彦先生の作品を読むのは『有頂天家族』以来ですが、『夜は短し歩けよ乙女』などで繰り広げられる詭弁などなどコメディチックな感じは相変わらずで、ダメ人間のダメっぷり感も笑えて楽しいなと思いました。シャーロック・ホームズを読んたことがない、何ならホームズとワトソンしか知らないよ?くらいの私が読んでいて、これ、ホームズファンに怒られるんじゃね?くらい思ったのですが、作者さん、相当ホ...【シャーロック・ホームズの凱旋】感想

  • 【襷がけのふたり】 感想

    襷がけの二人嶋津輝文藝春秋大正に製罐工場を経営する山田家に嫁いだ千代とその山田家の女中であるお初が駆け抜けた大正→戦時中→終戦後の彼女達の生活を描いた作品です。舞台がその時代なので、男尊女卑が凄いですが、女性の仕事は跡取りを産むという、今では考えられない時代ですが、そういう時代に生きた2人の女性を通じて、当時の女性の扱われ方や、SNSやネットなどもなく、情報源は新聞、ラジオ、お隣さんの噂話だった時代の生活が見えてくる作品でもあります。じゃあ、ただの大正、昭和を舞台にした話なのか?というと決してそうではなく、今に通じる話なのではいか?と思いました。今、結婚はしたい人がするし、恋愛もめんどくさくてしたくない、結婚するならデートとかなしで結婚したい若者が増えていると聞きます。なんでも、結婚したら生活が面倒くさい...【襷がけのふたり】感想

  • 【タスキ彼方】 感想

    タスキ彼方額賀澪小学館令和6年1月2日に100回大会を迎える箱根駅伝。そんな箱根駅伝が戦時中に中止になっていた?箱根駅伝を戦時中に開催したい、戦争に行って死ぬならば、最後に箱根を走りたい、そして、戦争が終わって箱根を復活させたい。そう願った人々の想いと100回大会に向けて予選突破を目指す、箱根をかつて4連覇した伝統校日東大学の駅伝部監督達の現在が交錯しながら織りなす物語です。私は正月になるとテレビで箱根駅伝を見ています。走りたいとは思ったことはなく、関東の大学にも行っていないし、憧れたこともないですが、正月と言ったら箱根駅伝を見るのが好きという見る専です。1位がそのままぶっちぎるのも見てみたいし、逆転劇も見たい、2区や5区の何人抜きとかも見ていて面白いですよね。そんな箱根駅伝を生まれて物心ついた頃から当た...【タスキ彼方】感想

  • 【仕事のためには生きてない】 感想

    仕事のためには生きてない(角川書店単行本)安藤祐介KADOKAWAロックバンド活動を続けるためと割り切って働くサラリーマンの勇吉(35)は、会社のとある統括リーダーに任命される。その任務がなんの生産性があるのか良くわからないクソゲーみたいな内容。上司の圧力や残業で疲弊していく勇吉は、このクソゲーをクリアすべく仲間たちと奔走する。これはサラリーマン全てに捧げた鎮魂歌なのかもしれない。はじめは、勤め人の中間管理職あるあるのリアルしんどさを思い出させられるほどの内容で、数年前を思い出してしんどかったです。うわぁ~これは本当に辛いなと。でも、一生懸命頑張っていたらそのうち仲間もできるかもしれない。決して辛くても理解してくれて一緒に頑張ってくれる仲間がいれば乗り越えられることもあるかもしれない。ご都合主義と言われれ...【仕事のためには生きてない】感想

  • 【龍の墓】 感想

    龍の墓貫井徳郎双葉社スマホが時代遅れとなった近未来?を舞台に、流行っているゲームの名はVRの世界を自由に冒険できるゲーム「ドラゴンズグレイブ」(龍の墓)。そのゲームのイベントで殺人事件が起きるイベントがあり、リアルの世界でもそれになぞられるような事件が起きる。ゲームの世界と現実の事件は重なるのか、重なるとすれば、犯人はなぜ見立殺人を?近未来で起きるかもしれないのに本当に起こりそうな事件が今、幕をあける。警察ものでもあるし、ある意味特殊設定もののミステリーでもありそうな本作品ですが、序盤からいろんなミスリードを誘うように作られており、おそらく読めば読むほどにこれとこれが、もしかしてあれとあれも?などなど、想像が尽きなくなるミステリーでした。そして、もしかすると私が死ぬまでにこういうことが起こりうるのではない...【龍の墓】感想

  • 【ただ、それだけでよかったんです【完全版】】 感想

    ただ、それだけでよかったんです【完全版】(メディアワークス文庫)松村涼哉KADOKAWA『菅原拓は悪魔です』遺言を残して自殺した男子中学生のK。なぜ、彼は自殺してしまったのか。そして、悪魔と呼ばれた菅原拓。人間力テストなるものがあり、そのテストで学年1位のKを含む上位4人の生徒をイジメたとされる人間力テスト学年最下位の菅原拓が起こそうとしている革命とは?8年前の電撃大賞作品の『ただ、それだけでよかったんです』の完全版が幕を開ける。私は、8年前に本作が発売された時に読みましたが、それ以来の再読でございます。8年前に本作を読んだことを思い出しても、かなりの部分を忘れているなと思いましたが、最後など大まかなことは覚えてはいました。また、本作品を読んでいる途中で8年前に書いた私の本作品の感想は中途半端だし、決して...【ただ、それだけでよかったんです【完全版】】感想

  • 【この銀盤を君と跳ぶ】 感想

    この銀盤を君と跳ぶ(角川書店単行本)綾崎隼KADOKAWA2030年、新潟オリンピックを目指す天才少女が2人。オリンピックの切符は残り1枠。その1枠を争う日本選手権の3日間が幕をあける。よくテレビで見る、女子フィギュアスケートを描いたお話なのですが、世界を取るために、彼女たちには残酷なものがつきつけれていることを改めて知ることになります。そう、それは年齢と体の成長。私は、成長すればより選手として輝くものだと勘違いしていました。浅田真央は15歳であそこまで強かったんだから年を重ねて成長すればもっと強くなるだろうと思っていました。しかし、彼女は体が成長すればするほどトリプルアクセルを失敗するようになりました。実は成長すればより技術が上がるだろうと思われるはずの当たり前がこの競技では邪魔になることがあるというこ...【この銀盤を君と跳ぶ】感想

  • 【地雷グリコ】 感想

    地雷グリコ(角川書店単行本)青崎有吾KADOKAWA情報を制する者がゲームを制する。行われるゲームは「グリコ」、「坊主めくり」、「じゃんけん」、「だるまさんがころんだ」、「ポーカー」をアレンジしたゲーム。果たして、あなたはこの奥深いゲームで繰り広げられる情報戦を目の当たりにして、ページをめくる手を止められるだろうか。これは作者と読者との戦い…なのかもしれない…不思議な書き出しになりましたが、正直、この作品をどう表現してよいのか…女子高生が巻き込まれるゲームのどれもが知っているゲームのアレンジばかり。しかも凄いのが、知っているゲームがもとになっているので、読んだだけで分かるアレンジルールに、光景を容易に浮かべやすいです。ゲームを文字だけで説明すると、ありがちなのが、作中のゲーム、説明されてるだけで何をやって...【地雷グリコ】感想

  • 【どうせ、この夏は終わる】 感想

    どうせ、この夏は終わる(電撃文庫)野宮有KADOKAWA長崎を舞台にした青春小説です。数カ月後に地球は滅ぶ!?そんな設定の世界のもと、繰り広げられる青春が長崎にある。5篇の物語が溶け合った時、あなたは何を思うだろうか。人類最後の夏をどう過ごすだろうか。そして、本作品のメインヒロイン小林凛映はなぜ映画を撮るのだろうか。ライトノベルなのですが、各話のタイトル以外に挿絵なしという、なんでライトノベルレーベルで出したん?と思うくらい、中身はガチ目です。読む文章から想像力を働かせながら読む楽しさを味わうことができます。1〜4話でいろいろな青春を描きつつも、しっかりと設定されている世界が徐々に読者に浮き彫りになっていく感じも面白かったですが「世界が滅びるかもしれない状況であなたはどうするだろうか?」という問いがあり、...【どうせ、この夏は終わる】感想

  • 【京都東山邸の小鳥遊先生】 感想

    京都東山邸の小鳥遊先生望月麻衣ポプラ社訳あってほそぼそと脚本を書いているヒギンズ教授役の葉月が、こちらも訳あって芸能界にしがみついてるイライザ役の英輔が京都の小料理屋(居酒屋)で出会うところから物語が進んでいく、令和版マイフェアレディな物語です。なんとか芸能界にしがみつきたい英輔の成長過程を見守るのが面白くて、楽しく最後まで読めました。正直、読んでいて、話の内容の割には軽くないか?という印象は確かにあります。もっと深堀りしても良かったのでは?というところや、ここ、そんなにあっさりで良いのか?と思うこともちらほらとあるのはあります。しかし、この軽くで読みやすいというのがおそらく本作品の売りで、なんとなくですが、私が深堀りして欲しいと思う箇所を深堀りすると相当話が重たくて、読んでられないんじゃないかな?と思う...【京都東山邸の小鳥遊先生】感想

  • 【17歳のビオトープ】感想

    17歳のビオトープ(幻冬舎単行本)清水晴木幻冬舎謎の校務員、人生先生が高校生の相談にのるスタイルで綴られていく、本当に今どきの高校生の悩みでもあり、今を生きる私達の悩みに答えていく作品です。恋と愛の違いは?運を上げる方法とは?幸せになる方法とは?生きる意味とは?考えてみると全くわからない、もしくは少しは考えたことはあるけど深くは考えたことはない、何なら考えても答えを出したことはないことに人生先生が答えてくれます。今、人生先生が答えてくれると書きましたが、少し語弊があります。答えはそれなりに教えてくれますが、基本的には自分で考えていくスタイルで、人生先生が出した答えが全てではないのです。でも、人生先生が出した答えで良いんじゃね?と思ったりします。それくらい、良い答えを出してくれる上、生きるために必要なもの、...【17歳のビオトープ】感想

  • 【清算】 感想

    清算(角川書店単行本)伊岡瞬KADOKAWA大手新聞社のグループ子会社の1つを解散し、清算することになった。会社をたたむ筈の手続きを担うために総務部長のに抜擢されたのは、なんの知識も経験ない主人公の畑井。知識も経験もない彼がなぜ選ばれたのか?そして、清算手続き中に消えてしまう2億円が入った通帳と主人公の相方。2億円はどこにいった?何で通帳が消えたのか。2億円の通帳が消えてからが本番のホワイダニットのミステリーです。はじめの会社の解散手続きあたりは、正直、淡々と粛々と話が続くので、何か退屈感があったのですが、2億円の通帳が消えてから次々に事件が起こり目まぐるしくなってきて、その辺りからは、これどうなるの?感が楽しかったです。ただ、あまりにも話が広がり過ぎて、これ本当にまとまる?とは思いましたが、納得するかど...【清算】感想

  • 【一線の湖】 感想

    一線の湖砥上裕將講談社『線は、僕を描く』の続編。大学4回生になった主人公青山くんを描いた作品です。もちろん、裏主人公は青山くんの師匠湖山先生(だと思います)。今作も湖山先生を通じてたくさんの気付きを得るために楽しみに読みました。さて、そんな本作品、読む前は前作の続編なので青山くんには絵師として紆余曲折しながらも約束された未来があるものだと思っていたので、青山くん無双を楽しみにしていたというのも本音です。でも、敢えてネタバレすれば、そんな話ではございません。むしろそんな俗世間みたいな野暮なことを期待した私がアホでございました。そんな生易しくて最後もただのハッピーエンドなんていうのは本作品が描いた線ではなかったはずなのにということを思い知らされました。本作品はまさに『線は、僕を描く』の続編にふさわしい作品であ...【一線の湖】感想

  • 【レプリカだって、恋をする。 3】 読了

    レプリカだって、恋をする。3(電撃文庫)榛名丼KADOKAWA2巻を受けてのアンサー編の3巻。これがレプリカシリーズの最終巻になると思われる巻になり、レプリカとは何なのかが描かれている巻でございます。高校の青春イベントひと夏の恋→文化祭とくれば、大イベント修学旅行ですよね。今回はレプリカのナオパートと本体側の素直パートに分かれて描かれるというのも今シリーズ初かもですね。修学旅行パートも面白く、クスッとしながら読めましたが、最後はちょっと泣けるそんなお話でした。読んでいて、やっぱり本作品は第1巻で「完成」されていたなというのは前巻同様変わらず思いましたが、今巻は「完結」したなと思いました。すなわちレプリカとは何なのかという点。このアンサーこそ2巻から提示されたものだったと思うので、その答えが出て良かったのか...【レプリカだって、恋をする。3】読了

  • 【うつせみ屋奇譚 妖しのお宿と消えた浮世絵】 感想

    うつせみ屋奇譚妖しのお宿と消えた浮世絵(角川文庫)遠藤由実子KADOKAWA家の事情で小学校6年生の2学期に転校するために祖母の家に引っ越してきたヒロイン鈴は亡くなった祖父が使っていた部屋を勉強部屋にあてがわれた。ある日、浮世絵画家だった祖父が鈴の夢に出てきて、祖父が描いた絵から抜け出したものを絵に返して欲しいと頼まれる。明くる日、鈴がたまたま見つけた和紙には生前の祖父から聞いていた妖怪のお宿、うつせみ屋と思わしき絵が描かれていた。気になった鈴は祖父の絵から抜け出したものを探すために、どうにかしてうつせみ屋を見つけ出すことに成功。鈴はうつせみ屋で祖父の絵から抜け出したものを無事に見つけられるだろうかというお話です。本作を読んでまず思ったことは、実はうつせみ屋みたいなものが実は私の周りには多いなと思ったこと...【うつせみ屋奇譚妖しのお宿と消えた浮世絵】感想

  • 【ビボう六】 感想

    ビボう六佐藤ゆき乃ミシマ社怪獣たちが住む永遠に夜の京都を舞台にしたファンタジー小説です。怪獣のゴンスが二条城を歩いていたら、背中に白い羽根がある女性(人間)が倒れていた。その女性は記憶がなく、白いかえるを探しているという。ゴンスと倒れていた女性、小日向は白いかえるを探しに夜の京都を散策する。これだけ書くと、物凄くファンタジーで、何なら、森見登美彦先生風の京都の不思議で楽しいお話なのか?と出だしは思いましたが、結構重たい話です。6個何かを集めると何らかの世界ができる。例えば、京都には空があり、地面があり、東西南北がある。これで京都という世界は成り立っているというように、6個、何かを集めたら何らかの世界ができるでしょ?という感じで、世界は六面体でできているのかもしれない。しかし、自分の世界を作るのは怖いのか、...【ビボう六】感想

  • 【夢分けの船】 感想

    夢分けの船津原泰水河出書房新社音楽を学ぶために親の反対を押し切って上京した主人公修文が住処に選んだのは、自殺者が出たマンションの一室。その部屋は防音完備な上にピアノつき。でも、そのピアノは鍵がかかっていてひくことができない。そして、部屋から飛び降りて自殺した「カノン」の幽霊を見たなど、主人公と会ったことのない自殺者との関係がある人たちと不思議な縁を結びながら過ごす青春ストーリーです。読んでいて面食らったのは、まず文章が、かたい!というか、夏目漱石とかその辺の時代の小説家が書いたようにかたい文章です。これ、思いのほか読み辛いです。ただ、これは作者が意図して、わざわざ明治文学を勉強してまで書いたようですので、意味があるようです。そして、読むテンポが掴みづらかったです。いつものペースで読むとイリュージョンでもし...【夢分けの船】感想

  • 【Q】 感想

    Q呉勝浩小学館Qは天才だ。彼のダンスは、彼のダンスを見たもの全てを魅了する、まさしく神として崇めるほどの存在。本作品はそんなQのために活動し、Qに翻弄される人々を描いたミステリー作品、だと思います。この作品を紹介するのは正直かなり難しいなぁと思うのと、感想書くのも難しいなと感じている作品。まず、ヒロイン(というと怒られるかもしれませんが、性別上)、町谷亜八がトランスジェンダー?と思わせる登場人物で、生まれ、育ち、境遇などなかなかアウトローな世界を見せつけてきます。こちらはQの義姉でQに1番近い存在でもあるのにQから徐々に離れていく側。そして、男性一人称で語られる本庄健幹はパートナーがヒロイン亜八とQの義理の姉である睦深であり、はじめはQ自体とも関わりすらない人物ですが、ある意味、Qの1番近しい人物になる、...【Q】感想

  • 【夜明けのはざま】 感想

    夜明けのはざま町田そのこポプラ社葬儀業者、芥子実屋を舞台にした物語。結婚か葬儀屋を続けるかの選択を迫られる佐久間真奈がヒロインで、それを取り巻く人たちのお話。町田先生の作品で葬儀屋というと『ぎょらん』みたいな話かな?と思ったら、そうではなく、作者らしい、胸糞悪い登場人物がヒロインやそれを取り巻く人々に試練を与える、もしくは与えられていたけど、人の死と葬儀を通じて、光が見えそうだなぁと、登場人物達がまさに「夜明けのはざま」にいる物語です。各章、登場人物が切り替わり、その登場人物達のエピソードがあるのですが、ほんまにこんな人おる?くらいに胸糞か悪い人物により試練を与えるなと思う内容。しかし、その胸糞行動をやっている本人達の殆どに悪意がないというのがポイントで、実はその胸糞悪い行動や言動、私もまわりにしているの...【夜明けのはざま】感想

  • 【宙わたる教室】 感想

    宙わたる教室(文春e-book)伊与原新文藝春秋定時制高校(夜間高校)で夜な夜な行われる、科学部による実験。科学に目覚めた青年や料理店のおばちゃんなど年齢も凸凹の部員が織りなす成長と青春を描いた物語です。科学はエリートや優等生のものなのか?本作品を読んでいて、是非、今の進路を悩める高校生に読んでほしいなと思いました。いろんなことで挫折するし、いろんな理由で普通に高校生活を送りたかった、あるいは高校で学びたかった人が学べないなど、高校に行けない人もいる。「親ガチャ」とか生まれた時からの差がとかいろいろ言われる今の時代、何が1番不幸なのか。私は「打ち込めるものや熱中できるものがない」ということ。これが、貧しくもなく、ハンデももっていない人にとって1番不幸なんじゃないかと思います。作中のご年輩の方々が一生懸命生...【宙わたる教室】感想

  • 【猫を処方いたします。2】 感想

    猫を処方いたします。2(PHP文芸文庫)石田祥PHP研究所『猫を処方いたします。』の第2巻。悩める必要な人にしかたどり着けない京都のとある雑居ビルにあるこころのクリニック。そこでは「山田く〜ん、座布団1枚持ってきてぇ〜」くらいの感じで猫が処方される。今回は2巻らしく「ダブル」で「患部にアタック」処方。果たして、猫は人間を救うことはできるのだろうか。悩みは人それぞれだし、人によってはバカバカしい悩みなんてたくさんありそうだなと思いますが、そんな悩みはなかなか口に出せるもんじゃない。悩みを打ち明けられる人も限られているし、もしかしたらそんな悩みを打ち明けられないくらい、人との関係は希薄な今、隣に住んでいる人の名前や顔すら知らないこともほとんど。そういう中で、ストレスもたまるし、悩みも尽きない今、心療内科に通う...【猫を処方いたします。2】感想

  • 【灼眼のシャナS Ⅳ】

    灼眼のシャナSIV(電撃文庫)高橋弥七郎KADOKAWA11年ぶりに発刊された『灼眼のシャナSシリーズ』です。この作品に辿り着くまでに恐らく26巻を読んでこられた猛者達以外は入り込めない世界、いや、11年ぶりで忘れていた猛者たちの再読心をくすぐると言っても過言ではない本作品は、まさに、読みたかったものが書かれているのではないかと思います。あの王子がフレイムヘイズになる話から、新世界ザナドゥでの話。シャナとユウジは元気にしているんだろうか?と心のどこかで思っていた11年間の思いに見事にこたえてくれましたよ。本シリーズの特徴は、巻が進むごとに増える登場人物に、いろいろと複雑になる設定や戦闘シーンをわけのわからないまま、勢いで読む。こいつ誰やったっけ?とか思ったら負けです。もちろん、ユウジを通じて成長していくヒ...【灼眼のシャナSⅣ】

  • 【星を編む】 感想

    星を編む凪良ゆう講談社『汝、星の如く』の後日談を中心に描いた作品。1年前に読んだ時は文章が綺麗で、綺麗な瀬戸内の島でなんでこんなにクセが強い人達が?と思っていたくらい、全員一癖も二癖ある登場人物達が中心で描かれる、まさに「星を編む」作品だなと思いました。『汝、星の如く』ありきの作品ですので、本作品を読む前には『汝、星の如く』を読むことをオススメいたします。私も内容を覚えている自信はあったのですが、読んでいて、あれ?ってなるくらい登場人物をいろいろ忘れていましたので。さて、そんな本作品の登場人物達に1年ぶりくらいに触れてみた結果、「生きる」とは?どういうことなのかを考えさせられました。この「生きる」には自分で生きるという意味と他者と生きるという意味が含まれています。まず、「自分で生きる」とは、自分の生き方を...【星を編む】感想

  • 【ぎんなみ商店街の事件簿 Brother編】 感想

    ぎんなみ商店街の事件簿~Brother編~井上真偽小学館『ぎんなみ商店街の事件簿』の同時刊行作品、Brother編です。母を早くに亡くした4兄弟が事ぎんなみ商店街界隈で起きる事件を解決していくお話です。3姉妹編とは違い、長男はかなりしっかりしていて、ボケ要素はSister編よりは少なめですが、コミカルな感じはSister編と同様です。本作品シリーズ共通は、次男、次女が探偵役、キレるワトソン役が三男、三女となっています。本作品は、亡き母が事件に絡むという内容というのもあるかもですが、読んだ順番もあるなと思いつつ、メインはこっちのほうかもな?と思う内容でした。Sister編→Brother編を読んだからよりそう思うのかもですが、第3章のメインはBrother編かなと思いました。ただ、第1章のメインはSiste...【ぎんなみ商店街の事件簿Brother編】感想

  • 【ぎんなみ商店街の事件簿 Sister編】 感想

    ぎんなみ商店街の事件簿~Sister編~井上真偽小学館2冊同時刊行の『ぎんなみ商店街の事件簿』のSister編。ぎんなみ商店街の人気焼き鳥店の3姉妹がぎんなみ商店街界隈で起きる事件を解決するという内容です。SNS界隈では同時刊行のBrother編を1章ごとに読むことをオススメされる方が多かったので、先人たちのオススメを信じて各章交互読みをいたしました。(なお、Brother編は読書感想を書いている今、まだ3章を読んでいるところです)ちなみに、Sister編を先に読んだ理由は特になく、どちらからでも良いと聞いたので、ブックカバーした状態で、先に読んだほうがこちらだったので、先にSister編からとなりました。Sister視点、Brother視点は同じ事件を別角度からみて違う解決が見えるというものなのですが、...【ぎんなみ商店街の事件簿Sister編】感想

  • 【ティリー・ページズと消えた童話】 感想

    ページズ書店の仲間たち2ティリー・ページズと消えた童話(ページズ書店の仲間たち2)アナ・ジェームス文響社本を旅することができる「ブックワンダラー」の少年少女の本の中の冒険を描いた作品の第2部。前回の悪者を追っかけたりするだけの話かと思いきや、悪者を逃がした図書館長が責任を追及されたり、怪しい奴が出てきたりで、とても小学校高学年向けに見せてよいのか?と思うような大人のドロドロまでも見えるかもしれない?そんな第2部だなと思いました。舞台は、グリム童話など口伝えに伝わってきた私達も馴染みのある童話の中を基本的には旅をしていきます。さて、そんなグリム童話の中が不安定に?誰の仕業なのかは本書に任せますが、グリム童話が不安定というのを読んで、ただ、グリム童話やディズニーの良いイメージじゃなくて、ヨーロッパの童話は思っ...【ティリー・ページズと消えた童話】感想

  • 【歌われなかった海賊へ】 感想

    歌われなかった海賊へ逢坂冬馬早川書房舞台は第二次世界大戦の終戦間近のドイツのとある地域。そこで行われる、少年少女達の反ナチ運動?を描いた作品です。戦争という国の事業に巻き込まれる国民達。戦争前と戦争後に態度を変える大人たちや、正しさとは、生き抜くとはどういうことなのかを考えさせられる作品だったなと思いました。まず、この話を戦時中のドイツだけの話としてだけでは捉えられない、現在の話でもあるということを感じたことは伝えたいなと思いました。ドイツといえば、真っ先に思い当たるのは、おそらくユダヤ人への迫害だとは思いますが、それだけじゃなかったというのは本作を通して改めて知りました。例えば、反体制への取締、同性愛者への迫害、反戦争や思想の取締。こういうことすべてが戦争という大義名分を掲げられて行われているという点が...【歌われなかった海賊へ】感想

  • 【無人島ロワイヤル】 感想

    無人島ロワイヤル秋吉理香子双葉社無人島に3つだけ持っていけるとすれば、何を持っていく?そんなありきたりな話が行きつけのバーの常連客同士で盛り上がったら、たまたまマスターが無人島を持っていた。常連客同士で行く無人島でのバカンス。それぞれ選んだ3つのものを持ち込んで楽しい余暇を過ごすつもりが…気がついたら、10億円をと生きて島から出るためのデスゲームに。デスゲームの結末とは?読んでいて、どことなく現実離れしすぎているからか、無人島でいきなりこういうゲームに巻き込まれるというのが滑稽に感じるからなのか、読んでいて、バカバカしいなと思ったのは本音です。緊迫感というよりは笑いが込み上げそうになるという感じです。読んでいて、各登場人物達はいたって真剣というのは伝わってくるし、生き残りに皆真剣なのも伝わってくるのですが...【無人島ロワイヤル】感想

  • 【レーエンデ国物語 喝采か沈黙か】 感想

    レーエンデ国物語喝采か沈黙か多崎礼講談社「レーエンデに自由を」の第3話目。本作品は、前巻『月と太陽』から120年くらい経過した世界を舞台にしたお話。時代は産業革命みたいなことが起きていて、初っ端からある意味リアル革命が起こり、人々の心の中に少し余裕が生まれ始めてきた頃に行われる革命のお話。2巻の登場人物のアレが生きてくるので面白いなと思えるのと、こういう革命の話も書けるのかと思える仕上がりだったなと個人的には思いました。さて、今回の革命、中身は読んでからのお楽しみと思うので、敢えてどんな内容なのかは書かないですが、これも革命活動だよなと思うのと、私は今まででた三部作の中では一番好きかもなと思います。そんな本作からは革命とは物理的に武器をもって戦うことだけじゃないんだなと思いました。前巻のテッサみたいなカリ...【レーエンデ国物語喝采か沈黙か】感想

  • 【楽園の犬】 感想

    楽園の犬(角川春樹事務所)岩井圭也角川春樹事務所アメリカとの戦争間近の日本が占領していたサイパンに諜報員として派遣された元英語教師の主人公。その主人公が、サイパンで起きた自死事件などの真相を解明していくホワイダニットのミステリー。サイパンが実は要所だったことや、まさに死闘だったことも本作で知るくらい、歴史小説として読んでも面白い作品です。そんな、本作品のテーマは「死」とは何かだと感じるほど、様々な死が描かれています。そして、その死を通じて得た主人公の生き方、これが本当に胸に刺さりました。私も、主人公の生き方、死に関する考え方、納得したなと思うくらいに。また、アメリカとの開戦が迫った時が舞台となっており、諜報活動を通じて、主人公がアメリカと戦争をすべきかどうかを考えて自分なりの答えを導き出していくというのも...【楽園の犬】感想

  • 【サドンデス】 感想

    サドンデス(幻冬舎単行本)相場英雄幻冬舎家の生活を維持しながら、大学に通う費用を稼ぐのに苦しむ21歳のヒロイン理子。そんなある日、彼女に成り上がりのチャンスが。一方で、百貨店のエリートバイヤーだった小島は会社をクビになるという転落人生を辿ることに。その交わることのないはずのふたりの一般人が金持ちの思惑で交錯する、生と死を賭けたサドンデスを描いた作品です。無差別殺人事件の裏に金持ちの思惑あり?そんな馬鹿なと思いつつも、今の日本での出来事やテレビなどで得た情報、実体験から、本作で起きていることを100%フィクションだとも言い切れない内容だなと思える話です。まさにリアルではないでしょうがリアリティがどこかある作品。ただ、作者をみて勝手にゴリゴリの刑事モノかと思っていたら、私が今まで読んだ作者の作品にしては刑事パ...【サドンデス】感想

  • 【あらしの白ばと】 感想

    あらしの白ばと西條八十河出書房新社戦後7年後に少女向け雑誌に連載された作品の復刻版。内容は、美少女が悪い奴らに狙われて、それを美少女探偵3人組である白ばと組が解決するというストーリーです。文体は紙芝居調、内容は子供向けなので、リアリティよりは盛り上げて面白くするという内容。勿論ツッコミどころ満載。でも、パワフルで、今、この作品のことを何も知らずに読んでも、受け入れられる面白さがありました。あとがきでもあるように、少女たちは「ありえない偶然」によって事件に導かれて、「根拠のない確信」に従って行動し、「半ば頭がおかしい勇気」(褒め言葉)によって人を救うっていうのは、実は今でも王道ストーリーだなと思うくらい、この韻を綺麗に踏んでいます。だって、今のヒーロー戦隊モノも、普通に暮らしていたのに、急にわけのわからん組...【あらしの白ばと】感想

  • 【十戒】 感想

    十戒夕木春央講談社和歌山県の白浜にある離島の所有者が亡くなり、リゾート開発の調査に出向いた亡くなった所有者の親戚と不動産屋達。そこで、爆弾を見つけてしまう。なんとなくやり過ごし、一晩明けた朝、死体が発見される。十戒なる生存者に向けられた文書とともに。果たして、犯人の目的とは?『方舟』の作者で、話題になっていた作品。読了後のネタバレ解説のQRコードまでついて、読了後も楽しめる仕様になっています。そんな本作ですが、私の個人的な感想をというと、犯人がわかるまでの過程に『方舟』同様、ツッコミどころが満載というのが本音。私はミステリーを読んでて、そんなに気になるタイプではないのですが、第一の殺人が起きたあとの生存者達の行動に既に「ちょっとまてよ!」って思う行動が多すぎてどこからツッコミをいれてよいのやら状態になりま...【十戒】感想

  • 【星合う夜の失せもの探し:秋葉図書館の四季】 感想

    星合う夜の失せもの探し:秋葉図書館の四季森谷明子東京創元社舞台は東京、秋庭(架空の地名?)。秋庭にある秋葉図書館に持ち込まれる利用者?からの謎。その謎を図書館員の本にまつわる知識で解き明かすミステリーの短編集です。ただ、ミステリーと公式に書いてますが、ミステリーというよりは、持ち込まれた謎を解決していく過程を楽しむ物語という感じで、読み手である読者は、知識がないと謎解きに参加するのは難しいと思うのと、そもそも、後出しみたいなものが多いので、謎解きを楽しむことは難しいかな?と思う作品です。ミステリーというジャンルとしてはどうよ?とは思うものの、読んでいて面白く、純粋に物語として楽しめる作品ではないかと思います。持ち込まれる謎が、基本的には令和や平成の常識では通じないものが多く、作者のあとがきにあるように、確...【星合う夜の失せもの探し:秋葉図書館の四季】感想

  • 【でぃすぺる】 感想

    でぃすぺる(文春e-book)今村昌弘文藝春秋小学6年生3人が、亡くなった従姉妹の死の謎に迫るミステリー。果たして、彼女の死は殺人か、事故か、オカルトなのか。亡くなった従姉妹が残した七不思議を現実視点、オカルト視点、その2つを受けての第三者視点で推理し、真相に迫っていくというものです。フーダニットというよりも、ホワイダニットかな?と思います。終始、現実的な殺人事件なのか、オカルトによる殺人なのかがわからない内容。はじめは、小学生らしくない小学生たちが主人公、ヒロイン?だったので、読み進められるのか?と不安ではありましたが、気がつけば、最後の方はページを巡る手が止まらなかったです。私の浅いミステリー歴でも、本作品は意欲作だなぁと思います。探偵役が小学生ということもあり、調査の制約が多い(自由にお金使ったり、...【でぃすぺる】感想

  • 【近畿地方のある場所について】 感想

    近畿地方のある場所について背筋KADOKAWA近畿地方のとある場所●●●●●に行くと死ぬ?果たして●●●●●とは?作中の新人編集者などが集めたと思われる●●●●●の特集を組んだとされる記事や、取材資料、関連のありそうな記事などをあなたに提供いたします。どうか、●●●●●とは何なのか、何が起きているのか、どうかあなたの知恵を私にお貸しください。読後はなぜか文章が浮き上がってみえますし、遠くで誰かがギャーとかいろいろな叫びをあげていたり、うっすらと男の子に見られているような気がします。ボーッとしながら、時々妙に口元の口角がうっすらと上がるような気がするんです。待っているものがいつ来るのか期待しながら…そして、私ももう少しで●●●●●がわかるような気がしてきました。これは●●●●●に行って私も確かめないと。わか...【近畿地方のある場所について】感想

  • 【リカバリー・カバヒコ】 感想

    リカバリー・カバヒコ青山美智子光文社公園にあるカバの乗り物遊具。治したい(直したい)と思っている体の箇所に触ると、治して(直して)もらえるということから、リカバリー·カバヒコと呼ばれる。人伝で伝わったその都市伝説が、今日も訪ねてくる悩める人々をリカバリーするかもしれない。そんなリカバリー·カバヒコにまつわる5編からなる物語です。願いは悩みなんだろうなと思いながら、実は悩んでいることに気がつけば、ほぼ解決したようなもの。あとはその悩みが解決するきっかけが起きるのを待つのみ。その悩みが起きるきっかけこそが、何も語らぬ、何十年とそこにあるリカバリー·カバヒコというのが良く、作者らしい面白さだなと思いました。そして、短編は独立しているものの、前の短編で悩みに気が付き、リカバリーされた登場人物が、次の登場人物に多少...【リカバリー・カバヒコ】感想

  • 【ヒマかっ!Get a Life!】 感想

    ヒマかっ!GetaLife!日明恩双葉社広島から東京へ家出をしてきた訳アリ主人公、光希は、コンビニをたむろしていたところ、足場工事の組み立て会社の社長に拾われる。彼の能力は幽霊をみることができて話ができること。そして、同僚には幽霊は見れないし話せないけども、幽霊に触れる、いや幽霊をシバくことができる先輩、頭島さんと、見た目ヤンキーでもコミュ力抜群の奥さんがいた。仕事仲間の3人が、いろんな人から幽霊がらみの依頼を受けて解決していく、令和のゴーストストーリーです。読んでいて、幽霊が怖いなと思うところはなく、主要登場人物の3人の掛け合いが爽やかな感じがするし、登場人物も基本的には世にいたら好印象の人が多いんじゃないか?と思うくらいに、良い人ばかりで、読みやすいなぁと思いました。途中、私がミスリードなところもあり...【ヒマかっ!GetaLife!】感想

  • 【奈良監獄を脱獄せよ】 感想

    奈良監獄から脱獄せよ(幻冬舎単行本)和泉桂幻冬舎京都帝大を卒業した数学大好きな主人公弓削は奈良の女学校で数学を教えていた。そんなある日、教え子が亡くなり冤罪で監獄入りしてしまう。舞台は、レンガ造りの美しい奈良監獄。監獄に収監されて2年、これもまた冤罪で収監され終身刑をくらった羽嶋にであってから、じわじわと脱獄の思いがつのり、脱獄を企てる。はたして主人公たちの脱獄は成功するのか。という物語です。まず、脱獄を小説で読むのは多分初めてじゃないかなと思うくらい、心当たりは正直ないので比較のしようがないなと思いつつも、脱獄ものってこういうものなの?と思ったのは本音です。良いとか悪いとかいうよりも、文章で読むとこんなもの?と思うくらいに。ただ、読んでいてところどころ『ショーシャンクの空』の囚人の生活ってこういう感じだ...【奈良監獄を脱獄せよ】感想

  • 【ノストラダムス・エイジ】 感想

    ノストラダムス・エイジ真梨幸子祥伝社ノストラダムスの大予言に導かれた集団自殺なのか?大量殺人なのか?15人が集団で死亡する事件が発生する。この事件の真相やいかに。という内容の作品。真相を追う中で、SFなのかとおもうようなパラレルワールドへの並行移動の描写などもあり、いろいろ混乱を生んでいく仕掛けは盛りだくさんあるうえ、なんとも言えない気持ち悪いような悪くないような感じの雰囲気の文章。中身や内容は凄く好みがわかれそうな上、私には正直合わなかったというのも本音。ただ、最後に提示されているノストラダムスの大予言による1999年、7月の人類が滅亡するの意味がなんとなくわかるなという作品。ミステリーというか、オカルトかな?という気はしました。しかし、この作品、馬鹿にできないなと思うのは、ノストラダムスの大予言、知ら...【ノストラダムス・エイジ】感想

  • 【怪物のゆりかご】 感想

    怪物のゆりかご遠坂八重祥伝社ある日公開された、高校生の自殺未遂動画。いじめを告発し、ある人を呼び出す内容の動画は世間に拡散されて話題を呼ぶ。命をかけてまで動画を公開したかった高校生の思惑とは?依頼を受けたたこいと研究会の高校生コンビの2人が、真相に迫るミステリーです。まず、前作の『ドールハウスの惨劇』よりも増した主人公2人のコミカルな会話が面白く、シリアスな事件を追っているのか?と思うほどに、電車で読んでいて笑いました。そして、このミステリーのテーマは「いじめ」で、過去のいじめ事件がどうも発端になっているらしいのですが、そのいじめ事件の詳細がわかればわかるほど謎だらけに。それでも、最後の答えでなるほどと思えると同時に、まさに怪物のゆりかごという、タイトルにピッタリな内容だったなと思いました。作者のあとがき...【怪物のゆりかご】感想

  • 【ちぎれた鎖と光の切れ端】 感想

    ちぎれた鎖と光の切れ端荒木あかね講談社仲良しグループの中に、1人復讐を誓う人物が紛れている。その人物が復讐を実行の舞台にしようとしたのが、熊本の天草方面の離島へのグループ旅行。離島はコテージがあるが、電気がない、電話も公衆電話のみの無人島。しかし、その復讐を決意した旅行で別の人間による殺人事件が起きる。という、クローズドサークルのミステリーです。作者は最年少で江戸川乱歩賞を受賞した先生。正直、驚いたのは、私よりも1回り以上歳下なのに、私よりも世間を知ってないか?と思うところがちらほらとあります。私は、まず読んでいて思ったのは、「人を殺す、まして復讐っていうには動機が弱すぎじゃないか?」なんですが、最後まで読むと、確かに、こういう動機でも殺人を犯す人は犯すよな、というか、大体立派な動機なんてほとんどないよな...【ちぎれた鎖と光の切れ端】感想

  • 【人外サーカス】 感想

    人外サーカス(角川ホラー文庫)小林泰三KADOKAWA圧倒的身体能力をもつ吸血鬼がとある理由からサーカス団を襲う。襲われたサーカス団は日頃の鍛錬と知恵で、吸血鬼と対峙する。果たしてサーカス団員達は生き残れるのか?これはサーカス団員達が生き残りを賭けたサバイバルホラーです。臓物は飛散りまくるので、グロよりのサバイバルホラーかな?と思いました。ただ、グロは前半が多めで、後半は慣れからかそんなにグロさは感じず、食事しながら読めるくらいには余裕にはなりました。サーカス団員達が吸血鬼と戦う時の描写が面白く、生き残るために、あるいは仲間を逃がすために、あるいは吸血鬼を倒すためにどんな自分の能力を使って、どんな有利な状況に持ち込むのかを考えながら吸血鬼と対決するところが個人的には楽しかったです。将棋の終盤戦で相手が間違...【人外サーカス】感想

  • 【VIVANT(上)】 感想

    日曜劇場VIVANT(上)(扶桑社BOOKS文庫)福澤克雄扶桑社2023年9月2日現在、TBSで流行りの「VIVANT」のノベライズです。上巻は1〜5話が収録されています。内容もほぼ、というか99.9%ドラマのままじゃないか?と思うほどに忠実です。ドラマでみていて、ついつい続きが気になる原作であるドラマ同様、このノベライズも心地よい疾走感が売りなんじゃないか?と思うほどに、サクサク読めちゃいます。そして、約380ページの中に、1〜5話のテレビでのシーンが全部入っているんじゃないか?と思うほどに、私が今までみてきた「VIVANT」のまんま感が凄い。ドラマの復習用というのもありですし、頭の中で鮮明にシーンを描ける、いわゆる気持ちの良い読書体験ができるのではないかと思います。ただし、めちゃめちゃ楽しい読書体験は...【VIVANT(上)】感想

  • 【一日署長】 感想

    一日署長大倉崇裕光文社警察学校を首席で卒業したヒロインいずみが配属されたのは、窓際とも言える資料編纂室。ただ、資料を旧式のパソコン「ポルタ」に入力するだけの業務にうんざりしていたある日、過去の事件の資料を入力したらポルタから怪し音と光が。いずみが目を醒ました先は、なんと直前まで入力していた資料の事件が起きたくらいの日で、しかもいずみはその当時の署長の体に憑依している状況に。本作はヒロインいずみが、データ入力をした事件資料の事件当時の管轄警察署の警察署長に1日だけ憑依をし、事件を解決し、未来を良い方向に導くタイムリープもののミステリーです。本作の作者、大倉先生はコナンの脚本も手がけている方というのを読み終わった後に知り、確かに1編約50ページを読んでいて、30分のアニメを見ているかのような感覚になるほどに読...【一日署長】感想

  • 【心臓の王国】 感想

    心臓の王国竹宮ゆゆこPHP研究所主人公鋼太郎は高校2年生の17歳。夏休みのある日、バイトからの帰りの道すがら、「せいしゅん」がしたい17歳、アストラル神威と出会う。いかにも怪しい変な彼が、夏休みが終って鋼太郎のクラスに転校してきて…。果たしてアストラル神威の願い「せいしゅん」をするは叶うのか。また、アストラル神威とは何者なのか。これは鋼太郎とアストラル神威の高校を舞台にしたブロマンスである。たまたま書店を覗いていたら、『とらドラ!』でお世話になった竹宮ゆゆこ先生がハードカバーの新刊を出したんだと思い、どんな本何だろうと興味をもって購入した本です。読んでみて思ったのは、竹宮ゆゆこ先生らしい作品だなと思いました。主人公鋼太郎とアストラル神威は、境遇や環境から妙に大人っぽい高校生だなと思うところがあるキャラクタ...【心臓の王国】感想

  • 【アリアドネの声】 感想

    アリアドネの声(幻冬舎単行本)井上真偽幻冬舎幼い日に兄を水難事故で亡くした主人公が、亡くなった兄の残した言葉と、あの時ドローンがあれば兄を救えたという思いを胸に、ドローンの操縦教官となる。入社した会社は救助用のドローンを開発した会社で最先端のドローンを操縦できる主人公はある日、地下5層にもなる、近未来的な施設の地上イベントで活断層による地震が発生する。地面に亀裂が走り、地下層にも大きな被害が発生。地下水も漏れて、溢れ、地下シェルターが地下3層にあるのですが、地下5層目〜地下3層目まで水が浸水するまでタイムリミットは約6時間。それまでに、3層以下にいる要救助者をシェルターに誘導しなければならないのですが、その要救助者はなんと目は見えない、耳は聞こえないという重度障害者。本作品は救助用のドローンを主人公が操縦...【アリアドネの声】感想

  • 【モノマネ芸人、死体を埋める】 感想

    モノマネ芸人、死体を埋める(祥伝社文庫)藤崎翔祥伝社有名野球選手のモノマネ一本で芸能界で生きている、マネ下竜司。そんなある日、モノマネを許していて仲の良い往年のレジェンド選手、竹下竜司が殺人を犯す。殺人事件が表沙汰になれば、マネ下の芸能界での食い扶持もなくなるということもあり、殺人を隠蔽することを協力するマネ下。果たして、彼らは殺人を隠蔽し続けることはできるのか?まず、面白いなと思ったのは、冒頭部分。マネ下竜司が始球式でネタをするのですが、そのネタが本人の竹下竜司を知らないのに、面白い。観客が笑うところで笑ってしまうので、本当にネタを見ているみたいでした。また、モノマネ芸人の芸名が面白く、普通の会話なのに福山雅治のモノマネ芸人、ぷく山雅治や役所広司のモノマネ芸人、役所狭司、藤田ニコルのモノマネ芸人、藤田似...【モノマネ芸人、死体を埋める】感想

  • 【月夜行路】 感想

    月夜行路秋吉理香子講談社44歳の専業主婦の涼子は、関係が冷え切った夫の浮気を疑っていた。涼子の誕生日の前日の夜、夫は浮気相手と思わしき相手から連絡があり、真夜中に仕事といって出かけることに。あまりにもムカついいた涼子はその日、勢いで、夫が向かったと思われる、夫の浮気相手のクラブのホステスの店へ向かう。しかし、なぜか、その同じビルに入っていたオカマバーに入ってしまい、そこでオカマバーのママ、ルナと出会う。話しているうちに、オカマバーのママの鋭い洞察力とコミュ力でヒロイン涼子は打ち解け、涼子は大学時代に付き合っていた男性について語りだす。そして、涼子は妙にその付き合っていた男性に会いたくなり、勢いのままに大阪へ。その日偶然出会ったオカマバーのママ、ルナと伴に。本作品はヒロイン涼子とママが大阪で文学の聖地巡礼を...【月夜行路】感想

  • 【薬物依存症の日々】 感想

    薬物依存症の日々(文春文庫)清原和博文藝春秋甲子園で活躍し、プロでも活躍した清原和博選手。引退後、奇行が目立ち、入墨入れたり、離婚したり、覚醒剤で遂にぞ逮捕されてしまう。そんな彼が、逮捕後の再起に向けて薬物依存症と戦う日々を語っている本です。私は甲子園の清原選手は生では見ていないですが、西武時代と巨人時代、特に巨人時代の4番松井、5番清原は小学生ながらよく覚えています。また、バラエティ番組で良く見かけたよなぁということと、体育会系ってこういうことするんだ(後輩選手にタバスコを一気飲みさせたりしたエピソード聞いたりした記憶あります)と初めて知った時、こいつあんまり好きじゃないなと思った印象で、清原選手のことはあんまり好きじゃなかったです。そして、引退したあと、離婚したり、入墨いれたり、奇行もあったりで、引退...【薬物依存症の日々】感想

  • 【猫を処方いたします。】 感想

    猫を処方いたします。(PHP文芸文庫)石田祥PHP研究所京都にあるというとある心療内科?に行って、悩みを相談したら、猫を処方された。いろんな悩みを持つ人がたどり着いては猫を処方されるクリニック。果たして猫は悩みを解決してくれるのか?そして、そのクリニックの秘密とは?タイトルもそうですが、まず表紙の可愛いさに癒やされ、読んでみようと思った作品。読んでいくと猫の魔力は異常というくらい、猫に没頭していく各登場人物とその回りの人たち。猫のは薬だなと本気で思う、何なら私も猫に癒やされたいなと思うくらい、猫、かわいいよ、猫…さて、そんな猫たっぷりの本作品は、実は猫がかわいいだけじゃなくて、猫を育てることの大変さや、飼い主側の事情で保護されてしまったり処分されてしまったりする現実などもちょこっと書かれています。本作品か...【猫を処方いたします。】感想

  • 【バスタブで暮らす】 感想

    バスタブで暮らす(ガガガ文庫)四季大雅小学館イチキュッパで生まれたヒロイン磯原めだか(22)は就活に失敗し、仕事を辞めて実家に帰ることに。落ち着く場所はバスタブだったことから、バスタブで寝泊まりする生活をする。そんなめだかのバスタブ生活を描いた作品。なかなかコミカルで毒のあるめだかの一人称で描かれる本作品は設定もありえない病気?(漬物石が定期的にお腹の中に移動する病気?)とかあって、どこかファンタジックな描写が多い印象です。また、生きてはいるものの、日々忙しくて夢を追えないとかそういうことじゃなくて、何をしてよいかわからない系のダラダラと生きている感じのヒロインが軸となっているのですが、夢も希望もない、別に興味のあることなんてない、無意味に生きている感覚って、私もそうだし、そういうことに悩みながら、あるい...【バスタブで暮らす】感想

  • 【風と共に咲きぬ】感想

    風と共に咲きぬ(角川文庫)清水晴木KADOKAWA舞台の脇役だったり、舞台にも立てない観客だったり、主役じゃない人もしっかりとそれぞれの役割を果たすからこそ舞台は映える。そんな風に吹かれて着陸したところで根を張り、しっかりと綺麗な花を咲かせるために生きている。その存在はもしかするとほとんどの人に知られることはないかもしれないけれど。そんな、たんぽぽみたいな人たちが織りなす物語が本作です。本作は、文章が面白く、クスッと笑いながら読める作品ですが、いろんな人に刺さるだろうと思うスパイスが所々に散りばめられています。恐らく、読んだ方の殆どの人が自分と重ねてしまい、入り込めるんじゃないかと思います。そんな本作で語られるのは、もしかしたらありきたりかもしれないですが、誰の目にもとどまらないかもしれない道端のたんぽぽ...【風と共に咲きぬ】感想

  • 【サクラサク、サクラチル】の感想

    サクラサク、サクラチル辻堂ゆめ双葉社進学高に通う高校3年生である主人公とヒロインは虐待を受けている。その2人が親に復讐することを計画する。果たして、彼らの企む親に対する復讐とは?また、彼らの復讐は成功するのだろうか?まず、読んでいて感じたのは、主人公の両親の主人公に対する態度がとにかく胸糞悪い。読んでいて、読んでいられなくなるほどに、ヒール役の両親、エグいくらい胸糞悪いことを主人公にします。その胸糞悪いシーンが半分くらいあるんじゃないか?と思うくらいに、この部分は結構キツかったです。また、本作はミステリー要素もありますが、読んでいて、そこまで難しくはなかったなと思います。そんな本作品から感じたのは、あなたは本当に虐待を受けずに育ちましたか?という、投げかけです。まず、読んでいて、本作品の主人公やヒロインは...【サクラサク、サクラチル】の感想

  • お久しぶりです

    こんにんちは。ジジでございます。もう、何年もブログを更新していなかったなと思いながら、久しぶりにきてみました。実は、読書は続けていて、ブクログに読書感想を書き続けていました。よくよく考えれば、1,000字程度の感想を毎回書いているのに、ここに載せない手はないなと思い、ブクログに載せた感想のうち、1か月読んでオススメだなと思った本の感想は、こちらにも転載しても良いのではないかと思いだしたので、一度ぼちぼちと続けてみたいと思います。続くかどうかはわからないですが、約4年で200冊書き続けた読書感想で培った感想文の能力は見せてみたいと思います。それでは、お久しぶりですがどうぞよろしくお願いいたします。ジジお久しぶりです

  • 砥上 裕將『線は、僕を描く』 感想

    線は、僕を描く(講談社文庫)砥上裕將講談社「難しい話をしても仕方がない。ともかく最初は描くこと。成功を目指しながら、数々の失敗を大胆に繰り返すこと。そして学ぶこと。学ぶことを楽しむこと。失敗から学ぶことは多いからね」2年前に読んで以来、何回も読み返してしまう作品です。この作品の感想をどこまで伝えきれるのかはわからないですが、ここ2年の私の1番のオススメ作品ですので、よろしければ読んでお付き合いください。(1)あらすじ両親を交通事故で失い、喪失感の中にあった大学生の青山霜介は、アルバイト先の展覧会場で水墨画の巨匠・篠田湖山と出会う。なぜか湖山に気に入られ、その場で内弟子にされてしまう霜介。それに反発した湖山の孫・千瑛は、翌年の「湖山賞」をかけて霜介と勝負すると宣言する。水墨画とは、筆先から生みだされる「線」の芸術...砥上裕將『線は、僕を描く』感想

  • ゴールデンタイムの消費期限 読了 感想

    ゴールデンタイムの消費期限斜線堂有紀祥伝社お久しぶりです。何年ぶりの投稿になるのかというくらいの久しぶりの投稿です。読書はぼちぼち続けていましたが、長文で書くのがめんどくさく、簡単に感想が書ける「読書メーター」に逃げていた今日この頃。でも、たまには長文感想文を書きたいなと思いまして、久しぶりに書いてみたいと思います。今回読んだのは『ゴールデンタイムの消費期限』(斜線堂有紀著)の感想になります。(1)簡単な概要かつて、幼くして天才と呼ばれた少年少女がいた。彼らは各メディアに取り上げられるほど有名で、将来有望、その道の天才として輝かしい活躍をしていくはずだった。しかし、彼ら彼女たちは努力を続けたにも関わらず、壁にぶつかり、才能が通じなくなってしまう。そんな彼らの才能を再生しようと政府が立ち上げたのが、才能再生プログ...ゴールデンタイムの消費期限読了感想

  • 久しぶりの更新

    どうも、久しぶりに更新のジジです。忙しいという言い訳のもと記事を更新しなかったら年が明けて、気がついたら3月になっていた…去年は失業していたため記事更新に困りはしなかったのですが、仕事を始めるとなかなか時間取れないですね。今、少しだけ近況くらいは日記感覚で書いておこうと思いたって書いてみます。去年は無事にギャンブルをすることなく1年が過ぎ、3年連続の失業状態での年明けを逃れることができました。去年の最大目標だった社労士試験は落ちてしまったので、今年こそはと毎日勉強に励みながら仕事をするという日々を送っています。仕事も順調に忙しくなってきてスケジュール管理や仕事の効率化など新たな課題も見つかったり、スキルアップを目指さないといけなかったり大変な日々ですが、とても充実している毎日だなと思います。今年度もあと一ヶ月、...久しぶりの更新

  • 内館牧子 『終わった人』 感想

    定年って生前葬だなどうしても仕事を辞めたかった。ギャンブルの種銭稼ぎ、ギャンブルで作った借金返済のため、今仕事を辞められないと思いながら仕事をしていた。土日の休みは突然の電話で出勤になり、午前様になるのはざら。25日連続勤務なんですよなんて笑いながらやってはいたが、全て残業代や休日手当が欲しかったというのもある。しかし、ギャンブルを辞めると決意したときは、そんな仕事をで体を壊したくないという思いと、面白くもないのに無理にやっていきたくないと思うにつれて、1日でも、1時間でも早く仕事を辞めたかった。そして、無事にやめることができた。仕事を辞めた時には決めたことがあった。それは1ヶ月は次の仕事のことは考えないということだ。借金はあるものの、なんとか利息だけは返済できるだけの退職金や手当もあったことから、一度休んでゆ...内館牧子『終わった人』感想

  • 井川 意高 『熔ける 大王製紙前会長 井川意高の懺悔録』 感想

    熔ける大王製紙前会長井川意高の懺悔録(幻冬舎文庫)井川意高幻冬舎一番信用できないのは自分ー106億8000万円の代償として私が得たものは、かくも悲しい事実のみだった。今回読んでみたのは大王製紙前会長で、ギャンブルが原因で特別背任の罪で刑務所にまではいってしまった井川意高氏の『熔ける』です。本書はギャンブルにはまってしまい100億あまりもの借金をカジノで作ってしまうまでの過程から、著者の幼少期から大学までの生い立ち、大王製紙での活躍から社長就任、起訴、判決、出所のことが書かれています。私自身、事件のことは知っていますが、著者のことは特に知りませんので、幼少期や東大入学時の豪遊?みたいな生活については正直興味がありませんでした。私が興味を見出したのは、私自身も今後の人生で共存していかなければならないギャンブル依存症...井川意高『熔ける大王製紙前会長井川意高の懺悔録』感想

  • オダギリ展子 『事務ミスがない人の図解整理術』感想

    オフィスデスクを綺麗にするのも仕事のうち「ジジくん、この前渡したあの資料、ちょっと見せて」そう上司に頼まれて資料を慌てて探すジジ。しかし、10分探しても見つからない。「ジジくん?聞いてた?資料早く見せて」「今さがしています。もう少しお待ちください…」そう上司に伝えて30分が経過…。しびれを切らした上司から「まだ、見つからないの?もういいよ!!」そう怒られてから、さらに10分後、ようやく探していた資料が見つかる。ジジがその後上司にさらに怒られたことは言うまでもありませんが、ジジ自身50分の時間ロスをしてしまう。そして、待たせた上司の時間もロスしてしまう。ジジの机は乱雑に資料やメモが置かれており、綺麗には程遠い。上司に渡した資料も乱雑にクリアファイルに放り込んでいたものでグチャグチャ。他の人の机は片付いているのに、...オダギリ展子『事務ミスがない人の図解整理術』感想

  • 賭博師は祈らない ③ 感想

    「ええ。愛です。愛ですとも。いつも、何をしていても、誰かのことが頭の中に浮かぶのなら、それは愛に他なりません。」ギャンブルをするとき、あなたに基準はありますか。競馬ならば馬の血統で馬券を買う人もいれば、馬の成績やコース実績を見て買う人もいます。あるいは乗っているジョッキーで買う人もいれば、オカルトで買ったり、誕生日で買ったりします。また、パチンコやスロットなら前日のデータなどを収集して台をとる人もいれば、自分の打ちたい台を打つ人、オカルトで打つ人、様々なスタイルがあると思います。しかし、いざギャンブルに行って負けが込んだりしてくると、普段緻密に予想をするタイプの人がオカルトに走ったり、逆にオカルトに走っていた人が急に不慣れな予想をしたりすることがあります。そして、いつも通りに予想していたら勝てたのにと後悔するこ...賭博師は祈らない③感想

  • 落合陽一 『超AI時代の生存戦略』 感想

    超AI時代の生存戦略落合陽一大和書房人はデジタル空間にもう一度生まれた今回、読んだのは落合陽一著の『超AI時代の生存戦略』です。今後、ほとんどの仕事はAIにとられているのではないかと言われている時代。私の最近の趣味の将棋の世界でもコンピュータが勝つにはまだまだ時間がかかるのではないかと言われていたのが今から15年前だったと思いますが、今では名人に勝ってしまうというところまで来てしまいました。さすがにターミネーターみたいに人類にAIが反乱を起こすところまでいくかどうかはわからないですが、AIとの付き合い方を考えていかないといけない時代は近いところまできたのかなと思います。私自身、今後、士業として食べていくためにもこのAIというものが一つキーワードになってくることは間違いなく、どうやって付き合っていくのかを考えてい...落合陽一『超AI時代の生存戦略』感想

  • 恩田陸 『蜜蜂と遠雷』 感想

    でも僕は、いつかきっと先生の約束通り音楽を連れ出してみせます。10年前に初めて高級ヘッドフォンを買った。確か、競馬で大勝をしたときにふっとイヤホン専門店が目につき、どんなものが置いているのか気になった時だったと思う。何を選んでよいのかわからなかった私はとりあえずネットで調べながら、高級ヘッドフォンの入り口と言われていた1万円台のものを買った。帰って、早速、当時使っていたiPodにつけて聞いてみた。今まではボーカルの声に合わせて後ろで適当にメロディが流れている。そういう認識でしかなかった曲たちが、ドラム、ギター、ベース、キーボードなどの楽器の音がしっかりと聞こえ、重なり音楽を奏でている。その時、私は初めて認識した。ボーカルばかりに気を取られていたが、演奏も含めて彼らの音楽なのだと。そして、彼らは決して手を適当に演...恩田陸『蜜蜂と遠雷』感想

  • 弟子・藤井聡太の学び方 感想

    対局の機会の少なさが集中力を鍛える営業職として4年働いた会社があった。はじめはごく一部のエリアで営業をしていた。2年目にエリアをまたいで営業をするようになり、3年目には県境を超えた。4年目には複数の県を担当するようになった。理由は様々あった。はじめは業務をこなせるようになったのでエリアが増えた。次はチームのメンバーの穴埋めだった。最後はチームメンバーが私一人しかいなくなった。補充などなかったため、私はなんとか耐えて仕事をした。残業時間は月で80時間くらい。サービス残業も含めると100時間は超えていた気がする。雑務や会議も増え、営業に割く時間などほとんどなかった。それでも、与えられたノルマをこなさなければならない。商品知識も増やし、アプローチを考え、数少ない営業機会をなんとか生かすため時間を作っては営業の準備に励...弟子・藤井聡太の学び方感想

  • ライトノベル 賭博師は祈らない ② 感想

    「ご主人様、賭博、負けない。私、待つ、です。いつも通り、です。」自分で決めたルールをいくつも破ってきた。ギャンブルをするためにたくさん嘘をついてきたが、自分自身に課したはずの賭け事に関する取り決めも反故にし、自分自身にも嘘をつきながらギャンブルをしていた。はじめは決めた金額の範囲でギャンブルをやろうとしていた。馬券もメインレースの大きなレースしか買わないようにと決めていた。それが、いつからか、自分の予想に自信のあるレースに範囲が広がり、金額も決めた金額から財布の中身全部に変わっていた。そして、気が付けば週末の全レースが購入範囲に広がり、資金は財布から銀行口座に手を出した。最後は口座に大きな数字の前に-という記号がつくようになっていた。自分自身に課したルールを今日だけは破っても良いだろう、勝った今日はルールを破っ...ライトノベル賭博師は祈らない②感想

  • ライトノベル りゅうおうのおしごと! ② 感想

    「くやしい……!くやしいよ……!」小学生の頃、私は将棋に打ち込んでいた。毎週土曜日、日曜日は子供会の将棋クラブに練習に行き、毎日、親と将棋を指して、自分なりに強くなる努力をしていた。その努力の甲斐あって、私は子供会の代表選手に選ばれ、地域の本大会の予選も優勝し、大会では優勝候補とさえ言われていた。本大会当日、トーナメント方式の大会で順調に勝ち進んだ私は準々決勝まで進んだ私は今の勢いならば本当に優勝できると信じて疑わなかった。しかし、今まで私があまり戦ったことのなかった戦型に序盤から苦戦し、中盤に私自身とんでもない悪手をしてしまう。周りで見ていた誰もが勝負は決したと思ったのだろう、勝負は終わったのだから違う対局を見に行く者まで現れた。それでも私は最後まで諦めなかった。なんとか、相手に一泡吹かせてやろう、危ない局面...ライトノベルりゅうおうのおしごと!②感想

arrow_drop_down

ブログリーダー」を活用して、徒然なるまま読書感想ブログさんをフォローしませんか?

ハンドル名
徒然なるまま読書感想ブログさん
ブログタイトル
徒然なるまま読書感想ブログ
フォロー
徒然なるまま読書感想ブログ

にほんブログ村 カテゴリー一覧

商用