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  • 保身だけではない

    「国民性」4月12日『障碍者スポーツを阻む思い込み「何かあったら…」考えすぎる日本人』という見出しの記事が掲載されました。『健常者の思い込みが理由で、障害者が運動する機会を奪われることも少なくない』という問題意識の下、『パラスポーツの伝道師と呼ばれる』オランダのパラスポーツ専門家リタ・ファンドリエル氏に取材した記事です。その中に印象に残る記述がありました。『日本人は「起こりえる難題を考えすぎる」。「何かあったらどうするのですか」と反論されるが、ファンドリエルさんは腹を据えている。「失敗しても、次は違うやり方でやってみればいい。スポーツ中に障害者が車いすから落ちるのと、私が足をけがするのと、違いはありません」』です。日本人についての指摘には頷かされます。私もその一員でしたが、特に公務員の場合は、より強く「何...保身だけではない

  • 本当のプロ

    「プロ」4月12日川柳欄に、久喜市M氏の『材料は並みを使ってこそのプロ』という句が掲載されていました。本日の秀逸です。意味を解説するまでもありませんが、大間の本マグロ、松阪牛、間人ガニなどの高級品を使って旨い料理を作っても、それは当たり前で名人でも達人でもない。近所のスーパーで売っている庶民が買うような材料を使って美味しいと唸らせる料理を作るのが本当のプロの料理人、ということです。全くその通りです。私がこの句を目にして直ぐに浮かんだのは、料理とは関係のないことでした。新たな教育課題が学校に持ち込まれようとするとき、先進的な実践に取り組む研究校が設けられるのが普通です。生活科、総合的な学習の時間、小学校英語、プログラミング教育等々、例外はありません。そして、研究校での先行実践の結果、新しい教育課題の導入が見...本当のプロ

  • 妙に忘れられない

    「教員の一言」4月11日科学の森欄に、『「光遺伝子」研究や治療に目の難病薬の開発進む』という見出しの記事が掲載されました。『光を当てることで、狙った神経細胞の活動を操作する「光遺伝子」という技術が、脳研究などで広く使われ始めている。脳の仕組みを理解するなどの基礎的な研究だけでなく、失明した人の視覚再生など、実際の治療への応用も期待されている』ことを報じる記事です。私はこの「科学の森」欄にはいつも目を通していますが、ほとんどの場合よく理解できず、「ふーんそうなのか」ということで次の紙面に進むというのが実情です。今回も同じでした。やはり私は文系の頭なのだな、ということを再確認しただけです。ではなぜこの記事を取り上げたかというと、次の記述が目に飛び込んできたからです。『栗原さんが構想する治療法では、光に反応する...妙に忘れられない

  • 一体化の罪

    「手段化」4月8日『地域再生カギは「高校魅力化」財政破綻北海道夕張市の挑戦』という見出しの記事が掲載されました。『人口減少の著しい北海道夕張市が、地域再生の柱に教育を据えて市内に唯一ある夕張高校の入学者を増やす取り組みを進めている』ことを報じる記事です。『地域から高校が失われると、中高生世代が減るだけでなく、進学を控える子を持つ現役世代の転出の増加が予想される(略)特色ある学びを提供することで学校の価値を高めて閉校を避けつつ地域振興につなげるという狙いがあり、市と学校が連携して進めている』とのことでした。『市の窓口となるのは教育委員会ではなく、地域振興課。職員室に専用の机も用意されている。行政や地域と学校のパイプ役を担う職員が週の半分を学校で過ごし、意思疎通を図る(略)一連の「投資」が地域振興に資するとい...一体化の罪

  • 知っているのに知らぬふり

    「記者の意識」4月8日連載企画『子どもっておもろい作文のチカラ』が始まりました。『なにわ作文の会』の活動について報じる記事です。記事によると同会は、『月1回、土曜日に開催され、発表者を決めて、担任する子どもが書いた作文を発表する』のだそうです。『書きたいことを、書きたいだけ、書きたいように』が原則で、『テーマは自由。原稿用紙に何枚でも書いていいし、1行だけでも全く問題ない』『子どもに自由に作文を書いてもらい、学級通信などに載せてクラスで読み合う取り組みを続けている』とのことです。記者は、特に印象に残ったこととして、『勉強会の主題が、作文の書き方、教え方ではなく、教師が作文を「どう読むか」だったことだ。表現の上手下手は気にしない。その子はなぜそのような作文を書けたのか。作文の背景にある子どもの心の動きや暮ら...知っているのに知らぬふり

  • ほんわかとした

    「子供も教員も、そして保護者も」4月6日人生相談欄に、55歳女性の『子育て担わなかった夫』というテーマの相談が寄せられていました。女性は、『夫が我が子の幼い頃を思い出し「かわいかったなあ」などと言い出すと、「大して子育てを担っていないくせに」と怒りがこみ上げます』と訴えています。そして、『その怒りをぶつけると、「昔のことを」と言い合いになります。私たちは一生こんな会話を繰り返すしかないのでしょうか』と相談を持ち掛けているのです。こうした問いに対し、回答者の漫画家ヤマザキマリ氏は、『私のそばにも「平等の子育て」を心がけている夫婦がいますが、子育てにとって何より欠かせない寛容性やフレキシビリティーが欠落し、いつも互いの自由や子育てに携わる時間を巡ってけんかになっています。子育てとは根本的に「利他」の行為です。...ほんわかとした

  • 言われた通りにはならない

    「仲が悪い事の結果」4月5日連載企画『受験格差』では、『地方が陥る「探究」偏重東京圏に劣る基礎学力』というテーマを取り上げていました。記事によると、『旧7帝国大学に合格した東京圏の高校出身者は2008年度から23年度入試までの15年間で1.68倍(略)東北6県は08年度から15年間で、東大合格者数が94人から54人、地元東北大も1085人から830人へと落ち込んだ』のだそうです。そして、東北地方の高校教員はその原因として、『21年度に中学校で導入された学習指導要領が重視する「主体的、対話的で深い学び」(アクティブラーニング、AL)』を挙げているのです。どういうことかというと、『学校では「知識を教え込むのはよくない」と受け取られがち』『「話し合い」などの活動を増やすように求められ、ドリルや小テストに割く時間...言われた通りにはならない

  • 辞めます!

    「辞めます!」4月5日『新社会人調査希望と異なる配属なら4人に1人退職検討』という見出しの記事が掲載されました。『入社して希望通りの部署に配属されるか分からないことを指す「配属ガチャ」。これに外れたら、4人に1人が入社辞退か早期退職を検討する-。就活支援会社が今春大学卒業の新社会人を対象にした調査』の結果を報じる記事です。教員の場合はどうなのでしょうか。教員の志願者が減り続けていることが問題になっています。せっかく確保した教員候補が、希望と違うと言って退職していったのでは、目も当てられません。教員配属ガチャ問題が気になります。教員採用においては、まず勤務する学校のある自治体、どのような学校か、担任する学年は、同学年を組む教員はどのような人物か、担任する学級に問題児・モンペはいないか、校務分掌は何か、などが...辞めます!

  • 許したけれど失敗、次は?

    「その後、のこと」4月4日専門記者田原和宏氏が、『自分の物差し』という表題でコラムを書かれていました。その中で田原氏は、『昨夏の全国高校野球選手権で優勝した慶応高の監督であり、慶應幼稚舎の教員でもある』森林貴彦氏を取り上げていらっしゃいました。印象に残った記述があります。『「任せて、信じ、待ち、許す」。森林さんが挙げる指導者の資質とは、教育者のそれである。人は失敗や過ちから学び、成長する』です。その通りだという気がします。自分にはこれができなかったな、という反省も浮かびます。と同時に、でも分かっていても難しく、ほとんどの教員は出来ないんだよな、と自分を慰める気持ちにもなります。ただ、今回書きたいのはそういうことではありません。「任せて、信じ、待ち、許す」のその後のことです。腹をくくって、子供に任せます。失...許したけれど失敗、次は?

  • 真の狙いは分厚いエリート層形成?

    「多様性を確保する?」4月3日『受験格差旧帝大合格東京圏が拡大』という見出しの記事が掲載されました。『難関とされる国立の旧帝国7大学に合格した東京圏の高校出身者が、2008~23年度の15年間で1.68倍に急増していた』ことを報じる記事です。記事ではその背景として、『東京圏は、塾や予備校のサポートも手厚い』『親が高学歴・高所得で社会経済的に恵まれた子供は、大学進学に強い意欲を持ちやすくなる。このような層が都市部に集まるようになった』が指摘されていました。また、『進学の意識は友人関係にも左右され得る(略)地方の高校で難関大に挑戦する子供がさらに減っていけば目指そうという動機さえも生まれにくくなる恐れがある』と、今後もさらに格差が拡大するという見通しも示されていました。教育社会学を専門とされる龍谷大准教授松岡...真の狙いは分厚いエリート層形成?

  • 公には言い訳出来ない

    「冷徹に非難されたら」4月3日鵜塚健記者が、『ウザい大使館』という表題でコラムを書かれていました。その中で鵜塚氏は、『谷中銀座商店街に「日本一ウザい店長」と評判の男がいる。イランを中心とした中東料理店「ザクロ」を営むアリさん』を紹介しています。アリ氏は、『「美人さん、いらっしゃ~い」「男は食べたらさっさと帰ってね」。今どき「不適切」とされかねない言葉もジョークで包み、笑いに転換してしまう』という人物だそうです。何となくイメージが浮かびます。きっとファンがいるのでしょう。客足が絶えないというのも頷けます。でも、「美人~」「男は~」という発言を不快に感じ、抗議する人がいたらどうなるのでしょうか。実は私はどちらかというと、アリ氏のようなジョークを受け入れがたいタイプの人間です。実際に抗議はしないでしょうが、たぶ...公には言い訳出来ない

  • 語る資格

    「語る資格」4月2日『「人生に無駄なし」首相、新社会人にエール』という見出しの記事が掲載されました。『岸田文雄首相は1日の参院決算委員会で、新社会人にエールを送った』ことを報じる記事です。記事によると、岸田氏は、『人生において無駄なものは何もない。どんな苦難も意味がある(略)銀行員として社会人のスタートを切った頃の自身を「ずいぶん多くの失敗をし、修羅場と言っていい場面にも数々出合った」と回想』したそうです。「人生に無駄なし」というエールに文句があるわけではありません。私の考え方とは違いますが、考え方は人それぞれですから。ただ、私が引っ掛かったのは、岸田氏が銀行員時代のことを振り返って「教訓」を述べたということです。岸田氏に銀行員の何が分かっているのでしょうか。とても疑問です。岸田氏は、政治家一家の三代目、...語る資格

  • 使うか、使われるか

    「校則問題考」4月1日読者投稿欄に、埼玉県元小学校校長W氏による『「ルールを守ろう」に疑問』と題された投稿が掲載されました。その中でW氏は、『人間の行動の規範はルールにあるのではない。道徳的な正義感が行動選択の根本にあるはずだ。ただ、こうした「正義」はときとして衝突することがある。価値観の違いや状況によって、どちらも正しいが両立はしないということがあるのだ。そこでルールによる調整が必要になる。つまり、ルールは守るものではなく使うものだ。使うことによって「ルールが人を守る」のである。ところが、どこに行っても「ルールを守れ」と教えられるから、逆に「ルール違反でなければ何をしてもいい」という発想が生まれてきてしまう』と書かれています。全くその通りだと思います。私はたびたび取り上げられる校則に関する問題について、...使うか、使われるか

  • 敬意醸成訓練

    「そこが本丸、でも…」3月30日『撮影現場のハラスメント防げ』という見出しの記事が掲載されました。『映画やドラマなどの映像制作現場でのハラスメントをなくそうと、米大手動画配信サービス「Netflix」が開発した研修「リスペクト・トレーニング」が注目されている』ことを受け、同プロダクション部門ディレクター小沢禎二氏に対して行われたインタビュー記事です。その中に、印象に残った言葉がありました。『従来のハラスメント防止講習というと「~をしてはいけない」と線引きをされるイメージがあると思いますが、「リスペクト・トレーニング」はワークショップを通じて「相手を尊重する思考=リスペクト」を育てることを目的としています(略)最終的には自分が何か行動を起こす前に「これってリスペクトがあるのかな」と立ち止まって考えられる要に...敬意醸成訓練

  • 処分基準公開の意味

    「ほぼ馘首」3月28日『風俗店で兼業の小学校教諭処分』という見出しの記事が掲載されました。『都教育委員会は27日、風俗店で働き兼業したとして、多摩地域の小学校の女性教諭(41)を停職6カ月の懲戒処分とした』ことを報じる記事です。記事によると、『女性教諭は2023年4~11月ごろ風俗店で勤務。「仮想通貨の投資詐欺に遭って経済的に苦しく、家族を養うために週2回ほどの頻度で兼業した」と事実関係を認めている。匿名の通報で発覚した』とのことです。停職6カ月というのは、ほぼ馘首に等しい処分です。免職の次に厳しいのが停職であり、停職の中でも6カ月というのは最も厳しい処分になります。別に決まりがあるわけではありませんが、停職6カ月の処分を受けたもののほとんどは退職します。免職との違いは、退職金の有無だけ、というのが実態な...処分基準公開の意味

  • これは…、と勘が働く

    「顕と隠」3月27日東京学芸部吉井理記氏が、『デマにあらがう』という表題でコラムを書かれていました。その冒頭、吉井氏は小学校高学年のときの出来事を紹介なさっていました。『級友たちから「ビンボー」などとからかわれた。口げんかが苦手なので黙っていたが、あまりしつこいと腹も立つ。ある日、ついに我慢できずに言い返した。「ぶっ飛ばす」など、乱暴な言葉を使ったと思う。聞きつけた教師は激しく叱った。級友ではなく僕を。「そんな言葉を使うな」とのことだった』。悔しかったのでしょうね。だから数十年経った今でもそのときの情景がはっきりと浮かぶのでしょう。そして、その教員に対しては恨み、軽蔑、不信など様々な感情を抱いたことが想像されます。その思いが、教員全般に及んでいないことを祈りたい思いです。吉井氏のような経験をしたという人は...これは…、と勘が働く

  • あなたも私も「やっちまうかも」

    「悪の巣窟」3月27日『ハラスメント窓口設置見送り』という見出しの記事が掲載されました。『茨城県議会の議会運営委員会で、ハラスメントの相談窓口を4月1日に設置すると今月19日に報告していた半村登議長が26日、一転して設置を見合わせると明らかにした』ことを報じる記事です。記事によると、『自民党のベテラン議員が反対を表明していた』とのことです。その理由は『議員は自制を持っている』『議員の威厳の問題。(茨城ではハラスメントを)誰もやっていない』ということのようです。すごいですね。驚きの感覚です。私は茨城県民ではないので何もできませんが、こういう人が議員でいること自体、県の恥です。次の選挙がいつなのか分かりませんが、是非落選させてほしいものです。それはさておき、実はこの議員と同じ発想の人は少なくないと思われます。...あなたも私も「やっちまうかも」

  • 人を軽視する発想

    「判決が示唆するもの」3月26日『父が問い続ける命の重み』という見出しの特集記事が掲載されました。中部報道センター田中理知記者が、いじめを受け自死した斎藤華子さんの遺族を取り上げ取材した記事です。遺族は真相究明を求めて、名古屋地裁に損害賠償訴訟を起こしました。その判決内容が印象に残りました。『判決は、学校のいじめを予防し発見する体制には改善の必要があると指摘しつつ、「体制を準備したからといって、直ちにいじめを予見、発見することはできなかった」として原告側の請求を棄却した』というのです。父親の斎藤信太郎氏は、『どこに助けを求めたらいいのか』と声を振り絞ったということです。無念でしょう。お気持ちを察すると掛ける言葉もありません。まだ地裁段階なので、今後の裁判の行方を見守ることしかできません。それはそれとして、...人を軽視する発想

  • 善意の下の不敬

    「善意でもしてはいけない」3月24日みんなの広場日曜版は、『作文につづる私の思い』というテーマでした。読者からの投稿は、小中学生時代の作文にまつわる思い出が多かったようです。その中に気になる記述がありました。熊本県K氏(72)と埼玉県K氏(75)のお二人の投稿です。熊本県のK氏は、『小2の頃だったと思う。私の作文を学校の文集に載せることになったらしく、もう少し書き加えるように担任から言われた。そうは言っても何も思い浮かばない(略)「何か買ってもらったことはないですか。服を買ってもらったことがあるでしょう」と言われ、記憶にないことを書き加えた(略)初めて活字になった私の文章だが、ちょっぴり苦い味のするデビュー作だった』と書いていました。埼玉県のK氏は、『小4の時の作文「くつのせんたく」(略)指先のけがが痛む...善意の下の不敬

  • 背負いきれないほどの重荷

    「重荷」3月23日『中学教科書にQR増加文科省検定進むデジタル対応』という見出しの記事が掲載されました。『国の「GIGAスクール構想」で、生徒1人1台のデジタル端末の配備が進んだことから、教科書からオンライン上の教材にアクセスできる二次元コードを載せた個所数が増えた』ことが文科省の教科書検定結果から明らかになったことを報じる記事です。記事によると、『デジタルコンテンツは教科書の外に置かれているために検定の対象外だが、教科書各社はその充実を図ることで、各学校が使う教科書として選んでもらいたい考えだ』とのことです。当然の発想でしょう。今後、こうした傾向はさらに進んでいくことが予想されます。私がこの記事を目にして真っ先に頭に浮かんだのは、教委は大変だな、ということでした。小中の教科書は、その設置者である区市町村...背負いきれないほどの重荷

  • 義務教育とその後

    「違う!気がする」3月22日『無料塾スタッフのジレンマ』という見出しの記事が掲載されました。教育ジャーナリストおおたとしまさ氏が感じた『塾に通わないと土俵に上がることすらできない過酷な競争を強いる社会ってどうなの-?』という疑問に向き合う記事です。その中に次のような記述がありました。『5教科で満遍なくいい点数をとらなくてはいけない国公立大学の入試制度を例に挙げ、おおたさんは「人の得意に焦点をあてるのではなく、苦手分野がないゼネラリストを高く評価するマインドセットを構築してしまっている」と指摘する。「それぞれの得意分野を伸ばして、苦手な分野はそれを補ってくれる人とチームになればいい。でも、ゼネラリストを育てる教育システムが社会全体に広がり今はそのルールの中でたまたま勝った人たちが、偉そうにしているように見え...義務教育とその後

  • 教員は敏感でなければならない

    「罪を憎んで人を憎まず」3月22日『試験カンニング生徒自殺提訴へ両親、学校に賠償求め』という見出しの記事が掲載されました。『生徒が試験でのカンニング後に自殺したのは、教師らの不適切な指導が原因だとして、両親が近く、学校側に計約1億円の損害賠償を求める訴えを大阪地裁に起こす』ことを報じる記事です。この生徒はカンニング発覚後、『全科目0点▽自宅謹慎8日▽写経80枚▽反省文の作成』といった処分を受けていますが、両親が問題にしているのは別のことです。両親は、『教師らがカンニングをする人間を「ひきょう者」と表現していたことが生徒を心理的に追い詰めた』と訴えているのです。考えさせられる内容です。まず初めに思ったのは、カンニングをするのは卑怯な行為ではないのか、ということです。どう考えても「卑怯」だというのが私の結論で...教員は敏感でなければならない

  • 私は姓で呼ばれたい

    「押し付け」3月21日読者投稿欄に、福岡県S氏による『ニックネームには効果がある』と題された投稿が掲載されました。その中でS氏は、『大学時代英会話教室に通っていた時、イングリッシュネームをつけ、それで呼び合っていた』『アメリカで短期間生活した。彼らはファーストネームで呼び合っていた』『おのおのをニックネームで呼ぶゲームをしばらくした。だからその仲間はニックネームで呼び合うようになった(略)姓で呼ぶより親近感が一段と深まる』といくつかの例を挙げ、『知り合った人と親しくなるには、ニックネームやファーストネーム呼びは効果がある』と結んでいらっしゃいました。私はこのブログで何回か「あだ名・ニックネーム」のことを取り上げてきました。担任時代に、女児グループでお互いを愛称で呼び合おうという流行があり、ボスから嫌な愛称...私は姓で呼ばれたい

  • 実績をあげた人にこそ

    「学歴過信」3月20日『院卒教員奨学金返還免除不足解消へ文科省方針』という見出しの記事が掲載されました。『教員確保策を議論している中央教育審議会の教員養成部会は19日、教職に就いた大学院修了者について、奨学金の返還を免除するよう求める案をまとめた』ことを報じる記事です。『免除を呼び水に、高い専門知識を持つ大学院生により多く教職に就いてもらうことで、教員不足の解消とともに質の向上につなげる』狙いだそうです。相変わらずだな、というため息が出そうです。記事では、『不登校の生徒が急増したり、授業でデジタル端末の活用が広がったりと、多様化する学校現場の課題に対応できる教員の確保も求められている』とあり、文科省がこうしたことについての「専門知識」を大学院生に期待していることが窺われます。的外れだと思います。奨学金の返...実績をあげた人にこそ

  • 頼りになる有能な教員と思われたい

    「求められているのは」3月20日『認知症を診ずして人を診よ-医師・繁田雅弘-家族の声本人目線に』という見出しの記事が掲載されました。認知症専門医繁田雅弘氏を追った記事です。その中に考えさせられる記述がありました。『かつて家族の口から出るのは症状への対処法を尋ねる質問がほとんどだった(略)最近は、本人に安心して過ごしてもらうためにはどうすれがいいか、といった家族を思いやる内容が多い。繁田医師は自身の対応も変わったという。「昔は家族から『(本人が)興奮したり、歩き回ったりした時にどうすればいいか』と聞かれれば苦し紛れにいろんなことを答えました。でも今は『それに関しては僕は何もしてあげられないな』と言える。具体的な回答を示さないことには勇気もいりますが、今の自分には本当の意味で家族の思いを聞く大切な仕事があるん...頼りになる有能な教員と思われたい

  • 彼は安全

    「十把一絡げ」3月20日『性犯罪歴照会現職も「日本版DBS」閣議決定』という見出しの記事が掲載されました。『政府は19日、子どもと接する仕事に就く人の性犯罪歴を照会できるシステムの導入を柱とした「こども性暴力防止法案」を閣議決定した』ことを報じる記事です。同法案は、『採用時に性犯罪歴を照会し、確認された場合は、子どもに直接関わる業務に就かせないなどの措置を講じなければならない』とするものです。一つ素朴な疑問があります。同法案については、子供を守るという視点と憲法に保障された職業選択の自由との兼ね合いを図るということで協議が難航した経緯があります。そこでこんなケースを考えてみました。小学生の男児に性的な関心をもち、性器を触る等の行為を繰り返していた教員がいるとします。彼は女性には関心がありません。彼を女子高...彼は安全

  • 基準は人の数だけ

    「基本はそこに」3月19日『「下克上」中央学院ユニークな石垣島合宿』という見出しの記事が掲載されました。6年ぶりに甲子園に挑む『中央学院ナインは2月、石垣島に滞在していた。暖かな南国で練習漬けの日々なのかと思いきや、練習量はむしろ抑えていたという(略)「秘密の特訓」を追った』記事です。いくつかある「秘密」の中で、私は『部活内部活』という取り組みに注目させられました。それは『野球部の中に「部活」を作って活動するというユニークな試みで、ボイスパーカッション▽ダンス▽お笑い▽クッキング▽ジム▽植物▽英語▽ラップ-の八つがある』のです。記事には、『ユーチューブを何度も再生して振付をチェックしながら一緒に手足を動か』す5人のダンス部員の様子が紹介されていました。こうした動きが野球の技術向上に役立つわけではありません...基準は人の数だけ

  • ネグレクト?ヤングケアラー?それとも…

    「虐待?」3月19日読者投稿欄に、習志野市の42歳の保育士M氏の投稿が掲載されていました。その中でM氏は、長男が小学校に入学したときの状況について、『次男が幼稚園に入園し長女はまだ乳飲み子。私は授乳やら次男の世話やらで毎日クタクタ、寝不足でフラフラ(略)そこで私は、入学前の長男に朝食作りを教えた。パンの焼き方、ご飯のトッピング、レンジで作る目玉焼き、ヨーグルトやシリアルのアレンジ(略)食べることが大好きな長男は「何を作ろうかなー」と楽しそうに朝食を作るようになった。皿洗いまで完ぺきにこなし、投稿していく彼の姿は神に見えた』と書かれていました。賢い長男さんの生き生きとした表情までが浮かぶようです。親子や兄弟の助け合う関係の良好さも感じられ、お子さんは3人とも思いやりのある良い子に育つに違いないとも思いました...ネグレクト?ヤングケアラー?それとも…

  • お得意様には嫌われたくない

    「どこへもっていく?」3月19日『小中高生過半数足りぬ睡眠』という見出しの記事が掲載されました。『約7700人の小中高生の睡眠の状況を機器で測定した結果、半数以上の子どもが、国が推奨する睡眠時間を満たしていないことが分かった』ことを報じる記事です。さらに、記事によると、睡眠時間だけでなく、『一定数の子どもが、平日と休日で起床時間などがずれる「社会的時差ぼけ」の状態にある』ことも判明したそうです。この社会的時差ぼけは、『日中の強い眠気や集中力の低下、将来の健康リスクにつながる』のだそうです。私がこの記事を読んで気になったのは、こうした個々の情報についてではありません。研究グループは、問題の大きさに警鐘を鳴らし、対策を提唱しているのですが、その対象が書かれていないことでした。つまり、睡眠時間の確保と睡眠リズム...お得意様には嫌われたくない

  • スカッとしたかも

    「緩々」3月15日『世耕氏「還流」関与を否定』という見出しの記事が掲載されました。『参院政治倫理審査会が14日開かれ、安倍派の世耕弘成前党参院幹事長(略)が出席した。世耕氏は(略)パーティー券収入のキックバックについて「関与したこともなければ、報告・相談も受けていない」と述べた』ことを報じる記事です。呆れた茶番劇でした。平然と嘘をつくことができる鉄面皮ぶりには、流石自民党、やっぱり安倍派という思いを強くしました。そうした思いとは別に、記事の中に気になる記述を見つけました。同じく出席していた安倍派所属議員の西田氏の言葉です。『誰が還付金を受け続けることを決めたのかが問題だ。誰がやめないで来ると言ったのか。ここを明らかにすることが国民への説明責任だ』というものです。全くその通りです。私は教委の指導室長時代に、...スカッとしたかも

  • 都に丸投げ先はない

    「教員の場合は」3月15日『空の装いボーダーレス』という見出しの記事が掲載されました。『客室乗務員の身だしなみルールについて全日本空輸と日本航空が男女共通に改定し、男性は化粧や爪のネイルができ、女性はパンツスタイルを選べるようにするなどしている』ことを報じる記事です。記事によると、全日空は『従来は不可としていた男性の化粧について、基礎化粧や化粧下地、リップグロスの使用を認めた。ファンデーションなどは清潔感があれば大丈夫で、ネイルは規定の色ならOKとした』そうで、日航も『男性客室乗務員の化粧やネイルがOKになった』ということです。反対ではありません。でも、そうか世の中はそこまで進んできたのか、という思いを抱いてしまいます。私の場合は、理屈では賛成、でも感覚がついていかないというところでしょうか。ところで、学...都に丸投げ先はない

  • 適正価格

    「価値観の転換」3月14日ミニ論点欄が掲載されました。『13日、大手企業からは大幅な賃上げ回答が相次いだ。今後、賃上げの流れは中小企業に広がり、来年以降も継続するのか。そのための課題は何か』というテーマのものです。識者の一人、日本総研客員研究員山田久氏が語られている内容が印象に残りました。山田氏は、『企業は「良い商品を安く提供」という価値観から「顧客が欲しいものを適正価格で提供」へと転換することが重要になる』とおっしゃっているのです。「良い品を安く」は、戦後70年以上、誰もが疑わない正しいこととして信奉されてきました。企業サイドの人間だけでなく、消費者である私もそれを信じていました。企業が「良い品を安く」という理念で研究努力を積み重ねることで、世の中が豊かになり、良くなっていくと考えていたのです。しかし、...適正価格

  • 一人で、あるいは集団として

    「個人で、もダメ?」3月13日『加藤氏「極めて不適切」』という見出しの記事が掲載されました。『自民党和歌山県連主催の懇親会に露出の多い姿の女性ダンサーが招かれていた問題で、加藤鮎子女性活躍・共生社会担当相は12日の記者会見で「極めて不適切な内容の余興が企画、実施され、国民の不信を招いたことは誠に遺憾」と強く非難した』ことを報じる記事です。いったいどういう感覚をしているのだ、と首を傾げたくなるような醜態です。常識では考えられない愚行です。その点に異論はありません。ただ、へそ曲がりな私は、こうした問題については、なぜ非難されるべきなのか、きちんと明確にしたくなります。そして、どうしても教員の場合、というふうに考えてしまうのです。校長会の懇親会で露出の多い姿の女性ダンサーを招いたとしたらどうでしょうか。校長と政...一人で、あるいは集団として

  • 麗しき誤解

    「理想の師弟関係」3月12日川柳欄に、越谷市K氏の『誤解したままの二人は仲が良い』という句が掲載されていました。面白い句です。人間関係の真実をさりげなく突いているような気がします。どんな人間にも、汚れた部分、卑怯な恥ずかしい面があります。それを知らずに自分にとって都合の良い人物像を勝手に描き、その人物像を愛し親しみをもつことで人間関係が上手くいく、確かにそんなことがありそうです。私は、教員と子供の関係にも、というか教員と子供の関係にこそK氏が提示した真実が当てはまるように思います。卒業させた子供に約30年ぶりに会ったときのことです。彼女は、担任当時の私について、「先生は~」といろいろな思い出を話してくれました。そして、40歳になった自分と比べると、当時の私が年下(35歳)だったということが信じられない、先...麗しき誤解

  • 9年も前に

    「慧眼というわけではないが」3月10日『翻訳家に求められる創意工夫』という見出しの記事が掲載されました。『急速に深化を遂げる人工知能は外国語翻訳の分野にも広がっている(略)AI時代に外国語を学ぶ必要はなくなってしまうのか』という問題意識の下、翻訳家で法政大教授金原瑞人しにインタビューした記事です。その中で金原氏は、『翻訳家の仕事はなくなります』『AI翻訳が普及すれば、「単なる道具」として英語を学ぶのではなく、言語を通じて異文化を知り、相互理解を深めるという一昔前の外国語教育のあり方に戻るような気がします』と述べていらっしゃいます。この記事を読み、私は9年前にこのブログで書いたことを思い出しました。平成27年4月5日の日付のものです。以下に再掲します。「思った通り」4月5日『東京五輪で技術力アピール』という...9年も前に

  • 誰でも自分を守りたい

    「守りの姿勢」3月10日放送タレント松尾貴史氏が、『ウズラの卵控えるより食べ方教えては』という表題でコラムを書かれていました。その中で松尾氏は、福岡県の小1児童が給食のウズラ卵を喉に詰まらせて亡くなった事件を取り上げています。松尾氏は、『この事故を受けて、各地の教育委員会が給食にウズラの卵の使用を当面控える方針を決めた』ことに疑問を呈し、『食材を取り除くのではなく、食べ方を指導すればいいのではないか。問題がある度に食材を使用禁止にしていては、流動食しか出せなくなってしまうだろう』と述べていらっしゃいました。また、似た例として、『公園の遊具でけが人が出たら撤去したり「使用禁止」にしたりする対策が取られるようなことが起こりがちだ』と挙げてもいらっしゃいます。おっしゃることはよく分かります。でも、難しいとも思い...誰でも自分を守りたい

  • 一人前になるまで辞めなければよい

    「無期限に?」3月9日書評欄に、『「サンミュージックなお笑いの夜明けだったよ!付き人から社長になった男の物語」岡博之著(晶文社)』についての書評が掲載されていました。同書は、『芸歴40年超の現役芸人が、芸能事務所「サンミュージック」の社長になるまでの歩みをつづる』ものだそうです。とても考えさせられる一文がありました。『芸人として売れるために必要なことは「売れるまで辞めないこと」。至言だ』です。意味はよく分かります。なるほどと思う面もあります。でもこれは、全ての職に通用することなのか、と考えてしまったのです。もっと端的に言えば、教職にも通用するのか、ということです。つまり、「良い教員になるために必要なことは、良い教員になるまで辞めないこと」という命題は、正しいのかということです。新卒一年目の初日から、既に良...一人前になるまで辞めなければよい

  • 支持者は皆無なのか

    「初めから除外?」3月5日『短時間給食「焦り生む」』という見出しの記事が掲載されました。『みやま市の小学1年生の男子児童(7)が給食を喉に詰まらせて死亡した事件を巡り、SNSで「給食時間」の短さを訴える声があがっている』ことについて報じる記事です。記事では、『「早く食べないと」という焦りは事故を誘発する一因になる』という専門家の声、文科省の手引きに『パンの早食いによる窒息事故が過去に報告されている』という指摘、『給食を食べ終えるのに最低でも20分、できれば25分以上、見るべき』という危機管理の専門家の意見などが紹介されています。では実態はどうかと言うと、『30分が給食の時間です。そのうち最初の10分は配膳、ラスト5分は片付けなので食べる時間は15分程度で、配膳によってはもっと短くなります』という現役中学生...支持者は皆無なのか

  • もう、大嫌いだ!

    「嫌になるぐらい」3月5日『「決め切る力を」磨くジャンプ』という見出しの記事が掲載されました。フィギュアスケート選手友野一希氏へのインタビュー記事です。その中で友野氏が語る言葉が印象に残りました。『練習の密度も量も含めて一日中ずっとスケートを考えることを続けていきたいですね。好きを超えるというか。好きな気持ちで練習できることが一番僕は楽しいんですけど。その楽しい過程の中で、スケートが嫌になるぐらいやることが大切なので』という言葉です。スケートが好き、楽しい、それは友野氏の本音でしょう。楽しみながらハードな練習をこなしている、あるいは常人であればつらいレベルの練習でも友野氏には楽しく感じられるということです。しかし、それでは足りないというのです。根っからのスケート好きの友野氏でさえ、もう滑りたくない、スケー...もう、大嫌いだ!

  • 教員側からも働きかけて

    「欲するものを」3月4日『本屋大賞、児童書が初ノミネート』という見出しの記事が掲載されました。『「人生で初めて読むミステリー」がコンセプトの「放課後ミステリークラブ1金魚の泳ぐプール事件」(ライツ社)が、児童書として初めて本屋対象にノミネートされた』ことを報じる記事です。著者はミステリー作家知念実希人です。同書は、『知念先生の作品はとても人気があり、サイン会では感激して泣いている中高生もいる。さらに低年齢を対象にした作品があれば、本好きな子供が増える』というある書店長の思いが発端となり生まれたそうです。知念氏も『絵本から本へ移り変わる年齢で読まなくなる子が多い。読書の楽しさを知ってほしいという理想の実現を手伝えるのではないかと思った』と語られています。知念氏指摘は、私も感じていました。絵本から本への移行が...教員側からも働きかけて

  • 強くも逞しくもなかった

    「世代断絶」3月4日『夢なくても生きていける』という見出しの特集記事が掲載されました。ジャーナリスト田原総一朗氏による、NPO法人「あなたのいばしょ」理事長大空幸星氏へのインタビュー記事の後編です。前文に、『生き方や教育を巡り、年の差64歳の世代間ギャップも浮き彫りになります』とありましたが、今回興味深かったのはまさにその点でした。89歳の田原氏は、『一生をかけてやるほど好きなことを、子供が見つけられるようにするのが教育ではないか』と話し、25歳の大空氏は、『今の子供たちは「好きなことを見つけなさい」「やりたいことを探しなさい」と言われて悩んでいます』と答えます。さらに田原氏が、『大学生にどんな企業に就職したいかを聞いたある調査では、「安定している」「自分のやりたい仕事ができる」「給料が良い」がトップ3で...強くも逞しくもなかった

  • 〇〇も▽▽も

    「教員は支援者?」3月3日専門編集委員滝野隆浩氏が、『語尾は「ね」で終えよう』という表題でコラムを書かれていました。その中で滝野氏は、めぐみ在宅クリニック院長小澤竹俊氏の講演会の内容を紹介なさっています。『先生は「苦しんでいる人は、自分の苦しみをわかってくれる人がいるとうれしい」と繰り返す。そうした「わかる人」になるためには、相手の話に対し「……なのですか」と疑問形ではなく、「……なのですね」と反復する形で答えようと訴えている』。その後も、『質問したら心は閉ざされる』『聞きたいことを聞くのではない。相手が話したいことを話してもらうのだ』などの記述が並びます。援助的コミュニケーションにおける「三つの約束」として、『語尾は「ね」で終わる』『メモを取らない』『安心感のある態度で聴く』を提示しています。とてもよく...〇〇も▽▽も

  • 質の高い学習歴尊重へ

    「明日は我が身」3月2日堀山明子記者が、『そうる大卒業生への祝辞』という表題でコラムを書かれていました。その中で堀山氏は、ソウル大卒業式でのOB代表の祝辞を紹介しています。『生成AI時代には「高学歴の敗者や脱落者が大量に出る」と指摘し、韓国社会にも「失敗を支える文化」が必要だと訴えた』というのです。韓国は失敗が許されない社会だという前提があります。堀山氏は、『祝辞を聞いて、負ける覚悟をした卒業生はいないだろう。もしその時が来たら、祝辞を読み返して、と願うばかりだ』という言葉でコラムを結んでいます。読み返して、それでどうすればよいというのでしょうか。よく分かりません。OB代表は、社会の変革を訴えているのであって、卒業生の意識改革を訴えているのではないからです。ソウル大は、日本でいえば東大や京大といった格の大...質の高い学習歴尊重へ

  • 民営化の是非

    「そんなことを言う人がいた」3月2日『少子化資本主義の失敗』という見出しの記事が掲載されました。「人新世の資本論」で知られる東京大准教授斎藤幸平氏へのインタビュー記事です。その中で斎藤氏は、『市場で管理できるものと管理に適さないものがあります。教育や医療、道路といった社会的インフラは市場の管理に適しません。世界的にもこの半世紀、さまざまな規制緩和や民営化の改革が行われてきました。しかしその負の影響があまりに大きいので(略)「再公営化」する動きが英国やフランス、スペインなどで出ています』と述べられています。思い出しました。このブログを書き始めたころ、学校民営化論、学校公設民営化論、塾を学校に、などの主張がなされ、私はこのブログで再三再四反論していたことを。もちろん私には、斎藤氏のような広い視野も歴史や経済の...民営化の是非

  • 他人任せ、無関心をなくす

    「学校でも有効」2月28日論点欄に、『「くじ引き」市民の熟議で』と題された、同志社大教授吉田徹氏へのインタビューが掲載されていました。論点全体のテーマは裏金問題等で深まる政治への不信、無関心にどのように対応すべきかですが、吉田氏の提言は学校においても使えそうだと感じました。吉田氏は、『私は、古代アテネなどで行われていた「くじ引き民主主義」を提案している』と書き、『無作為抽出された市民が熟議と討議を通じて合意形成を図る』ものと解説なさっています。そのメリットとしては、『(選挙で選ばれる)代表制では、政治家と国民のギャップが不可避的に生まれ、政治不信の元になるが、母集団に近い構成で議員を選べばギャップはなくなる』を挙げていらっしゃいます。私が、学校にも使えると考えたのもこの点にあります。学級でも、学年でも、学...他人任せ、無関心をなくす

  • 精緻な議論

    「誤解を生じさせる?」2月27日『多言語習得「音」から東大チーム働く脳領域特定』という見出しの記事が掲載されました。『複数の言語を習得する際に共通して活発に働く脳の領域を特定したと、東京大などのチームが英科学雑誌「サイエンティフィック・リポーツ」に発表した』ことを報じる記事です。記事によると、『これまで学んできた言語のリスニング能力が高い人ほど、新しい言語の音声を聞いている際にこの領域が活発化し、文法の理解が早かった。チームは「言語を学ぶ上では、まず音から入るのが基本だと裏付けられた」と指摘する』ということだそうです。よく分からない点があります。リスニング能力を対象にした研究だということは分かります。しかし、言語の習得はリスニングで、「音」で行われるとは限りません。江戸時代、杉田玄白や前野良沢らの尽力によ...精緻な議論

  • 教職遂行の土台

    「貴重な指摘」2月26日『「不登校でも学べる環境を」』という見出しの特集記事が掲載されました。ジャーナリスト田原総一朗氏による、NPO法人「あなたのいばしょ」理事長大空幸星氏へのインタビュー記事です。大空氏が語る言葉の中に印象に残るものがありました。ご自身の高校時代の経験談です。『夜中の3時ごろ、家の状況(ヤングケアラー、バイト3つ掛け持ち)とともに「死にたい」「学校をやめるかもしれない」といった長文のメールを先生に送ったら、、翌朝、自宅に駆けつけてくれました(略)先生と出会ったことで「この人に頼ればなんとかなる」って安心感を得ることができたんです』。この経験を基に、大空氏は、『今の学校現場はそういう状況ではなくなってきました(略)教員によるわいせつ行為を予防するため、児童生徒とSNSでの私的なやりとりを...教職遂行の土台

  • 知るからこそ支援できる

    「事前に同意を得れば」2月26日『「検閲のようだ」児童生徒の検索履歴閲覧学習端末世田谷区教委、議会で撤回』という見出しの記事が掲載されました。『世田谷区教育委員会が昨年、児童生徒の学習用デジタル端末の検索履歴を学校側が閲覧できる機能の活用を検討し、区議会で「検閲のようだ」との指摘を受け撤回していた』ことを報じる記事です。この見出しを見て、真っ先に私の頭に浮かんだのが、今から30年ほど前の社会科の実践でした。都教委の研究生として行ったもので、子供一人一人にA4の用紙を渡し、教室内の40種類以上の資料を置いた上で、紙の中心にそれぞれの学習問題を書かせ、そこから調べた資料名、分かったこと、新たに生じた疑問などを書かせて線で結ばせて蜘蛛の巣のような「思考の関連図」を作成させ、自分の問題解決の過程を振り返りながら学...知るからこそ支援できる

  • 知って、想像して、対策する

    「手遅れ」2月25日読者投稿欄に、和歌山県公務員F氏の『ゴミ分別見学で反省』と題された投稿が掲載されていました。その中でF氏は、『小学生の頃、社会科見学で資源ゴミのリサイクル工場に行った』ときのことを書かれています。『鼻が曲がりそうな異臭がした。つい顔をゆがめてしまう。スタッフは無心に作業にあたっていたが「くさい」と窓から顔を出す同級生もいた。学校に戻ると、先生が悲しげに話した。「あの臭いはみんなが出したゴミの臭いだよ。みんなのために頑張っている人に「くさい」というのはどうかな」。全員の顔がこわ張った』。F氏はこのときのことを今でもふと思い出すそうです。F氏にとってどのような意味をもつ記憶なのかは分かりませんが、私には担任教員の未熟さを表すエピソードとしか思えません。それは、子供理解、教材理解が共に不足し...知って、想像して、対策する

  • 文化刷新力の育成

    「文化」2月22日『侵攻2年識者に問う世界の行方文化が敵意和らげる』という見出しの記事が掲載されました。ウクライナの国民的作家アンドレイ・クルコフ氏へのインタビュー記事です。その中にとても印象に残った言葉がありました。『ロシアの暴力はこの国に深い憎しみを植え付けた。どの村にもロシアの暴力による犠牲者の墓が多数ある。子供たちは、自国の東側には「手が血まみれの敵」がおり、西側には友人やパートナーがいると学びながら成長する。憎しみや警戒が世代から世代へと継承されるのか、それとも、沈静化して新たな関係が築かれるのかは分からない(略)文化は隣人同士がお互いを恐れなくなるようにする道具だ。文化的な影響力は敵意を和らげる(略)ウクライナは独立した主権国家であり、独自の文化を持つ。そのようにロシアが認識を改めれば、40年...文化刷新力の育成

  • 考え続けること

    「分からないことの意味」2月21日『鷲田清一さんと「哲学カフェ」』という見出しの特集記事が掲載されました。小国綾子氏が元大阪大学長で哲学者鷲田清一氏と語り合った記事です。その中で鷲田氏は、『本を読んでも、議論しても簡単に答えの出ないことばかり。人はわからないままでいることに耐えられず、分かりやすい物語に飛びつき、わかりやすい論理に立てこもろうとする』と指摘し、『「わからなさ」に向き合うには、「わからないけどこれだけは大事。これは逸してはいけない」と判断し、わからないままでも正確に対処できることが大切』と語っていらっしゃいました。大切な指摘だと思いました。そして最近読んだ記事のことを連想しました。子供が自死し、保護者が学校でのいじめが原因だと訴え調査を求め、教委が調査し、その結果を公表したという記事です。教...考え続けること

  • 子供の疑問に答えている?

    「小学生の感覚」2月21日『「君」から「議員」へ品川区議会小学生の意見で呼称「改定」』という見出しの記事が掲載されました。『品川区議会は20日開会した定例会から、議場での議員の呼称を「君」から「議員」に改めた。きっかけは議会を傍聴に訪れた小学生の意見だった』ことを報じる記事です。記事によると、傍聴後のアンケートで『「議長が議員を「君」と呼ぶのが不思議だった」「気になった」との意見が寄せられた』とのことです。そして、『男女共同参画やジェンダー平等の社会的状況も踏まえ』議員という呼称を使用することになったという経緯のようです。議員の呼称は難しい問題です。私が最初に教委の指導主事として勤務した区では、議員は「先生」でした。議会答弁では、「ただいまの○○先生のご指摘でございますが~」というように話していました。ま...子供の疑問に答えている?

  • 教員のキャリア

    「キャリア、とは」2月21日『学校でのキャリアを始めてみませんか』という見出しの記事が掲載されました。『学校に関わる人を増やし、人材確保の裾野を広げようとと教育委員会は3月、教員免許を持ちながら教職に就いていない「ペーパーティチャー」らを対象にしたオンライン説明会を開く』ことを報じる記事です。説明会は、『学校でのキャリアのはじめかた』だそうです。内容については、ここでは触れません。正直、目新しいものはありません。ただ、私がこの記事に注目したのは、「学校でのキャリア」という言葉に関心があったからです。弁護士事務所でキャリアを積むと言えば、弁護士業務を知らない人にもイメージは湧きます。民事に刑事、企業法務などさまざまな案件について、初めは先輩弁護士と組んで補助的な業務をこなしながら経験し、次第に自分の得意分野...教員のキャリア

  • 5年生になったら、比べるのは止めよう?

    「10歳から」2月20日専門記者大治朋子氏が、『若い脳とSNS』という表題でコラムを書かれていました。その中で大治氏は、NY市が『SNSが特に若者の健康を損なう』として、『SNSを運営する企業に対策と損害賠償を求めて訴訟を起こした』ことを取り上げています。コラムの中に気になる記述がありました。『10歳頃から、仲間の承認などを求める社会性が強まる。ちょうどスマホを持つ時期でもある。その後、12歳ぐらいに掛けて脳内では幸福感ややる気をもたらす神経伝達物質、オキシトシンやドーパミンの受容体が急速に増え、仲間からの注目や称賛により敏感になっていく。嫉妬や自己嫌悪との戦いが本格化する。感情や衝動を制御する脳の前頭前野の成熟は20代後半ごろまでかかるとされる。つまりそれまでの若い脳は、特に他者の評価が気になるし、感情...5年生になったら、比べるのは止めよう?

  • 私も加害者?

    「大丈夫?」2月20日『理科実験の石綿労災認定中皮腫死の元小学教諭』という見出しの記事が掲載されました。『理科の実験の準備が原因でアスベスト関連の中皮種を発症したとみられるとして、69歳で死亡した元小学校教諭の男性が、公務員の労災にあたる公務災害と認定された』ことを報じる記事です。記事によると、『和歌山市立小学校の教諭だった山東日出男さんは1977年から2013年にかけて、主に高学年の授業を担当(略)理科の授業の準備で、アルコールランプの石綿製の芯の上部をさばいて燃えやすいようにした。飛散して落ちた粉じんの掃除もした。当時は石綿の発がん性を知らず全く無防備だった(略)ビーカーを置く金網も、石綿で耐火被覆されたものを使っていた』ということです。山東氏と同世代の私もまったく同じ状況下にいました。高学年の担任を...私も加害者?

  • 悪知恵

    「悪知恵」2月19日『対米従属保守でなく「保身」』という見出しの特集記事が掲載されました。『政治批判を重ねてきた作家、島田雅彦さん(62)』へのインタビュー記事です。島田氏の指摘はやや偏っているという気もしましたが、大筋は賛成できるものでした。ただ、私が着目したのは本筋とはあまり関係のないある記述でした。『スキャンダルの火消しには、問題が沈静化するのを待つ▽論点をずらす▽自分を被害者に見せる-といった「既定戦術」がある』という記述です。よく分かります。私自身、教委の幹部としてメディアに吊し上げられたり、保護者や市民に責任を追及されたりといった経験をしてきています。上述のような悪辣な手段は使ったことはありませんが、沈静化を待つ、という対応の仕方が有効であるのは、骨身にしみてわかります。食事を摂るまもないほど...悪知恵

  • 唇にピアス、鼻にピアス、瞼にピアス

    「ピアスもネイルも赤髪も」2月19日『爪のケアで心も明るく』という見出しの記事が掲載されました。『手入れが後回しになりがちな爪。年齢を重ねると割れやすくなったり、薄くなったりするが、ケアの仕方によっては気持ちまでプラスになる。高齢者施設などを訪問する「福祉ネイル」にも取り組む爪のプロに、ポイントを聞いた』記事です。実は私の教え子が、訪問介護の会社を経営しており、そこでもネイル等の取り組みをしているのです。そんなこともあり、記事を読み進めましたが、そのうちある考えが浮かんできました。記事では、『高齢の方にもネイルは楽しみや喜びになる』『実際にネイルをした爪を見て嬉しくて涙する人がいて、施設のスタッフも利用者の会話や笑顔が増えたと喜んでくれる』とありました。教え子からも同じような話を聴いたことがあることも思い...唇にピアス、鼻にピアス、瞼にピアス

  • その声はだれの声

    「奪う行為」2月17日書評欄に、詩人渡邊十絲子氏の『「黙々聞かれなかった声とともに歩く哲学」(コビョングォン著、影本剛訳明石書店)』についての書評が掲載されました。その中で渡邊氏は、『自分のために声を上げることができない人たちが、この世にはいる。さまざまな理由で周縁に追いやられた人々である。その一方で、かれらの「声なき声」を代弁しようとする人たちもいる。しかしそれはたいへん危険なことだと著者はいう。声なき者たちの沈黙は、かれらが黙ったのではなく、われわれが声帯を奪ったのだということ。かれらを代弁するために声を発したつもりでも、それは自分たちの声をかれらの声に重ね書きしてしまうことであり、かれらを<二重の沈黙に閉じ込める>ことになる』と書かれています。私は以前このブログで、授業中に指名された子供が上手く話せ...その声はだれの声

  • ふつふつと湧き上がる

    「教師とは」2月17日書評欄に、芸人ヒコロヒー氏による『「ツユクサナツコの一生」益田ミリ著(新潮社)』に対する書評が掲載されていました。同書は、『ドーナツ屋の店員として働きながら、夜になると父と住む家で「おはぎ屋で働く春子」を主人公とした漫画を描く暮らしをしている名もなき漫画家』ツユクサナツコを主人公にした小説です。ヒコロヒー氏は、『ナツコは自身が胸を張って漫画家だと言えるほどのマンガかではないことが見てとれるわけだが、彼女は毎晩必ず漫画を描く。連載を持ち締め切りがあるわけでもないのに、漫画を描く。傍から見ればナツコはドーナツ屋の店員だが、立派な漫画家である。なぜならその創作欲が彼女を支え、作品を描き、残しているからだ』と書かれています。考えさせられました。漫画家という言葉を教師という言葉に置き換えて考え...ふつふつと湧き上がる

  • 上手く説明できないけれど

    「勘はダメ?」2月15日専門記者田原和宏氏が、『モヤモヤ残る記者会見』という表題でコラムを書かれていました。その中で田原氏は女子卓球パリ五輪団体戦の最後の一人に張本美和選手を選んだことについて開かれた記者会見について言及なさっています。田原氏は冒頭に、『違和感の残る記者会見だった』と記し、『張本選手か、経験、実績ともに十分な伊藤選手か。どちらを選んでも賛否は分かれる。選ぶ側は詳細な説明をするとばかり思っていた。ところが、選考理由として挙げられたのは「戦いぶり」「伸びしろ」といった抽象的な文言ばかり』とその理由を述べていらっしゃいました。そして、『選ぶ側は客観的なデータも交えて判断の根拠を示すべきではなかったか。透明性に欠ける選考は時代にそぐわない』と結んでいらっしゃるのです。私は、中高と卓球部に属し、今で...上手く説明できないけれど

  • 塾代の心配無用

    「発想の転換」2月14日能登半島地震への対応について、3人の識者がそれぞれの専門の立場から論じる特集記事が掲載されました。その中で、「カタリバ」代表理事今村久美氏が書かれていることに、目から鱗が落ちる気分にさせられました。今村氏は、『子ども支援は間接的に大人への支援にもなる。子どもが安心して過ごせる場所がないと、大人は自宅の復旧や生活の立て直しについて考える余裕もできない』と述べていらっしゃるのです。言われてみれば、ごく普通のこと、当たり前のことですが、私はこうした視点で学校教育を考えたことがありませんでした。常に子供にとっての幸せの実現、子供第一主義的な発想で、保護者に接してきたのです。そうすると必然的に、お子さんのためにこういう点を改めてください、こういうことに気を配ってください、というような態度に陥...塾代の心配無用

  • 学校が担う?

    「学校での取り組み」2月14日『小澤征爾さん逝く国越えて音楽に愛された』というタイトルが付けられた社説が掲載されました。私は音楽については知識も感性もなく、小澤氏のことも名前と顔と名声を知るだけで、何も語るべき材料をもってはいません。ですから、今回気になったのも小澤氏個人とは全く関係のないある記述でした。『たぐいまれな日本人指揮者が加わったことで、クラシック音楽の世界自体も広がった。それを可能にしたのは、恵まれた音楽性、努力ゆえだけではあるまい。時に「やんちゃ」と評される人間性が愛されたことも大きかったに違いない』という記述です。「人間性」とは何なのか、という疑問を抱いたのです。音楽性は分かります。音楽における才能でしょう。努力もそのままに意味で理解できます。才能に恵まれた者がさらに常人には不可能な努力を...学校が担う?

  • それでも教員出身者は…

    「そういえば」2月12日『教員団体、市教委に金品名古屋校長推薦名簿添え毎年200万円』という見出しの記事が掲載されました。『名古屋市教育委員会は11日、市立小中学校の40超の教員団体から2023年度、校長などに推薦する教員の名簿と合わせ、計200万円程度の金品を受け取っていたと発表した』ことを報じる記事です。記事によると、『20年以上前から受け取っていた』ということで、市教委は『「(金品が人事に反映したと)疑念を招く行為で極めて不適切だ」と陳謝。調査で実態解明を進める』方針のようです。とんでもない不祥事です。20年間続いてきたことも、関係者の規範意識の弱さを物語っています。私が特に気になっているのは、『(教職員)課の課長は教員出身者が歴代務め、市教委は「教員出身の役職者以外は授受を知らなかったと考えている...それでも教員出身者は…

  • 日本が誇る「教育」とは

    「ディベートの宝庫」2月10日『今の世界の常識を疑え』という見出しの特集記事が掲載されました。総合地球環境学研究所長山極寿一氏の寄稿を掲載したものです。その中で山極氏は、多くの提言をなさっているのですが、正直なところ私には違和感を覚える指摘が少なくありませんでした。しかし、私は視野が狭く、かなり偏った考え方の人間です。ですから、批判する勇気もありません、そこで、山極氏の指摘や提言について、ディベートの題材にしてはどうかと思ったのです。多数派と私のようなひねくれ者、どこの教室にもいるはずです。教員がうな苦運営すれば、面白いディベートになると思うのですが。まず、『マーケットに並んでいる商品はどれも規格がそろえられていて、同じ規格のものは同じ値段がついている。それを私たちは疑うことなく購入するが、それは正しい行...日本が誇る「教育」とは

  • 凪になって消えた?

    「どうなった」2月10日書評欄に、研究者成田悠輔氏による『「遺書」松本人志著(朝日新聞出版)』についてのコラムが掲載されていました。30年前の本が取り上げられたのは、松本氏と文春との裁判を受けてのことでしょう。その中で成田氏は、松本氏を『芸で戦うプレーヤーから、芸という情報を製作し流通させるルールを握るプラットフォーマーへ』変化した存在と述べています。そして、『どんな新風もやがてかつての輝きと鋭さを失い、去り際を逃がした既得権益として腐臭を放つ』と書かれているのです。私は、松本氏については何も分かりません。ただこの「どんな新風も~」と言い指摘には考えさせられました。学校教育界における数々の「新風」はどうなっているのか、ということです。30年近く前、民間企業の管理職を公立学校の校長に迎える、という試みが全国...凪になって消えた?

  • 教員人事評価AI

    「評価の難しさ」2月10日余禄欄は、『経営学の大家、ドラッカーは「正しい人事のために4時間をかけなければ、あとで400時間とられる」と記している。トップが人事に慎重を期さないと、組織に深刻な損害を与えることへの戒めだ』という言葉で始まっていました。盛山文科相の適格性を巡る内容ですが、私にはこの冒頭の言葉が一番印象に残りました。私も指導室長時代に、この金言を嚙み締めることになったからです。ある教員が、性的な不祥事で警察に逮捕されました。それからの1カ月は、マスコミへの対応、市長や議会への説明、数度にわたる緊急保護者会への参加と準備、校長会等での説明、警察への聞き取りや要望、都教委への説明と連携・要望、学校体制の整備、教員の処分と本人への説得などに追いまくられました。それこそ、400時間にはならないもののおそ...教員人事評価AI

  • だから面白い

    「基本中の基本」2月8日デジタル報道グループ大沢瑞季記者が、『詰め込まない中学受験』という表題でコラムを書かれていました。『“詰め込まない中学受験”を掲げる塾』知窓学舎塾長矢萩邦彦氏に取材した記事です。その中で矢萩氏は、授業について次のように語っています。『大切にしているのは、「正解のない問い」を子どもたちと共有すること。大人が答えをもっている問いでは「試されている気がして嫌だ」「間違ったら嫌だから発言できない」という子どもたちは多い』と。そしてその例として、『頼朝亡き後、なぜ北条政子が御家人たちの気持ちをつかめたのか』という問いを紹介しています。なんだか不思議な気持ちになりました。私の授業論と全く同じだったからです。私はそれを、オープンクエスチョンとクローズドクエスチョンという用語で説明してきました。後...だから面白い

  • 書く、書く、書く

    「書く」2月7日連載企画『遮音社会』は、ジャーナリスト堀潤氏へのインタビューでした。その中で堀氏は、『早く簡単に、結論を聞きたがっている人が多い』と述べています。昨日の辻氏と重なる指摘です。しかしまたそのテーマを取り上げても、同じことに繰り返しになってしまいそうなので、別の発言に注目してみました。『SNSの普及で、自分の意見や知識がきちんと言語化できていないまま、他者の言論に触れる機会が圧倒的に増えています』『自分が思っていることをちゃんと言葉にして、他者に伝わったときに、初めてお互いの違いが分かり、多様性への理解が生まれます』『今は、「一緒だな」という人の声を聞きすぎだと思います』などの言葉です。理解を深め定着させる勉強法として挙げられるものに、学習内容を自分なりに再構成して自分著の教科書を作る、という...書く、書く、書く

  • 今になって

    「30年前のレジュメ」2月6日連載企画『遮音社会』は、文化人類学者辻信一氏へのインタビューでした。辻氏は、『長年にわたりスローライフ運動を展開してきた』方です。インタビューの中で辻氏は、『今こそ「分からない」に時間をかけてつき合う力が必要』という主張をなさっていました。具体的には、『答えの出ない事態に耐える能力』『異質なものや役に立たないこととつき合う能力』『「待つ」「聴く」などの「受け身の力」』という言い方をなさっています。私なりに解釈すれば、分からないことがあるとすぐにネットで検索し、そこに書かれていることを唯一無二の正解だと考えて結論を出してしまう、という行動の対極にある生き方だということです。分からないことに直面したとき、しばらくああだこうだと考え悩んでみる、正解らしきものがもたらされたとき、その...今になって

  • それも個性

    「個性?」2月4日『吃音が問うもの1/100人の障害嘲笑心折れ不登校』という見出しの特集記事が掲載されました。『人と話すことは嫌いじゃないんですけど、笑われるのは怖いんです』と語る通信高校1年、川田亮一(仮名)氏を取り上げた記事です。川田氏の苦しんだ経緯にも心をうたれましたが、私が注目したのは、全国言友会連絡協議会の中村泰介氏の言葉でした。『悩みの渦中にある子供にとって大人のアドバイスは響かないことが多い』『「吃音は個性だから気にしないで」と子供を励まそうとするケースは少なくないが、「これは大人になり、吃音の悩みを克服できてこそ言えるワードです」』という発言です。とても納得できる内容だと感じました。私は一般的に「不利」とされる状態にある人に対し、それも個性という趣旨の言葉をかけることに違和感を抱いていまし...それも個性

  • 自分が可愛いのは人の性だが、声をあげる勇気をもて

    「どこかで泣いている人が…」2月4日『性暴力何十年も消えぬ傷』という見出しの特集記事が掲載されました。30年の歳月を経て、小学校の担任教員から受けた性暴力の記憶に苦しめられてきた平野利枝氏を取り上げた記事です。『卒業して会うことがなくなっても、私は元担任に「支配」され続けてきました』。今40代の平野氏の言葉です。『高校2年の春、授業中に突然、喉が絞まったような感覚に襲われた。呼吸ができずパニックになり、教室を飛び出した(略)息苦しく、体のあちこちが刺されたように痛かった。県内外の病院を転々とした。自律神経失調症、神経症、起立性調節障害-さまざまな病名で、山ほど薬を処方されたが、症状は一向に改善しなかった(略)高校は不登校になり、大学は1週間も通えないまま中退した』という苦しみを味わってきた末の言葉なのです...自分が可愛いのは人の性だが、声をあげる勇気をもて

  • むしのいい話

    「ないものねだり」2月3日読者投稿欄に、福岡県M氏による『質の高いライドシェアを』と題された投稿が掲載されました。その中でM氏は、フィリピンでのライドシェア体験を、『一般の自家用車がやってくるので運転手の対応や運転技量はさまざまだった。乗ったタクシーが自転車と衝突した時は運転手の事故対応に不安を覚えたことも』と書き、その上で『外国へ行くと日本のタクシーのサービスの質の高さを改めて感じる。その質の高さを維持し、外国人観光客も安心して利用できる日本版ライドシェアの制度、運用を期待したい』と結んでいるのです。私はこのような「虫のいい」話を目にすると、つい舌打ちしてしまいます。M氏に悪気はないことは分かるのですが、ある仕組みが質の高いレベルで機能するためには、一定の予算措置と携わる人間の資質向上・維持が不可欠なの...むしのいい話

  • 全小学校序列化

    「中学受験が一般化?」2月3日『急速に進む中高一貫校と大学連携』という見出しの記事が掲載されました。『上智大、東京女子大、芝浦工業大、順天堂大-。これらは、2023年に私立中高一貫校との連携協定を結んだ大学だ(略)中学受験の学校選びにも少なからず影響を与えそうな高大連携。なぜ今、急速に進んでいるのか』という問題意識で書かれた記事です。それぞれの大学の担当者は、『顔の見える関係にある生徒が入学してくれることを望んでいます』『入学後のミスマッチを防ぎたい』『理系分野あ女子学生が少ないという状況を是正していきたい』などと理由を述べています。それらが嘘だと言うつもりはありませんが、少子化時代を迎え、大学側には一定のレベルの学生の確保、高校側には大学進学における有利さをポイントに生徒を集めるという思惑があることは間...全小学校序列化

  • 何が違う?

    「誰も異存はない」2月2日川柳欄に、久喜市M氏による『よくないとみんなが言っているイジメ』という句が掲載されました。分かりやすい句です。イジメについては、大人も子供も、教員も保護者も、小学生も中学生も、誰に聞いても「悪いことだ」「いけないことだ」「許されないことだ」と言う、そういう意味です。でも考えさせられる句でもあります。いじめはなくなりません。おそらく全国の学校で年間100万件は発生しているはずです。誰もがいけないことだと言い、いじめてはいけないと考えているのに、100万件も発生しているのです。いじめは、一人の被害者につき1件と数えます。そして、1件のいじめには数人の加害者がいるのが一般的です。つまり、のべにして4~500万人の加害者、いじめをする人がいる計算になります。みんながいけないことだと言うに...何が違う?

  • 我慢は美徳なんてクソくらえ

    「がっかり」1月31日『外相、どの声も「ありがたい」』という見出しの記事が掲載されました。麻生太郎自民党副総裁が上川外相の容姿を『そんなに美しい方とは言わない』と言ったことについて上川氏が、『さまざまなご意見や声があることは承知しているが、どのような声もありがたく受け止めている』と述べたことを報じる記事です。本当にがっかりしました。国際社会に向かって我が国を代表する立場にある外相が、ルッキズムや女性差別に満ちた発言を容認するような態度をとることが、我が国のイメージを損なうということが分からないのでしょうか。最悪の対応です。自民党という枠内での発想としては理解できます。今も党内に影響力をもつ麻生氏との間で波風を起こしたくない、そんなことをすればせっかくの女性初の総理大臣という好機を逃してしまうという思惑でし...我慢は美徳なんてクソくらえ

  • 鏡に映る自分の姿

    「縮図」1月30日読者投稿欄に、長崎県S氏による『技能実習生もマナー守って』と題された投稿が掲載されていました。S氏は、『外国人農業技能実習生の姿を多く見かけるようになった。農場でもくもくと仕事をしている姿に頭が下がる。休日に仲間同士楽しく買い物をする光景に心が和む。農家の方の「実習生はみんな働き者で優しい」の言葉にうなずく』という記述で投稿を始めています。しかし、実習生を評価しているこうした記述に続き、『スーパーの玄関口で地べたに座って飲食していた。寝転がっている人もいた。無施錠のままトイレを使用しているところに2度出くわした。携帯を操作しながら自転車を運転』などと負の実態を列挙し、『雇い主や監理団体の、ご指導をお願いしたい』で結んでいるのです。読んでなんだかモヤモヤしました。どうしてなんだろうと考える...鏡に映る自分の姿

  • ゼロカウントでも大変

    「こんなに働いていますよ」1月30日『虐待件数過大報告か児相の相談対応20自治体で』という見出しの記事が掲載されました。『こども家庭庁が児相を設置する全国の78自治体に確認したところ、20自治体が国の調査要領に沿わない不適切な報告をしていた可能性がある』ことを報じる記事です。なお、記事によると、『実際の件数より多い数を報告したケースが大半とみられる』とのことです。面白いと思いました。学校のいじめや不登校、問題行動の調査では、どちらかというと実際よりも少ない数を報告し、それを隠蔽と非難されることの方が多いという印象がありますが、児相は多く報告しているというのです。もちろん、学校や教委と児相とでは背景が異なります。児相は外部から案件が持ち込まれるのに対し、学校や教委は自分たちの内部で案件が発生しているという違...ゼロカウントでも大変

  • 美談と感じてはならない

    「隔世の感」1月29日読者投稿欄に苫前市Y氏(63)による『先生に感謝』というタイトルの投稿が掲載されました。高校時代の恩師とのエピソードが書かれているのですが、その内容が「すごい」のです。『どうしようもない生徒』だったY氏は、『A先生のやむにやまれぬ教育的指導に対する恨みつらみを、あろうことか卒業時にクラス全員で先生に贈った寄せ書きに記していた』というのです。書かれた内容は『あの右ストレートを忘れない』です。A教員はY氏に右ストレートを叩き込んだのです。これを「教育的指導」と呼ぶY氏の感覚、今では信じられません。教え子に右ストレートを叩き込む行為、今なら間違いなく停職以上の処分を受けるはずです。思わず手が出た、というのではなく右ストレートなのですから、痛めつけてやろうという意思は明確です。ちなみに、思わ...美談と感じてはならない

  • 子供が羨ましい

    「羨むべき」1月28日連載企画『僧侶・陽人のユーチューバー巡礼』は、『「現代の道具を使わず、自然にあるものだけでゼロから文明を築く」をコンセプトに活動している2人組ユーチューバーがいる。縄さん(32)と文さん(31)を名乗る「週末縄文人」』との対話でした。その中にショックを受けた記述がありました。『火も最初はまったくつかず、土器もたくさん割れて。でも、困った時に助けてもらっている井戸尻考古館(長野県富士見町)の小松孝志館長から「うらやましい」と言われたんです。「僕はもう答えを知っているから、失敗できない。でも失敗の中にこそ気づきがあるし、成功の喜びもある。失敗できることが宝だ」』という文氏の言葉です。私は今までこのブログの中で、様々な「良い教員」の条件について語ってきました。その中で繰り返してきたのが、「...子供が羨ましい

  • 通説の矛盾

    「通説の矛盾」1月26日人生相談欄に、40歳女性の『夫が息子に否定的声がけ』という内容の相談をしていました。具体的な例として、『「学校の勉強ぐらいできて当たり前」「子供が勉強できなければ親は大迷惑」』などがあげられていました。また、相談者は『義母も似た話し方をするので夫も同様に言われて育ったのかもしれません』とも書いています。これに対し回答者は、『以前、友人から「人は、自分が知っていることしかできない」と聞いた時には背筋が凍る思いでした。他者から誤った対応をされてきたら、よっぽど意識をしないと、自分も誰かに同じことをしてしまうということです』と述べた上で、解決策を提示していました。私が関心をもったのは、解決策ではなく、上記の記述でした。よく聞く話です。なるほどそんなものかもしれないな、とも思ってしまいます...通説の矛盾

  • また教員に新たな仕事

    「学校への影響は」1月25日『二重負担「家計不安」49%』という見出しの記事が掲載されました。『子育てと介護を同時に迫られる「ダブルケア」。その重い負担に直面した男女1000人を対象にしたソニー生命の実態調査』の結果について報じる記事です。記事によると、『現役の子育て世代約1万7000人にインターネットを通じ事前調査を実施。この調査に対し、全体の11%にあたる1773人がダブルケアに直面していると回答』なのだそうです。つまり、30人学級では、3人の子供の保護者がダブルケアに直面し悩み苦しんでいるということです。この問題に詳しい横浜国立大教授相馬直子氏は、『ダブルケアは100人いれば100通りの負担や悩みがある』『国や自治体は適切な政策を整備していく大きな責任がある』と述べていらっしゃいます。その通りでしょ...また教員に新たな仕事

  • 知らないものは教えられぬ

    「一つ抜けていた」1月24日論点欄は、『凶暴化する「世間」変えるには』というテーマの下行われた、作家・演出家鴻上尚史氏へのインタビューでした。その中で鴻上氏は、『教室の同調圧力が高い』『学校で掲げる標語も「みんな仲良くしよう」でしょう?でも無理に「仲良く」しなくていい』『学校が教えるべきは、「仲良くしろ」ではなく、仲良くしない相手とも「協働」すること』などとおっしゃっています。このブログを読んでいただいている方はお分かりだと思いますが、これらは私が繰り返し、数十回以上繰り返して述べてきたことです。我が意を得たりという思いで嬉しくなりました。ただ、一つだけ、私が言及したことがない指摘がありました。それは、『日本の学校では同調圧力へのあらがい方も個人として声を上げる方法も教えません』という指摘です。その通りで...知らないものは教えられぬ

  • サイボーグ?アンドロイド?

    「無限の可能性?」1月22日専修大教授武田徹氏が、『電子技術が生身の身体に』という表題でコラムを書かれていました。その中で武田氏は、『従来の音楽は演奏家の身体の制約を受けてきた。たとえば歌手が歌える音域や節回しの速さには限界があり、作編曲もその範囲内でなされていた。ボカロ音楽の新しさは、電子音声合成技術の化身である初音ミクが、こうした身体的な限界を超えて歌う点にあった。ところが、そんなボカロ曲を歌ってしまう生身の歌手が現れる(略)人間の表現力を突然変異的に高めたボカロは、技術と人間の共生を考えるモデルにもなろう』と書かれています。つまり、人間には歌えないと思われていた音域や節回しの速さの曲が、ボカロ曲として作られると、それに挑戦する歌い手が相次ぎ、自分の歌として歌えるようになるケースが珍しくなくなった、と...サイボーグ?アンドロイド?

  • きっといいことがある

    「人が動くとき」1月21日日本芸術文化振興会理事長長谷川眞理子氏が、『三日坊主にしない「新年の誓い」』という表題でコラムを書かれていました。その中で長谷川氏は、『誓ったのにできないということは、要するに、「○○をしよう」という誓いに本当の必要が伴っていないからなのだ』と喝破し、具体的に『なぜそうせねばならないのか、切迫した理由』『実際に役に立ったという記憶』の2点を、誓いが実行される条件を挙げています。頷ける指摘です。そしてこれは、人を動かす際のコツでもあります。教員は、子供を動かすことが仕事です。いくらお説教をしても、立派な道徳を語っても、子供が実際に何らかの行動を起こさないのでは、職務を果たしたことにはなりません。私の経験からいうと、切迫性を用いて子供を動かすのは難しいと思います。例えば、毎日新聞を読...きっといいことがある

  • 公教育と宗教

    「公務員と宗教」1月21日『陸自昨年も靖国計画書集団参拝今年と内容酷似』という見出しの記事が掲載されました。『陸上自衛隊で航空事故を調査する「航空事故調査委員会」の幹部たちが今月9日に東京・九段北の靖国神社を集団参拝していたことを巡り、昨年も今年と同様に参拝の流れや注意事項をまとめた実施計画が作成されていた』ことを報じる記事です。自衛隊・靖国神社という括りが、右派、復古主義、軍国主義などをイメージさせ、注目されているのでしょうが、問題の基本は、全体の奉仕者である公務員が特定の宗教にかかわりをもつよう組織として動いているのではないか、という疑惑です。キリスト教の教会やイスラム教のモスクならよいという問題ではありません。そう考えれば、私にも思い当たることがあります。教委勤務時、正月休み明けの初出勤の日、いつも...公教育と宗教

  • 究極の信頼される恩師

    「終わりが近い」1月21日『オープンAI米大学と初提携』という見出しの記事が掲載されました。『オープンAIが18日、米アリゾナ州立大学と提携すると発表した。AIを使った前例のない学習方法を開発する』ことを報じる記事です。その中に気になる記述がありました。『学生一人一人の需要に合わせた「AI家庭教師」を作ったり~(略)AIは人間と同じくらい優れた家庭教師になれる』という記述です。私は、AI教員の誕生には懐疑的でした。授業は生き物であり、いくらAIであっても30人がそれぞれ予想外の反応を示し、その複合した状況に対応は難しいだろうという判断でした。それは今でも変わりません。しかし、現状は私の予想とは異なる方向で進化していたのです。一台のAIが30人学級の担任となるのではなく、子供一人一人に一台のAIが専任教員と...究極の信頼される恩師

  • ラーニングマイノリティー

    「勉強マイノリティー」1月19日論点欄は、『マイノリティーと日本』というテーマで、世界ゆるスポーツ協会代表理事澤田智洋氏へのインタビュー記事でした。その中に、面白い記述がありました。澤田氏は『極度の運動音痴の自身を「スポーツマイノリティー」と捉えています』というのです。そのことについて、『障害に比べたら、運動ができないなんて大したことないだろうと思うかもしれませんが、僕は自分がマイノリティーの当事者だと認識することが大事だと思っています』とも語っていらっしゃいます。この発想に基づけば、音痴は「音楽マイノリティー」、家庭科や図工で不器用なのは「手作業マイノリティー」、勉強ができないのは「勉強マイノリティー」ということになります。つまり、学校には、多数のマイノリティーがいる、わざわざインクルーシブだとか、ダイ...ラーニングマイノリティー

  • 言葉遊び

    「既視感」1月14日専門編集委員滝野隆浩氏が、『「支える」と「寄り添う」』という表題でコラムを書かれていました。その中で滝野氏は、ホスピス活動の先駆者、淀川キリスト教病院名誉ホスピス長柏木哲夫氏の講演での言葉を紹介なさっています。『「支える」はタテの関係。下から持ち上げていないと患者は落ちてしまうと心配する。「寄り添う」はヨコの関係。そばを歩けば患者は自分で進んでいけると信じている。「私は当初、患者さんのその人らしさを支えるのが、『ホスピスの心』だと表現していました。でも、寄り添うことこそが大切だと思い始めたのです」』。私はこの言葉から、30年前の教育界を思い出してしまいました。当時私は指導主事試験に合格したばかりでした。この時代は、新しい学力観、新しい授業像が盛んに提唱されていた時期でした。私も、「試験...言葉遊び

  • 困っていることはありませんか

    「夢ではなく困りごと」1月13日『第22回全国高等学校ビジネスアイディア甲子園』という見出しの特集記事が掲載されました。ビジネスアイディア甲子園は、『高校生がチャレンジ精神を養い、新しい発想で社会の課題を解決する方法の提案を競う場』なのだそうです。個々のアイディアについても興味深いのですが、私は学校賞を受賞した専修学校クラーク高等学院大阪梅田校教員磯山由真氏の言葉が印象に残りました。磯山氏は、『「何があれば便利か」ではなく「自分は何に困っているか」からビジネスアイディアを考えるように伝えています』と話されていました。教員には、未来の夢とか希望などという言葉が好きな人が多いという印象があります。図工の時間に、20年後の街というタイトルで空飛ぶクルマが飛び交う超近代的な街の絵をかかせたり、作文でネコ語翻訳機が...困っていることはありませんか

  • 大部分は「その通り」

    「同意と不同意」1月13日書評欄に、日本総合研究所主席研究員藻谷浩介氏による、『「なぜかいじめに巻き込まれる子どもたち」川上敬二郎著(ポプラ新書)』に対する書評が掲載されました。相変わらず、藻谷氏に指摘は明確で小気味よいものですが、「そうだ、その通り」と思う部分と「?」と感じる部分があります。まず前者から。藻谷氏は、『大小無数のいじめの延長上に重大事態が発生しているのであり、後者を処断しても前者はなくならない。たとえは悪いが、いくら殺人事件を処断しても、万引きはなくならないのと同じだ』と書かれています。同感です。私は、いじめ問題への対応として、いじめ防止対策推進法を持ち出し、重大事態への認定に問題があるとか、第三者委員会の立ち上げが遅いとかいうことばかりを問題にして糾弾する風潮に疑義を呈してきました。ある...大部分は「その通り」

  • 近いことの意味

    「立証済み?」1月13日『筑波大坂戸高移転を検討』という見出しの記事が掲載されました。『筑波大が埼玉県坂戸市にある付属坂戸高校を茨城県つくば市に移転させることを検討している』ことを報じる記事です。記事によると、『大学近くに移転させることで高大連携を強化し、探究学習を深める』『大学近くに移転すれば、教職員や生徒の行き来が容易になり、より充実した教育を行える』などの狙いや効果があるということです。よく分かりません。校種の異なる学校が連携すると、教育効果が高まるということですが、それは何らかの研究によって検証された「事実」なのでしょうか。あるいは、精緻に組み立てられた論理に基づくものなのでしょうか。仮にそうだとして、それは連携する双方の学校にとって教育効果を高めるものなのか、大学から高校へというように、一方通行...近いことの意味

  • 知る必要はない?

    「知らなくていい?」1月12日『「森」全体見えぬ時代に』という見出しの記事が掲載されました。作家高村薫氏へのインタビュー記事です。その中で高村氏は、近年の世界情勢について、『誰しも全体を俯瞰することが難しい』と指摘なさっています。高村氏の指摘は鋭く、共感させられるものが多いのですが、ひとつだけ引っかかるものがありました。それは、『ウクライナ前線の橋頭堡がどうの、侵攻ルートがどうの、なんて話は私たち素人が知らなければならない情報ではありません』という言葉です。私は高村氏の少し下の世代。平和は無条件に善で、戦争は絶対にあってはならないもの、という価値観が染み通っています。軍隊や武器、兵士や軍事について語るから戦争が起きる、というような非科学的な言霊信仰的な感覚も理解できてしまいます。戦争は口にするのも忌まわし...知る必要はない?

  • 何でそんなに働く?

    「違う」1月11日関西広域連合有識者委員渥美由喜氏が、『「やかましい」で改革』という表題でコラムを書かれていました。その中で渥美氏は、『A県庁に情報公開請求したデータを分析した結果、職員の長時間労働と昇進・昇格の間には高い相関関係があった(略)A県庁の時間外労働都道府県の全国平均を大きく下回り、「時間外が月45時間超の職員割合」も全国平均よりも少ない模範生だった。にもかかわらず、「長時間労働の職員が出世している」という事実に落胆した』と書かれています。要するに、長時間労働する職員=職務遂行意欲があり、責任感も強い優秀で信頼できる人物→昇格させるべき人物という図式が見え、それでは長時間労働も過労死もなくならない、ということです。やはりそんなものなのか、と思う一方で、教員の場合はこの構図が成り立たないのではな...何でそんなに働く?

  • そこから得るもの

    「職業訓練校」1月10日『受験生に伝える「医療の現実」』という見出しの記事が掲載されました。『「医学部は医師になるための職業訓練校。中高生の段階から医師の実像を知ってほしい」。そうした思いから、手弁当で中高生へのせみないーを開いている開業医』朝倉太郎氏へのインタビュー記事です。まず、医学部を職業訓練校と言い切る発想に驚かされました。同じ発想をするならば、教育学部は教員になるための職業訓練校ということになります。そう考えると記事の内容に興味が湧いてきました。私が特に注目したのが、『医療に携わることは社会とと関わることだと考え、社会問題との接点を示そうとしてきました。これまでの講演テーマは、偽情報があふれる中での正しい医療情報の発信、認知症医療の現場、へき地での医師不足の問題など(略)患者に対する嘱託殺人事件...そこから得るもの

  • そんなに間違ってはいなかった

    「発想はよかった」1月9日『1600通りの時間割を作る』という見出しの記事が掲載されました。『宿題や定期テストの廃止など、学校改革で知られる元東京都千代田区立麹町中学校長の工藤勇一さん。2020年度から校長を務める横浜創英中学・高校で新たな改革に挑む』姿を取り上げた記事です。工藤氏とは一年間だけ、都立教育研究所で一緒に勤務したことがあります。それだけに、メディアに取り上げられる工藤氏の挑戦を興味深く拝見してきました。今回の取り組みで、私が注目したのは以下の点です。まず、『個別最適な学びを実現するために学年の壁を柔軟に超えて学ぶ。中1でも英語が得意な生徒は中3の授業に出ることができるし、英語が苦手な生徒は中3でも中1の授業で学び直すことができる』という部分です。以前、大阪府知事を務めた橋下徹氏が、義務教育で...そんなに間違ってはいなかった

  • 究極のアナログ?

    「消えていく」1月9日『参院手書き速記に幕』という見出しの記事が掲載されました。『デジタル化の進展などを受け、参院は2023年11月に議場での手書きの速記を廃止した。歴史の転換点に、速記者は何を思うのか』を報じる記事です。記事によると、『現在約80人いる参院の速記者は今後パソコンでの議事録作成が中心になり(略)手書きの速記は使わなくなる』とのことです。つまり、速記というごく少数の者の間で伝承されてきた特殊技能は、継承者もなく今後数十年の間にはこの世から消えてなくなるということです。何だかもったいないような気がします。私は教員時代に、できるだけ子供に教科書や資料集で調べるだけではなく、実際に生の声に接することが大切だと考えていました。地域の歴史が刻まれた碑を前に、住職さんにお話を聴く、商店街の人に仕事で大変...究極のアナログ?

  • ハードな訓練こそ

    「強調点」1月8日『新たな「問い」を求める』という見出しの記事が掲載されました。連載企画『田原総一朗の日本の教育問題は何だ!?』で、社会学者上野千鶴子氏へのインタビュー記事です。教委で人権教育を担当していたとき、上野氏の著書を読ませていただいたものです。田原氏には、「朝まで生テレビ」に出演させていただいたときに、声を掛けていただいたことがあります。それだけに興味深く読ませていただきました。気になったのは、上野氏の次の発言です。『東大や京大がそれなりの才能ある人材を輩出してきたのは、大学の教育や教師が良かったからではなく、入学してくる学生に、もともと優秀な人材の割合が多かったからだと思います(略)今あるものを身に付けるだけでは教育ではありません。だから、ゼミ生に「誰も答えたことのないオリジナルな問いを立てて...ハードな訓練こそ

  • 5段階の上から2番目

    「どのレベル?」1月6日人生相談欄に、『「みんなも同じ」納得できぬ』という28歳の方からの相談が掲載されていました。相談者は、『悩んでいる人を励ますときなどに「みんなも同じだから」という言葉をかけることに納得できません』と書かれています。それに対し回答者の劇作家渡辺えり氏は、『悩みは人それぞれで、同じ悩みはありません(略)人は一つ一つの悩みにしっかり耳を傾ける必要があると思います』と答えていらっしゃいました。そうできたらいいと思います。でも、現実には難しいのではないでしょうか。私は、「悩み感度」にはいくつかのレベルがあると考えています。まず、人が悩んでいるかどうかを感じ取ることができるレベルです。暗い表情で、言葉も少なく、ため息ばかりついている、誰が見ても何か悩みを抱えていると察するはずですが、こうした状...5段階の上から2番目

  • 成長不足というきめつけ?

    「残念」1月5日『障害者とのつながり大切に』という見出しの記事が掲載されました。『俳優の常盤貴子さん(51)は(略)障害者や福祉などをテーマに映画制作を手掛けてきた国内最高齢の女性映画監督、山田火砂子監督(91)の作品づくりに力を注ぎ、障害のある子どもたちとのつながりを大切にしている』ことを報じる記事です。その中で常盤氏は、『(障害のある)彼ら、彼女たちには、うそがないから、私も素の自分でいられるんです』と述べていらっしゃいます。残念です。長年、障害のある子供たちと交流を重ねてきた常盤氏の言葉だけに、残念なのです。私は、教委勤務時に、特別支援教育を担当していましたし、人権教育の担当者として障害者差別の問題にもかかわってきました。その経験から、常盤氏の言葉は、事実認識として間違っているだけでなく、障害者への...成長不足というきめつけ?

  • 揺り戻し

    「時代錯誤?」1月5日人生相談欄に、『離婚したら子供が心配』という男性からの相談が掲載されていました。相談者は、『ドメスティックバイオレンスの被害を受け離婚調停中です(略)経済面も心配で、離婚をしたら子どもが不幸になるのではないかと気掛かりです』と書かれていました。それに対し、回答者の落語家立川談四楼氏は、落語の「子どもつなひき騒動を例に挙げ、『どうかお子さんの幸せを考えてください』という言葉で回答を結んでいらっしゃったのです。驚きました。現代は、誰でも自分の人生を幸福なものにする権利があり、親だからと言って子供のために自分の人生を犠牲にする必要はない、という考え方が主流だと思っていたからです。また、多少ニュアンスは違いますが、子供のために我慢するより、親自身が自分の幸せを追求する姿を見せることが、子供の...揺り戻し

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