chevron_left

メインカテゴリーを選択しなおす

cancel
みのおの森の小さな物語 (短い創作ものがたり)  
フォロー
住所
未設定
出身
未設定
ブログ村参加

2014/11/11

arrow_drop_down
  • 出版 動き始める

    出版動き始める9月に出版した2冊の本が動き始めた*amazon.co.jpからの販売が始まりました*電子出版の準備が整い販売が始まりました*大阪府箕面市はじめ近隣図書館へ順次納入が始まっています*他都市図書館や自然関連団体への献本をしていますkirihara.minoh874@gmail.comみのおの森の小さな物語明治の森・箕面国定公園の散策日誌から、その体験などの中から書いた、初めての創作短編物語12編です大阪の都市近郊にありながら、自然豊かな箕面(みのお)の森、その四季の自然や人との交わりの中での物語をお楽しみください<定価1800円+Tax発行・ブイツーソリューション著者・桐原肇hajimekirihara箕面の森の小さなできごと明治の森・箕面国定公園の散策日誌から20余年、3千余回歩いた箕面(みのお)...出版動き始める

  • 出版本「箕面の森の小さなできごと」

    9月1日(水)22/33℃箕面の森の小さなできごと8月末日にAmazon.comでも販売が開始された頑爺の書いた箕面(みのお)の森の本。電子出版はもう少し後から販売と。1⃣「みのおの森の小さな物語」は箕面の森を題材に初めて書いた12話の創作短編物語です。2⃣「箕面の森の小さなできごと」は自然と人との交わりを書いたノンフィクション53編のエッセィ集です。このブログでトンマな事ばかり書いてきたので少し恥ずかしいが、紹介さてもらいます。更に今日(9/1)はその出版本を中心に地元の箕面FM局・番組から生放送が流れますので、お時間のある方は聞いて下さい。<タッキー818みのおFM>(タッキーは箕面大滝のことで、ターキーと引き延ばすと七面鳥だよ❌🤣)番組は15時から16時の「植田洋子とTerForTwo」パーソナリティの植...出版本「箕面の森の小さなできごと」

  • 少年と傷ついた小鳥

    箕面の森の小さな物語(NO-3)<少年と傷ついた小鳥>箕面駅近くの山麓に開業する獣医の中里隼人は、一匹の柴犬に予防接種をしていた。嫌がる犬は大きな声で吠え立てていたので、それに気を取られ、カウンターに一人の少年とお父さんが立っているのが分からなかった。少年の両手の中には、ぐったりした小鳥が一羽・・・「箕面の昆虫館の裏山で見つけたので・・・ちょっと診てもらいたいんですが・・・」とお父さん。昨日の季節外れの大嵐で巣から落ちて傷ついたのかな・・?隼人は獣医師でも小鳥は専門外で大学で学んだ一般常識しか持ち合わせてなかったが、とにかくレントゲンを撮り傷の状態を調べてみた。どうやらフショ(足)の部分が折れ、翼角と上尾筒、初列雨覆(上の翼)も傷つき満身創痍といった感じだ。あと数時間ぐらいしか持たないだろう・・と診断し、隼人は...少年と傷ついた小鳥

  • *夏の約束(1)

    箕面の森の小さな物語(NO-12)*<夏の約束>(1)「親父と歩いた箕面の山道は今でもよく分からないな~?山の麓から小道を上り、やっとの思いでたどり着いた所に大きな山池があった事を覚えているが・・帰りは違う山道を帰ってきたので余計に分からない」冷たいビールを飲みながら大沢敏郎はしばし昔の思い出に浸っていた。「あれからもう40年か・・・」と懐かしく回想を始めた。箕面の山周辺も随分と変わったけど、敏郎にとってあの時の思い出は今も鮮明にしっかりと心に残っていた。「親父は外国航路の一等航海士だった・・確か大型貨物船だったな・・いつもは家にいないので、他の家もそんなものだと思っていたけど、ある日友達の家に遊びに行って、お父さんが家にいてびっくりしたものだ・・それ以来、お父さんは家にいるのもので、オレの家のほうが変っている...*夏の約束(1)

  • 夏の約束(2)

    箕面の森の小さな物語<夏の約束>(2)ビールグラスを片手に、敏郎は再び父との思い出に浸っていた。「母の話では・・あれから何ケ月後にかアフリカ最南端の喜望峰で大嵐にあい、仕事中甲板に出ていた船員が大波にさらわれてしまい、それを操舵室から見た父が、すぐに助けようとて自分も海に飛び込んだけれど・・二人とも行方不明となり、幾度となく捜索が行なわれたが見つからなかった・・とのことだったな・・勇気と責任感のある父の行為には誇れるものがあったけれど、オレにはそんな事よりもどんな格好でもいいから、父には生きていて欲しかった・・母とオレは、来る日も来る日も、何日も何日も嘆き悲しんだ・・「お父さんは強いんだ・・きっと生きている・・きっと!」それを信じて歯をくいしばって悲しみをこらえた・・しかし、こらえきれずに何度母と一緒に大声をあ...夏の約束(2)

  • 運命の出会い(1)

    箕面の森の小さな物語(NO-13)<命の出会い>(1)「さあ今日はどこを歩こうかしら・・」箕面の駅前から西江寺の裏山を上り、聖天の森から才ヶ原林道へ出ると、もう初秋の涼しい風が吹いている。西園寺まり子は今日も一人で森の散策に出かけた。地獄谷からこもれびの森に向かう途中東に折れて才ヶ原池で一休みする事にした・・今日は釣り人が一人もいないようだわね・・と独り言をいいながら、少し出始めたススキの穂が数本穏やかな風にゆっくりとなびいている。池畔を周り、いつも座る石のベンチに向かうと・・どうやら先客がいるようだ。「こんにちわ!」「あっこんにちわ!」見るとまだ少年のようで運動靴に普段着の服装、棒キレを一本もっただけの軽装です。まり子は自分の山歩き用の完全装備スタイルと余りにも服装が違い、思わず苦笑してしまった。・・どこから...運命の出会い(1)

  • 運命の出会い(2)

    箕面の森の小さな物語<運命の出会い>(2)「そんな格好で寒くないの?風邪引かない?のど渇かない・・あ!また、いらぬお節介してしまったね!ごめんね!」「大丈夫です・・いつもこの格好ですから、それに4時間ぐらいなら水もお腹も我慢できますから・・それにおばあちゃんが心配するから、そんなに山奥までは行かないし・・でも今日は施設に一泊するので時間はあるんです」ボクちゃんは3ケ月前より少し痩せたようだった・・二人は嬉しそうに仲良く並んで、水神社前から谷山尾根を登り、巡礼道へ向かった。「そう言えば前に会ったとき、急におばあちゃんを迎えに行くような事いってたけど、大丈夫だったの?」ボクちゃんは少し暗い顔になりうつむいてしまった・・まり子はまたまた要らぬ事を聞いたかな?と思ったけれど、あれからづ~と気になっていたことを聞いてみた...運命の出会い(2)

  • 運命の出会い(3)

    箕面の森の小さな物語<運命の出会い>(3)まり子はそれからしばらく家にこもり、悶々としたうつ状態になってしまった・・友達やかつてのお客さんまでもが・・「どしたんや!何があったんや・・元気だしや!」と、心配してくれたけど、自分の気持ちをどうする事もできない・・またかつてのあの空虚な日々を感じるようになっていた。森へは行かなくなった・・料理も作らなくなった・・人と会うのも億劫だった。でも週1回、仕方なくスーパーへ買い物に出かけるのが、唯一の外出になってしまった。たまに年格好の似た少年が母親と買い物などしていると、羨ましく感じたりしていた・・まり子の同級生で20歳で結婚したサトミには、もう40歳を過ぎた子供がいるし、その子の子供は確か中学生だったから、サトミにはタカちゃんと同じ13歳位の孫がいるんだ・・まり子には子供...運命の出会い(3)

  • トンネルを抜けると白い雪(5)

    箕面の森の小さな物語<トンネルを抜けると白い雪>(5)祐樹はこの2日間迷っていた。あの美雪さんのことが頭からも心からも離れないのだ。もっと彼女の事が知りたいけど、迷惑かな?どうしたらいいのか?こんな思いをするのは生まれて始めての経験だった。別れ際にケイタイのアドレス交換をしていたので、何かメールでもあるかと期待をしていたのだが・・・3日目の朝、祐樹は意を決し美雪さんの出勤前に伝えようとメールを送った。・・・先日は本当にありがとうございました。おかげで命拾いをしました。もしよろしければ今晩この前のレストランでお食事でもご一緒にいかがでしょうか・・・?祐樹はこの年になるまで、自らデートの申し込みをしたことが無く何かぎこちないドキドキするような誘い方だった。早速返事が来た・・・オーケーだ!祐樹はなぜか飛び上がって喜ん...トンネルを抜けると白い雪(5)

  • トンネルを抜けると白い雪(6)

    箕面の森の小さな物語<トンネルを抜けると白い雪>(6)あれから祐樹はいろいろ悩み迷った。けれど会社を退職したばかりなので、自分の選んだ仕事の準備作業に没頭しょうとしていた。しかしその悶々とした気持ちをそれで紛らわせることは難しかった。そんな時だった。5ヶ月ほど前に申請していたドイツの大学から<クナイプ研究>のОK!の返事が来たのだ。自分の新事業立ち上げにはどうしても勉強しておきたかった事だったのだが・・・あの頃はまだ美雪さんを知らなかった。しかしこのままの心の状態で無為な時を過ごすこともできない。美雪さんの事が頭から離れない・・・祐樹は何日も熟考のうえ決心し、美雪には半年間勉強してくるから・・・詳しく内容を伝え、帰国したら一度十勝を訪問したい旨を伝えた。数日後祐樹はルフトハンザ・ドイツ航空の機内で回想していた・...トンネルを抜けると白い雪(6)

  • トンネルを抜けると白い雪(7)

    箕面の森の小さな物語<トンネルを抜けると白い雪>(7)祐樹は上の兄からのケイタイをとった。大きな明るい声で兄が話し始めた・・・「やあ~元気か?オレ来月から東京行きだよ。聞いてるかも知れんが前回の国政選挙で当選した霞さんだけどな、重大な公職選挙法違反で失職する事になってな・・・それで次点だった親父が繰り上げ当選になるんだよ。オレも次のこともあるんで親父の公設秘書として国会で仕事することにしたんだ・・・」政治や選挙に余り関心のない祐樹は「そうかそれはよかったな!」とだけうなずいた。「それに淳子も週刊誌で見てるかもしれんがな、日本で自分のファッションブランドを立ち上げることになって、春には銀座に店を開くと言うしな・・・そうそうお袋もな有力な支援者が後押ししてくれて全国の教室も再開したしな・・・それにこの家も手放さなく...トンネルを抜けると白い雪(7)

  • 地獄谷からメリークリスマス(1)

    箕面の森の小さな物語(創作ものがたりNO-25)<地獄谷からメリークリスマス>(1)「全てが終わった・・オレの人生は何もかもがまぼろしだったのか・・・?一晩野宿した地獄谷の森の中で、ホームレスの賀川恵人は寒くて朝まで眠れなかった。暖冬とはいえ、12月に入ると急に朝晩の冷え込みがきつくなる。恵人は眠い目をこすりながら朝陽を仰いだ。昨日の夕方、梅田から2泊3日かかって歩いて箕面駅に着いたが、そのままフラフラと瀧道を歩き、いつしか<つるしま橋>を渡り、目的も無く、無意識のうちに地獄谷を上っていた。谷の上方にある東屋に着いた時はもう真っ暗闇になっていた。シーンとした森の中で、動物の鳴き声や動き回る音も聞こえていたが、恵人の心は凍りついたままずーと死を待っていた。もう3日間何も食べていない・・・恵人は数日前一人寂しく50...地獄谷からメリークリスマス(1)

  • 地獄谷からメリークリスマス(2)

    箕面の森の小さな物語<地獄谷からメリークリスマス!>(2)恵人は箕面の森の地獄谷で体いっぱいの朝陽を浴びると、何か天啓を受けたかのように心から湧き出る活力を感じた。「この何日間何も食べていないのにどうしてこんなに元気なんだろうか・・・?」心静かに目を閉じ祈った。「私はいつ天に召されても構いません主の御許に近づかん・・・」祈り終えると、目の前の谷間に何か光るものが目に入った。「何だろう?空き缶のキャップかな?」恵人が乾いたノドを潤そうとチョロチョロと流れる小さな谷川に下りると朽ちた木の横に何かが光っていた。枯葉を払いのけて手にとってみると、それは古い財布のようだ。光っていたのはその留め金具だった。「誰かが落としたものに違いない・・・それにしても相当痛んでいるけどいつのものだろうか・・・?」恵人がそっとその泥まみれ...地獄谷からメリークリスマス(2)

  • 地獄谷からメリークリスマス(3)

    箕面の森の小さな物語<地獄谷からメリークリスマス!>(3)礼拝が終わると、牧師は急ぎ足で演壇を下り恵人のもとにやってきて思い切り抱きしめた。「恵人さんよく来てくれました本当に嬉しいです神様のお導きです実は今朝早く箕面警察から電話がありましたいいお話ですその事についてお話がありますから・・・」そう言うと、安藤さんと共に裏の牧師館へ二人を案内した。やがて連絡を受けた箕面警察署から担当警部と、先日駅前交番で親切に食べ物を買ってきてくれた年配の警官が共に教会の牧師館にやってきた。年配の警官は、恵人があの時の格好と余りにも違う別人のような服を着て、髪もきれいなのでビックリしていたけど・・・「その節はご親切に本当にありがとうございました・・・」と言う恵人の挨拶に、やっとあの時のホームレスだと確信した。警部は恵人本人だと確認...地獄谷からメリークリスマス(3)

  • 愛の花束

    箕面の森の小さな物語(創作ものがたりNO-2)<愛の花束>それは11月の終わり頃の事でした。5時ともなるとすっかりあたりが暗くなり、箕面の森のホテルレストランのテーブルにもキャンドルの明かりが灯り、それは温かい雰囲気に包まれるのでした。この落ち着いた広く開いたレストランの窓辺から、東方に高槻、茨木方面南方には大都市大阪の百万ドルの夜景が、そして西方に西宮、神戸方面まで見渡せる視界180度のそれは素晴らしい眺めが堪能できる所です。ゆった料理とした20卓ほどのテーブルには、季節のきれいなお花がいつも一輪さりげなく活けてあります。支配人の坂元譲は、いつものように一卓づつ丁寧に卓上を点検した後、レストランの入り口扉を開いた。坂元譲がこの山上のホテルレストランに勤めるようになって12年が経っていた。それは専門学校を卒業し...愛の花束

  • 笑顔のドングリ(1)

    箕面の森の小さな物語(創作ものがたりNO-1)<笑顔のドングリ>(1)教員試験に合格し、初めて箕面の小学校に赴任した新米教師高田順平は、緊張の面持ちで担任となった4年1組の教室に入っていった。ワーワーと言う歓声と共に、バタバタとイスに腰掛ける35人の生徒を前にし、順平の第一声は・・・「えーごほん!えー皆さんおはようございます私はこのクラスの担任となりました高田順平です・・・えー・・・」すると一人の女の子が大きな声で・・・「じゅんちゃんやて~」と調子はずれの声を出したので教室中が大笑いとなり、お陰で順平の緊張も一気に薄らぎ、和やかなスタートとなった。順平がそもそも教師を目指すようになったのは、恋人美香の小学校時代の作文を読んだのがきっかけだったように思う。それは同じ高校に通い、同じ文芸部に所属していた二人にいつし...笑顔のドングリ(1)

  • 笑顔のドングリ(2)

    箕面の森の小さな物語<笑顔のドングリ>(2)「雄介君おたんじょうびおめでとうございます!お母さんがいなくて、きっと寂しい思いをしていることと思います。知らなくてごめんね。私もお父さんがいないので、その気持ちはとてもよく分かります。でもきっと天国からいつも雄介君を見守っていてくれますよ。悲しくて、寂しくて、辛いけど、元気に頑張りましょうね。そして寂しくなったらこの箱を開けてください。いろんな顔を作ってみたけど、沢山のおもしい笑える顔があるでしょ・・・私もお母さんとこれを転がして遊んでいたら、いつのまにか大笑いしていました。雄介君もお父さんと一緒に一度やってみてください。私もこれからこれと同じ物をまた作ります。私も寂しくなったらこの箱をひらいてみます。そしてドングリたちと遊びます。パーテイに招待してくれてありがとう...笑顔のドングリ(2)

  • サルの恩返し?(1)

    箕面の森の小さな物語*これは著者の小さな実話です><猿の恩返し?>(1)それは12月下旬、初冬の1日の事だった・・・と言っても今年は暖冬のせいなのか?暖かい冬の始まりだ・・・その日は穏やかで、冬の寒い風もなく、まるでもうすぐ一気に春が来そうな気配の一日だった。私はこの日、箕面ビジターセンター駐車場に車を停め、前に続く山道から東海自然歩道に入り、最勝ケ峰から北摂霊園、高山,明ケ田尾山、梅ケ谷、と回り鉢伏山へと向かっていた。まだ残り紅葉が最後の色香を見せていたし、鳥の群れが木々から飛び立つごとに大量の落葉があって、それはまるで枯れ葉のシャワーのようだった。何本かのカエデの木がありその紅葉が見事で、しばしそこで休憩をしようとしたが・・・どうせならもう少し奥の森に入ってみようと思い・・・全く初めての森の中だったが、ごく...サルの恩返し?(1)

  • サルの恩返し?(2)

    箕面の森の小さな物語(*これは著者の小さな実話です)<猿の恩返し?>(2)あれは2年前の夏の暑い日だった・・・私は「EXPO90・みのお記念の森」から堂屋敷山を経て天上ケ岳で一休みをして後山伏の修験道を箕面ビジターセンターへ向かって歩いているときだった。山道の切り株の上に一匹の親ザルとまだ幼い小猿がちょこん!と置物のように座っていた。私は急に横にいるのを発見してビックリしたのだが、私を見ると2匹ともゆっくりと私の後を付いて来た。よく見ると2匹とも何となくやせていて少し哀れな印象をもったが,親猿の方は左足を引きずっていて少し気にはなっていた。私が何となく後ろを振り返ると、ある一定の距離を保ちながらず~と私の後ろをついてくる様子で・・・群れを追われたはぐれ猿かな?と思ったりした。何か理由があって群れの中におれないの...サルの恩返し?(2)

  • 送られてきた漬物(1)

    箕面の森の小さな物語(創作ものがたりNO-4)<送られてきた漬物>(1)流通業界に勤める斉藤健太が、会社の労働組合支部で機関紙発行の担当者に任ぜられたのは10月のことだった。全国の支部が持ち回りで年一回発行の労組機関誌を編集し、4月に組合員約2万人ほどへ配布するもので、今年は健太の支部がその担当だった。と言っても責任者と健太の二人だけで編集しなければならない大変な作業だ。しかし機関誌の内容の8割方は毎年恒例のもので、その年の会社資料や偉いさんの記事で決まっていたのでその点は楽だったが、後の2割は自分達で記事を作り編集して埋めなければならなかった。その中でも特に毎年好評なのは組合員の一人にスポットを当て、その生身の日常生活をルポするコーナーが人気のようで、その担当を健太がするように指示された。しかしそれからが大変...送られてきた漬物(1)

  • 送られてきた漬物(2)

    箕面の森の小さな物語<送られてきた漬物>(2)家に帰る車の中は田舎の匂いでいっぱい!最初は地獄だったが、その内あの時のことを思い出した。あれからお婆さんは一所懸命に寒い中、この漬物を漬けたんだろうな・・・そしてやっとあの時に約束したことを忘れずに覚えていてくれて私の所へ送ってきてくれたんだな・・・ありがとうございます・・・それを思うと、ふっと亡くなった祖母のあの田舎と漬物の味を思い出して・・・その内、とうとう涙で顔がグシャグシャニなってしまった。家に帰って樽を家に持ち込む前に、私は妻にいきさつを話した。ニヤニヤ聞いていた妻は、その内こらえきれずに吹き出してしまった。「そんなにな笑うことないやろ~ええか?じゃ!樽はガレージに置いとくからな・・・」やっと了解をとって家に入った。妻は「早速今晩の夕食に頂いてみましょう...送られてきた漬物(2)

  • 箕面の森の埋蔵金(1)

    箕面の森の小さな物語(創作ものがたりNO-23)<箕面の森の埋蔵金>(1)「今からもう何十年前の昔の話しやがな~箕面大瀧までの瀧道沿いに、多くの高級料亭や旅館、それに企業の保養所、金持ちの別邸なんかあったらしいわ~そんでな、ある金持ちのその別邸で不思議な噂話しがあったんや・・・と」高橋杜夫は、意味深長な言い回しで、同僚の山口健人に話し始めた。二人は会社の同期で、若い頃から気が合い、時々一緒に飲んでは仕事のグチ話し、憂さ話しをしたりしていた。金曜日の夜になると、いつもの行きつけの店、箕面の小さな居酒屋の常連になっていた。しかし今夜は雨のせいか、客は二人だけだった。杜夫は早くもろれつが回らなくなってきたので、女将に水をいっぱいもらい、自分の頬っぺたをパチンと張ると・・・「これはとっておきの内緒の秘密の話しやねん・・...箕面の森の埋蔵金(1)

  • 箕面の森の埋蔵金(2)

    箕面の森の小さな物語<箕面の森の埋蔵金>(2)杜夫は二人を前にもったいぶるように話し始めた。「台風による豪雨の中、各々が森の中の館に集まってきたそうな姪の西谷夫婦はすでに<古>と<姫>というキーワードをつかんでたんやけど、何のことやらさっぱり分からんかったんやそんで何とか富はんからそのヒントを聞きだそうと、耳元で喋り続けてたんや・・・甥の孝太郎は、もう少しであの膨大な資料から、宝の山が目前に明らかになる期待でなある一点だけのヒントを富はんに求めて同じように耳元に張り付いてはったんやそうな・・・女中のオトはんは、今まで何十年もダンナはんの亡き後、息子へ遺したと思われる遺言書が、家のどこかに隠してあるはず・・・と仕事の合間合間に富はんに隠れて、広い館の隅々まで探してたんやそんでなそれが地下室から箕面川にでる一角に、...箕面の森の埋蔵金(2)

  • 転校してきた山少年(1)

    箕面の森の小さな物語(創作ものがたりNO-21)<転校してきた山少年>(1)小学校5年生の高野真一が、東北の山深い栄宝村から箕面に転校してきたのは3月下旬の事だった。人口130人ほどの山間にある限界集落ながら、真一の両親は生れ育ったこの村で子育てをするつもりだった。しかし村から町へ通じる唯一の村道が未曾有の集中豪雨に襲われ、何ヶ所で崩落し寸断され、分校のある町まで通学ができなくなってしまったのだ。両親はいろいろ考えた挙句、やむなく100年以上続いた住み慣れた村落を離れ、都会に移り住む事を決心したのだった。それは少し前、最後のマタギとして山の中で猟をして生計を立ててきた真一の祖父と祖母が相次いで亡くなり、家族は父の慎吾と母、妹の美子と4人だけになっていた事も後押しした。「大きいな~」「お兄ちゃんすごいね~」真一と...転校してきた山少年(1)

  • 転校してきた山少年(2)

    箕面の森の小さな物語<転向してきた山少年>(2)子供会や自治会の面々は、それぞれ歩いて20-30分ほどで「箕面市立教学の森青少年野外活動センター」の施設に着いた。真一は森の中に入り、少し元気を取り戻したかに見えた。しかし、オリエンテーションでいろんな説明を受けていても上の空だった。それは5班に分けられた1班(6人)に、よりによって勇人とその仲間も入っていたからだった。「もう逃げて帰りたい・・・2日間も一緒だなんて無理だ・・・」やがて昼食のカレー作りが始まった。森の中のオープンキッチンなので虫もいっぱい飛んでくる。そのたびに虫に弱い女の子たちは悲鳴をあげたりしている。男子は女子に指示されたりして、慣れないジャガイモやニンジンの皮むきなどを手伝っている。真一はいつ勇人らのイジメが始まるのかと、憂鬱な気分で一人離れ、...転校してきた山少年(2)

  • 転校してきた山少年(3)

    箕面の森の小さな物語<転校してきた山少年>(3)その頃、麻里の母親は娘の帰りが遅いし、ケイタイがづっと<圏外>なので心配になり、麻里の友人宅らに次々と電話をしていた。「ウチの娘も・・・」「ウチも心配していたところで・・・」と次々と同じように帰宅せず、ケイタイが繋がらない事が分かった。「みんな揃って連絡がつかないってことは・・・?何があったのかしら?」このケイタイが当たり前の時代に、いざ突然に繋がらないとなると余計に心配が増幅し不安がつのる。8時をまわり、異常を感じた親達は自治会に連絡し、警察にも連絡した。子供会の仲間から7人は箕面大瀧へ行くような事を言っていた・・・と聞き、早速警察、消防団、自治会、父兄などを中心に捜索隊が組まれたのは夜の10時を過ぎた頃だった。皆は瀧道から派生する山道を次々と手分けして回り始め...転校してきた山少年(3)

  • 真夏の蜃気楼(1)

    箕面の森の小さな物語(創作ものがたりNO-20)<真夏の蜃気楼>(1)それは7月下旬の事だった。朝から暑い日ざしが照りつけている。美智子は、瀧道に新しく開店したと言うモダンなレトロ風のカフェを、覗いてみた。<箕面まつり>が始まり、芦原公園では夕方からの催しの準備が、賑やかに行われている。箕面駅前ロータリーでも、明日の箕面パレードの準備などに忙しそうだ。美智子は朝方、夫と息子らが2泊3日のキャンプに行くと言うので、車で箕面駅まで送ってきていた。「さあこの3日間何をして過ごそうかしら・・・久しぶりに瀧道でもブラブラ散歩でもして見ようかな~」と滝道を上ってきたのだった。毎日男3人の中で、バタバタと騒がしく暮らしているので、時には静かにのんびりとカフェで本でも読みましょうか・・・少しワクワクする気分だった。箕面の森の入...真夏の蜃気楼(1)

  • 真夏の蜃気楼(2)

    箕面の森の小さな物語<真夏の蜃気楼>(2)美智子は大柄の長男がもう着なくなった浴衣を出しておいた。ジェフが日本の風呂を満喫しつつ、初めて着る浴衣にまごついたり、その短すぎる丈を気にしながらも、嬉しそうにしている姿に、つい笑ってしまった。料理人の娘だった美智子は、短い時間で何品もの料理を作り、次々とテーブルに並べた。「わー美味しそうですね。ボクも何か手伝います・・・」「夕食前に何かお飲みになりますか?よかったらその棚からなにかお酒を出して・・・グラスもね」美智子の夫はお酒が飲めないので、頂き物の高級洋酒やワインが沢山棚にあった。「これはフランスワインの最高級酒ですよ・・・これでもいいですか?」「勿論よ」それから二人は美味しい食事にワインを傾けながら、瀧道での話の続きに花が咲いた。美智子のこれまでの人生でこんなにワ...真夏の蜃気楼(2)

  • 箕面のブルーグラス懐古店(1)

    <箕面のブルーグラス懐古店>(1)そぼ降る小雨の中、桜井駅近くの路地を入った所にその店はあった。蔦の絡まるレンガ造りの古い館だ。玄関口には年代物のカントリーランプが灯り、その下には鉄製のアーリーアメリカンタイプの傘立てが置かれていた・・・やっと見つけたよ・・・こんな所にあったのか・・・有田豊彦はもう小一時間ほど周辺をウロウロと探し回っていたので正直ホッとした。「近くに朝から晩までブルーグラス音楽だけをかけているという小さな喫茶店がある・・・」と小耳に挟んでいた。「今日は雨だし、ちょっと探しに出かけてみるか・・・」と豊彦は傘をさして家から歩いてきたのだった。箕面自由学園の校門前を通りかかると、チェアーリーデイング部が<7年連続日本一>になったとかで、その大きな大横幕が雨に濡れながらはためいていた。それに今朝の新聞...箕面のブルーグラス懐古店(1)

  • 箕面のブルーグラス懐古店(2)

    <箕面のブルーグラス懐古店>(2)外は相変わらず雨が降り続いている・・・豊彦はエスプレッソを一杯追加注文しつつ、もう少しこの店で浸っていたかった。「ボクは学生の頃、ザ・ナターシャセブンの高石ともやや諸口あきらのコンサートなんかよく行きましたよ」「懐かしい名前だね・・・彼らも一時ブルーグラスをやってましたよ」とマスターが言う。するとマサさんが続けた・・・「あの頃、アメリカの音楽は何でも新鮮だったよね自由の香りがしたり、未来が開けるように希望に満ち溢れていた感じだったよフォークソングもブームだったしな・・・オレはPPMやジョーンバエズなんかよく聴いたり歌ったな~日本じゃ森山良子なんかがデビューした頃だな・・・それに梅田やなんばの歌声喫茶なんかで、みんなでよく合唱したな~まだ若かった浜村淳なんかもいたわ・・・学生運動...箕面のブルーグラス懐古店(2)

  • 森の白い子犬(1)

    箕面の森の小さな物語(創作ものがたりNO-7)<森の白い子犬>(1)新緑の季節となり、箕面の森に若葉が溢れる頃春の<みのおの森のお話し会>が開かれました。幹事の佐々木恵子は集まった10数人のメンバーを前に、刷り上ったばかりの小冊子を手渡しています。このお話し会は箕面の森の散策を趣味とする恵子が、元々同好の人たちと森の中での情報交換を目的にしていたもので季節に一回ほど集まりお喋りを楽しんでいて、それはいつしか20数人の集いとなりました。やがて年に一度箕面の森の中でいろいろな出来事話しの中から感動したり、印象に残ったりした事や、それらのエッセー詩や俳句なども含め、それらをまとめて一冊の小冊子にすることになったのです。今年は5回目となり、その中で最初のページを飾ったのが久保美咲さんの語った<森の白い子犬>でした。<森...森の白い子犬(1)

  • 森の白い子犬(2)

    箕面の森の小さな物語<森の白い子犬>(2)それはある日突然にやってきました・・・あのヤマツツジが蕾を大きくふくらませ、もうすぐ花開く頃でした。私は家の近くの公園で、はるちゃんと遊びながら近所の人と談笑していました。小学生のおにいちゃんたちがボール遊びをしていて、はるちゃんも一緒に遊びたがっていましたが入れてもらえず、後ろで見ていたようです。はるちゃんはボール遊びが大好きなので、きっと一緒にやりたかったのでしょう・・・その時おにいちゃんの投げたボールが道路に飛び出していって・・・それをみたはるちゃんは自分がとってあげようと思ったのかトコトコと歩いて道路に飛び出していったようですキキキ~ン・・・ガンガン!キーキーものすごい音がして顔を向けたそのとき、はるちゃんの体が宙に舞い上がっていました。そのバイクの急ブレーキの...森の白い子犬(2)

  • 森の白い子犬(3)

    箕面の森の小さな物語<森の白い子犬>(3)その夜夫は子犬をお風呂に入れて洗う事にしました・・・一緒に入るとそのうちに・・・あ~あそんなとこでおしっこするなよな・・・おい、おい・・・こらこらだめだめだめだって・・・ブルブルしたのか・・・?大変みたい・・・でもついこの前まではるちゃんとお風呂に入ると大賑わいだったから・・・久しぶりのにぎやかな声に、私も少し元気になれました。そのうち体を拭かないまま子犬が浴室を飛び出して、台所の私の足元に走って来ました・・・それを追いかけて、夫が裸のままあわてて追いかけてきたりして・・・その様に2人とも大笑いしました・・・こんな笑いも久しぶり・・・その夜からもうすっかり仲良くなった子犬は、私達のベットの下を寝場所と決め落ち着いています。私達は夜遅くまで、気持ち良く寝ている子犬の寝顔を...森の白い子犬(3)

  • 生きがいに生きる(1)

    箕面の森の小さな物語(創作ものがたりNO-9)<生きがいに生きる>(1)「・・・もう二度とここへ来る事はないんだな・・・」嶋哲也は、色づき始めたモミジの葉が初秋の風に吹かれ、舞い落ちるさまをじっと眺めていた。「来年この枝につける新しい葉をもう見ることはできない・・いままでありがとう・・」こらえていた涙がポロポロと流れ落ちた。やがて哲也は立ち上がると、この箕面の森の中で共に過ごした小さな山小屋の鍵を閉めた。その隣にはあの日に植えた梅の木の葉が色づき、一枚一枚と葉を落としている・・・「春になったらまたしっかりと花を咲かせ実をつけてくれよ・・・今まで生きる希望を与えてくれてありがとう」哲也は振り返り振り返りながら歩きなれた山道を一歩一歩とかみしめるように山を歩いた。途中天上ヶ岳の役行者昇天の地でその像に手を合わせ、今...生きがいに生きる(1)

  • 生きがいに生きる(2)

    箕面の森の小さな物語<生きがいに生きる>(2)哲也は3日間何冊もある学生時代からの「夢ノート」をめくりながら想いを巡らせていた。若い頃は冒険、探検の旅、アウトドアなどアクティブな計画が多かったが、歳と共にそれは変化し、近年はリタイアしたら「チベット仏教を国教とする<幸せの国ブータン王国>を歩き、日本仏教空海・真言密教の聖地、<四国八十八ヶ所霊場>を歩き、その比較研究」をしてみたいとか。また高校生の時<尊敬する人発表会>で1位になったことがある「賀川豊彦その人の歩んだ神戸の貧民窟での救済活動、その後のノーベル平和賞候補や「死線を越えて」の本でノーベル文学賞候補にもなったその稀有な日本人牧師の足跡を辿りつつ、箕面の森に隣接する能勢・高山を生誕地とするキリシタン大名・高山右近の足跡を辿りつつ、その愛と真理の比較研究」...生きがいに生きる(2)

  • 生きがいに生きる(3)

    箕面の森の小さな物語<生きがいに生きる>(3)長距離の山旅を無事終えた哲也は、あの余命宣告から自分の命が後50日もないのでは・・と内心焦っていた。家の中で1週間ほど体を休め、この山旅の体験をまとめる・・・と意欲を燃やしていたが、徐々に顔つきが暗くなっていく事に紀子は気付いていた。「もうあと何日生きられるのかな・・・間に合わない・・・後はもう紀子さんとこの家でゆっくり最後を迎えたい・・・」紀子は一つの目的を達成し弱弱しく話す哲也の顔をしっかりと見ながら・・・「貴方はこの4ヶ月間、一般の健康な人でもなかなかできないことを諦めずに頑張ってやり遂げたわねすごい事だわ貴方の最後の夢と言っていた「箕面の森の山小屋に住む」という夢それ実現させましょ」そういうと紀子は元気に立ち上がった。「このままでは惰性に流され、残された日々...生きがいに生きる(3)

  • 止々呂美の山野に抱かれて(1)

    箕面の森の小さな物語(創作ものがたりNO-5)<止々呂美(とどろみ)の山野に抱かれて>(1)箕面の中学校に通う田中真理は、とにかく<荒れる中学生>の真っ只中にいた。物静かで内気でおとなしいと言われていた真理は、その中で荒れる彼らの恰好の標的になっていた。真理は毎日仕事で忙しい親からは放任され、ろくに話もまともに聞いてもらえず、先生からもあいつは暗いな~と、これ見よがしに他の生徒に言ったり、男子からは”もしもしかめよ・・・暗子さん?“と、みんなの前で歌われからかわれたりしていた。親友と思っていた友人達からも陰で笑われていることを知り、裏切られた気持ちでいっぱいだった。・・・誰も私のことを分かってくれない・・・人間不信に陥っていた。・・・なぜ?わたしだけこうなの?私が何をしたと言うの?私はみんなに何も悪い事はしてい...止々呂美の山野に抱かれて(1)

  • 止々呂美の山野に抱かれて(2)

    箕面の森の小さな物語<止々呂美の山野に抱かれて>(2)真理は父親の運転する車の後ろに乗り、去っていく自宅を見つめていた。・・・いい思い出なんか何もなかった・・・箕面の自宅から池田を回り40分位で止々呂美(とどろみ)に着いた。同じ箕面なのに、久しぶりにみる祖父母の家はいかにも古く、田舎の家だったが・・・それがなぜか余計に嬉しかった。国道から少し入っていった所に見える二人の住まいは、父親の生まれた家だった。2日前、いったん帰った祖父母の姿が見えた・・・まだ2日前なのになぜかなつかしい・・・二人とも満面の笑みを浮かべ、両手を広げて迎えてくれた。真理はそれだけでとても嬉しかった。・・・私を見ていてくれる人がいる・・・それだけで安心だった。両親は祖父母と少し話していたが、近いからまた来ると言ってすぐに帰っていった。・・・...止々呂美の山野に抱かれて(2)

  • Myブログ!

    Myブログ!2019-04-15 *Myブログ!*箕面の森の小さなできごと明治の森・箕面国定公園の散策日誌から森の小さなできごとや、四季の風景を綴るhttp://blog.goo.ne.jp/morinohanashi874*みのおの森の小さな物語箕面の森や里の散策から、小さなヒントを貰いながら書いた創作短編集http://blog.goo.ne.jp/minoono11874*みのおの森の小さな楽画季(らくがき)箕面国定公園の山や里を散策し、四季を楽しみながら描いた落書きスケッチhttp://blog.goo.ne.jp/minoo-sketch19*初めての絵画教室還暦の事始め!還暦から古希への絵画作品記録(作品記録ブログ)http://blog.goo.ne.jp/child-hank809*ガンジーの川...Myブログ!

  • 森で人生の一休み (1)

    箕面の森の小さな物語(創作ものがたりNO-18)<森で人生の一休み>(1)「辞令!浜崎啓介4月1日より大阪業務センター第4業務室勤務を命じる」3月下旬のこと、啓介は突然箕面・船場にある本社の専務室に呼ばれた。「何かあったのかな?」当然、仕事上の指示かと思い専務室のドアをノックした。入室するや否や突然に専務は激しい口調で啓介を罵り始めた。「ちょっと待ってください!一体何の話ですか?」啓介の問いにも全く耳をかさず、一方的な叱責がしばらく続いた。その内容は全くの濡れ衣で自分の担当外のこと、まして責任など論外の話だった。「何かおかしい?」考える暇もなく、専務は啓介に有無を言わせずおもむろにあの辞令が読み上げられたのだった。「何かの間違いだ?夢か?」それは事実上の退職勧奨追い出し部屋行きのことだった。「まさか?なんでこの...森で人生の一休み(1)

  • 森で人生の一休み (2)

    箕面の森の小さな物語<森で人生の一休み>(2)恵子は夫を静かに抱きしめながら二人で涙を流した。「けいちゃん辛かったのね・・・ごめんね!私気がついてあげられなくてねでももういいのよ貴方の今までの仕事ぶりは私が一番良く知っているわ子供たちもみんなしっかりと自立したじゃない・・・私は幸せよみんな貴方のお陰なのよ本当に感謝しているわだから今はゆっくり休んでねこれは神様からのきっと贈り物だわきっとうまくいくわよ私はいつまでも貴方と一緒よいいわねさあ笑って笑って!私ねけいちゃんの笑顔が大好きなのよ昔、渋谷の店で貴方を見たとき、誰よりも素敵な笑顔で接客していたけいちゃんに一目ぼれしたんだからね・・・それに私ね実はヘソクリ上手なのよ貴方に黙ってたけどたっぷりあるのだから一年や二年収入がなくても私ヘッチャラなのよ・・・」啓介はや...森で人生の一休み(2)

  • 森で人生の一休み (3)

    箕面の森の小さな物語<森で人生の一休み>(3)半年ぶりにハローワークを訪れた啓介は、それから一ヶ月ほどの間に3社の紹介を受け、面接に望んだ。AP社では、200人以上の応募者があり、午前中のペーバーテストで70人に絞られた。それは英語や数学、理科系の問題から一般常識など幅広く、啓介は習った事も聞いた事もない言葉や問題に戸惑った。しかし、それでも何とか70番目のどん尻で一次試験をパスした。昼からの試験は論文形式だった。「自分が今最も熱中している事は何か?その意義と問題点について述べよ」啓介は迷うことなく、この半年間過ごしてきた箕面の山歩きと、自然から受けた感動や感激、それにより自分の人生観が変わった事、それをこれからの実生活で活かしていくことの意義や問題点について、2時間の制限時間以内に存分に書き綴った。3日後、電...森で人生の一休み(3)

  • 悠久の猪ノ助 (1)

    箕面の森の小さな物語(創作ものがたりNO-24)悠久の猪之助(1)15歳になる猪之助が、たまたま同じ日に生まれた隣家の治兵衛と共に、大人になる儀式<元服>を村人から祝ってもらったのは、11月の寒い日のことだった。村で二人はそれぞれに悪ガキの代表格だったが、仲はよかった。共に尋常小学校をでると、各々の家業を手伝っていた。猪之助の父親甚平は、止々呂美(とどろみ)の農産物、とりわビワ、ユズ、栗、椎茸、山椒や花、植木などを馬車に載せ、山越えをして箕面村や池田村まで運ぶ仕事をしていた。甚平の若い頃は、まだ狭い山道を天秤担いで運んでいたので、それは大変な重労働だったが、今は馬車が通れるようになり、随分と助かっている。それに長男の猪之助が手伝ってくれるようになってからは随分と楽になっていた。翌朝、この日もまだ夜が明けぬ頃から...悠久の猪ノ助(1)

  • 悠久の猪之助 (2)

    箕面の森の小さな物語悠久の猪之助(2)白いフワフワの群れの中から、ひときわ体の大きなフワフワが猪之助の前に出た。「こんばんわ!貴方をお待ちしておりました私は昨日の朝ここで貴方に助けられた子供の父親ですその節は本当にありがとうございましたつきましてはささやかではございますがお礼をさせて頂きたく存じます・・・」「あれ?フワフワが喋った!このタヌキ野郎が・・・違うの?それにお礼?バカな夢か?痛い!ホンマか?」人一倍好奇心の強い猪之助は、アオを木につなぐとそのフワフワの言葉に乗ってみる事にした。「ほんの近くですのでこの中にお入り下さい」見ると、光っていた丸い玉に近づくと戸が開いた・・・中に入るとすぐにフワリと浮き上がり、そのまま動き出した・・・と思ったらあっという間に前方の戸が開いた。「着きました・・・ここが私達の家で...悠久の猪之助(2)

  • 悠久の猪之助 (3)

    箕面の森の小さな物語悠久の猪之助(3)田中裕二は、営業部の飲み会幹事として3次会までみんなと付き合い、やっと解放されたばかりだった。相当酔いもまわっているけど、明日の休日は久しぶりに子供を連れて遊びに出かける約束なのでどうしても車で帰らねばならなかった。「もうとっくに深夜のバス便もないしな・・・」裕二は1時間ほど車内で酔いを覚まそうと寝てみたが・・・聞けば夜間にも箕面グリーンロードトンネル前で検問やってたぞ!と同僚に聞いていたし・・・「しかしもうこんな深夜までやってないだろうしな・・・でも?」と悶々としながら眠れなかった。少し気分もよくなったので、裕二はハンドルを握り、念のため山越えをして自宅まで帰ることにした。職場のある箕面・船場の街から小野原、外院(げいん)、粟生間谷(あおまだに)から府道茨木・能勢線を北上...悠久の猪之助(3)

  • 箕面の森のおもろい宴 (1)

    箕面の森の小さな物語(創作ものがたりNO-17)箕面の森のおもろい宴(1)たけしが六箇山に着いたのは、気持ちのいいそよ風が吹く春の昼下がりのことだった。ヤマザクラやエドヒガン、コバノミツバツツジなどの花が咲き始め、箕面の山々も美しく化粧をし始めている・・・午前中、箕面新稲(にいな)から<教学の森>に入ったたけしは西尾根道を登り、「海の見える丘」の前からヤブコギをしながら道なき道を下り<石澄の滝>を目指した。昼なお暗い森の中にはイノシシやテン、シカなどの動物の足跡が随所に見て取れ、イノシシのヌタバもあった。夜遅くまで昔の映画を見ていたので少し眠かったのに、五感パッチリ緊張気味にそんな森を通り抜けた。やっとの思いで石澄川の岩場に着いたが、ここは箕面市と池田市の境界を流れる小さな川で、さらに大小の岩場を北へ上り下りし...箕面の森のおもろい宴(1)

  • 箕面の森のおもろい宴 (2)

    箕面の森の小さな物語箕面の森のおもろい宴(2)宴は始まったばかりだった。司会の蝶々さんが次にたずねた・・・「ところでそこの松尾芭蕉はんあんたはいつ箕面へきはったんや」「私は貞亨4年の4月22日に勝尾寺さんを訪ね、その時ですね。そう言えばその4年後だったか、私と門人のこの岡田千川が江戸で詠んだ連句があるんです。箕面の滝や玉をひるらん(芭蕉)箕面の滝のくもる山峰(千川)とね。「さすが上手いこと表現しはるわやっぱり芭蕉はんでんな」「俳句言うたらそこに座ってる種田山頭火はんあんたは相当日本中を放浪しはりましたなほんで箕面にはいつ?」「ハイ!わたしが箕面に来たのは昭和11年の3月8日でして箕面の駅近くの西江寺さんで開かれた句会です。一人だけ法衣姿で寒かったです。その境内には今・・・<みんな洋服で私一人が法衣で雪がふるふる...箕面の森のおもろい宴(2)

  • 箕面の森のおもろい宴 (3)

    箕面の森の小さな物語箕面の森のおもろい宴(3)「ちょっとそこできれいな芸者さんとさしつさされつしてはんのは桂太郎はんやおまへんか?そんで横にいはるのは・・・箕面有馬電気軌道の初代社長はんの岩下清周はんでっか?他にもそこにぎょうさんいはる人ら、あんさんらに関係ある箕面観光ホテルな・・・ワテはその隣の箕面スパーガーデンの温泉が好きでしたわハハハハ・・・」岩下さんに聞いている・・「あのホテルの桂公爵別邸の名前はその桂はんでっか?」「そうです・・・それにあの頃箕面動物園が開園しましてな。日本で東京の上野、京都の東山に次いで三番目の動物園でしたな大きな観覧車も箕面駅前に設置してねそれは盛大でしたよ。当時の面積は3万坪で、広さは<日本一の箕面動物園>と言われたものでしたな・・・」桂太郎が話を継いだ・・・「ワシはこの新橋の芸...箕面の森のおもろい宴(3)

  • 箕面の森のおもろい宴 (4)

    箕面の森の小さな物語箕面の森のおもろい宴(4)川端康成の話のふりに夏目漱石が少し酔い顔で応じた。「箕面動物園?ああありましたな・・・私の記憶にあるのは・・・明治44年の8月12日でしたか大阪の朝日新聞の友人を訪ねたら箕面の紅葉の名所へ行こうと誘われてここへ来ましたよ。真夏で紅葉には早かったけど、渓流に鳥が鳴き、山があって山の行き当たりにこの大瀧があって大変好い所でした。友人はボクを休ませるために箕面の森の中にある社有の倶楽部朝日閣に案内してくれて、そこで風呂に入り牛睡しました。暑い日だったけど箕面の森は涼しくて気持ちよかったですよ。私の小説<彼岸過迄>に少し書きましたがな・・・」司会が引き継ぐ・・「朝日閣ちゅうたらそこの坂田三吉はんあんた7段やったな将棋名手新手合でそこの8段関根金次郎はんと箕面のここでやりはっ...箕面の森のおもろい宴(4)

  • 七日目の朝陽・レイの冒険(1)

    箕面の森の小さな物語(創作ものがたりNO-16)七日目の朝陽・レイの冒険(1)それまで母親に抱かれ乳を飲んでいた幼い娘猿レイは、少しキョロキョロしながら兄姉猿の後ろについて遊び始めた。残雪はあるものの初春の暖かい太陽が差し込む森の陽だまりで、30余匹の猿の群れが各々に穏やかな昼下がりを過ごしていた。お互いに毛繕いをしている組、一匹空を見上げ所在なげにしている中年猿、体力を持て余しとにかく走り回っている若猿たち、何が気に入らないのか別の猿にちょっかいを出しては喧嘩をふっかけ追い回している怒り猿、そんなことはお構いなしにこの時とばかりせっせと愛の交わりをしている若い恋猿たちもいる・・・そんな中でひときわ大きなボス猿は3匹のメス猿に囲まれて毛繕いをさせながら大きなアクビをしている・・・その横でレイはつい先ほどまで母親...七日目の朝陽・レイの冒険(1)

  • 七日目の朝陽・レイの冒険(2)

    箕面の森の小さな物語七日目の朝陽・レイの冒険(2)ワンワンワンワンワン・・・・突然闇を振るわせる大きな吼え声が森に響いた。レイはビックリして目を覚ますと、目の前に一匹の大きな犬が牙をむき出し、怖い顔をして吼えてる・・・Jrは恐怖ですくみあがってしまった。しかし咄嗟に本能的に横の木に登り始めた。猛り狂ったような犬は飛びかかってきたが、間一髪でレイは木の上に難を逃れた。レイの顔は引きつり、恐怖で泣く事さえできなかった。いつも守ってくれる母親もボス猿も誰も助けてくれない・・・長い時間が過ぎ・・・やがて下で思い切り吼え続けていた大きな犬は、諦めたかのようにどこかへ去っていった。(*勝尾寺やその墓地周辺にはたまに病気にかかったり、手に負えなくなり飼えなくなった犬猫や動物を捨てに来る心ない人間がいる。せめてもお寺や仏様の近...七日目の朝陽・レイの冒険(2)

  • 七日目の朝陽・レイの冒険(3)

    箕面の森の小さな物語七日目の朝陽・レイの冒険(3)GFはしばらく横になっていたが、意を決意したかのように起き上がるとレイを促し、それまで自分がテリトリーとしていた森の中へ連れて行った。やがてふらつきながらも、レイに森の中で生きる術をゆっくりと教え始めた。冬場の採食は高木に木の実もあるが、今は登れないので地上に落ちているブナやシイ、カヤの種実を教え、冬芽、樹皮、常緑樹の葉類、植物の枯実、昆虫類などを探しながら自分の行動を通して幼猿に一つ一つ採食の術をゆっくり丁寧に教えていった。もし自分がここで死んでも、食べる事さえできれば生き延びられる・・・との思いからだった。(*猿は仲間と共同で狩りをしなければ食べ物が賄えない肉食獣と違い、自分で採食の術さえ知れば一匹でも生きていけるからだった)四日目の朝を迎えた・・・GFは痛...七日目の朝陽・レイの冒険(3)

  • 森の力Go Go !(1)

    箕面の森の小さな物語(創作ものがたりNO-22)森の力GoGo!(1)主婦の松坂瞳は、今朝も早くから起き、食事の準備を始めていた。子供と二人分の朝食を作ると、次いでお昼のお弁当二人分をランチボックスにつめ、飲み物を用意した後、ベランダに出て今日の天気を確認する。TVの予報では、午前中は晴れだけど、午後からは天候が雨模様のようだわね・・・夏から秋への季節の移り目だから、特に天候には注意せねば・・・雨合羽も傘も用意しなくちゃ・・・一通りの準備が終わると、賢治を起こしに寝室に向かう。「ケンちゃんおはよう・・・!」「アーウーウーウー」「今日は山へ行くのよ・・・早く起きよう・・・」眠そうにしていた賢治は、山と聞くとすぐに起き上がった。瞳は賢治をトイレに連れて行き、次いで洗面所へ、それが終わると朝食を食べさせ、着替えを済ま...森の力GoGo!(1)

  • 森の力Go Go !(2)

    箕面の森の小さな物語森の力GoGo!(2)キンダーガーデン・・・それは賢治が6歳の時、夫の休暇を利用して一ヶ月間デンマークのコペンハーゲン近郊にあるゾーレドードという小さな村の「森の幼稚園」に、賢治を入れたときのことだった。キンダーガーデンとは、ドイツのフリードリッヒ・フレーベルによって1837年に創設されたもので、子供達が自然の中で伸びのびと遊び、その遊びを通して子供同士の社会性を学び、創造性や感性を磨いていくという趣旨の「森の幼稚園」だった。そこには特定の園舎など一切なく、森の中や野山をフィールドとして大自然のなかを教育施設としていた。当時、デンマークに60余ヶ所、ドイツには220余ヶ所以上あり、増加中と言う事で、現在はもっとポピュラーになっているかもしれない。それは毎日、広葉樹林の森の中や牧草地、川のほと...森の力GoGo!(2)

  • 森の力Go Go!(3)

    箕面の森の小さな物語森の力GoGo!(3)英和は渋滞で動けない高速道上から、次々と電話を入れていた。やっと石田さんとケイタイがつながり、桜谷で昼前に二人に出会ったことを知った。しかしその後の事は分からない?見れば、北の箕面方面は真っ黒い雲に覆われ、時々稲光が見える・・・嵐だ!英和は数年前、瞳と相談して箕面北部の止々呂美(とどろみ)の山中に300坪程の土地を購入していた。賢治の為にも、いずれ山の中で生活する事を望んでいた。何といっても賢治が周囲に迷惑をかけることなく、本人自身が一番好きな森の中で、あのキンダーガーデンでのように、伸び伸びと遊び暮らせる事が何よりと考えたからだった。それにもう一つ、賢治には夢中になれるこだわりのものがあった。それは5歳の時、障害児の美術指導をしてくれていた絵の先生に個人指導を仰ぎ、そ...森の力GoGo!(3)

  • 綾とボンの絆

    箕面の森の小さな物語(創作ものがたりNO-10)綾とボンの絆箕面山麓の坊島(ぼうのしま)に住む88歳になる綾(あや)さんが、1月の寒い朝、自宅でボヤ騒ぎを起こした。愛犬のボンが激しく吼えてなければ近所の人も気づかず、全焼するところだった。それで綾さんは視力も体力も衰え、もう一人で生活する事が難しくなったので、市や福祉の担当者に勧められ、森の中の老人ホームへ入る事になった。綾さんの夫雄一郎はすでに他界し、子供もなく、近い親族もいないので、住んでいた自宅は後見人の弁護士から依頼された業者が買い取っていた。綾さんが一番気がかりだった老犬ボンは、その業者が「大切に面倒みますから・・・それに、たまにホームに連れて行きますから・・・」とのことで、やっと自宅を手放す事に同意した経緯があった。しかし、業者はその後家屋の解体のさ...綾とボンの絆

  • 二つの硬貨 (1)

    箕面の森の小さな物語(創作ものがたりNO-14)二つの硬貨(1)箕面北部に広がる八天の森には静かに粉雪が舞っていた。時折り冷たい北風が軽い雪を吹き上げている・・・柏木和平は、頬についたそんな雪を払いながら空を見上げた。積もるような雪じゃないな~それにしても鳥は元気だな!上空を飛び交う冬鳥を目で追いながら、気持ちのいい風景を楽しんでいた。やがてリュックサックの中から、ポットに残っていた温かいコーヒーを飲み干した。モカのまろやかな香りが漂う・・・真冬の森を歩くときは、いつもポットに入れたコーヒーが身も心も暖め癒してくれる。さあ~そろそろ出発せねば日が暮れるまでに帰れないぞ・・・和平は一人呟きながら一休みの腰を上げた。時計は午後の三時になろうとしていた。ここから東海自然歩道を南下し、自然8号路から旧巡礼道、谷山の尾根...二つの硬貨(1)

  • 二つの硬貨 (2)

    箕面の森の小さな物語二つの硬貨(2)あれから1年が経った・・・和平はすっかり忘れていたけれど、今日久しぶりに同じコースを辿り同じ場所で一休みをしている時にふっと思い出したのだ。あの日と同じように寒い日だ。冷たい風が森の木々を揺らしている・・・和平は「まさかな~」と苦笑しながらもバス停の後ろの杉の木に周ってみた。冬枯れの森の中に真紅なヤブ椿の花が咲いている。目で探してみても、やはりそれらしき物を埋めている気配はない・・・指で枯葉を掻き分けてみたけれど何もない・・・「やっぱりな~」こんな事をして探している自分がピエロに思えた。期待もしていなかったのでそうガッカリもしなかったけど何となく空しい気持ちになった。ボクの人生で騙されたのはこれで何回目になるのかな・・・?和平は苦笑しながらももう一度木の周りを見回し山道へ戻ろ...二つの硬貨(2)

  • トンネルを抜けると白い雪 (1)

    箕面の森の小さな物語(創作ものがたりNO-15)トンネルを抜けると白い雪(1)「トンネルを抜けるとそこは雪国だった・・・か」太田垣祐樹はボソッとつぶやきながら我に返った。なぜそんな言葉が口をついて出たのだろう・・・か?箕面グリーンロードトンネルを抜けて止々呂美(とどろみ)の出口にでると、真っ暗闇の中に車のライトに照らされた白く輝く銀世界が広がっていた。トンネルを入るまでは全く雪がなかったので一瞬ビックリしたもののすぐにまた自分の世界へと入っていった。三ヶ月ぶりに自宅に帰る・・・と言っても誰もいない家に帰るのは何とも気が重いものだ。ほんの40分ほど前まで、祐樹は梅田の新ビジネス街に建つ高層ビルの一室で、苦手な外人バイヤーとの厳しい商談を終えたばかりだった。その直後、弁護士から「離婚が成立しました・・・」と電話があ...トンネルを抜けると白い雪(1)

  • トンネルを抜けると白い雪 (2)

    箕面の森の小さな物語トンネルを抜けると白い雪(2)祐樹は両親や兄姉の薦めと良心の呵責もあり、さらに積極的なアプローチをかけてくるその女性との間で、まもなく婚約がととのった。何も知らなかったが、その女性はアメリカの大学院を出、一時国連の国際機関で働いていたキャリアウーマンだとか・・・いずれ女性国会議員を目指すと言う野望をもっていた。それを聞いたとき・・・・・・この人も結局ボクよりもその背景を利用しようとしているんだろうか・・・?と一瞬考えたが、自責の念もあって・・・これも人生か・・・とそれまでの家に対する従順な生き方に自分を合わせ過ごしていた。結婚式はそれは豪華なもので、父親の関係で大臣や財界の大物たち、母親の関係でその道のそうそうたる顔ぶれ、兄や姉の関係からいわゆる偉い人から有名な芸能人まで多彩におよんだ。新妻...トンネルを抜けると白い雪(2)

  • トンネルを抜けると白い雪 (3)

    箕面の森の小さな物語トンネルを抜けると白い雪(3)翌朝、祐樹は家の窓を全開し、冷たい空気を胸いっぱいに吸い込んだ・・・・・・気持ちいい~・・・ヒヨドリが2羽、元気に頭上を飛んでいった。北側の森の樹林が真っ白い雪に覆われ、まるでおとぎ話しの中の妖精がいる森のように見えた。庭に下りると、野うさぎか?テンか?小さな動物の足跡も見られて嬉しくなった。南側の鉢伏山の方をみると、朝陽にキラキラと輝くダイヤモンドダストが見られる・・・・・・きれいだな~・・・祐樹はしばし家の周辺の景色に見とれながら、何度も同じ言葉を呟いていた。「そうだ!久しぶりに箕面の山を歩いてみよう・・・」祐樹はこの3連休を何して過ごそうかと思っていたので我ながらいい考えに喜んだ。そうと決めると裏に建てていた作業小屋から、以前から置いている山靴とリュックサ...トンネルを抜けると白い雪(3)

  • トンネルを抜けると白い雪 (4)

    箕面の森の小さな物語トンネルを抜けると白い雪(4)「大丈夫ですか?もしもし大丈夫ですか?どうしよう・・・」祐樹は薄れゆく意識を懸命に元に戻しながら、そんな声を耳にした。「あっ!気がつきましたか・・・」「ああどうも・・・どうもありが・・・足を滑らせ・・・動かせないんで・・・痛!」祐樹は薄れていた意識を取り戻した。「私が肩を貸しますので立てますか・・・?」気がつけば麻痺しているのか、少し足の痛みが和らいでいる・・・祐樹はゆっくり女性の肩を借り、やっとの思いで立ち上がった。「これなら何とかこの下までは下りられそうかな・・・?」それから何度も休み休みしながら10余分の道を30分以上かかってやっと芝生広場までたどり着いた。「ありがとうございました・・・もうここで・・・すいませんがケイタイが繋がる所から救急車を呼んで・・・...トンネルを抜けると白い雪(4)

arrow_drop_down

ブログリーダー」を活用して、みのおの森の小さな物語 (短い創作ものがたり)  さんをフォローしませんか?

ハンドル名
みのおの森の小さな物語 (短い創作ものがたり)  さん
ブログタイトル
みのおの森の小さな物語 (短い創作ものがたり)  
フォロー
みのおの森の小さな物語 (短い創作ものがたり)  

にほんブログ村 カテゴリー一覧

商用