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2014/11/06

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  • ニューロ・モデルの多層化実験

    昨年の11月半ばから今年の3月末までの4か月半に渡って「降雪予報」の期間でした。4月に入って新年度を迎えたのと同時に、このシーズンが終わりました。そこで、この1か月弱は「ニューロ・モデルの多層化」について研究を進めておりました。ニューロ・モデルの基礎である「ニューラルネットワーク」は、大きく分けて「入力層」「中間層(隠れ層)」「出力層」の3つから構成されます。入力層と出力層は1層ずつ設置されますが、中間層は1層以上を設置します。最も簡単な構造は、中間層を1層とした「3層構造」です。そして、中間層を多数設置したものを「ディープニューラルネットワーク」と言います。そして、多層化されたニューロ・モデルの学習プロセスの一例です。この実験は、入力値とそれに対する正しい出力値(正解=教師データ)の組み合わせから成る「...ニューロ・モデルの多層化実験

  • 気温の日較差の月別変化

    新潟県内4地点(相川・新潟・長岡・高田)における「気温の日較差」を月別に「箱ひげ図」の形で集計してみました。ここで、気温の日較差とは「最高気温(Tx)と最低気温(Tn)の差(Tx-Tn)」の事です。この値が大きいほど、一日の中での気温差が大きいということです。今回は「平年」に相当する「1991~2020年」の観測値を使用しました。相川・新潟・長岡・高田の順にグラフを掲載します。ここで、箱ひげ図の他に記載されている「〇」は外れ値、「×」は平均値を表しています。グラフから日較差の変化傾向を読み取ると、冬と夏は極小となる一方、春と秋は極大となることが判ります。特に春(4~5月)の日較差が顕著です。これからの時期は特に体調管理にも注意したい所ですね。気温の日較差の月別変化

  • サクラサク・サクラチル

    春の足音を感じるこの時期は、受験や合格発表の時期とも重なります。試験なのでもちろん「咲く桜」もあれば、「散る桜」もあります。それでも、日々のひたむきな積み重ねは、決して無駄にはなりません。ただ違いがあるとすれば、それは「見える花」になったのか、それとも「見えない糧」として蓄えられたのか、ただそれだけです。しかし、蓄積された「糧」はやがて、大輪の花を咲かせる大きな「力」となります。花を咲かせることはもちろん大切ですが、大地にしっかりと根を張ることもまた大切です。目の前の目標に向かって、全力で取り組むことができたかどうか、それこそが「真の価値」なのです。受験勉強は確かに大変だと思います。しかし、その努力はただ単に「合格」するのみならず、その後の「高度な学びのための基礎学力」および「自ら学ぶ習慣」を身に着けるプ...サクラサク・サクラチル

  • 新潟県内の花粉飛散の傾向分析

    新潟県内3カ所(新潟・長岡・上越)の花粉飛散傾向を調べました。気象要素は「気象庁の観測値」、花粉の飛散量は「環境省花粉観測システム(はなこさん)」を用いています。まずは、2009~2020年の年別(各年の2月~5月)の花粉飛散量を集計しました。棒グラフの比較から、シーズンを通しての花粉飛散量は年によって大きく変動することが判ります。また、箱ひげ図の比較からは、新潟よりも長岡・高田の方が多く飛散しています。続いて、旬別の平均的な傾向を集計しました。棒グラフの推移から、旬別平均では「3月上旬~4月中旬」が大きな山となるようです。累積比率のグラフを見ると、この時期の大きな上昇カーブが現れているのが良く判ります。続いて、新潟県内の花粉飛散量と前年の気象要素の関係について調べてみました。今回は「山間部に多く分布する...新潟県内の花粉飛散の傾向分析

  • 2024年02月05日の関東の雪

    2月5日は南岸低気圧の東進に伴い、関東地方でも大雪となりました。興味深い事例なので、メモとして記事を上げておきます。以前、2018年の1月に「南岸低気圧に伴う関東地方の降雪を考えてみる」と言う記事を書きました。まずはその内容を簡単に振り返ってみましょう。南岸低気圧の接近時、関東平野に流れ込む南東~北東の風が、北から流入する寒気を堰き止めることがあります。この結果、関東平野では寒気が滞留します。また、低気圧に伴う雲から滞留寒気に向かって雨粒が降り注ぎ、これら雨粒が蒸発すると、下層空気の冷却が進みます。これは雨粒の相変化に伴い、周囲の空気から潜熱が奪われるためです。こうして「地上から上空まで」十分冷えた状態が形成されます。従って雪から雨に融けにくくなるので、その分「雪の状態を維持したまま」地上に到達しやすくな...2024年02月05日の関東の雪

  • 続・2024年1月は少雪傾向

    前回の記事「2024年1月は少雪傾向」の続きです。今度は山形県内の5地点における12月と1月の降雪量に関して、平年値(1991~2020年)と今季の比較を行いました。この結果、いずれの地点も今季は平年値を下回っていました。特に、朝日連峰にある肘折では「平年値の5~6割程度」と顕著な少雪となっています。水不足など、今後の影響が気になる所です。また、上記5地点の平年(1991~2020年)の月降雪量の変動は次の箱ひげ図のようになります。このグラフと比べると、今季は平年の「第一四分位点」以下となる所が多く、下方の「外れ値」の水準となる所さえありました(平年の変動範囲の25パーセンタイル以下)。上空にも目を向けてみましょう。平年(1991~2020年)と今季(2024年)1月の850と500hPa面における気温分...続・2024年1月は少雪傾向

  • 2024年1月は少雪傾向

    この冬は暖冬・少雪の傾向にあるため「雪のイベント」にも開催規模の縮小など、影響が出ているようです。以前(2019年)、「開催直前の気温上昇のリスク」を想定した「天候デリバティブ」を検討したことがあります(その論文)。これは、山形県米沢市の「上杉雪灯籠まつり」を念頭に、「1か月アンサンブル予報」を応用して天候リスクの評価を試みたものです。しかし、現実問題としては、そもそもの原材料となる雪が少ない「少雪のリスク」をヘッジするケースも検討した方が良さそうですね。対応策としては様々なアイデアが思い浮かびます。もし、「天候デリバティブ」のプランを想定すると、期待された利益や効果が得られない場合に、そのダメージを最小限に抑えるというアプローチが考えられます。また、天候デリバティブで得られた補償金を元手に、降雪装置など...2024年1月は少雪傾向

  • 2023年12月の傾向(山形県)

    先日の記事「2023年12月の傾向(新潟県)」と同様に、山形県における「2023年12月の平均気温と降雪量の推移」を25日まで調べてみました。概ね5日~17日頃までは平年より高温傾向で推移しました。その後、平年より低温傾向に転じると顕著な降雪となりました。4地点のグラフからは、17日頃を境に傾向が大きく変わっているのが見て取れます。過去の記事「2023年12月の傾向と背景」でも述べたように、12月前半は偏西風のリッジ位相が卓越したものの、後半はトラフ位相が進んできたことで寒気の南下が顕著に現れました。そこで、平年(1991~2020年)と昨年(2023年)12月の高層850hPa面における気温分布(秋田)を「箱ひげ図」の形で比較しました。箱ひげ図は4つ並んでいます。左から順に、平年の09時、21時、昨年の...2023年12月の傾向(山形県)

  • 年明け早々の地震

    新年早々に「2024年能登半島地震」が発生しました。まずは、被害に遭われた皆様にお見舞いを申し上げます。1月1日は私の住む市内でも「震度6弱~震度4」程度と大きく揺れました。海側ほど震度が大きいように見受けられました。さて、今はインターネットを通して、様々な情報を得ることが容易になりました。しかし、SNSなどで拡散される情報は玉石混交です。事実とは異なる情報も含まれているようです。まずは、気象庁や自治体をはじめとする公的機関の発表など、出所が信頼できる情報を優先しましょう。また、地震発生のメカニズムについては「専門家」に任せましょう。情報収集という観点では、コミュニティFMラジオを聴くのも一つの方法です。身近の被害状況・避難指示や避難所の案内など「地域に根差した情報」は、コミュニティFMラジオでも放送され...年明け早々の地震

  • 2023年12月の傾向と背景

    前回の記事で述べたように、今年(2023年)の12月は「17日頃」を境に「暖冬」から「寒冬」に転じました。これに伴い、新潟県では21~22日を中心に大雪に見舞われました。大気の循環場を見ると、前半は偏西風のリッジ位相が卓越したものの、後半はトラフ位相が進んできたことで寒気の南下が顕著に現れました。さらに冬型の気圧配置と日本海上の収束帯の影響も重なり、一気に冬の景色に染められたようです。続いて、12月21日は冬型の気圧配置となりました。日本海上では北風と西風に伴う収束帯(JPCZ)が形成され、付近では対流も活発になりまそた。上空では湿潤域が広がる他、顕著な寒気南下も重なって大気の状態は不安定になっており、大雪や強風なども予想されました。12月22日も冬型の気圧配置が続き、その上空では非常に強い寒気も南下しま...2023年12月の傾向と背景

  • 2023年12月の傾向(新潟県)

    新潟県における「2023年12月の平均気温と降雪量の推移」を25日まで調べてみました。概ね5日~17日頃までは平年より高温傾向で推移しました。その後、平年より低温傾向に転じると顕著な降雪となりました。4地点のグラフからは、17日頃を境に傾向が大きく変わっているのが見て取れます。一口に「暖冬」とは言っても、必ずしも「高温状態が続き、雪が降らない」と言うわけではありません。もちろん「高温」の時もあれば、「低温」の時もあるのです。そして、トータルの平均を取ると「高温」の側に偏るのです。実際の間隔としては「高温の時期と低温の時期の振れ幅が大きい」という所でしょうか。2023年12月の傾向(新潟県)

  • 「あんまん」にハマる

    いよいよ寒くなりました。「コンビニエンスストア(コンビニ)」のレジ付近に「中華まん蒸し器(スチーマー)」が登場する季節となりました。しかしながら、「中華まん」は何年も(少なくとも十数年)食したことがなかったのです。おそらく学生時代?に「肉まん」を食した・・・誰かから分けてもらったものを食した?・・・のが最後だったように記憶しています。当時、私の周囲は「肉まん」派が多く、「あんまん」派は私の他には皆無のようでした。子供の頃は「あんまん」と言えば、母に専用(?)の「蒸し器」で蒸してもらったように記憶しています。子供ながらに「手間が掛かる(=何やら難しそう)」と認識していました。それから年月が経ち、アルバイトで1年近く「コンビニ店員」として従事しました。スチーマーにスタンバイしている商品が少なくなると、奥の冷蔵...「あんまん」にハマる

  • 引っ越しのその後

    暦は11月なので、1年を振り返るには未だ早いかも知れません。しかし、現時点で私の2023年を振り返ってみると「引っ越し」「猛暑」「牛タン」の3つのキーワードが浮かんできます。最初の「引っ越し」は6月下旬の引っ越しの事です。7月にアップした記事「引っ越しました」にその話題を記載しております。記事でも触れましたが、新居に入居早々「洗濯機に関するトラブル」が相次ぎました。給水ホースの漏水に始まり、蛇口の漏水とパッキン交換、その後は洗濯機本体の漏水・・・結局、洗濯機の買い替えを余儀なくされたのでした。新しい洗濯機や関連する品物が到着するまでの、約1か月に渡り「手揉み洗い」で乗り切りました。そこで、洗濯機の新旧比較写真です。左が交換前・右が交換後です。交換の際は洗濯機の下にトレイを置き、かさ上げ台の上に洗濯機を設置...引っ越しのその後

  • 5年ぶりの仙台にして、初めての牛タン

    今回は前回の記事の続きになります。但し「難しいお話」は無しにして、単なる「旅行記」として記載します。10/23(月)~26(木)の日程で、仙台国際センターを会場に「日本気象学会2023年度秋季大会」が開催されました。今大会は「会場(仙台国際センター)とオンライン(テレビ会議システム:zoom)の同時開催」であり、これまではWeb上のオンデマンド形式だった「ポスターセッション」や会場で行われる「口頭発表(オーラル)セッション」も、zoom(ズーム)を介してオンラインで聴講できるようになりました。パンデミック以降の学会は、会場に集まる状態(三密:密集・密閉・密接)を避けるため、リモートベースがメインでした。しかし、コロナ5類移行を受けて、少しずつ以前の賑わいが戻ってきているようです。私は、1日目~3日目の午前...5年ぶりの仙台にして、初めての牛タン

  • この秋は「学会の秋」

    あの「記録的な猛暑」から一気に秋めいてきました。秋になると「あっという間に日が暮れてしまう」様子を「釣瓶落とし」と言いますが、最近は気温についても「釣瓶落とし」の感があります。さて、食欲の秋、読書の秋、芸術の秋…など、色々な秋がありますが、私の場合は今年は「学会の秋」となりそうです。10月23日~26日の日程で「日本気象学会2023年度秋季大会」が仙台を会場に開催されます。この中の「専門分科会」の一つで「GSM地上を用いた新潟県内における降雪量ニューロ・モデルの開発」と題した発表を予定しております。昨年10月の記事「学会誌9月号届く」で述べた通り、学会誌「天気」9月号にて調査ノート「ニューラルネットワークを用いた山形県内の気温および降雪量の予測実験」が掲載されました。これは7年振り・2報目の「ニューラルネ...この秋は「学会の秋」

  • 帝国は戦争によって発展し、戦争によって衰退する

    最近(8月から)少しずつ読み進めていた本です。山﨑圭一先生,2018:一度読んだら絶対に忘れない世界史の教科書.SBクリエイティブ,351pp.膨大な内容をコンパクトに圧縮しつつも、歴史の流れが掴みやすく解説されています。各章の初めに歴史全体の流れ図が掲載され、また文章の途中にも判りやすい解説図が挿入されるなど、著者である山﨑先生の豊富な経験に基づいた工夫が随所に見られます。また、本の記述に加えて「映像授業」を平行して受講することで、理解を深めました。「高校世界史映像授業TryIT(トライイット)新里将平先生」こちらは「372本」の動画で構成されています。動画は1.5倍速で視聴すると丁度良いスピードです。詳細な部分についても、ユーモアも交えつつ丁寧に解説されています。このような動画を手軽に受講できるのはあ...帝国は戦争によって発展し、戦争によって衰退する

  • 波形の重ね合わせ

    ニューラルネットワークで多く用いられるシグモイド関数を組み合わせると、三角関数のような波形を作り出すことができます。次の図のように、基準となるシグモイド関数(黒)を、x軸方向に正の方向(青)と負の方向(赤)にそれぞれ平行移動して、その両者を線形結合(重ね合わせ)することで、新たな単発パルス波形(緑)が得られます。さて、「フーリエ級数展開」で知られるように、一般的に「任意の関数は三角関数の線形結合で表現(近似)できる」ので、上記のシグモイド関数(緑)の波形でも同様のことができるかも知れません。そこで、三角関数の波形とシグモイド関数の単発パルス波形の重ね合わせにより、それぞれ矩形波の近似関数を作ってみました。左が三角関数を5つ重ねた波形、右が単発パルス波形を5つ重ねた波形(シグモイド関数は10個に相当)です。...波形の重ね合わせ

  • 今年(2023年)の8月は「記録的猛暑」だった。

    先日(8月25日)の記事「今年(2023年)の猛暑を甘く見てはいけない」でも述べましたが、今年の8月は「猛暑日」が頻発しました。山形県内4地点(酒田・新庄・山形・米沢)における8月の日最高気温の推移(1976~2023年)を調べました。日最高気温は「猛暑日」「真夏日」「夏日」「夏日未満」の4階級に分け、各々の出現回数を表示しています。今年(2023年)は「夏日」が各地とも「1日だけ」ありましたが、残りは「真夏日」と「猛暑日」でした。ちなみに、8月の山形県内の熱中症による救急搬送状況は下記の通りです。今年(2023年)の8月の暑さの影響の大きさがうかがえます。・2023年:523名(7/31-8/26)※速報値・2022年:139名(8/1-8/31)・2021年:238名(8/1-8/31)・2020年:...今年(2023年)の8月は「記録的猛暑」だった。

  • エネルギーと質量の等価性

    前回の記事では「ローレンツ変換」を導入しました。今回はその続編として「エネルギーと質量の等価性」を導いてみます。ここでも、前回と同様に2つの慣性系としてK系とK'系を導入し、それぞれに観測者A、Bが存在すると考えます。また、K系は静止する一方、K'系は(K系に対して)一定の速度vで運動する状況を想定しています。【等速運動する慣性系における物体の衝突】今回は、等速運動する慣性系(K'系)の中で2つの物体を衝突させてみます。この2つの物体は同じ質量を持っており、互いに同じ速さ(向きは逆向き)で等速運動して衝突に至ります。この場合、K'系の観測者BとK系の観測者Aでは、現象の見え方(認識)が異なります。まず、観測者Bから見ると「同じ質量m'の物体が、同じ速さu'で逆向きに運動して正面衝突し、衝突直後は静止状態に...エネルギーと質量の等価性

  • ガリレイ変換とローレンツ変換

    先日の記事でも述べましたが、この夏の暑さは異常です。外に出るのも儘ならず、インドアで過ごすことが多くなりました。そこで、この8月中はスキマ時間に「特殊相対性理論」の解説を読み返しておりました。工学部(機械系)で特殊相対性理論を履修したのは、約四半世紀前の大学1年(教養部)の頃です。使用された物理学の教科書では僅か「10ページ前後」の記述でしたが、なかなか難解でした。あらためて理解したイメージを「メモ書き」として記事に残しておきます。【異なる2つの空間(K系とK'系)】まずは一連の話の前提として、異なる2つの空間を導入します。一方の空間をK系、もう一方の空間をK'系と呼ぶことにしましょう。K系は静止状態にあり、この中には観測者Aが存在します。また、K'系は一定の速度で動いており、この中には観測者Bが存在しま...ガリレイ変換とローレンツ変換

  • 今年(2023年)の猛暑を甘く見てはいけない

    【2023年08月25日(TUY/Yahoo!ニュース)】救急車到着後も練習継続体育祭の練習中に熱中症で中学生13人搬送先日、同じ山形県の米沢市で悲しい出来事があったばかりです。その教訓が全く活かされていないようです。山形市における8月の日最高気温の推移(1976~2023年)を調べました。日最高気温は「猛暑日」「真夏日」「夏日」「夏日未満」の4階級に分け、各々の出現回数を表示しています。今年(2023年)は24日までの集計ですが、「猛暑日が14日、真夏日が9日、夏日が1日」と、特に「猛暑日」が多く現れています。続いて、山形市における8月の降水量の推移(1976~2023年)を調べました。年毎にバラツキはありますが、平年の月降水量「153mm」に対し、今年の降水量は24日までで「60.5mm」(平年の4割...今年(2023年)の猛暑を甘く見てはいけない

  • 猛暑日が目立つ夏

    この夏は(2023年)、いつもにも増して「暑さが際立っている」ように感じます。まずは、8月14日の14時30分時点での新潟県内の気温と風の様子です。台風7号の北上の影響で(図略)、北陸地方では南東の風に伴うフェーン現象が顕著に現れました。この夏は、このような高温の日が多いのが特徴です。そこで、新潟県内4地点の8月の日最高気温の推移(1976~2023年)を調べてみました。日最高気温は「猛暑日」「真夏日」「夏日」「夏日未満」の4階級に分け、各々の出現回数を表示しています。今年(2023年)は20日までの集計ですが、「真夏日」と「猛暑日」しかありません。また、「猛暑日」の出現回数が顕著です。さらに、上空の天気図を見ていると、「いつもの夏とはちょっと違う」と感じることがあります。一般的に、太平洋高気圧の目安とし...猛暑日が目立つ夏

  • 7月の日最高気温の推移

    今年(2023年)は梅雨明けしてから、非常に厳しい暑さが続いております。その背景については、グローバルな視点から前回の記事でも触れました。フィリピン付近の対流が活発で太平洋高気圧が強まりやすい傾向(正のPJパターン?)であり、さらに台風などの影響も加わって、特に「暑さ」が増す傾向にあります。そこで今回はローカルの視点で、山形県内4地点(酒田・新庄・山形・米沢)の7月の日最高気温の推移(1976~2023年)を調べてみました。グラフでは、日最高気温を「猛暑日」「真夏日」「夏日」「夏日未満」の4階級に分け、各々の出現比率(100%が31日に相当)を表示しています。この結果、「夏日未満」の出現比率(日数)は年を追って減少する傾向がある一方、近年は「猛暑日」がより現れやすくなっている様子が窺えます。7月の日最高気温の推移

  • 梅雨明けした途端・・・暑い。

    7月20日頃から厳しい暑さが続いております。当地も「北陸地方の梅雨明け」発表直後から連日のように「真夏日」が続いております。水道の蛇口を捻っても、出てくるのは「水」ではなく「お湯」といった有様です。この背景を図に描いてみました。フィリピン付近の活発な対流や台風5号に伴う上層発散場が、日本付近の偏西風を押し上げているようです。この結果、日本付近ではリッジ位相が顕著となり、太平洋高気圧が強められると考えられます。また、台風は高気圧の縁辺を北上しており、互いに影響を及ぼし合っています。さらに、台風は顕著な「上昇気流」です。対流圏界面付近まで達すると、以降は水平に広がり(発散)やがて「下降気流」に転じます。この「下降気流」が太平洋高気圧の勢力を強める働きをします。下降気流に伴って空気が「断熱圧縮」されるのに伴い、...梅雨明けした途端・・・暑い。

  • 梅雨末期の前線の動き

    7月も半ばを過ぎて、梅雨末期となりました。この時期は梅雨前線の北上に伴い、東北・北陸地方を中心に大雨に対する注意が必要となります。先日・15日(土)~16日(日)の週末は、秋田県を中心に東北地方の北部で大雨に見舞われました。また、梅雨前線の南側では気温の上昇に伴う猛暑が顕著となりました。そこで、7月16日の主な特徴を模式図に表してみました。太平洋高気圧の北上に伴って、梅雨前線も東北地方まで北上しています。太平洋高気圧の縁辺に沿って、梅雨前線に向かう顕著な暖湿気の流入が持続しています。また、850hPa面の18℃等温線も北上しています。850hPa面は上空1500m付近に相当し、気温減率を6.5℃/kmと仮定して地上気温に換算すると「18℃+6.5℃/km×1.5km≒27.8℃」と「30℃」近い暑さに相当...梅雨末期の前線の動き

  • 引っ越しました

    2005年8月下旬から約18年に渡って住んでいた集合住宅(間取り1K・17.37m2)を退去し、新たな場所に移りました。引っ越しの日の朝、すべての荷造りを終えたので写真を撮りました(※実際にはさらに洗濯機が加わります)。「過去の記事」でも書いていますが、携帯電話の電波の不調が目立つようになりました。この建物を取り巻くように高層ビルが次々に建てられた影響が大きいようです。また、この建物(旧居)の通信環境もVDSL方式なので、速度上の限界も見えていました。今回の場合は「引越し」と言っても、転勤や転職のためでは無く、あくまで「職住近接」です。線路の反対側に移動しただけで、旧居と新居は徒歩20分程度の距離です。しかし、職場への通勤時間を比較すると、旧居からは徒歩30分弱、新居からは徒歩10分弱と言った感じです。荷...引っ越しました

  • 一方向に伝わる電磁波

    前回の記事では、マクスウェル方程式のイメージを概観した後、真空中の条件下における電場と磁場の波動方程式を導出しました。今回は簡単のため、電磁波が「1方向(z軸方向)にのみ」伝播する場合を想定します。つまり、電場と磁場は位置(zのみ)と時間(t)の関数として扱われます。この時、電場と磁場のベクトルの発散と回転は次のように求められます。この結果を「マクスウェル方程式(真空中)」に代入すると、電場と磁場の成分について次のような関係式を得ます。上記の赤字で示したように、電場と磁場のz方向(波の進行方向)成分は変化しません。つまり、電磁波は横波であることが判ります。また、「電場のx成分と磁場のy成分」および「電場のy成分と磁場のx成分」が互いに影響を及ぼし合う関係(波動方程式)が導き出されます。電場の波と磁場の波は...一方向に伝わる電磁波

  • 電磁場のマクスウェル方程式

    実はここ数年、集合住宅の居室内で携帯電話の電波の不調が目立つようになりました。高層ビルが「雨後の筍」の如く周囲に出現していることも一つの要因ではないか、そうだとすると物理学的な背景は何か?と考えています(そもそも、電波環境の良い所に引っ越しを検討する方が先かも)。そこで、ここ最近は電磁気学を勉強し直しています。工学部(但し「機械系」)で電磁気学を履修したのは、約四半世紀前の大学1年(教養部)の頃です。当時は「ベクトル解析」に不慣れなことに加え、「電場と電束」「磁場と磁束」の概念を混同しておりました。改めて学び直すことで、ようやくイメージが掴めてきました。電磁気学の諸現象は「マクスウェル方程式」から出発して導くことができます。そして、この「マクスウェル方程式」とは電磁気に関する次の4つの方程式から構成されま...電磁場のマクスウェル方程式

  • 新潟県の冬の気象の数値実験

    今回は「新潟県の冬の気象の数値実験」の紹介です。日々の予報業務の合間を縫って、密かに進めていたものです。数値モデルは、「山形県の解析」で用いたものを「新潟県仕様」に書き換えたものです。季節風の向き(角度)や強さ(フルード数)を変えながら、相対的な降水量の分布を計算しました。この結果、佐渡島や能登半島に伴う島影効果に加えて、季節風の向きや強弱と降雪域の位置の関係も現れました。今後は日本海上に収束域が形成された場合についてもトライしたいです。新潟県の冬の気象の数値実験

  • 高田城址公園の桜

    3月25日に上越市の高田城址公園でサクラの開花が発表されました。そこで、近年(2017~2023年)の高田の気温とサクラ開花日の関係について「2月1日を起算日、開花日を終算日」として、積算最高気温の推移をグラフにしてみました。この結果、積算最高気温が600℃前後に達する段階で開花となるようです。さて、新年度の最初の週末(4月2日)は「上越市・高田城址公園」の観桜会の様子を見てきました。この週末はサクラは満開で天候にも恵まれ、まさに「お花見日和」となりました。まずは、公園へ向かう道中に見た青田川沿いの桜です。綺麗な青空をバックに、川の水面を挟む両側の土手は緑色に染まり、その上で桜の淡いピンク色が鮮やかです。公園の入り口に差し掛かると、観桜会の看板が立っていました。日本三大夜桜としても名を馳せていますが、私は...高田城址公園の桜

  • 2023年02月の降雪傾向(山形県)

    今回は、2023年1月に続き、2023年2月の山形県内の気象を振り返ってみます。まずは、山形県の今年2月の積算降雪量を平年値と比較しました(第1図)。積算値の「極大域の位置」は平年とほぼ同様でした。一方、積算値の「大きさ」を見ると、平年よりも50cm程度少ない傾向が見られました。第1図・2月の積算降雪量さらに、山形県内の地点毎に2月の旬別降雪量を今年と平年値で比較してみました(第2図)。酒田・山形は、上旬は平年よりも多く、中・下旬では平年より少ない傾向が見られました。一方、新庄・米沢は、上・中旬は平年より少なく、下旬はほぼ平年並みの傾向が現れました。また、その他の地点では、上・中・下旬を通して、平年より少ない傾向を維持しました。第2図・2月の旬別降雪量(旬毎・地点別)続いて、上空の風の流れに目を向けてみま...2023年02月の降雪傾向(山形県)

  • 寒波襲来の背景にあるもの

    2023年1月下旬に襲来した「10年に一度」の「最強寒波」の背景を探ってみます。寒波が顕著だった1月21日~25日(第5半旬)の特徴をラフに描いてみました。偏西風の蛇行が大きく、北極付近の上空ではリッジが卓越しました。一方、日本付近では広くトラフとなりました。このため、北極付近に蓄えられた寒気が日本付近に向かって放出された形となりました。つまり、対流圏内で偏西風の蛇行が大きくなり、その波動が上層の成層圏にまで伝播して「成層圏突然昇温」を引き起こした結果、対流圏でも「負の北極振動」のパターンとなりました。さらに、日本付近でトラフとなったことが寒波の襲来につながったものと考えられます。寒波襲来の背景にあるもの

  • 2023年01月の降雪傾向(山形県)

    2023年が幕を開けて、早くも1か月が過ぎました。この年の1月は変則的な冬となりました。中旬には「冬の中休み」とも言うべき、穏やかな春の陽気も感じられました。しかし、その後は「10年に1度の最強寒波」の襲来により、多大な影響を受けました。そこで、この1月の特徴を地上・高層の気象観測データを用いて振り返ってみます。輪島・秋田の高層気象観測を基に、「850hPa面の気温ヒストグラム(1月)」を作成し「平年(1991~2020年)」と「本年(2023年)」を比較しました。両地点とも今年の出現気温は、平年に比べ低温側に偏る傾向が見られました。特に秋田の「-21~-18℃」、輪島の「-18~-15℃」は先日の「最強寒波」の影響です。第1図・850hPa面の気温ヒストグラム(1月)続いて、輪島・秋田の高層気象観測を基...2023年01月の降雪傾向(山形県)

  • 「10年に一度」の「最強寒波」

    2023年1月下旬には非常に強い寒気が南下しました。この寒気を形容するために「10年に1度」や「最強寒波」というキーワードが多用されたようです。そこで、上空1500m付近の寒気について高層気象観測のデータを基に調べてみました。具体的には、高層気象観測(1991~2020年・09時と21時)を基に、輪島と秋田における「気温のヒストグラム(850hPa面・1月)」を作成しました(階級は3℃毎に設定しています)。その上で、今年(2023年)の「1月25日09時」の値を例に、ヒストグラム上の対応する階級を照合してみました。輪島と秋田における「2023年1月25日09時」の値は、いずれもヒストグラムの中でも最も左側(最も気温の低い階級)に対応していました。平年の期間(1991~2020年)の中でも「トップクラスの低...「10年に一度」の「最強寒波」

  • 冬の中休み

    2023年01月半ばの特徴をラフに描いてみました。この時期は偏西風の蛇行が大きく、日本付近はリッジ側に入りました。このため、一時的に気温が上がり、春のような陽気さえ感じられました。「梅雨(つゆ)の中休み」という言葉がありますが、この時期はさながら「冬(ふゆ)の中休み」と言った所でしょうか。しかし、この後は偏西風波動の位相が東にシフトすることで、強い寒気の南下も予想されます。気象情報に留意して、大雪などへの備えや体調管理にも注意しましょう。冬の中休み

  • 2022年12月の降雪傾向を振り返る

    謹んで新春のお慶びを申し上げます新春早々、山形県・新潟県の昨年(2022年)12月の積算降雪量を平年値(1991~2020年)と比較しました。山形県は昨年・平年共に朝日連峰で極大域となりましたが、極大域における昨年の値は平年値より1m近く増えています。12月18日~20日および12月23日の大雪の影響がうかがえます。また、新潟県の平年は山側ほど降雪量は増加しますが、昨年は中越北部~県央の降雪が顕著でした。特に魚沼付近では昨年の値が平年値より1m近く超過しました。こちらも12月18日~20日の大雪の影響がうかがえます。昨年(2022年)12月中旬は、北極付近に蓄積された寒気が中緯度地方に放出される「負の北極振動」の形となりました。さらに、ヨーロッパから日本付近にかけて偏西風が「谷ー峰ー谷」の波列となる「正の...2022年12月の降雪傾向を振り返る

  • 2022年12月23日の「顕著な大雪」

    2022年12月23日は、強い冬型の気圧配置の影響で山形県内でも顕著な降雪に見舞われました。普段は雪が少ない山形市でも「記録的な降雪」が観測され、山形地方気象台より「顕著な大雪に関する気象情報」が発表されました。第1図は、この日の山形県の24時間降雪量です。西置賜の「小国」では96cmの降雪が観測されました。また、豪雪地として名を馳せる「米沢」では降雪量が4cmと少なかった一方、普段は雪が少ない「山形」では38cmに達しました。第1図・12月23日の山形県内の24時間降雪量第2図は、2022年12月23日12時における数値予報図(気圧配置と降水量)です。日本海北部には低気圧があり、その南側では日本海寒帯気団収束帯(JPCZ)が形成されました。山形県から秋田県付近に向かって延びているのが判ります。第2図・1...2022年12月23日の「顕著な大雪」

  • 2022年12月中旬の大雪

    2022年12月18日夕方から20日朝にかけて、新潟・山形・福島の3県を中心に大雪に見舞われています。長らく続いている「ラニーニャ現象」に「負の北極振動」が重なり、さらに「日本海寒帯気団収束帯」が新潟県に延びたことが主な要因とみられます。第1図は、2022年12月18日15時における数値予報図です。日本海では等圧線が幾重にも(ひらがなの)「く」の字に折れ曲がっています。そこでは日本海寒帯気団収束帯(JPCZ)が形成されており、その向かう先で大雪の傾向があります。第1図・12/18の15時における数値予報図(気圧配置と降水量)第2図も、2022年12月18日15時における数値予報図です。この図では風向風速に注目してみます。北半球では、気圧の高い側から低い側に向かって、等圧線を右斜めに横切るように風は吹きます...2022年12月中旬の大雪

  • いよいよ冬の到来か

    天気図を見ていると、いよいよ冬の到来と思えるような状況が見えてきました。この日は低気圧や前線の接近に伴って、南西から暖かい空気も流れ込んだため、季節外れの陽気となりました。また、気圧の傾きも大きくなったため、風が強まりました。低気圧や前線が通過した後は、日本付近は冬型の気圧配置となりました。日本列島を境に南側では暖気、北側では寒気のコントラストが明瞭となっています。また、日本海上に形成された収束帯を境に、南側では西よりの風、北側では北寄りの風となっています。その上空の寒気も南下しています。この寒気が日本列島を広く覆うようになると、いよいよ冬の到来を実感できそうです。空模様も気温も目まぐるしく変わりそうです。いよいよ冬の到来か

  • 2022年11月も半ばを過ぎて

    ここ最近(2022年11月半ば)のラニーニャの影響と偏西風の蛇行、および成層圏の極渦をイラストに整理してみました。今年の梅雨に影響を及ぼした「負のIOD(インド洋ダイポールモード現象)」は減衰しつつあるようです。一方、相変わらずラニーニャ現象は続いており、熱帯の活発な対流の位置が平年より西側にシフトしています。また、偏西風(Jp)の蛇行も「負のEUパターン」となっています。この両者の影響が絶妙に合わさって、今の所は日本付近での寒気の南下はそれほど顕著ではないようです。・・・とは言え、今後の上空の動きからは目が離せません。冬の成層圏では北極付近は「極渦(低気圧性循環)」が広がります。しかし、この極渦は対流圏から伝播する波動(プラネタリー波)の影響で型崩れしやすく、夏の高気圧性循環に比べて不安定な一面を持って...2022年11月も半ばを過ぎて

  • 弾性波の支配方程式

    前々回の記事では「連続体の運動方程式」を導出しました。続いて、前回の記事では「流体力学の方程式」を導出しました。そこで、今回は「弾性体における運動方程式」と導出し、さらに弾性体を伝わる波(弾性波)の支配方程式(波動方程式)を導いてみます。まずは「弾性体の運動方程式」を導出します。今回使用するのは次の4つの式です。前回の記事と同様に、「加速度の定義式」と「弾性体の構成方程式(フックの法則=応力とひずみの関係式)」を「運動方程式」に代入します。弾性体の場合は、変位勾配が小さいと考えられるため、加速度の式(ラグランジュ微分)の非線形項を無視できると考えます。つまり、加速度はそのまま「変位を時間で2階微分したもの」として扱います。後は式を整理して「弾性体の運動方程式」の形が現れます(下図・緑枠)。もし、加速度が無...弾性波の支配方程式

  • 流体方程式の導出

    前回の記事では「連続体の運動方程式」を導出しました。そこで今回はさらに「粘性流体の構成方程式」と「非圧縮性流体の連続の式」を適用することで、流体力学の方程式を導きます。まずは「ナビエ・ストークス方程式」を導出し、その後は簡単な条件を設定することで「ベルヌーイの定理」を導出します。今回使用するのは次の4つの式です。まずは、「加速度の定義式」と「粘性流体の構成方程式(応力と速度の関係式)」を「運動方程式」に代入します。その後、一部の項が「連続の式」の形となって消去されます。この結果、「ナビエ・ストークス方程式」の形が現れます。続いて、ベルヌーイの定理を導いてみましょう。次図のx‐z系において、青い流線で表される流れを想定します。ここでx軸は水平方向、z軸は鉛直方向に対応し、重力はz軸の負の方向に働くと仮定しま...流体方程式の導出

  • 連続体の運動方程式

    今回は「連続体力学」の話題です。固体も流体も、力学的には「連続体」として統一的に扱うことができます。なお、この記事では「専門書」のような厳密かつ精密な理論展開ではなく、ざっくりとした「思考の流れ」を扱います。まずは、ある物質の塊を考えてみます。さらにこの塊に外から力(外力・荷重)Fを加えてみた所、変形しました。そんな状況をイメージしてみましょう。この変形した塊の内部では、外力Fとは異なる力(内力)が分布しています。塊を仮想的に切断してみると、その切断面上では様々な内力Pが分布しています。この中のほんの一部(ΔA)に着目すると、このわずかな面積に対してわずかな内力(ΔP)が作用しています。この時の「面積に対する内力」のことを応力と言います。もう少し詳しく見てみましょう。微小面積ΔAに対する微小内力ΔPの向き...連続体の運動方程式

  • 山形県内における冬季気象の3次元解析の試み

    つい先日に「ニューラルネットワーク」の話題を掲載したばかりですが、今回は「熱流体数値モデル」の話題です。遡ること「7年前」の2015年2月に「山形県内における降雪域形成の数値シミュレーション」と題して研究発表を行いました。この中では、冬の北西季節風が弱い場合と強い場合の山形県内の降雪域の分布の違いについて明らかにしました。(左:季節風が弱い場合右:季節風が強い場合)この時点では、計算自体は3次元で実施していましたが、可視化は2次元に留まっていました。今回はこの数値モデル(2015年版)の計算結果を基に「3次元アニメーションGIF」を作成しました。下記の画像では凝結域が白く表示されます。左側:季節風が弱い場合(拡大)右側:季節風が強い場合(拡大)アニメーション下の「(拡大)」をクリックして頂くと、各図単体の...山形県内における冬季気象の3次元解析の試み

  • 学会誌9月号届く

    昨日、(公社)日本気象学会の機関誌「天気」9月号が届きました。今回、私の調査ノート「ニューラルネットワークを用いた山形県内の気温および降雪量の予測実験」が掲載されています。実に7年振り・2報目の「ニューラルネットワーク論文」となりました。これまで「ニューラルネットワーク」を用いた気象モデルの研究を報告してきましたが、その全てにおいて入力値・出力値共に「観測値(を基にしたデータ)」を使用しておりました。このため局地予報への応用の観点から、入力値に「数値予報データ(GPV)」を用いた取り組みについての期待も頂いておりました。しかしながら、「ニューラルネットワーク」の技術的な課題に直面しており、なかなか「この壁」を超えることができませんでした。そもそも「ニューラルネットワーク」を構成する素子「人工ニューロン」は...学会誌9月号届く

  • フェーン現象と海陸風

    総観スケールで南寄りの風の場となる時、北陸地方など日本海側の平野部ではフェーン現象に伴う気温上昇が顕著になることがあります。さて、新潟県内でフェーン現象による昇温が顕著になるのは、風向が主に南東~南寄りとなる場合です。一方、西南西~南西寄りの風になると、気温の上がり方は緩やかになる傾向があります。この他にも、フェーン現象の影響が限定的になるケースがあります。まずは、2022年9月5日・正午の新潟県内の気温と風の分布です。北陸地方では南風に伴うフェーン現象が発生する一方、上越地方の沿岸部では海風の方が顕著となりました。この付近ではフェーンの弱化(フェーンブレイク)が見られました。南風をもたらす総観場の気圧傾度より、海風をもたらす気圧傾度の方が大きいようですね。続いて、翌日の9月6日・正午の新潟県内の気温・風...フェーン現象と海陸風

  • 2022年8月3日の山形県置賜地方の大雨(2)

    前回の記事の続きです。今回は、アメダス観測値を基に降水量と風の流れ(流線)の解析を試みました。これは不規則に散在するアメダス観測値をIDW(逆距離加重)法で格子状に規則正しく内挿・外挿して解析するものです(ちなみに、プログラムはpythonで書いています)。まずは、8月3日の山形県周辺の24時間降水量分布を解析しました。前回と同様に、山形県南部の置賜地方が明瞭な極大域となっています(手書きで書くよりも詳細な分布の特徴が判ります)。続いて、同日18時・21時の風の流線を解析しました。この結果、置賜地方で西寄りの風と南寄りの風の収束域が形成された後、村山・最上地方を経て庄内地方から海へ抜ける流れが現れました。西寄りの風に伴って、西置賜(小国周辺)は水蒸気の流入を直に受ける形となりました。また、西北西に傾くこと...2022年8月3日の山形県置賜地方の大雨(2)

  • 2022年8月3日の山形県置賜地方の大雨

    2022年8月3日は山形県内で大雨に見舞われました。さらには、一時的に大雨特別警報が発表されるに至りました。まずは、被害にあわれた皆様に、お見舞いを申し上げます。雨の状況を概観するために、この日の山形県内の24時間降水量の分布を見てみましょう。山形県南部の置賜地方が明瞭な極大域となっています。例えば、南東部の米沢では239mmが観測されています。参考までに米沢の平均的な雨温図を見てみると、夏場は1か月で150mm程度の降水です。1日の間に1か月半の雨に相当する降水があったことになります。この大雨の背景として、梅雨末期のような前線が山形県置賜の北側に停滞したことが挙げられます。その上空では南西から暖かく湿った空気も流入し、大気の不安定化が進みました。一方、水蒸気が持続的に供給され湿潤場が形成されました。また...2022年8月3日の山形県置賜地方の大雨

  • 梅雨の戻りと「シン・梅雨前線」?

    さて、2022年の梅雨は短く「観測史上最早の梅雨明け」となりました。これに伴い、非常に厳しい暑さが続いておりましたが、今度は「梅雨の戻り」の様相を呈してきました。ラニーニャ現象と負のIOD(インド洋ダイポール現象)の影響で熱帯の対流の位置がシフトしたのに加え、偏西風も大きく蛇行した結果、チベット高気圧やオホーツク海高気圧が顕著となっているように見受けられます。また、オホーツク海高気圧と南下した太平洋高気圧の間に現れる湿潤域と暖湿気流に伴い、雨が降りやすくなっているようです。その背景について簡単な模式図を描いてみました。(1)ラニーニャ現象の影響で、熱帯の対流の位置は西側(概ねフィリピン付近)にシフトします。(2)負のIOD(インド洋ダイポール現象)の影響で、熱帯の対流は概ねフィリピン付近にシフトします。負...梅雨の戻りと「シン・梅雨前線」?

  • 観測史上最早の梅雨明け

    2022年の「梅雨」はアッという間でした。北陸地方は6月28日に「梅雨明け」が発表され、翌29日には東北南部でも「梅雨明け」が発表されました。特に、6月下旬は「太平洋高気圧」の勢力が特に強く、その勢いで梅雨前線も押し上げられてしまったようです。その背景について簡単な模式図を描いてみました。ポイントを簡単に書くと・・・(1)ラニーニャ現象の影響で熱帯域の活発な対流が西側(フィリピン付近)にシフト。(2)この対流の上空では顕著な発散場となるため、その北側を流れる偏西風がさらに北にシフト。(3)偏西風が大きく蛇行して持続し(シルクロードパターン)、太平洋高気圧も西側に勢力拡大。(4)正のPJパターン(フィリピン付近で対流が活発になり、日本付近の高気圧が強化)が成立。(5)太平洋高気圧に押し上げられて、梅雨前線の...観測史上最早の梅雨明け

  • 梅雨なのに…猛暑日

    今日(6/24)の新潟県内は、厳しい暑さに見舞われました。最高気温35℃以上を観測した地点を挙げてみますと・・・・十日町:37.1・大潟:37.0・小出:36.9・糸魚川:36.8・高田:36.7・安塚:36.5・柏崎:36.1・長岡:35.8・湯沢:35.4・津南:35.2・三条:35.1・守門:35.0正午時点の新潟県内の気温分布を見てみますと、上・中・下越の広い範囲で30℃を超えており、特に上越地方を中心に35℃を超えている地域が見られました。今日は日本海の低気圧や前線に向かって、太平洋高気圧の縁辺から顕著な暖気が流れ込んでいました。上空では1500m付近で18℃以上の暖気となっており、これは地上で30℃以上の目安でもあります。さらに、暖気の流れが山を乗り越える際の「フェーン現象」の影響も加わったた...梅雨なのに…猛暑日

  • 4種類の線状降水帯

    暦も6月に入り、梅雨前線の季節が近づいてきました。豪雨などの大雨に伴う被害が未然に防止されることを願って止みません。梅雨の時期はやはり「大雨」が気になります。集中豪雨のような大雨において重要な要因は、下層約1kmまでの範囲内に含まれる水蒸気量です。また、大雨がもたらされた結果、その上空3km程度の高さで湿舌が形成されます。さて、暖かく湿った空気が流れ込む等の要因で、大気の状態が非常に不安定になると、活発な対流が起こりやすくなります。このような場において、地形の影響等から誘発された上昇気流に伴って積乱雲が発生します。そして、様々な条件が重なると、積乱雲が列を成すような線状の激しい降水域(線状降水帯)が形成されます。今回は、線状降水帯の主な4つのパターンについて簡単なイメージを描いてみました。(1)バックビル...4種類の線状降水帯

  • オメガ方程式のイメージ

    気象予報士試験の勉強では必ず登場する「オメガ方程式」。その姿は見る者を圧倒します。少し解りやすくするために、次の2つの式を適用するとこのように書き直すことができます。鉛直運動(鉛直流の分布)は「渦度移流の鉛直シア」と「温度移流」によって生じる、という意味です。また、上の式には書いておりませんが、「非断熱効果」を加えることもあります。数式自体が長く、複雑な形をしているので、その意味するイメージを描きにくいのが特徴です。試験対策としては、「鉛直流」の要因を考える際は「渦度移流の鉛直シア」「温度移流」あとは「非断熱効果」に着目する、と言うことを押さえておけばよいでしょう(実際、私がそうでした)。この記事では、「ごく簡単な条件」を想定することで、この複雑・難解な「オメガ方程式」のイメージを読み解いていきます。例え...オメガ方程式のイメージ

  • 水平温度場の変化と鉛直循環を結ぶQベクトル

    1か月ほど前の記事「前線形成と鉛直循環の励起」では、水平面上において地衡風による温度場(温位場)の変化が生じると、二次的な鉛直循環が励起されることを紹介しました。そして、この鉛直循環は、地衡風による温度場(温位場)の変化によって生じた温度風バランスの崩れを解消する(基に戻す)働きを持っていました。水平面で地衡風の収束が生じ、フロントジェネシス(前線強化・温位傾度が増大)を生じると、鉛直面ではフロントリシス(前線消滅・温位傾度が減少)の二次循環を生じます。一方、水平面で地衡風の発散が生じ、フロントリシスを生じると、鉛直面ではフロントジェネシスの二次循環を生じます。このような「水平面上の温度場(温位場)の変化」と「鉛直循環の発生」を関連付ける指標として「Qベクトル」が用いられます。Qベクトルの定義は、主に次の...水平温度場の変化と鉛直循環を結ぶQベクトル

  • ジェットストリークと鉛直循環の励起

    先日の記事「前線形成と鉛直循環の励起」では、下層の水平面上における前線の形成や消滅に伴って、鉛直面上にも二次循環が現れる、と言う話題に触れました。そこで、今回は上空の水平風の強弱に伴って生じる鉛直循環の話題に触れたいと思います。上空のジェット気流の中で、特に風速の大きい領域を「ジェットストリーク」と言います。次の図では、ある等圧面上のジェット気流の様子を模式的に表してみました。左側が西(風上)、右側が東(風下)に相当します。等圧面高度は下(南)から上(北)に掛けて低下します。ジェット気流を流れる空気塊に着目すると、北向きに気圧傾度力、南向きにコリオリ力が働いており、この両者が釣り合った地衡風となっています。(1)の段階では等高度線の間隔は広く、(2)の段階に進むとその間隔が狭くなっています。その後、(3)まで進...ジェットストリークと鉛直循環の励起

  • pythonで単振動のシミュレーション

    最近、プログラミング言語「python」の勉強を始めました。最近、「python」が流行っているという話を聞いており、何やら人工知能の分野での活用も進んでいるというので興味を持ちました。まずは「Pythonゼロからはじめるプログラミング」の公開資料で一通り「基本的な文法」を学びました。そして今度は手始めに、簡単な単振動のシミュレーションのプログラムを試作してみました。さて、単振動の定義はネット上にも多く解説されています。上の図は一つの例ですが、概ね次のようなイメージです。(1)水平な床の上に、一端を固定されたバネを用意する(バネ定数:k)。(2)バネの固定されていない端に、おもり(質点)を取り付ける(質量:m)。(3)おもりをずらしてバネを自然長(x=0[m])からr[m]だけ伸ばし、その位置でおもりを離す。(...pythonで単振動のシミュレーション

  • 前線形成と鉛直循環の励起

    前回の記事「前線形成関数を構成する4要素」の続編です。前回の記事で述べたように、前線付近では温位傾度は増大します。このため、等圧面における温位傾度の時間変化で定義される「前線形成関数」を用いて、温位傾度の変化を評価します。今回は、水平面上の温位傾度の変化によって励起される「二次的な鉛直循環」(ソーヤー・エリアッセンの鉛直循環)について扱います。以下、フロントジェネシス(温位傾度が増大)する場合と、フロントリシス(温位傾度が減少)する場合について各々考えてみます。【(1)フロントジェネシスに伴う直接循環の励起】①初期状態等温位線は水平面上には横向きに、鉛直面上では傾斜している状態を想定します。また、水平面上では手前側が暖気(高温位)、奥側が寒気(低温位)に相当します。また、赤矢印は上層・下層における相対的な風速を...前線形成と鉛直循環の励起

  • 前線形成関数を構成する4要素

    (1)2次元流れの変形・渦度・発散2次元の流れを考える上で、流体のある微小片に着目すると、この後の変化の仕方は大きく4つのパターンに分類することができます。ここで、微小片の変形前を灰破線の正方形、変形後を黒実線、また変化に伴って微小片が動く方向を赤矢印で表現しています。【左上・合流変形】一方の軸方向に縮む一方、もう一方の軸方向に伸びるような変形です。上の図では微小片に向かって、上下からの流れが合流し、その後左右の両側に広がっています。この場合の横軸(黄緑色)を拡大軸と言います。【右上・シアー変形】合流変形が縦横の軸から傾いた形です。上の図では微小片に向かって、左上と右下からの流れが合流し、その後左下と右上の両側に広がっています。この場合の左下から右上に向かう傾斜した軸(黄緑色)が拡大軸になります。【左下・渦度】...前線形成関数を構成する4要素

  • 2022年度の幕開け

    新年度、あけましておめでとうございます2022年度が幕を開けました。昨年11月半ばから続いた約4か月半に及び降雪予報期間もようやく終わり、安堵した心境で新年度を迎えています。さて、現在は「データサイエンス」の分野が脚光を浴びています。昔のプログラミング言語の一つである「FORTRAN」が主流だった頃は、「科学技術計算」という言葉がありました。「データサイエンス」も本質的には「科学技術計算」の延長上にありますが、想定される対象分野がより広がっているものと認識しています。しかし「対象を『数理モデル』の形に表現し、将来の予測に役立てる」という基本は変わらないでしょう。また、「数理モデル」の構築に際しては「4種類の表現」を使い分ける必要があります。それは「言語」「イメージ」「数式」そして「プログラミング」です。対象を「...2022年度の幕開け

  • そろそろ年度末

    2021年度も残す所、あと半月となりました。毎度のことながら、年度替わりの時期は何かと異動の知らせも賑やかに感じております。三月末を以って「卒業」など、それまでの活動に終止符を打ち、この四月から新生活・新しい門出を迎えられる方も多いのではないかと思います。まずは、お疲れ様でした(ちょっと早いかな)。私も昨年11月半ばから続いている降雪予報期間のゴールが近づいてきました。さて、昭和から平成、平成から令和に移り変わるにつれて、世の中の在り様は怒涛の如く変化しています。まさに「VUCA時代」と言う言葉に象徴されるように、従来の常識を覆すような社会変化が次々と起こっており、今となっては「将来」を予測するのが困難な状況です。この「VUCA(ブーカ)」とは「Volatility:変動性,Uncertainty:不確実性,C...そろそろ年度末

  • 春の訪れと積算最高気温

    暦は3月を迎え、いよいよ春の足音が聞こえてみました。さて、この時期に参考になる積算最高気温の目安として次のようなものがあります。・1月1日から日々の最高気温を足して、300~350℃が東日本で花粉飛散が始まる目安。・2月1日から日々の最高気温を足して、600℃がサクラの開花時期の目安。そろそろ花粉も飛び始めているようです。気温も上がってきているので、サクラの生育も進みそうですね。春の訪れと積算最高気温

  • このブログについて ~いまさらながらのトリセツ~

    【1.はじめに】この記事は、主に「はじめてこのブログに訪れた方」のための内容です。このブログは「2005年12月27日」に開設されました。従って、この記事を上げる時点で既に「17年目」となります。最近は様々な検索を通じてアクセス頂くことが増えてきたため、あらためてブログの説明を上げることにしました。私にとってこのブログは「サイバー空間における落書きのようなもの」です。特にこれと言った「コンセプト」を決めず、徒然なるままに書き綴る方針を貫いています。更新頻度や記事の内容も、気が向いたときに、書きたいことを、書きたいように書いています。記事の内容も、自分の勉強や思索に関する「メモ書き」「雑感・つぶやき」と言ったものから、「人生の記録」と言ったものまで様々なジャンルを含んでいます。また、かつて理解するのに苦労した物理...このブログについて~いまさらながらのトリセツ~

  • 卒業シーズン

    出勤途中に見かける専門学校。今朝は卒業式の看板が掲げられていました。そういえば、卒業シーズンなのですね。折しも、コロナ禍に伴う社会不安や経済活動の停滞、さらに最近では深刻な国際情勢も加わり、果たして「世界はどこへ向かおうとしているのか」と、将来に対しての見通しも立たない状況の真っただ中です。それでも、前に進まなければなりません。卒業される皆様にとって、学生生活の日々を「充実して過ごすことができたのか」との懸念はあります。校舎での集団授業や実習・課外活動などにも大きな制約があり、思う存分にスクールライフを堪能できなかった所もあるのではないかと推察します。状況によっては、学友や教職員との交流も余りできなかったかも知れません。しかし、学生時代よりもその後の人生の方が遥かに長いのもまた事実です。学習環境が発達した現在で...卒業シーズン

  • Seeing the international situation

    What'stheraisond'êtreoftheUnitedNations?ItseemsthatU.N.doesnotplayanyimportantroleforthepeace.Seeingtheinternationalsituation

  • 山形県内の積雪(2022月2月22日現在)

    2022年2月22日11時現在の山形県内の積雪深です。朝日連峰を中心に200~250cm以上の極大域となっており、広い範囲で100cm以上の積雪となっています。一方、沿岸部および内陸部の山形~左沢周辺は100cmを下回っているようです。積雪の多い地域では、屋根からの落雪や雪崩の発生に御注意下さい。山形県内の積雪(2022月2月22日現在)

  • 2022年1月の降水量と降雪量(山形県)

    山形県内における1月の降水量の分布について、平年値と2022年の場合を比較してみました。この結果、両者とも飯豊連峰から朝日連峰の付近で極大域となる特徴はよく一致しています。一方、最上地域と東南置賜地域の2022年の降水量は、平年値より多くなりました。新庄は平年比115%、尾花沢は同123%、米沢は同134%でした。また、降雪量の分布についても同様に、平年値と2022年の場合で比較してみました。こちらも飯豊連峰から朝日連峰の付近で極大域となる特徴はよく一致しています。一方、最上地域の2022年の降雪量は、平年値より多くなりました。2022年1月の降水量と降雪量(山形県)

  • 冬型の気圧配置に伴う降雪量と降水量

    先週11日(火)夜遅くから15日(土)朝にかけて「冬型の気圧配置」が続きました。この影響で山形県内でも積雪の増加が進みました。この5日間降雪量の分布を描いてみると、朝日連峰から飯豊連峰の付近では80cm以上の極大域となりました。また吾妻連峰や神室山地の付近でも60cm以上の降雪が観測されました。続いて、1月11日(火)~15日(土)の山形県内の降水量の分布も描いてみました。朝日連峰から飯豊連峰の付近と吾妻連峰や神室山地の付近で降雪・降水の極大域となったことが窺えます。特に朝日連峰から飯豊連峰の付近では、降水量で80~100mm以上の水準に達しました。冬型の気圧配置に伴う降雪量と降水量

  • 相次ぐ寒波と山形県の降雪

    いよいよ雪のシーズンも本格的になってきました。今回は先の週末(12月25日~26日)のその前の週末(12月18日~19日)の山形県における降雪事例を取り上げてみたいと思います。12月18日は冬型の気圧配置が強まり「山雪型」のパターン、19日は日本海上に小低気圧が現れる「里雪型」のパターンとなりました。酒田上空1kmの風を見ると「山雪型」では強い西北西の季節風となる一方、「里雪型」では季節風が弱く対照的な傾向が明らかでした。山形県内の各日の降雪量の分布を見ると、18日は上空の風が強く「C字型」、19日は上空の風が弱く「I字型」の特徴が現れていました。なお、「I字型」「C字型」については過去の記事を御参考下さい。12月25日~27日にかけて、日本海寒帯気団収束帯(JPCZ)は近畿地方に向かって延びた一方、山形県はそ...相次ぐ寒波と山形県の降雪

  • 2021年1月の上越の大雪を振り返る

    この週末は本格的な降雪となりました。現在はラニーニャの状態が続いています。北極振動も次第に正から負に転じ、冬型の気圧配置も強まりました。さて、昨シーズンに遡る事2021年1月7日~11日は上越を中心に大雪となりました。この時は「ラニーニャ現象」および「負の北極振動」に加えて「日本海寒帯気団収束帯」も新潟県に延びる形となり、さらに「この気圧配置が持続した」ことが、その背景にありました。まずはこの5日間の新潟県内の降水量の分布を見てみましょう。上越市高田周辺では200mm以上、新潟市秋葉区の新津周辺では100mm以上の極大域となっています。続いて、この5日間の降雪量と1月の降雪量(1か月分)の平年値を比較してみましょう。新津では5日間で平年の1か月分相当、高田では平年の1か月分を大幅に超える降雪に見舞われました。ま...2021年1月の上越の大雪を振り返る

  • 温室効果の仕組みをどのように理解するか

    今回は、前回の記事「気候変動の背景をどのように理解するか」の続編になります。前回は、平均気温の上昇傾向を取り巻く背景について、メモを記載しました。そこでは「人間活動に伴う温室効果ガスの増加がトリガーとなり、水蒸気フィードバックを通じて気温上昇に寄与している」との考え方を示しました。しかしながら、肝心の「温室効果」そのものには触れておりませんでした。そこで今回は「温室効果」にスポットを当てて、メモの続きを書き記したいと思います。今回の前半は「マクロの視点」で放射平衡と大気層の影響に着目し、後半では「ミクロの視点」で赤外吸収と分子の動きに着目します。【マクロの視点(温室効果とは何か)】物体が発する熱が電磁波の形となって伝わる現象を「放射」と言います。太陽から発せられる放射(太陽放射)は地球にも降り注ぎ、地球上の大気...温室効果の仕組みをどのように理解するか

  • 気候変動の背景をどのように理解するか

    私は本来「ローカル気象」を専門としています。気候変動のような「グローバル気象」の問題とは対極にあります。しかし、最近は何かと「独自の見解」を問われることが多くなりました。いわば「必要に迫られて」勉強しているようなものです。また、気候変動などのグローバル気象は、関係する専門分野が余りにも広大で、またバラエティに富む議論も盛んに行われております。そこで、それらの理解のための一つの「取っ掛かり」や「たたき台」として、ここにメモを書き記します。私もそうですが、読者各位の勉強の一助となれば幸いです。まずは、世界と日本の気温の変化を見てみましょう。気象庁HPに掲載されている観測データを基に、直近130年程度の年平均気温偏差の変化をグラフに表してみました。このグラフからは確かに気温上昇の傾向(上昇トレンド)が認められます。小...気候変動の背景をどのように理解するか

  • 自家用乗用車を全てEV化した場合の電力は?

    昨今、ガソリン車を廃止してEV車を普及させるという動きが現れています。確かにEV車が普及すれば、自動車からのCO2排出は無くなるので、その意味では「クリーン」と言えるでしょう。しかし、EV車を動かすためには電気(電力)の供給が必要です。つまり、CO2が自動車の排気口から排出されるのか、発電所から排出されるかの違いであり、いずれにせよ大なり小なりCO2は排出されるのではないか、とふと疑問に思うのです(今回はこの疑問は横に置いておきます)。とは言え、今後EV車が普及するのであれば、電力需要が高まるのは必至です。そこで、今回は国内の自家用乗用車が全てEV車に置き換わった場合の電力需要を概算してみます。簡単のため、国内のガソリン乗用車を「1台の乗用車」に集約して考えます。この乗用車が長距離を走行することで、大量のCO2...自家用乗用車を全てEV化した場合の電力は?

  • ノーベル物理学賞2021

    【ノーベル物理学賞に真鍋氏温暖化予測、気候モデル開発(日本経済新聞)】https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC055BF0V01C21A0000000/気象・気候分野の研究では初の「ノーベル物理学賞」のニュースに、気象関係者の間でも歓喜の声が上がっています。【ノーベル賞公式サイトより】https://www.nobelprize.org/prizes/physics/2021/manabe/facts/今回の受賞理由は「地球気候の物理的モデリング、変動性の定量化、および地球温暖化の確実な予測」とのことです。地球気候の物理的モデリングである「大気・海洋結合モデル」は、今や気象・気候分野の研究の礎となっています。このモデルを活用することで、気候変動の様々なメカニズムについて研究...ノーベル物理学賞2021

  • 引き続き、用心しましょう。

    今回は、8月9日と10日の記事の続報です。連日のように陽性確認者の数が報じられています。前回同様に、1週間毎(日曜日~土曜日)の陽性数と検査数を集計し、時系列にまとめてみました。まずは全国の傾向のグラフに表示します。赤の陽性数・青の検査数ともに、今年(2021年)7月半ば以降に急増していることが判ります。この急増は、先の年末年始(2020-2021)にピークを迎えた第3波や、ゴールデンウィーク(2021)にピークを迎えた第4波を超える勢いです。さらに、週当たりの「検査数に対する陽性数の割合」をグラフに表示しました。今年(2021年)の6月までは高くても10%前後の水準でしたが、7月半ば以降は上昇傾向が顕著に現れました。「8/15~21」の週で19%にまで達し(ピーク)、翌「8/22~28」の週で17%まで下がり...引き続き、用心しましょう。

  • 真夏に二つの高気圧の背景

    8月の気圧配置と言えば「日本付近は太平洋高気圧に広く覆われる」形(夏型の気圧配置)が連想されます。しかし、最近の気圧配置は「日本付近がオホーツク海高気圧と太平洋高気圧に挟まれる」ような形となっています。最近の大気の循環場を見ていると、次のような構図が「おぼろげながら」浮かんできました。熱帯付近の活発な対流が平年より北上しているようです。この影響で、偏西風の蛇行も日本上空で北に盛り上がる形となっています。この偏西風の盛り上がり(リッジ)に伴って、日本の北側でオホーツク海高気圧が顕著に現れました。一方、太平洋上空では偏西風が南に盛り下がり(トラフ)、この影響で太平洋高気圧もやや南下傾向にあるようです。真夏に二つの高気圧の背景

  • 梅雨末期のような「秋雨前線」

    お盆の時期となりました。人の移動に伴うCOVID-19の感染拡大も気になる所ですが、秋雨前線の動向にも注意が必要です。まるで「梅雨末期の大雨」を彷彿とさせる状況です。関係機関から発表される気象情報・防災情報をこまめに確認することを心掛けましょう。【参考になりそうな過去記事】・3種類の線状降水帯・バックビルディング型の線状降水帯・梅雨前線の構造・湿舌と梅雨前線梅雨末期のような「秋雨前線」

  • 用心を心掛けましょう(続き)。

    「昨日の記事」の続きです。新潟・山形・宮城・福島の4県について週毎(日~土)の新規陽性数の推移を調べてみました。ここでは、新規陽性数を県人口10万人当りで表記しています。グラフによると7月下旬以降の増加傾向が顕著です。最新の週(8月1日~8月7日)の時点では、概ね2020年度末および2021年5月連休の頃と同様の水準となっています。ただ単に「本日、新たに何名の陽性が確認されました」と言うだけでなく、このような形で表すことで客観的に状況を理解することができます。※各県の人口は日々変化しておりますが、ここでは簡単のため対象期間の人口は次の値で一定と扱っています。・新潟県:2195068人(令和3年1月1日現在・推計)・山形県:1057762人(令和3年7月1日現在)・宮城県:2283301人(令和3年7月1日現在)...用心を心掛けましょう(続き)。

  • 用心を心掛けましょう。

    連日のようにPCR検査の陽性確認者の数が報じられています。関連する情報は厚生労働省のオープンデータのページでも公開されており、CSV形式でダウンロードすることもできます。https://www.mhlw.go.jp/stf/covid-19/open-data.htmlさて、報道では「新たに何名の陽性が確認されたか」が強調されています。しかし、その陽性数の母数に相当する「検査数」を見ることも大切です。例えば、新たに100人の陽性が確認されたとして、1000人検査した内の100人なのか、10000人検査した内の100人なのかでは、そのインパクトが10倍異なります。そこで、1週間毎(日曜日~土曜日)の陽性数と検査数を集計し、時系列にまとめてみました。ここでは全国の人数を扱います。赤の陽性数の推移をみると、現在は5つ...用心を心掛けましょう。

  • 暑い日が続いております。

    猛暑日とも言えるほどの暑い日が続いております。最近の当地(北陸地方の日本海側)の非常に厳しい暑さは、直接的な要因としては「台風や熱帯低気圧に伴う南からの暖かく湿った空気の流入やフェーン現象の影響」とも言えるでしょう。しかし、その背景をさらに探ると「熱帯の活発な対流が北に寄っている」ようにも見えます。この影響で偏西風が北上し、高気圧が北日本で顕著となる傾向が見られます。この結果、日本付近の海面水温も平年よりも高めで推移しています。台風や熱帯低気圧にとっては勢力を維持しやすい環境となっているので、その点も気掛りです。暑い日が続いております。

  • キキクル(危険度分布)

    台風8号の動きが気になります。気象庁HPの「キキクル(危険度分布)」は、土砂災害・浸水害・洪水害の危険度(5段階)が色別で地図上に表示されます。自分の住んでいる地域の危険度を把握し、避難行動などにお役立て下さい。キキクル(危険度分布)

  • 火力発電の様々な方式

    梅雨明けしたと思ったら、一気に真夏の暑さが続いています。過去の記事「電力需要と気温の関係」でも紹介しましたが、夏場は気温が高くなると電力需要も増加します。冷房を稼働するために多くの電力を用います。そこで、今回は主な火力発電の方式ついて書いてみます。学生時代は工学部機械系に在籍し「工業熱力学」も勉強していたので、熱サイクルの観点から興味深い話題です。現在の火力発電は大きくわけて3種類の方式があります。・蒸気タービン発電高温・高圧の蒸気の流れによりタービンを回す。熱サイクルは「ランキンサイクル」がベース。・ガスタービン発電(GT)高温・高圧の燃焼ガスの流れによりタービンを回す。熱サイクルは「ブレイトンサイクル」がベース。・複合サイクル発電(GTCC)ガスタービンの排ガスの余熱で蒸気タービンを駆動。熱サイクルは「ブレ...火力発電の様々な方式

  • 階段を昇る

    5月の記事で軽く触れましたが、去る4月18日に「情報処理技術者試験」を受験しました。受験区分は「応用情報技術者(AP)」です。四半世紀近くも前に「第2種情報処理技術者試験」(現在の「基本情報技術者(FE)」に相当)に合格して以来の挑戦です。午前試験の勉強では最近のIT分野の知識を学び、午後試験の勉強では情報処理に関する業務を疑似的に体験できました。2年ほど前にAPを受験した時は、午後試験があと一歩及ばず「サクラチル」に終わりました。そして、本日の正午に合格発表が行われました。結果は「サクラサク」。また一つ、大人の階段を昇りました。とは言え、技術研鑽に終わりはありません。これからも勉強は続きます。階段を昇る

  • 梅雨入り前の真夏日

    今日(2021-06-11)昼前の時点で、新潟県内の広い範囲で30℃前後の高温が観測されています。まだ「梅雨入り」の発表前なのですが、まるで真夏のような暑さとなっています。気圧配置を見ると、日本に東に中心を持つ高気圧に覆われています。上空では暖かい空気が広がる一方、この高気圧の東進に伴って「南西寄りの風」から「南東寄りの風」の場に推移しつつあるようです。このような「南東寄りの風」の場合、南からの暖かい風が山を乗り越えて流れ込む、いわゆる「フェーン現象」のため、新潟県内では気温上昇の傾向が顕著に現れます。梅雨入り前の真夏日

  • 海外のニュース動画

    実はここ数か月、テレビ番組を視聴していません。ニュースは、国内外のオンラインニュースや動画配信、SNSの公式アカウントなどを経由して見ています。インターネット経由の場合、テレビ番組としてはお目にかかることのできない「独立系メディア」(大紀元・エポックタイムズなど)や「海外のニュース番組」も視聴できるので面白いです。海外のニュース番組は、主に米国のNTDのYoutubeChannelを視聴していますが、もちろん全て「英語」なので専ら映像と字幕だけが便りです。しかし、同じ内容を日本語で報じる番組や、語学に強い「ニュース系Youtuber」の方もいらっしゃるので、様々な情報や解説を組み合わせて概要を把握することができます。現在では「情報を発信すること」自体は、既存メディアの専権事項ではなくなっています。必要な機材を安...海外のニュース動画

  • 春の学会も終わりました。

    日本気象学会2021年度春季大会も閉幕しました。そこで、今回の体験録です。前回(2020年度秋季大会)の体験録はこちらも併せて御参考下さい。(1)リモート形式のオーラルセッションオンライン学会のオーラル形式の発表(口頭講演)を見学すべく、半年ぶりにzoomに接続しました。実は学会参加中でも「通常業務」から離れられないので、業務の傍らイヤホン経由で講演を拝聴していました。学会発表を「ラジオ」のような形で聞き流していました。発表スライドもチラ見はするのですが、やはり、詳細の研究内容は後で「オンデマンド講演」のポスターで閲覧しました。この「オンデマンド講演」とは、次のような感じで発表と討論を進める形式です。(1)発表者は予め、Web上に発表資料をアップロード(2)参加者は興味のある発表の資料を閲覧・コメント等を書き込...春の学会も終わりました。

  • 梅雨入りの便り

    「令和3年の梅雨入りと梅雨明け(速報値)」(気象庁HP)を見ると、梅雨入りの便りもちらほらと届き始めました。高層天気図を通して、遥か上空の偏西風の流れを知ることができます。この流れの様子からも季節の歩みが感じられます。冬になると上空の寒気が北から南下するのに伴って、偏西風の流れもヒマラヤ山脈の南側を通るまでに南下します。一方、夏になると、偏西風の流れはヒマラヤ山脈の北側を通るまでに北上します。そして、その中間の冬から夏の移行期に当たる梅雨は、偏西風の流れがヒマラヤ山脈にぶつかり、南北に分流します。このようなパターンが、少しずつ見られるようになりました。梅雨の時期となると気になるのが「集中豪雨」です。そこで、集中豪雨の特性要因図を描いてみました。集中豪雨の背景には様々な要因が挙げられますが、主に「鉛直対流の強化」...梅雨入りの便り

  • 再び春の学会の時期です。

    気が付けば、4月1日の記事を最後にブログの更新が止まっておりました。暦も5月も中旬に入り「日本気象学会2021年度春季大会(オンライン開催)」の開幕まで一週間を切りました。今回は5月16日~21日の日程で開催されます。前回に引き続き「オンライン開催」と言うことで、講演資料の「Web公開」(オンデマンド形式)やテレビ会議システムを経由したオーラル形式を併用します。なお、前回の詳しい体験談は過去の記事に掲載しています。今回も「GSM地上を用いた山形県内における降雪量ニューロ・モデルの開発(第3報)」と題した発表を行います。前回の演題に「(第3報)」を付しただけの「何とも捻りのない」タイトルではありますが、敢えて「研究の継続性」という意味を込めました。ここ最近の研究テーマを振り返ると(地域気象に関する)「数理モデル」...再び春の学会の時期です。

  • 新年度(2021年度)の始まりを迎えて

    いよいよ、新しい年度が始まりました。新年度あけましておめでとうございます。世相に目を向けると、未だコロナ禍の出口が見えない日が続いております。しかし、開けない夜はありません。いずれこの暗闇は終わりを告げることでしょう。問題は「その後(アフターコロナ)」どうするか。この点について、今から考え始めても早すぎることは無いでしょう。さて、私は地方の気象情報会社で予報業務に従事しています。創業時から参画しているので、もう十余年になるでしょうか(しかしながら、このgooブログの方が歴史は長いのです)。現在の主な専門分野は「山形県・新潟県の地域気象に関する数理モデルと情報システムの開発」です。所謂「テレビに出ている人」ではなく、情報処理技術者やデータアナリスト、R&Dに近いので、業種の分類も「情報サービス業」と名乗っています...新年度(2021年度)の始まりを迎えて

  • 知のテーパ

    学びには大きく分けて2種類の形があります。それは「広く浅く」学ぶか、それとも「狭く深く」学ぶか、です。この両者を円柱のイメージで表すと、次のように描くことができます。さて、あらゆる分野の学問を「広く深く」学ぶには、人生の時間は短いものです。しかしながら、あらゆる分野の学問を「広く浅く」学ぶだけでは、「自らの核となる強み=コア・コンピタンス」を確立することはできません。そこで、現実的には「様々な広さと深さを組合わせた」学びに落ち着くことでしょう。まずは、自らの「専門分野」を軸として、これを最も深く突き詰めようとします。そしてその範囲は自ずと狭く限られてきます。円柱も細長いものになります。ただ、それだけでは不十分なので、専門分野に隣接する「関連分野」にも関心を広げていきます。専門分野ほどの深入りはしないものの、ある...知のテーパ

  • 冬の気候の特性要因図

    長かった冬も終わろうとしており、春の足音が聞こえてきました。この冬は厳しい寒さと大雪に見舞われた一方、先の冬は記録的暖冬となりました。そこで、各々の特徴・背景を「特性要因図」に整理してみました。ちなみに、特性要因図(フィッシュボーン・ダイヤグラム)はマーケティングや製造業の品質管理(QC)などで用いられます。まずは、この冬(2020-2021)について整理してみましょう。この冬の大雪の背景と特徴は大きく分けると、上空では「寒気の南下が顕著だった」こと、そして下層では「日本海寒帯気団収束帯(JPCZ)」が幾度も形成されたことです。上空において「寒気の南下が顕著だった」要因は2つあり、「熱帯対流→偏西風の西シフト」および「負の北極振動」に分けられます。さらに、「熱帯対流→偏西風の西シフト」の背景には「ラ・ニーニャ現...冬の気候の特性要因図

  • 「LINE」に関するニュース

    私はLINEは使用しておりませんが、他のSNSはどうなのでしょうか。LINE個人情報中国委託先技術者から少なくとも32回アクセス(NHKニュース)https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210317/k10012918871000.html「LINE」に関するニュース

  • 10 years have passed since then.

    Tohokuwillrevivelikeaphoenix!東北は不死鳥の如く甦る!10yearshavepassedsincethen.

  • 新潟県内における花粉飛散量

    そろそろ花粉シーズンの始まる頃でもあります。花粉飛散量のデータは、環境省花粉観測システム「はなこさん」(http://kafun.taiki.go.jp/)で掲載されています。新潟県内の花粉飛散量は新潟市、長岡市、上越市の3か所で観測されています。そこで、各地の2009~2020年の春期(2~5月)の花粉飛散量を調べてみました。まずは春期(2~5月)の総飛散量の年別の推移を見てみましょう。このグラフからも判るように、花粉飛散量は年毎に大きく変動しています。特に2011年の春は大量の花粉飛散が観測されました。最近では2019年は花粉が多かったものの、2020年は花粉が少なかったようです。続いて、旬別の平均飛散量を見てみましょう。このグラフによると3月上旬~4月中旬が花粉飛散の大きな山となっています。この後も飛散は...新潟県内における花粉飛散量

  • 成層圏突然昇温

    大雪をもたらす強い寒波の背景として「ラ・ニーニャ現象」の影響という話を聞くと、私の視線は自ずと北極圏に向かうのです。成層圏における東西流の平均場を見ると、夏季は同心円状の東風循環を形成する一方、冬期は変形を伴う西風循環となります。これは下方・対流圏のプラネタリー波(偏西風波動)の上方伝播の影響です。成層圏が東風循環の場合は上方伝播できず、西風循環の場合は上方伝播できるという違いが現れています。対流圏のプラネタリー波が成層圏に上方伝播することに伴い、西風循環が変形します。この変形が過大になると、時として周囲の高気圧性循環が北極付近を乗っ取る?ような形になることがあります。冬季にも関わらず、まるで夏季のような状態となり、一時的に成層圏の気温が上昇します。この現象を「成層圏突然昇温」と言います。成層圏突然昇温が生じる...成層圏突然昇温

  • リンカーンの言葉

    すべての人を少しの間騙すことはできる。一部の人をずっと騙すこともできる。しかし、すべての人をずっと騙すことはできない。リンカーンの言葉

  • 平野部にはり付く雪雲の背景

    冬型の気圧配置の場合は、日本海上の等圧線に注目します。等圧線の走向が縦に並んでいるか、横に傾いているか、それとも「く」の字状に折れ曲っているかによって、雪の降りやすい場所も変わります。日本海の等圧線が縦縞になると山沿い中心となる一方、等圧線が「く」の字状になると日本海寒帯気団収束帯の影響で平野部でも大雪となることがあります。日本海の等圧線が「く」の字状になった場合の天気図の一例です。日本海の等圧線が見事なまでに折れ曲がっています。日本海寒帯気団収束帯は、朝鮮半島北部の山脈によって寒気流が二分され、日本海上で合流する際に形成される風の収束域のことです。要は、二つの流れが合流する帯状(線状)の領域とイメージすると良いでしょう。各々の季節風の流れに伴って生じた雪雲が、この収束帯上に集まり、その延長線上の下流側に向かっ...平野部にはり付く雪雲の背景

  • 真実を知るために

    今こそ「大紀元」を見よう。真実を知るために

  • 年越し間際の山形県内の降水量

    2020年~2021年の年越し間際の山形県内の降水量分布を調べてみました。左図が12月31日21時~01月01日06時、右図が01月01日06時~01月01日18時の12時間降水量の分布です。なお、降水量が10mmとなる所を推定して等値線を引いています。左図の段階では降水量の極大域(10mm以上の領域)は概ね朝日連峰付近にまとまっています。一方、右図の段階では極大域が内陸側に進出している様子が判ります。さて、山形県の南東部に赤丸を付けた地点が米沢です。左図の段階では5mmに留まりましたが、右図では10mmに増加しています。また、米沢における降雪のペースを見ると、大晦日の夜から元日の昼前にかけては概ね0~1cm/hであったのに対し、元日の昼から夕方にかけては2~3cm/hと増す傾向が見られました(図略)。この間の...年越し間際の山形県内の降水量

  • 謹んで新春のお慶びを申し上げます。

    新たな年・2021年が幕を開けました。振り返ると旧年・2020年はCOVID-19の猛威により、希望の光が見えず、まるで冬の暗い夜空の様な年でした。様々な活動が制約を受け、規模の縮小や開催の中止を余儀なくされました。これに伴い、多くの機会を失った方々も決して少なくないと思います。しかし、「冬来たりなば春遠からじ」と言います。希望溢れる「春」の時代はいつか必ず再訪するでしょう。それが何時になるのかは予想もつきませんが、その日を夢見て、今できることを積み重ね、着実に歩みを進めるだけです。冬を忍べばきっと一筋の光が届くと信じて。この2021年に希望の光が届くことを祈念して、年頭の御挨拶に代えさせて頂きます。謹んで新春のお慶びを申し上げます。

  • 大雪の3つのキーワード

    冬型の気圧配置の場合は、日本海上の等圧線に注目します。等圧線の走向が縦に並んでいるか、横に傾いているか、それとも「く」の字状に折れ曲っているかによって、雪の降りやすい場所も変わります。日本海の等圧線が縦縞になると山沿い中心となる一方、等圧線が「く」の字状になると後述の日本海寒帯気団収束帯の影響で平野部でも大雪となることがあります。ラ・ニーニャ現象は太平洋赤道域の東部~南米沿岸で海面水温が低くなる現象です。熱帯の対流も西側にシフトし、その影響は中緯度の偏西風にも伝播するため、上空の寒気も日本付近に南下しやすくなります。また、負の北極振動は、北極付近に蓄積された寒気が周囲に向かって放出される状態で、日本付近でも強い寒気の南下が起こりやすくなります。従って、ラ・ニーニャ現象の状況下に負の北極振動が加わると、非常に強い...大雪の3つのキーワード

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