恋愛感情に戸惑い、快楽に翻弄される男性同士を描くメンズラブ短編小説。R18含め100編を公開中です。
月曜日の夕方近く、部下たちがすっかり出払ってしまった部署内に困惑気味の三上さんの声が響く。「斎藤さん、K建設の鈴木さんという方からお電話が入ってるんですが・・・」「K建設って、ゼネコンの?」「恐らく」「ウチと取引あったっけ・・・しかもゼネコンだったら2Gの担当だよね」「ええ、そうお答えしたんですが、以前、斎藤さんにお世話になったとかで」かの会社は、全国でも上位に立つ建設会社。しかも随分前から、自動制御...
立ち上がったあいつが近寄ってきて、俺の隣に再び腰を下ろす。肩を抱かれた身体がそのまま彼の方へ引き寄せられた。「この間、和賀さんが言ってました」後頭部を撫でる唇の感触に宥められ、目を閉じる。「あいつはいろんなこと考え尽くした上で、最悪の結果だけを待ち構える悪い癖があるって」反論の余地がない指摘だと思った。最悪の事態を想定しておけば、実際その通りになったとしても傷は浅くて済む。そんな風に考える癖がつい...
目の前の男を壁に押さえつけ、無理やり唇を重ねた。突然のことに驚きつつ、その身体は具合の良い体勢を取ろうともどかしげに動く。時折息継ぎをしながら徐々に舌を深く沈め、絡ませる。相手の昂ぶり具合が、吐息から嫌というほどに感じられた。壁に添えられた手を取り、自分の方へと引き寄せる。太腿に触れる寸前で、彼の指は意志を持って揺らぎ始めた。捉えられた部分は、けれどまだ何の反応も見せていない。官能的な雰囲気をまと...
「もし、前の課長がああいう形で辞めていなかったら、グループ目標は達成できていたと思いますか?」テーブルの向こうに座る人事部長は、苦々しい表情を崩すことなく尋ねてくる。「いえ、この数字を達成することは難しかったと思います」鶴岡がいれば、もしかしたら、クリアできていたのかも知れない。けれど、そう答えてしまえば、自分が彼よりも劣っていると認めることになる。「それは、何故ですか?」「今期は部署全体で物件数...
9月も終盤に差し掛かった週末の夜、19時を回ろうという頃合いに席を立つ。以前は深夜まで残業することが当然という感覚で仕事をしていたが今の立場になってからは、出来るだけ早く帰ることを心がけるようにしている。上が帰らなければ、下がいつまでも帰れない。ウチの部署に限ってはあまりそういう風潮は見られないが業務の効率化を図るという意味では、効果はある程度出ている気がしていた。下のフロアにある喫煙所へ向かう途中...
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