(わが家の庭の春の日の風景) 私たちは日常、さまざまな木を目にしている。今の季節で注目されるのは、何といっても桜だろう。私は毎朝けやき、クスノキ、セイヨウトチノキ(マロニエ)を見上げながら散歩をしている。作家の幸田文は時々「日本の代表的木を3本あげてみ
社会現象、旅の話、読書の感想、歴史、ペット、芸術まで幅広い分野をフォローするブログです。
自宅周辺には大雨を調整するための人工池やけやき並木の遊歩道があり、四季折々自然を楽しんでいます。こうした自然を友にした散歩の途中、現代世相について諸々考えることがあります。2006年9月からスタートし、1400回を超えたこのブログは、そうした私の日常雑感をつづっています。
(わが家の庭の春の日の風景) 私たちは日常、さまざまな木を目にしている。今の季節で注目されるのは、何といっても桜だろう。私は毎朝けやき、クスノキ、セイヨウトチノキ(マロニエ)を見上げながら散歩をしている。作家の幸田文は時々「日本の代表的木を3本あげてみ
ソメイヨシノは散ったが、まだ遅咲きの種類の桜が咲いている。遊歩道の脇で、女の子たちビニールシートを敷いて、車座になっておやつを食べている。少し離れた小学校の正門にも立派な桜が咲き誇っていた。春爛漫、こんな季節。人はやはり外へと出る。にほんブログ村
チェロ奏者、パブロ・カザルス(1876~1973)は1971年10月24日、国連の日にニューヨークの国連本部で『鳥の歌』を演奏した。演奏を前に短いあいさつをした。それは後世に残る言葉になったことをこのブログでも紹介している。「鳥たちはピース(平和)、ピ
2572 せめて歌おう『歌の翼に』 桜に寄せる「詩」(うた)
薄黄色の桜が咲いている あまり目立たぬ遊歩道の一角 ソメイヨシノは散り始め ウコン(鬱金)かギョイコウ(御衣黄)か 見分けがつかない桜 すぐ後ろは保育園の庭 園児たちはこの桜を覚えてくれるだろうか
今、公私ともに内外の話題になっている大リーグの大谷翔平は、岩手県南部の奥州市水沢区(かつての水沢市)の出身だ。いつものように、地図を見て歴史を調べてみる。ウイキペディアの出身有名人の最初に出てくるのはアテルイ(阿弖流為)で、大谷は最後から2番目にあった
輸血のために血液型は必要だが、日常生活で血液型を意識することはほとんどないはずだ。ただ日本人の多くは、血液型と性格が関連するのではないかと思っているのではないか。関連するという前提で書かれた「モーツァルトの血液型」という作家、作詞家のなかにしれ礼(1938
2569 人間生活と時間制限 大リーグ・ピッチクロックと選手たち
ペルーの世界遺産、マチュピチュで「インティワタナ」という花崗岩による日時計の彫刻がある。太陽を縛るというような意味らしく、遺跡の一番上の位置に設置されている。このように、人類は日時計のほか水時計など工夫を凝らして時間を推測し、太陽、月、星の動きでも一
朝の散歩コースは、濃霧に包まれていました。はっきりと目に見えるのは、満開になったソメイヨシノの花だけなのです。画家のゴッホは、自然界の姿をさまざまな絵に描きました。彼は「人の心を高揚させ、慰めてくれる自然をつくりだしたい」(友人エミール・ベルナール宛の
(人影が少ない桜並木の雨の朝) ラジオ体操の第一と第二の合間の首の運動 ピアノ伴奏のメロディーは「ロングロングアゴー」(long, long ago) ベイリー作曲のイギリス民謡 何も知らず、小学生時代に笛でこの歌を演奏した うまいのは少数、ほとんどが下手、私もその一
散歩をしていたら、私がひそかに「小言幸兵衛」(古典落語に出てくる長屋の家主のこと)と呼んでいる大先輩がぶつぶつ何かを言いながら歩いていた。追いついて「どうしたのですか」と聞いたら、いつもの小言が始まり、散歩の間聞かされる羽目になった。それは「二階兄さす
(咲き出した海棠が雨に打たれて美しい) 時々、地図を取り出して眺める。それは机上で考える旅でもある。ある日は日本地図を、また別の日は世界地図を広げる。最近は世界地図の方が多い。目は紛争・戦争地帯に向く。ウクライナ、ロシアとその周辺、イスラエルとガザ地区
2564 「知りたい衝動より結果を考えて」 チャップリンの核への警告
「科学というものが、なんの責任感も慎重な考慮もなしに、おそるべき破壊の武器を、政治家や軍人の手にゆだねてしまった。おかげで地球上全生物の運命が、彼らの手中に握られてしまっているのだ」イギリス出身のコメディアン俳優で映画監督のチャールズ・チャップリン(188
最近、年賀状を別にしてはがきが届くことはあまりない。過日、ダイレクトメールに混じって一通のはがきが郵便ポストに入っていた。それは、かつての競争相手であり、多くの時間を共有した仲間、O君の死を知らせる奥さんからの訃報だった。この8年、会うことがなかったとは
散歩をしていて目に入る木々を見上げると、若葉が少しずつ増えてきている。新緑の季節なのだ。いつしか石川啄木の歌を口ずさんでいた。「やはらかに柳あをめる北上の岸辺目に見ゆ泣けとごとくに」(現代訳=やわらかい柳の青い芽が北上川の岸辺に見える、まるで望郷の涙を
足弱の我に手を借す人のあり新宿駅の朝の雑沓 「この方は60歳くらいの男の方でした。きっと、見かねたのでしょう。とても嬉しゅうございました。また、眼鏡をはずして本を読んでいるおばあさんの私に“本当にあなた読んでいらっしゃるのですか”と問いかける人もあり
新聞の俳句・短歌欄を見ていると、心にぐさりとくる句と歌がある。作者の信条が、素人の私にも伝わるからだ。ここに同じ作者に短歌と俳句がある。いずれもロシアの「シベリヤ」(シベリアのこと)という地名が、限られた字数の中に入っている。そこには作者の辛い人生が込
2559 朝から晩まで大谷…… すさまじいテレビの集中豪雨的報道
昨年来、大リーグの大谷翔平に関するテレビの報道はすさまじい。野球だけでなく結婚のこと、通訳のスポーツ賭博のことと連日連夜、テレビから集中豪雨のように流され続けている。かつて、評論家の大宅壮一はテレビの低俗ぶりを「一億総白痴化」という言葉で表現したが、そ
「ばかやろう」という言葉の使い方は難しい。基本的には相手をののしる場合に使うのだが、パワハラやモラハラと受け取られるから最近は学校でも職場でも家庭でも、この言葉は聞くことが少なくなっているのではないかと思っていた。だが、そうでもなかった。25日に自民党の
2557 通信社の大誤報で全米歓喜騒ぎ 第一次大戦の休戦速報
パレスチナ自治区ガザでの戦闘休止と人質解放に向け、イスラエルとイスラム組織ハマスの交渉が仲介国のカタールで続いている。交渉がまとまるのかどうか、世界の目が注がれている。休戦の歴史で思い浮かぶのは第一次大戦だ。この戦争はそう長く続かないと多くの人が見てい
人間には潜在能力がある。それだけでなく「手負い猪」(ておいじし)という言葉を思い浮かべたのは、大相撲春場所で幕尻(幕内の一番下位の東前頭17枚目)の尊富士(たけるふじ=24)が13勝2敗で優勝したテレビ中継を見ていた時だ。新入幕力士が優勝したのは110年
(この海の遠くには……) 今日3月23日は「中国からの日本人引き揚げが再開され、その第一船が舞鶴港に入港した日です」と、朝のラジオで放送していた。1946(昭和21)年(4月上海、6月葫蘆島)に始まった中国からの引き揚げは、中国の内戦と共産党政権誕生、朝
2554 「大谷通訳解雇」で汚された朝 ラジオ体操仲間が引退
毎朝、近所の広場でラジオ体操をやっている。夏の多い日には40人近く、厳寒の冬でも20人前後が集まって来る。そのうちの一人は、散歩を兼ねて1丁目から会場の5丁目まで片道25分くらいかけて歩いて通ってきている。もちろん本名を知っているが、私は勝手に「1丁目
映画『河は呼んでる』(2550回のブログ参考)の原作・脚本を担当したジャン・ジオノは、フランスでは著名な作家だ。代表作ともいえる短編『木を植えた男』は、ノンフィクション作品と読むこともできるが、フィクションだ。だが、世の中には実際に世界各地で実際に木を植え
写真は時代(社会)を映す鏡、といわれる。知人から4枚の写真が送られてきた。いずれもモノクロの「昭和」を意識させるものだ。中でもマスコミ(通信社)の職場で撮影したと思われる1枚は、当時の記者たちの姿を浮かび上がらせる貴重な写真といえる。この写真を見ながら
「10年ひと昔」という。「世の中は移り変わりが激しく、10年もたつともう昔のこととなってしまう。また、歳月の流れを、10年をひと区切りとして考えること」(小学館『デジタル大辞泉』)という意味だ。確かに私自身、10年前のことを聞かれても思い出すのはなかなか
今月、2回にわたって「川」にまつわる話を書いた。今日はその続きで、映画と歌でよく知られた川のことに触れてみる。『河は呼んでる』という往年のフランス映画がある。66年前の1958年に公開の映画だが、映画の内容より、同名の主題歌を覚えている人の方が多いかも
2549 菜の花の季節は春怨思慕 のどかな日本の原風景の中で
「春怨思慕」(しゅんえんしぼ)という言葉を使ったのは、詩人の萩原朔太郎だ。『郷愁の詩人与謝蕪村』という「蕪村論」の中で春の句に関して、こう表現した。春怨は「若い女性が春に抱く物思い」で、思慕は「恋しく、なつかしく思うこと」(以上、広辞苑)という意味だ。蕪
2548 人間にもほしい「瞬膜」 悲しみと涙の連鎖「3・11」
人は一生で何度涙を流すのだろうか。それぞれの年齢、性、生活環境、性格などによって千差万別なのかもしれない。いずれにしても、人生は涙とは切っても切れない縁があるのだ。今日は3・11から13年目。あの大災害と原発事故によって、本当に沢山の涙が流れたのは間違
2547「 想い出は帰らず」というが…… 仙台・広瀬川とともに
「広瀬川 流れる岸辺 想い出は帰らず」という歌い出しのさとう宗幸の『青葉城恋唄』(星間舩一作詞、さとう宗幸作曲)は、1978(昭和53)年に発売となり、大ヒット曲になった。仙台市の風景を描いた叙情的なこの歌は、私の好きな一曲だ。広瀬川はこの歌で一躍全国に
(プラハを流れるヴルタヴァ川)ドイツ生まれで日本に帰化した歌といっていい「ローレライ」が、ふらりと入った喫茶店で流れていた。ドイツの代表的な川であるライン川にまつわる伝説を基にした歌だ。ドイツ人にとってラインはドナウ(全長2860キロ)、エルベ(同109
2545 戦火の地と地震被災地を思って…… 子規の会の名句集
(千葉・館山にて。アロエの花が咲いている) 私が末席に座る句会がある。正岡子規がかつて房総を旅した際に立ち寄った鰻屋で初めに開催して11年が過ぎた。当初名前はなかったが、子規と鰻屋との縁から「子規を語る夕べの会」と名付け、いつの間にか「子規の会」に固定
2544 文化人が怪物・バケモノと批判 ブギウギ歌った少女美空ひばり
好き嫌いは別にして、戦後を代表する歌手といえば「美空ひばり」(1937~1989)だということに、反対意見はほとんどないかもしれない。ひばりが歌手として本格デビューしたのは、1949(昭和24)年1月の日劇レビューで、現在NHKで放送されている連続ドラマ『
(満開のミモザ) 時々、テレビで国会中継を見る。しばしばイライラが募る。なぜか。昔から言われているように、政府側に座る大臣たちに共通して人間味が欠けているからだ。言い換えると、誠実さ、正直さが全く感じられないのだ。その背景の一つにあるのは、政界は世襲制だ
離島への旅をすることが好きな人は結構多いようだ。共同通信で大先輩だった向一陽さんの『離島を旅する』(講談社現代文庫)には、全国の離島の魅力が紹介されている。とはいえ、人口減少に伴う過疎化現象は離島にも大きな影響を与えているに違いない。かつて私が何度か訪
テレビで国会中継を見ていたという友人からメールが届いた。そこには2つの川柳が添えられていた。 政倫審大根役者勢揃い 政治家は殊勝な顔で二枚舌 友人の率直な感想と言える川柳だ。川柳は人情・世相・風俗などを風刺しユーモア的に描くのが特色だという。最近の新聞
国会での質疑応答。岸田首相の答えぶりを見ていて、がっかりという思いを通り越し、悲観的になる。この人に任せていて日本の現在・将来は大丈夫なのか、と。自民党のパーティー券キックバックによる裏金事件。衆院での政治倫理審査会開催をめぐっても、与野党が対立し、ま
国際政治学者で共同通信社の外信部記者として一時代を築いた仲晃さんが21日に亡くなった。97歳。このブログでも何度か、共同通信の大先輩である仲さんの著書について取り上げている。冷静な分析が光る本だった。仲さんを追悼して、以下に2本を再掲する。やや長くなり
(近所で咲いたボケの花) 春はきぬ 春はきぬ さみしくさむくことばなく まづしくくらくひかりなく みにくくおもくちからなく かなしき冬よ行きねかし 島崎藤村(1872~1943)の詩集『若菜集』の中の「春の歌」の2節目だ。何とも暗く、寂しく、希望がない内容
(開花が近いモクレン。芽が膨らんでいる)「遠い国には戦があり…… 海には難破船の上の酒宴(さかもり)……」と書いたのは石川啄木(『心の姿の研究(3)』の「事ありげな春の夕暮れ」)だ。啄木より21歳後輩の中原中也は「幾時代がありまして 茶色い戦争がありまし
先日、気象予報士が言っていた。2月としては史上最高の陽気になりました、と。 今日は冬に逆戻り。糠雨よりももっと細かい小糠雨が降っている。 いつもの調整池、歩くのは私一人。 雑草が生い茂る一角から顔を出した雉鳩一家。 枯草をきれい刈った斜面。嘴でしきりに
「言語と云ふものは案外不自由なものでもあります。のみならず、思想にまとまりをつけると云う働きがある一面に、思想を一定の型に入れてしまふと云う欠点があります」(谷崎潤一郎『文章読本』中公文庫) この言葉を念頭に置き、今回芥川賞と直木賞を受賞した3作品のうち
近所の遊歩道を散歩していましたら、民家の庭から遊歩道にかかるようにしたミモザに花が咲いているのを見かけました。この路地はみんな花好き花ミモザ 前田和子 こんな句もありますが、この1本だけでなくこの先ずうっとミモザがあったらさぞかしきれいで、幸せな気分に
ロシアの反政府活動家ナワリヌイ氏が北極圏の刑務所で死亡したことをめぐって、当局によって殺されたのではないかと世界各国からプーチン政権批判の声が起きている。つい最近は、香港警察がカナダに事実上の亡命をした民主活動家・周庭さんを指名手配したと発表した。ミャ
2532 心合わせて困難に立ち向かう 『今しかない』の人々……
(菜の花畑で家族の撮影風景)「日々の移ろいに心くじけそうになっても どうか自分を見失わないで 遥かな道をここまで生きてきたのだから 決してあきらめないで 信じて生きていれば 夢はきっと叶えられる……」。アメリカの歌手、ダイアナ・ロスが歌う『if we hold on t
2531 あなたが感じる音楽の色は 《芭蕉布》の青は沖縄の悲しみ
(沖縄の世界遺産・勝連城跡) 音楽に「色」を感じることがあるだろうか。感じると書いたのは、音楽評論家の吉田秀和だ。その説明を読んである程度納得した。私はクラッシック音楽ではないが、沖縄を歌った《芭蕉布》(吉川安一作詞、普久原恒男作曲)を聴くと、沖縄の空と
2530 見習いたいデガナウィダらの精神 高邁な理想と行動力
(ノルウェーの石積みのダムで堰き止められた人造湖クローデレン湖)世界の政治家を見ていると、相当に危ないと思われる人物がその国のトップに立ち、あるいはこれから立とうとする野心を持っている。現代はますます混迷の時代になっていると思わざるを得ない。こんな時ある
時々、朝日新聞の歌壇欄に、アメリカから投稿された短歌が入選作として掲載されている。投稿者は「郷 隼人」という名前の歌人で、1月7日には「渡米時の大志破れて短歌あり我には歌の残されしのみ」が入選作として掲載された。郷氏はアメリカで殺人事件を起こし、終身刑
今は 二月 たつたそれだけ あたりには もう春がきこえてゐる だけれども たつたそれだけ 昔むかしの 約束はもうのこらない さう! 花は またひらくであらう さうして鳥は かはらずに啼いて 人びとは春のなかに笑みかはすであらう (立原道造「浅き春に寄せ
2527 市井の片隅の豊かな?人生 映画『パーフェクトデイズ』
私の散歩コースの一角に公衆トイレがある。時々、車でやってきた男性がモップなどを使って掃除しているのを見かける。彼はここだけでなく他の公衆トイレを回っている「専属清掃人」なのだろう。役所広司主演の日本・ドイツ合作の『パーフェクトデイズ』(PERFECT DAYS)も
2526 名指揮者育てた指導者 小澤征爾と斎藤秀雄の厳しい関係
指揮者の小澤征爾が亡くなった。88歳。晩年は病気との闘いの連続だった。作家の村上春樹は、2月11日付朝日新聞朝刊に「小澤征爾さんを失って」と題する1頁の追悼文を寄稿した。その中で村上は小澤について「夜明け前の同僚」と書いた。「みんなが寝静まっているとき
「日本は仏教国ですが、お釈迦様の一生を記した本は帯に短したすきに長し。適当なものが見当たりません。調べているうちに分かったのは、宗派に縛られているお坊さんは自分以外の宗派の仏典に弱い。学者もその傾向にあります。宗派に縛られない一般人こそ仏教に関しては自由
2524 太宰が書いた「明日こそは幸福」 平凡な日々こそ……
(幸福度世界1のフィンランド・ヘルシンキにて)暇であることはあまりいいことではない。世間の雑音が新聞、テレビを通じて入って来るからだ。世界も日本も心が晴れ晴れするニュースが少ない。私を含め、現代人はこうも愚かになってしまったのだろうと、朝夕に考え込んでい
2523 いつまで耐える針のむしろ「記憶にない」もほどほどに
「針の筵」(はりのむしろ)という言葉がある。「(針を植え込んだ筵に座らされる意から)少しも気の休まることのない、つらい場所や境遇のたとえ」(大修館書店『明鏡ことわざ成句使い方辞典』という意味だ。現代では筵を見たことがない人がいるかもしれない。わらなどで編
「雪は天から送られた手紙である」。世界で初めて雪の結晶を人工的に作ることに成功した物理学者・随筆家、中谷宇吉郎(1900〜1962)の言葉だ。科学者として自分の研究に裏打ちされた言葉なのだが、私なりに解釈してみると、昨今の世界の動きを見て「天が怒っている」という
(ラジオ体操広場の上空に美しい朝焼けが広がった) コロナ禍以降、人に会うことが少なくなった。私自身の加齢によって、その傾向はますます強くなっている。だから「人生邂逅し 開眼し 瞑目す」(人生は多くの巡り合いがあり、それを通じて物事の本質を知り終えていく
(新幹線から見た富士山。2.3)「火の玉」と聞いて、人は何を連想するだろう。野球が好きな人なら、かつて「火の玉投手」といわれた大リーグのボブ・フェラー(インディアンス=現ガーディアンズ)を思い、あるいは墓地などで見られる鬼火・人魂(ひとだま)ともいわれる火の
私の家の庭の前は遊歩道になっていて、一日中いろいろな人が歩いたり、自転車に乗ったりして通り過ぎていく。昨日の夕方のこと。暖かい日よりなので庭に出ていると、中学生らしい男の子の声が聞えてきた。「国会議員の裏金問題って酷い話だね。あんなことをする人たちはみ
「私たちが移動して行くと、どこからか音楽が聞えてきたの。ヴァイオリン(原文はバイオリン)の音色。あの日が私の終戦だった。ヴァイオリンが聞えた日が。みんなが空を仰いで祝砲を撃ち、抱き合ったりキスし合ったりした勝利の日ではなく。本当に不思議なことだった。突然
ロシアの女子フィギュアスケート選手、カミラ・ワリエワは天才だと思っていた。テレビで見る演技は圧倒的に優れていた。だが、裏があった。2022年北京五輪の期間中にドーピング問題が発覚したことに対し、スポーツ仲裁裁判所(CAS)は29日、21年12月25日から4年間の資
冬川の翡翠を見し一人かな 岡井省二 近くの公園を散歩していたら、池の端にある木の枝に2羽のカワセミ(翡翠)が止まっているのを見かけました。カワセミは俳句では夏の季語ですが、この公園で見かけるのは冬の方が多いのです。この池から流れる小川に沿って、活動して
2515 政治家はいろいろ(クズもいる) 世界で一番貧しい大統領の述懐
「政治家といっても色々で、クズみたいなやつもいるが、彼らは結局自分たちの所属政党のためにしか行動しない。歴史上も、このようにしてあまり評判の良くない指導者たちが現れた。(中略)そして政権を握り、すべてをめちゃくちゃにするのさ」。「世界で一番貧しい大統領」
このところ寒い朝が続いているせいか、散歩に出るのがいつもより30分以上遅い時間になっている。それでも、朝の月がきれいなはずと思い、今朝は頑張って6時に家を出た。いつもの調整池を回るコース。西の空に丸い大きな月が浮かんでいた。今年に入っても、世界は疎まし
2513 あなたの気に入った場所は? 詩人が描いた「港」と「郵便局」
人それぞれに好きな場所がある。自宅の居間や自分の部屋が一番という人もいるだろう。あなたはどこだろう。町の本屋、喫茶店、映画館、図書館、美術館、寺や神社、居酒屋、パチンコ屋、山や海? フランスの詩人シャルル・ボードレール(1821~1867)は「港」であり、日本
ナポリの若者よ なぜ君はロシアの野に来た 故郷の海に飽きたのか モズドク(注)で 対峙した僕は 君の故郷を思ったにほんブログ村
「書はあたり前と見えるのがよいと思ふ。無理と無駄との無いのがいいと思ふ。力が内にこもつてゐて騒がないのがいいと思ふ。悪筆は大抵余計な努力をしてゐる。そんなに力を入れないでいいのに、むやみにはねたり、のばしたり、ぐるぐる面倒なことをしたりする。良寛のやうな
2510 あらら!「山のお産」だ 自民党派閥の裏金事件捜査終結
「かつて、山が大きく揺れ動いたことがある。凄まじいうなり声が響き渡ったため、何が起きるのだろうと各地から多くの人が集まって来た。恐ろしい災害が起きるかもしれないと、不安な思いになりながら見守っていると、山から出てきたのは一匹のネズミ(ハツカネズミという説
2509 理不尽に摘まれた才能の芽 人間は戦争の大きさを越えている
戦争は様々な才能の芽を摘み、あるいは奪ってしまうことは多くの先人たちの例が示している。このブログでも、彫刻家の高橋英吉、詩人の大関松三郎、ゼルマゼルマ・アイジンガー、アンネ・フランクら、戦争と戦争関連で亡くなった有名、無名の人々を取り上げている。イギリ
つい先日(13日)の夕方、私の住む地域で今冬の初雪が降った。久しぶりに遠出をして電車を降り、駅舎から出ると、ボタン雪が私に向かってまとわりつくように風に舞っていた。中原中也(詩集『秋』の「生い立ち」)流にいえば、「私の上に降る雪は 故郷の風景思い出す」
2507 「戦争は絶対駄目」 蒲田「你好」40年、店主の思い
「皆さんにお伝いしたいことは、戦争は絶対にいけないことです。今、毎日悲惨な戦争のニュースが流れています。皆さんの周りには多くの友だちと言葉や文化が違う外国人がいます。友だちや家族と同じように、そんな外国人を温かく迎え、互いにたくさんのことを吸収し合って、
毎朝ラジオ体操をやっている広場近くの平屋の家が、最近取り壊しを始めた。たしか、高齢の夫妻が住んでいたはずだが、どうしたことだろうと、ラジオ体操仲間が驚いた顔をしている。10年ほど前に引っ越してきて、敷地の半分を畑にして野菜や果樹を作っていた。なぜ、取り
社会主義国や独裁国家は別にして、民主主義の国では「焚書」(ふんしょ)や「禁書」という言葉は死語になっているかと思っていたら、そうではないようだ。民主主義のリーダーを自認するアメリカでここ数年、性的少数者(LGBTQ)や人種問題などに関する書籍を排除するブック
ブログを読み直していたら15年前、現在の自民党のパーティー券キックバック問題とも絡む、政治とカネの問題を取り上げていた。当時の民主党代表、小沢一郎氏の公設秘書が西松建設のOBが代表だった政治団体からから献金を受けた問題で東京地検特捜部に政治資金規正法違反
能登半島地震の被災地では余震が続き、石川県では死者126人、安否不明222人(同県の7日午前の発表)と、被害は増え続けている。そんな中で6日夜には、珠洲市内の倒壊した住宅で地震発生から5日ぶりに93歳の女性が救出されたというニュースもあった。女性はどん
時々、地図を取り出し、新聞やテレビでニュースになった場所を見る。今年最初に見たのは、もちろん日本地図の石川、富山両県の頁だ。元日に大地震に見舞われた輪島半島は、細長く日本海に突き出ている。コロナ禍の時期も地図を広げて「空想の旅」を楽しんだ。しかし、今回
今朝、東の空に美しい朝焼けが出ていました。西に向かってラジオ体操をやっていましたら、後ろから「東の空がとてもきれいよ」という女性の声がしました。反対を向きますと、空が次第に赤く染まりつつあり、そのまま多くの人とは反対の姿勢で体操を続けました。それでも、
(けやきの枝の向こうに彩雲が。何かいいことが……) 新しい年が明けた。2024年。ことしはどんな年になるのだろうか。混沌とした陰鬱時代から「秩序への回帰・平穏な時代」へと、進路を変えることができるのだろうかと思う。部屋のカレンダーは、パブロ・ピカソ(1881~197
2449 だれかと語り合いたい本 アメリカの長編『ザリガニの鳴くところ』
(調整池の朝) 今日は2023年12月30日。年々、読書量が減っていることを身に染みて感じている。今年最後ともいうべき本を読み終えた。アメリカの女性の動物学者、作家が書いた小説だ。ディーリア・オーエンス作、友廣寛訳『ザリガニの鳴くところ』(ハヤカワ文庫)
「適切に対応したい」。政界、経済界だけでなく司法の場でもこの言葉が使われる。私が一番嫌な言葉だ。辞書によると「適切」は「よく適合していること。ぴったりあてはまること」、「対応」は「①互いに向き合うこと②両者の関係がつりあうこと③相手や状況に応じて物事を行
今年の十大ニュースのトップは、国内が自民党のパーティー券キックバック問題、国際がイスラエルによるパレスチナガザ地区への軍事攻撃だと予想した通りだった。これは私だけでなく、多くの人はそう思っていたに違いない。昨年、締めくくりのブログで「2022年は陰鬱の
(AIはこんな風景をどう表現するのだろう) 今年2023年は様々なことがあった。中でも特筆すべきは、人類の今後に大きな影響を及ぼすと思われる人口知能(AI)が急速に日常の中に入り込んだことだと私は思う。新聞に、はAI研究の第一人者の学者が今後5~20年以内に人間
2445 氷点下2・3度でも暖房使わず 水仙の季節がやってきた
朝6時過ぎ。外へ出ると凍てつく寒さだった。隣の家のご主人が玄関から出てきて、そこに備え付けの気温計を見ながら、「いま氷点下2・3度ですよ。気を付けて」と声を掛けてくれた。それでもラジオ体操広場には、いつものように20人前後の人が集まっている。東の空は上
2444 2万数千円が6億6千万円に アフリカの仮面、天文学的価格の競売
(富山市内の後方にそびえる立山連峰) 2万4千円の仮面が6億6千万円に……。こんな海外の記事を読んだ。野球の大谷翔平が7億ドルで契約する時代だ。驚くことは次々に起きている。自民党の裏金問題もどんな展開を見せるのだろう。2023年12月も残り10日。希望が持てるニュー
中国・錦州(遼寧省)の古塔公園に、なぜか「耶律楚材」(やりつ・そざい。モンゴル名ウルツ・サハリ、またはウト・サカル。1190~1244)というモンゴル人の銅像がある。その昔、チンギス・ハーンの息子オゴタイ・ハーンに仕え、華北地方(中国北部地域)を治めた人物だ。「
詩を好きな人なら、大関松三郎という大相撲の力士のような、古風な名前を聞いたことがあるかもしれない。大関は18歳という若さで戦死した詩を愛する青年だった。この19日は大関没後79年になる。この機会に、大関の『雑草』というタイトルの詩を読み直した。小学校卒
温度差の激しい日が続き、風邪をひいてしまいました。どこか気が緩んでいたのかもしれません。コロナ禍直前にかかって以来ですから、約4年ぶりになります。体調がおかしいと、何もやる気が起きません。それではますます気分が落ち込んでしまいます。そんな朝、大リーグ、
2440 底流に政治家たちの「さもしさ」リクルート事件~パー券代キックバックも
自民党のパーティー券に絡むキックバック問題は、東京地検特捜部が今日13日の国会閉会を待って、関係議員の事情聴取など本格的捜査に入るとみられ、リクルート事件以来の大疑獄になるのではないかという見方も出ている。リクルート事件は私にとっても忘れることができな
2439 大谷とアメリカンドリーム 将来は文学作品の一コマに?
大リーグ、エンゼルス(アメリカンリーグ)からはフリーエージェント(FA)になった大谷翔平が、同じロサンゼルスにあるドジャース(ナショナルリーグ)と契約したと発表した。10年契約で、契約金は総額7億ドル(約1015億円)という、耳を疑うような超巨額だ。アメリカ
12月8日。82年前の今日、日本はアメリカの真珠湾を奇襲攻撃し太平洋戦争の開戦に踏み切った。戦争を知らない世代が大勢を占める時代だが、この日について考えることが多く、これまで書いてきた関連ブログ(下記)を読み返している。そんな中、これまでのブログには書
(紅葉したドウダンツツジ) 時々、トルコの『ナスレッディン・ホジャ』という笑い話の本を取り出して読む。国際紛争や日本の政治の動きに怒りが出ても、この小話集(202話・赤松千里訳)を読むと、思わず笑いがこみ上げてくるのだ。最近の日本の政治家を皮肉るような話
(一輪だけ咲いた赤いバラ) いつもの喫茶店。ドアを開けるとアイルランド民謡の『庭の千草』の曲が流れ始めた。その一番の詞(里見義訳詞)の終わり「ああ白菊 白菊 ひとりおくれて さきにけり」を聴いて、わが家の狭い庭の一隅にあるバラが、一輪だけ咲いているのを思
配達された新聞を見ると、不愉快になることが多い。政治面、国際面、スポーツ面、そして社会面もと、何もかも面白くない話題が詰まっている。そんな時は、萩原朔太郎にならって寒くとも外に出る。朔太郎は家にいるより、多くの時間、散歩で過ごした。空を見ると、今日も青
(西の空に残月が見える早朝の風景) 子規は夢の中を走り続けた人である。 これほど人々に愛され、 これほど人々を愛した人は他に類をみない。 彼のこころの空はまことに気高く澄んでいた。 子規は、今も私たち日本人の青空を疾走している。にほんブログ村
(街路樹のけやきも大部分葉が落ちた)私が住む関東地方は、冬になると西高東低の気圧配置によって晴れる日が多い。青空が広がる風景を見ながら、日本海側の方々には申し訳ない思いになることがある。今日は晴天。風がやや強く、空に雲は見えない。城左門(じょう・さもん190
「無季、自由律」の句といえば、種田山頭火、尾崎放哉が知られる。渡辺白泉(はくせん)の〈戦争が廊下の奥に立つてゐた〉は、コラムやエッセイにしばしば引用される季語がない名句で、1939(昭和14)年の作だ。当時は日中戦争最中であり、この2年後に日本は太平洋戦
2014年(平成26)11月10日にこの世を去った俳優の高倉健さんは、私より10数歳年上だが、誕生日は同じ2月16日だった。亡くなって既に9年。ほとんど話題にならなくなった。昨日、久しぶりに夕刊社会面に高倉さんの記事が載っていた。高倉さんのパートナーが遺品整
心に太陽を持て。あらしが ふこうと、ふぶきが こようと、天には黒くも、地には争いが絶えなかろうと、いつも心に太陽を持て。 心に歌を持て。軽く、ほがらかに、自分のつとめ、自分のくらしに、よしや苦労が絶えなかろうと、いつも、くちびるに歌を持て。 苦しんでい
2429 さまざまな青春の思い出『今しかない』(8)の(1)
わたしは ときどき言葉をさがす、 失くした品物を さがすときのように、 (中略) やわらかな言葉、やさしい言葉。 荒んだ人の心を柔らげるハーモニイ。 しゃべりすぎた自分を控えさせるモデラート。 そっとしておいて下さいと願う人にはピアニシモ。 そのとき
「金色のちひさき鳥のかたちして銀杏ちるなり夕日の岡に」 与謝野晶子(『恋衣』より=夕日に照らされて輝く岡に、金色の小さな鳥が舞うように銀杏の葉が散っている)。この歌のように、黄金色に色づいたイチョウの葉があちこちで舞っているのを見かける。その風景を見ると、
(天を突く皇帝ダリア)「忘却とは忘れ去ることなり。忘れ得ずして忘却を誓う心の悲しさよ」。テレビが普及する前の菊田一夫原作の1952~54年に放送されたラジオドラマ「君の名は」で極めて有名になった言葉だ。当時「流行語大賞」はなかったが、もしあったなら当然流行語のト
2426 心に響く『浜辺の歌』 映画『二十四の瞳』と高峰秀子
近所の喫茶店に入ったら、チェロの演奏で『浜辺の歌』(成田為三作曲、林古渓作詞)が流れていた。林古渓が作詞し、成田為三が作曲した日本の歌だ。それがいつしかチェロの曲としても知られ、今では世界各地で演奏され、世界の人たちに親しまれているという。私はメロディ
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(わが家の庭の春の日の風景) 私たちは日常、さまざまな木を目にしている。今の季節で注目されるのは、何といっても桜だろう。私は毎朝けやき、クスノキ、セイヨウトチノキ(マロニエ)を見上げながら散歩をしている。作家の幸田文は時々「日本の代表的木を3本あげてみ
ソメイヨシノは散ったが、まだ遅咲きの種類の桜が咲いている。遊歩道の脇で、女の子たちビニールシートを敷いて、車座になっておやつを食べている。少し離れた小学校の正門にも立派な桜が咲き誇っていた。春爛漫、こんな季節。人はやはり外へと出る。にほんブログ村
チェロ奏者、パブロ・カザルス(1876~1973)は1971年10月24日、国連の日にニューヨークの国連本部で『鳥の歌』を演奏した。演奏を前に短いあいさつをした。それは後世に残る言葉になったことをこのブログでも紹介している。「鳥たちはピース(平和)、ピ
薄黄色の桜が咲いている あまり目立たぬ遊歩道の一角 ソメイヨシノは散り始め ウコン(鬱金)かギョイコウ(御衣黄)か 見分けがつかない桜 すぐ後ろは保育園の庭 園児たちはこの桜を覚えてくれるだろうか
今、公私ともに内外の話題になっている大リーグの大谷翔平は、岩手県南部の奥州市水沢区(かつての水沢市)の出身だ。いつものように、地図を見て歴史を調べてみる。ウイキペディアの出身有名人の最初に出てくるのはアテルイ(阿弖流為)で、大谷は最後から2番目にあった
輸血のために血液型は必要だが、日常生活で血液型を意識することはほとんどないはずだ。ただ日本人の多くは、血液型と性格が関連するのではないかと思っているのではないか。関連するという前提で書かれた「モーツァルトの血液型」という作家、作詞家のなかにしれ礼(1938
ペルーの世界遺産、マチュピチュで「インティワタナ」という花崗岩による日時計の彫刻がある。太陽を縛るというような意味らしく、遺跡の一番上の位置に設置されている。このように、人類は日時計のほか水時計など工夫を凝らして時間を推測し、太陽、月、星の動きでも一
朝の散歩コースは、濃霧に包まれていました。はっきりと目に見えるのは、満開になったソメイヨシノの花だけなのです。画家のゴッホは、自然界の姿をさまざまな絵に描きました。彼は「人の心を高揚させ、慰めてくれる自然をつくりだしたい」(友人エミール・ベルナール宛の
(人影が少ない桜並木の雨の朝) ラジオ体操の第一と第二の合間の首の運動 ピアノ伴奏のメロディーは「ロングロングアゴー」(long, long ago) ベイリー作曲のイギリス民謡 何も知らず、小学生時代に笛でこの歌を演奏した うまいのは少数、ほとんどが下手、私もその一
散歩をしていたら、私がひそかに「小言幸兵衛」(古典落語に出てくる長屋の家主のこと)と呼んでいる大先輩がぶつぶつ何かを言いながら歩いていた。追いついて「どうしたのですか」と聞いたら、いつもの小言が始まり、散歩の間聞かされる羽目になった。それは「二階兄さす
(咲き出した海棠が雨に打たれて美しい) 時々、地図を取り出して眺める。それは机上で考える旅でもある。ある日は日本地図を、また別の日は世界地図を広げる。最近は世界地図の方が多い。目は紛争・戦争地帯に向く。ウクライナ、ロシアとその周辺、イスラエルとガザ地区
「科学というものが、なんの責任感も慎重な考慮もなしに、おそるべき破壊の武器を、政治家や軍人の手にゆだねてしまった。おかげで地球上全生物の運命が、彼らの手中に握られてしまっているのだ」イギリス出身のコメディアン俳優で映画監督のチャールズ・チャップリン(188
最近、年賀状を別にしてはがきが届くことはあまりない。過日、ダイレクトメールに混じって一通のはがきが郵便ポストに入っていた。それは、かつての競争相手であり、多くの時間を共有した仲間、O君の死を知らせる奥さんからの訃報だった。この8年、会うことがなかったとは
散歩をしていて目に入る木々を見上げると、若葉が少しずつ増えてきている。新緑の季節なのだ。いつしか石川啄木の歌を口ずさんでいた。「やはらかに柳あをめる北上の岸辺目に見ゆ泣けとごとくに」(現代訳=やわらかい柳の青い芽が北上川の岸辺に見える、まるで望郷の涙を
足弱の我に手を借す人のあり新宿駅の朝の雑沓 「この方は60歳くらいの男の方でした。きっと、見かねたのでしょう。とても嬉しゅうございました。また、眼鏡をはずして本を読んでいるおばあさんの私に“本当にあなた読んでいらっしゃるのですか”と問いかける人もあり
新聞の俳句・短歌欄を見ていると、心にぐさりとくる句と歌がある。作者の信条が、素人の私にも伝わるからだ。ここに同じ作者に短歌と俳句がある。いずれもロシアの「シベリヤ」(シベリアのこと)という地名が、限られた字数の中に入っている。そこには作者の辛い人生が込
昨年来、大リーグの大谷翔平に関するテレビの報道はすさまじい。野球だけでなく結婚のこと、通訳のスポーツ賭博のことと連日連夜、テレビから集中豪雨のように流され続けている。かつて、評論家の大宅壮一はテレビの低俗ぶりを「一億総白痴化」という言葉で表現したが、そ
「ばかやろう」という言葉の使い方は難しい。基本的には相手をののしる場合に使うのだが、パワハラやモラハラと受け取られるから最近は学校でも職場でも家庭でも、この言葉は聞くことが少なくなっているのではないかと思っていた。だが、そうでもなかった。25日に自民党の
パレスチナ自治区ガザでの戦闘休止と人質解放に向け、イスラエルとイスラム組織ハマスの交渉が仲介国のカタールで続いている。交渉がまとまるのかどうか、世界の目が注がれている。休戦の歴史で思い浮かぶのは第一次大戦だ。この戦争はそう長く続かないと多くの人が見てい
人間には潜在能力がある。それだけでなく「手負い猪」(ておいじし)という言葉を思い浮かべたのは、大相撲春場所で幕尻(幕内の一番下位の東前頭17枚目)の尊富士(たけるふじ=24)が13勝2敗で優勝したテレビ中継を見ていた時だ。新入幕力士が優勝したのは110年
(満開の藤の花) このところ、自然に接することが多い。4月は百花繚乱の季節だから、様々な花々を見て、生きていることを実感する。毎朝、ラジオ体操に集まる広場の後ろの森では「キンラン」が増え、愛らしい黄色い花が咲いている。広場から1・5キロほど歩くと、2本の
海外には大小様々な邦字紙(日本語新聞)がある。そのうちの一つがフィリピン・マニラで発行されている「日刊まにら新聞」だ。この新聞の創刊者、野口裕哉氏はコロナ禍さ中の2020年8月、74歳で亡くなった。それから間もなく3年。昨15日、友人、知人たちが集ま
(ナニワイバラ) 東京のある小学校での出来事。6年生、21人のクラスの担当になったのは新任の男性教師だった。その挨拶。「先生はみんなの名前を覚えるのが苦手だから、最初に名前を名乗ってから話をするように」。これはNHKラジオ「まい朝5時台ニュース/たより」とい
(自転車の姿がない時間帯の遊歩道) 自転車に乗る場合、今月からヘルメットの着用が努力義務(罰則はない)になった。自転車の人のヘルメット着用率は数パーセントしかないという。事故によって頭を損傷する可能性があるとして、道路交通法(63条の11)が改正になった
(キバナモクレン) 今朝、ラジオ体操仲間と「黄色いモクレンの花が咲いた」ということが話題になった。四季折々、身近な自然に目を向ける人たちが少なくない。NHKでは植物学者牧野富太郎(1862~1957)をモデルにした『らんまん』という、朝のドラマが始まった。春爛漫の季
(今朝の「山笑う」風景) 故郷やどちらを見ても山笑う 正岡子規「山笑う」というのは、俳句の春の季語だ。歳時記には「春の山の明るい感じをいう。北宋の画家、郭煕(かくき)の『林泉高致』の一節「春山澹冶(たんや=あっさりしてなまめかしいさま)にして笑うが如し」
散歩道に薄黄色の桜の花が咲いていた。図鑑やネットで調べてみると、2つの品種「ウコン桜」(鬱金桜、右近桜)と「ギョイコウザクラ」(御衣黄桜)のどちらかと思われた。特徴は2つともよく似ているが、花びらの色(ウコンは黄色に近く、ギョイコウは黄緑)から見て、前
ライラックといえば、ヨーロッパ原産の花でフランス語ではリラという。冷涼な気候を好むから、日本では明治中期に渡来した北海道に多いといわれる。散歩道にもうこの花が満開になっているのを見つけた。何とも気が早いと思うのだが、地球温暖化に自然は敏感に反応している
(穂が下を向いたクヌギの花) 毎朝の散歩コースに小さな森がある。その近くには大雨などの際、下流の川の水量を調整するための人工池(調整池)が設置されている。人があまり近づかないこともあって、この池には四季折々渡り鳥が優雅な姿を見せる。しかし、森の方は雑木と
桜の下に人あまたつどひ居ぬ なにをして遊ぶならむ。 われも桜の木の下に立ちてみたれども わが心は冷たくて 花びらの散りおつるにも涙こぼるるのみ。 いとほしや いま春の日のまひるどき あながちに悲しきものをみつめたる我にしもあらぬを。 萩原朔太郎
満開の桜が、南からの強い風によって散り始めました。このところ雨の日も多いようです。そして、卒業シーズンですから、まさに唐詩選の「花発(ひらけ)ば風雨多く 人生 別離足(おお)」し」の季節といえるようです。『黒い雨』で知られる作家、井伏鱒二の名訳「ハナニア
(日本の優勝を祝うように満開になった遊歩道の桜) 野球のWBC決勝で、日本チームが野球大国米国を3-2で破り、3大会14年ぶり3度目の優勝を飾った。野球(ベースボール)の発祥国といわれる米国(一部英国説もある)では、かつて少年たちは憲法と野球を習得することで
日本の美術界に大きな足跡を残した一人として挙げることができるのは、東京芸大の前身、東京美術学校の初代校長、岡倉天心(1863~1913)だ。天心は明治時代後期、茨城県北茨城市五浦に活動拠点を移し、現在も旧宅観瀾亭(かんらんてい、大波を見る東屋の意味)と呼ばれる
(満開の木瓜の花) 私は社会部の駆け出し記者時代、新宿警察署を拠点とする「4方面クラブ」に所属していました。その当時、8社の記者がいましたが、その一人に音楽をこよなく愛する記者がいました。自身もヴァイオリンをやり、定年後、かつて私も住んだことがある仙台で
(開花した美しい陽光桜) 自然界のスケールに比べれば人間ははかなく、小さな存在だ。その一人である私は12年前の3.11という大災害に、うろたえたことを忘れることができない。今日も近くの森からウグイスの鳴き声が聞こえ、街路樹のハクモクレンの花が咲き始めた姿が目
今日8日は「ミモザの日」だという。この時期に、本場であるイタリアでこの花が咲き始めるころというのが、由来だそうだ。同時に、国際女性デーともいわれる。この花の黄色い房を見ると、山田洋次監督の映画『幸福の黄色いハンカチ』を思い出す人は多いのではないか。この
「このオペラが21世紀にたとえ火星の上で、人工太陽の照明のもとに地球植民地歌劇団によって演ぜられても決して古くないと信じる。それはモツアルト(原文のまま)の音楽が古典などを通り越して永遠だからで、その理由はやはり驚異的なオリジナリティをふまえたポピュラリ
(散歩コース・調整池で見た朝焼け)見た目には大人しそうな首相だが機を見て敏で豹変をする 「短歌や俳句は世相(時代)を映す鏡」ともいわれる。この短歌を見て、それがよく理解できる。この歌を詠んだのは通信社時代の同僚、小島敦さんだ。3月5日の「朝日歌壇」高野公
(ヒメリュウキンカの花) 未来は幽霊では意味がない 足があるものだ 未来像だけを教えて 足を教えないと 未来像は幽霊になってしまう 足を教えるのが 大人の義務だ 未来の像だけなら 子供にもできるのだ 現代は 大人が足を教える力を 失ってしまった
(菜の花が咲き始めています) 特殊詐欺という犯罪が日本社会を揺るがしている。グループは手口を凶悪化、強盗殺人事件まで引き起こしている。グループを率いていた疑いのある4人がフィリピン・マニラから送還、逮捕された。警察の総力を挙げての捜査で事件は解明されるだ