知人の画家、Hさんから電話があった。12時19分、昼食を摂っていた時だった。「これから桜を見に行きたいと思いますが、都合はいかがですか」と。「何時頃ですか?」「2時半を予定にしています」「いいですよ。人数は?」「私一人です」「わかりました」食事を済ませ、外のテントの下にお茶と少しのお菓子を用意して待つ。彼岸桜の花びらが地に広がる庭に青い車が入って来る。「これ、どうぞ」とレジ袋を渡される。中を見ると、桜...
染井吉野は二本ある。一つは中庭で李と並ぶようにして。もう一つはアートガーデンの中で川近くに立つ。満開一つ手前まで進んで、それぞれ見頃となりつつある。中庭のは私の部屋から座して見える。まさにマイ花見。よくヒヨドリが来て花を食べている。下の方には二輪の胴吹きもあって、愛らしい。その遠く向こうには伊那山脈や南アルプスの山々が見える。こうして四月も半ばに入る。 雨降るなよまだ散らすなよと思いつつ一人で...
和室に木彫のこけし人形を飾ってある。着物の柄に白梅が施されている。箱書に記された作品名は「花ごよみ」。40年以上前に買ったもの。堀文子さんに画文集『花』(1982年初版)の著作がある。ご自身が描いた花についてその思いを綴っておられる。「梅」には次のように。 古武士のような風格の苔むした幹、いかめしい古風な枝、その枝から去年のびた緑の若い枝にびっしりと脹らむ蕾。 その蕾が朱色の顎に抱かれて、しっかりと枝に...
ヒヨドリは一年中庭にやってくる。朝早くから、大きな声を出して。今なら木々の蕾や、すでに開いた花などを食べる。蝋梅などは特に好みらしい。時々、四十雀や目白などの小さな鳥も来るが、彼の姿を見るとみんなさっと逃げていく。少しずつ染井吉野や李も膨らむ。今年の開花は若干早くなるのかもしれない。開けばまたこれらの花も彼にとっては団子に。もう少し「愛でる」という感性があればと思うのだが、でも彼らには彼らなりの「...
しばらく前から玄関に飾ってあるのは小さな雛飾りです。叔父からいただいた手作りの紙細工です。お雛様の丈はそれぞれ3㎝、掛盤膳の上に置かれる器の大きさは5㎜~1㎝。屏風の高さは10㎝、雛壇幅は21㎝。男雛には笏と太刀、女雛には桧扇、若い右大臣、老いの左大臣には矢と弓。加えて雪洞、橘、桜などの添え飾り。どれもこれもきめ細かな拵えです。小箱から出して飾るのが毎年の楽しみになっています。お歳は90半ば、まだまだお元...
昨日の来客は17:10に帰った。連絡をもらった予定では16:00だった。それだけ時間を気にすることなく楽しく過ごしてもらえたのなら私もうれしい。また来たいとも言っていたが……。お堅い同業の職に就いているという幼なじみの二人。それ以外のことは年齢も含めてまだよく知らない。家族構成なども含め、身上については私も敢えて訊いていない。そのうち自らが身の内を語ってくれるのだろう。帰る時、笑顔で何度も頭を下げる二人の姿に...
庭の横を川が流れている。ゆえに1年を通して生活の中に川の音がある。梅雨時はそれが濁流となって怖くもなる。夏は涼やかな風を吹き上げて家までに届けてくれる。秋の河原は溝蕎麦のかわいい花を広げる。冬は神秘的な氷の造型を出現させる。そして雪解けのせせらぎは春の到来を楽しませる。何年か前になる。そこに私は細くて長い道を作った。一人で何カ月もかけて。それに“思索の小径”と名付けた。時を定めずに気分の赴くままに歩...
ノコンギク咲いた。アブがとまる。セセリチョウもとまった。中学校の時、若い二人の悲しい恋物語の映画を見た。自然に涙が出た。土曜日の午後だった。当時、学校では映画を見ることは禁止されていた。休憩時間の明るくなった館内に生徒指導の先生方が入ってきて補導された。私以外にも10人近くがいた。月曜日に反省文を書いて提出しろと言われた。生徒から恐れられていた主任の数学教師の顔は今でも忘れれない。野菊を見るとそんな...
公募展の作品が返ってきた。その搬入搬出の費用27,500円を送金した。友人から個展案内が届いた。初日に行くと伝えた。若い人から「28日の午後2時半に伺いたいと思います」と連絡が入った。「いいですよ」と返信した。アマリリスや君子蘭などの鉢物を室内に入れた。掛け軸を『柘榴』に替えた。押し入れの整理をした。冬用の新しいパジャマを2着買った。家人はまだ旅から帰ってこない。私は楠で栗を彫っている。庭にはピンクの薔薇...
朝の肌に感じる冷ややかさ。向こうの景色は川霧に覆われ。足元の草花は露を乗せる。いつの間にか虫の音も消えて。手紙ならば「秋冷の候」と相応し。名前の知らない白い小菊が咲いている。野菊もだいぶ目に付くようになった。そんな今は菊にとって一番いい季節らしい。...
庭で先に色づくのは花水木。ややくすんだ紅い色の葉に。一緒に実も真っ赤に。茱萸に似て美味しそうで。(食べたことはないが)艶やかで空の青に映えて。秋がさらに秋らしくなっていく。色も形も香りも空気も。家人は遠い地の秋を訪ねる5泊6日の旅に出かけた。私は彫刻刀で秋を制作している。 先の秋に誘われて次の秋も来る赤い実をつけた花水木は紅葉を始めた (上武旋転子)...
アートガーデンの一角に段菊があり、少し前から咲き出した。青紫の小花が密になって茎をぐるりと取り巻く。それが下から上に向かってだんだんと咲いていく。飾らない素朴な佇まいがいい。。その近くにモンシロチョウが来て翅を休めていた。友人が渡り鳥を見てきたと、その様子を動画で送ってきてくれた。懐かしい気分になった。そして「10月は他の月より心が波立つしざわめきもします」と一文が添えてあった。それぞれに思いを深く...
セキヤノアキチョウジ(関屋の秋丁字) ~耳を立てた小動物の顔~
いつもは葉をいっぱいにした茎が賑やかに立つセキヤノアキチョウジも今夏の猛暑で多くが枯れた。全滅するのではないかと心配したが、葉を少なくした弱々しい姿でなんとか数本が残った。そして今、小さな筒状の白い花を咲かせている。花の先は耳を立てた小動物の顔のようで、見る度に楽しくなる。このセキヤノアキチョウジには冬の楽しみもある。我が家で唯一、「霜の花」を造型するのである。それは毎年、刈られた冬枯れの茶色い花茎...
野良着姿の義姉が葱と金時草を持ってきてくれた。一人暮らしながらほんとによく働く。そして「美樹が4日に帰省するんだけど、その時お宅にもお邪魔したいんだって。都合はどう?」と。「特に予定は入っていないのでいいですよ」次女が住んでいるのは仙台。ご主人の運転で来るというが、どのくらいかかるのだろう。名古屋での結婚式以来、二人にはお会いしていない。それからもうかなりの年月が経つ。美樹さんは犬や猫などのもふも...
ホトトギスは花びらに濃い赤紫の斑点を蜜に散りばめる。その模様が杜鵑の胸毛の様に似ているので、この名がつけられたという。蕊には小さなビーズのような球がいくつも乗る。何ともいえない自然の造型の妙。花言葉は「秘めた思い」「永遠にあなたのもの」とある。よくわからないが、女性の立場からなのだろうか。イチモンジセセリチョウが来てとまった。昔「♪花が女か 男が蝶か~」という歌があったのを思い出した。 秋風に...
玄関近くの見上げるところで金木犀が咲いている。そこに立てば甘い香りが降ってくる。それは二階の寝室からも見える。遠くに塩見岳などの南アルプスの山並みを背にして。それとは別に2メ-トルほどの高さのが5本ある。家を取り巻くように台所のそばと、ダイニングの外に2本と、そして染井吉野の下にも2本。ゆえに外のどこを歩いてもその香りがミストのように漂う。花は咲き出したばかりで、まだ完全に開いているのは少ない。満開...
浜菊が咲き出したのは数日前から。大きめの白い舌状花。円形に整った黄色い筒状花。厚めで艶がある葉。年季を経て木化した茎。名に「浜」を冠することで分かるように、もともとは太平洋側沿岸の野生菊。それがこうして山国信州の秋庭に。今年は花が少ない。黄色い葉も目立つ。それでもあの猛暑を乗り切ってくれた。そこでもう20数年になる。 朝陽射し浜菊の影濃き秋の庭(奈美あや)...
柿の葉が落ちる。バサッバサッと地に音を立てて。利休梅も落ちる。軽やかに揺れて音もなく。梅も桜も李も舞って。掃く。前庭を中庭を北庭を南の庭を。そこもどこもどれをも。臘梅の下には薄いピンクの一重秋明菊が咲く。柘榴が赤い大きな実を付けている。私は脚が冷えるようになった。 修飾する言葉は何にする心に囁き誘い湧かせて秋の不思議 (上武旋転子)...
キイジョウロウホトトギス(紀伊上臈杜鵑草) ~二人の若い来訪者~
昨日の午後2時。二人の若い来訪者があった。赤いスポーティな車に乗って。どちらかというと体育会的の元気な方と。どちらかというと口数の少ない控え目な方と。互いは幼なじみで小中高を一緒に過ごした親友。アートガーデンであれこれを見、私の部屋でいろいろを話し、お帰りになったのは午後4時45分。10月の内にもう一度来るということに。そして、この歳ながら今風にLINEで連絡を取り合うこととなった。常は人付き合いも少なく...
白い秋明菊がちらほら。実は多くは夏の暑さにやられて。今あるのはそれを乗り越えたものたち。いつもなら長い花茎がたくさん伸びてゆらゆらと。隣り合うどうしで話でもするかのように近づいたり離れたり。今年は少ない花だがそれでも変わらずに、“秋の、明るい、菊”。きれいに丸く整った蕊は放射状に伸びて太陽のよう。 友人が、制作した3枚の絵の写真を送ってくれた。「出来映えはともかく、作ることで高揚感を感...
アンネのバラ(Souvenir d'Anne Frank) ~穏やかな秋の日に~
穏やかな秋の日。アンネのバラが咲いた。いい色。柿を採った。腰籠の一つ分だけだった。例年、この木からはコンテナの2箱から3箱は採れるのだが。9月の内にだいぶ落ちた。もう一本の次郎柿の収穫は少し先になる。百舌の甲高い鳴き声が響き渡る。 思春期の少女の心を思わせるような色の薔薇が咲いている秋の日 (居山聞涛)...
家の横は川になっている。庭から数㍍の下に流れている。固定のはしご段があり、降りられる。今そこには溝蕎麦が広がる。毎年見られる光景である。薄紅色と白に染まる花は磁器のような艶がある。それが散形にまとまり咲く。シジミチョウやハナアブたちが次々にやってくる。そして楽しそうに渡る。彼らの目にはどう見えているんだろう。 チョウがくるアブがくるみぞそばの広がりに身を浸す秋の日快し (上武旋転子)...
コルチカム(colchicum・イヌサフラン) ~サツマイモを7本~
家の入り口の東側には山茶花がある。今その下にコルチカムが二輪。毎年変わらずのやさしい淡紫紅色の。これも彼岸花と同じように「葉知らず花知らず」で。腰を屈めて見て気づいた。その一輪の花びらの一つがだらりと長いのに。そしてその先は割れている。いつもはみんな整った形で咲くのだが。そういえば、去年は3輪だった。どうしたんだろう。Iさんがサツマイモを7本くださった。「20日が出産予定なんです」と大きなおなかを...
アートガーデンにはコスモスがいっぱい。六月初旬に咲き、八月九月を経て今が一番の盛り。まさにわが季(とき)と。赤やピンクや白のが。そよ吹く風に軽やかに揺れて。よく考えればコスモスに青や黄色を見たことがない。ガーデンにはキバナコスモスもあるが、それは別種で丈は低い。その昔、青い薔薇が作出されたとの話題があり、見に行った頃がある。誰か青いコスモスを作り出せないか。空は青い。ピンクの上には白い月。花にはツ...
月下美人が咲いたんです。この鉢のは四度目だと思います。おとといの昼に咲く気配を感じ、部屋に入れました。一夜の花ですのでそのタイミングをは見逃せません。夕食終えて私の部屋の入るとよい香りが広がっていました。開きはじめていたんです。花は夏のより若干こぶりには見えますが、やはり麗人を想わせる花です。二つが寄り添っていい姿です。少しずつ大きく開いていきます。香りもいっそう強くなります。それを私が独り占めし...
シュウメイギクも咲く時期になりました。家には三種類があります。先駆けは薄紅紫色の八重の花です。そこは中の小径のちょうど中ほどにあります。上には蝋梅があって夏は涼を得られる場所です。ナミホシヒラタアブがとまっていました。友人から「渡り鳥の観察会に行きます」とメールが届きました。どんな様子が見られたのでしょうか。 秋明菊に花が一つまた一つと増えて一際映えわが庭あかるし (上武旋転子)...
松葉菊は夏にたくさん咲いた。そしてすべての花は終わり、緑の葉だけになった。北側の道沿いにはおよそ40メートルに渡って植えてある。その一角の50㎝ほどだけの箇所にまた咲いた。ピンクの艶あるきれいな放射状の花が。秋なのに。中庭では花の春の馬酔木に今溢れるように蕾があるし、ムスカリも至るところに顔を出している。猛暑と少雨だった影響か、今年はこのように庭の花たちにも常と違える様相がいろいろ見られる。 今...
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知人の画家、Hさんから電話があった。12時19分、昼食を摂っていた時だった。「これから桜を見に行きたいと思いますが、都合はいかがですか」と。「何時頃ですか?」「2時半を予定にしています」「いいですよ。人数は?」「私一人です」「わかりました」食事を済ませ、外のテントの下にお茶と少しのお菓子を用意して待つ。彼岸桜の花びらが地に広がる庭に青い車が入って来る。「これ、どうぞ」とレジ袋を渡される。中を見ると、桜...
花水木は2本ある。金木犀のそばには薄色のでこれが先に咲く。もう一つ濃い色のが利休梅の横にあり1週間ほど遅れる。枝の広がりや花数にも違いが見られ、濃い方のはコンパクトに収まる。それぞれに味があってどちらもいい。友人が図書館から齋藤孝の本を5冊借りてきて読んでいると連絡をくれた。そして「読後はとてもいいですね。心が潤います」と。 「花を本を愛を贈る日です」とラジオの人が語っていた“サン・ジョルディ”...
カラタチには太くて鋭い棘がある。何度か当たって痛い思いをしている。たとえば落ち葉を掃きながら後へ下がって背中を。花は白い。スプーン状の5弁で蕊から少し香りがする。花びらを落としたものはすでに小さな実の形になっている。食用にならないのが残念。少し肌寒かった。カーディガンを羽織った。風も強かった。玄関の外に出してあった孔雀仙人掌の鉢が倒れていた。3つ付いていた蕾は無事だった。内側に移動した。役場から「...
彼岸桜の下では三葉躑躅が咲いている。私には色辞典が二冊ある。【つつじいろ(躑躅色)】として載るその色見本は両方ともまさにこの色である。その一冊には次のように説明が記される。【つつじいろ(躑躅色)】赤躑躅の花の色から名付けられた色名で、紫みの赤い色を表わしている。すでに平安時代、そのいつの頃からかはわかはわからないが、躑躅という色も名前も知られていたことはまちがいない。たとえば「枕草子」の中で、清少...
ラズベリーはアートガーデンの北側に並ぶ。私の背よりも高い。今それに白い花。花びらが落ちると花托がふくらみ、そして実となる。家のは濃いオレンジ色。およそ6月前後が収穫の時期。消毒などしないのでその場で採って口に入れたりする。気の早い薔薇が咲き出した。この黄色いのはたしかゴールドバニーの名だったか。 木苺に白い花白い花たくさん生れよたくさん生れよ摘みたいよ (居山聞涛)...
昨日は29℃に。風も出て。キクザキヤマブキの花びらは細い。その枝がしなやかに揺れる。せっせと働かなきゃ。春だもの。もっともっと動かなきゃ。 しなやかにゆらゆらりと山吹の風に誘われて四月の29℃ (上武旋転子)...
一仕事を終えてお茶を飲んでいた。枝が屋根に当たりそうになっていた李の剪定などだ。それにしても暑かった。電話が鳴った。ディスプレイに義姉の名が表示される。「リーフレタスを収穫したから持ちに来ない?」と。「分かりました。すぐに伺います」車で5歩ほどの所に一人で住んでいる。玄関にレジ袋に入れて用意してあった。「葱も取ってあったので」ともう一袋。歌の選者でもある歌人が表の顔だが、野菜作りにも年季が入る。私...
茶筒の中がだいぶ低くなっていた。そろそろ用意しなくてはとお茶屋さんにでかけた。長年同じのを愛飲している。それの新茶が出ていた。もうそんな時期なんだ。「今日は暑いですね」「真夏のようですね」そんな会話を交わしながら一つ求めた。利休梅も満開。花は純白の五弁。花びらは縮織りの様。さわやかに。おだやかに。卓にも一枝を。...
今、いろいろに花。小さな草にも高い木にも。そろぞれの色で。それぞれの形で。青い空の下、花水木にも溢れる。花はゆるやかにうねり。色を少しの階調にして。「花水木のすてきな色は造形の神にしか出せない…」以前、そんな文を読んだことがある。 愛の歌がこぼれてくるような気がしてあふれる花水木を見上げている (居山聞涛)...
遅れて鬱金桜も咲きます。黄色い八重の桜です。花びらには黄緑色の斑が見られます。そして咲き進むと中のほうから赤みがでてきます。一味違う桜です。 四月の風に黄桜咲いている道ゆく人は気づかず (上武旋転子)...
梅桃の花は5弁の白い花です。梅のようでもあり桜にも似ています。それは6月頃、赤い小さな実になります。甘味と酸味がほどよく混じります。この可憐な花には「郷愁」の花言葉がありました。「郷愁」……ですか。さて、あと二ヶ月後の収穫を楽しみにしましょう。...
山吹が並ぶ。家を挟んで、花水木の下と桜の下に。あふれて気持ちいい。風に応じて枝がふわっと揺れる。一つは一つでゆかしく。手を添えたくなり。今日は画家の知人宅を訪問する日。石楠花の広がる庭、アトリエ見学、そしてこだわりのコーヒーを淹れてくれるというお誘い。昨夏の約束を忘れずにいてくれて。 やさしく揺れてそっと触れてさまざまな思いを振り返らせるごとに山吹のある (上武旋転子)...
ラジオでパーソナリティーがリスナーに問いかけていました。「あなたが春を感じるのはどんな時、どんなことでしょう」と。草花、人事、伝統行事などの答えが届けられていました。 私の頭に出てきたのは食器洗いです。水の温みを感じ、手袋を外すようになったことです。片栗とか福寿草とか蕗の薹なども思い浮かんだのですが。洗い物をするとき、少し前までは水が冷たくて、手袋をしていました。それが今は素...
庭桜は白い八重の桜。蕾の時は少しの赤みをまとっている。他の桜が散った今、時を置いて咲く。埋め尽くすように白シロしろ。私にもそんな白い時があった。 白いままでいたいと詩の中の青い頃いろんな色に染まり混濁しまった今戻れない (奈美あや)...
昼食を終わって一休みしていた時、穂波さんがやってきた。そして「今朝、清人さんがタケノコを掘ってきたの」と言って大きな袋を差し出す。受け取るとずっしりと重い。「ありがとう。お茶でも飲んでいかない?」「まだ友達のところにも届けるので、これで。じゃあ」中に4本入っていた。新聞に広げる。まだ湿った土がついたままだ。1本はかなり太くて大きく、1面の横幅ほど。それ一つで2.6㎏あった。全部で5㎏を優に超える。家人...
花蘇枋は葉のない枝に鮮やかな躑躅色の花を付けます。マメ科の植物なので同様に蝶形花です。細くて低い木です。太くて大きな山茱萸の木の下にあります。あ~あ。青大将がでーんと。いやいいや。つねよりかなり早いご登場です。このところ5月頃の陽気が続いていたのからでしょうか。1分ほどしてのそのそと離れていきました。毎年何度か勝手にやってきて庭を散策します。おとなしいのですが、苦手な相手です。ん~ん。 枝に吹...
ウコギも食べ頃です。手を伸ばして枝を切りとります。さらに作業しやすいように短く揃えます。枝から一つ一つ摘み取ります。葉の付け根には棘がありますので気をつけてします。けっこう時間がかかります。ゆっくりとのんびりと。洗って。茹でて。けずりぶしを乗せて。醤油をかけて。ああ、いい食感。またまた旬をいただきました。 空を切って軽やかに飛び翔る燕今日は一羽二羽三羽 (居山聞涛)...
さーっと、軽やかに。アートガーデンの上を横切って。見ました。初燕です。まだ一羽だけでしたが。また、一つ春の姿が加わります。 初燕来てうれしうれしと作業の手を休めて茶を口に眺めている (居山聞涛)a href=
ハナニラの英名は“Spring starflower”とあります。春の星花とでも訳すのでしょうか。たしかにその6弁の花はきれいな星の形です。昨日はクレマチスの誘引をしました。モッコウバラの整枝もしました。梅と杏には肥料の施しです。お供は携帯ラジオにルイボスティーの入ったボトルです。園芸作業にあれこれ手が求められる楽しい毎日です。遠くの山はかすんでいます。黄砂でしょうか。...
今年も茱萸にはたくさんの花が咲く。生成りの筒状花が下向きに枝に垂れて。これらがすべて実になれば申し分ないのだが。ここ数年はそれほど多くの収穫は得られていない。木はしっかりしているし、必要な肥料は施している。はたして今年はどうだろう。中で天道虫が仲良くしている。 枝に垂れてブラブラ茱萸の花睦まじく天道虫のいる (奈美あや)...
梨の花は白い五弁。これもやはり常より二週間ほど早いのではないか。ちょんちょんと赤い蕊。仄かに桃色の蕾。艶やかな赤味の新葉。清少納言は、楊貴妃の泣き顔を引き合いに出しながら、梨の花はきわめて素晴らしくこの上ないと綴っている。 (『枕草子』「木の...